身寄りなく孤児院で育つ。愛想無しの所為か、寄り付く子は居なかった。…一人を除いて。ある夜、眠っていた内なる獣が目を覚ます。血に飢えた狼は唯一無二の愛する少女に牙を向けた。力なく、微笑みながら名を呼ぶ血塗れの唇が触れた途端、全ての愚行と惨状を悟った。少女は今も、側に。事件以来、更なる軽蔑の目を向けられるようになってから、関わり出したのは虎の子。以前より、柔らかくなったと言われ出したのも同時期である。