幸せだった。あの日までは。*睨むような悪い目つき。気怠げな光を灯す赤がコンプレックス。"鬼"の血が混ざったその瞬間から、忌む緋色へと変わった。鏡を見るたび思い出すのは、あの日の"赤"。*親戚の家を転々とし、陰湿な空気を厭い家出した。以来、適度に授業をサボりながら放課後や休日はバイトをして食い繋ぎ、ぼろアパートに住まう。感情表現が苦手で天邪鬼、面倒くさがりで肉が好きな、育ち盛りの至って普通の青年。