ハンドレッド・コルドロン ファーストアタック

    アンカー・バールフリットVS 海将ルナ・リード

    ●ハンドレッド・コルドロン

     始発の東海道新幹線が名古屋駅のホームへと滑り込む。
     東海道新幹線は、巨大密室『ハンドレッド・コルドロン』によって外界と隔離された名古屋市への唯一の侵入手段だ。
     乗車率は100%越え。
     上り下りの双方を利用して、灼滅者達は名古屋市へと侵入を果たす。

    「なんとしても、ここで頑張って、一般人の犠牲を減らしましょう!」
     事前の士気高揚を担当する5E蓮連合の赤松・鶉(蒼き猛禽・d11006)から、新幹線を降りる仲間達への激励が飛ぶ。
     そして、新幹線からホームへと降り立った灼滅者達の鼻を突くのは、血臭だった。
     新幹線ホームから見える駅前の道路は、いまだ乾かぬ血に濡れている。
     それが巨大密室ハンドレッド・コルドロンに捕らえられた無辜の人々が殺害された際に流されたものであることは、考えるまでもなかった。

    「キリング・リヴァイヴァーッ!!」

     突き抜ける怒りと共に、鶉が天に突き上げた指先を即座に振り下ろす。
     殲術再生弾の発動と共に、灼滅者達は全力で走り出した。
     東当・悟 (の身長はプラス七センチ・d00662)が吐き捨てるように言う。
    「六六六人衆……全く、ふざけた連中や!!」
    「急いで、まずはメイチカの制圧を!!」
     七夕・紅音(想い希い望む狐華・d34540)の声を受け、灼滅者達は名古屋駅地下街メイチカの制圧にかかる。
     地下へと飛び込んだ灼滅者達の前に、おそらくは哨戒に当たっていたのだろうデモノイドが現れる。
     銀色の装甲をつけているのは、ロード・クロムの配下、クロムナイトの証だ。
    『グォォォン……』
    「どけ」
     おそらくは敵襲を知らせようと叫び声をあげんとしたデモノイドへと、白石・明日香 (教団広報室長補佐・d31470)の鎌が振るわれる。蒼い血を振りまいて苦痛の声をあげるデモノイド。だが、その数は偵察要員程度に過ぎない少数だ。
     他の場所へ向かう組連合と共に、メイチカの敵を迅速に排除すると、4D椿連合は救護の準備に入っていく。

    「何だ、これは……」
     新幹線ホームから直接線路を経由して外へ偵察に出ようとした2B桃連合の偵察班は、その往く手を見えない壁のようなものによって遮られていた。
    「移動経路の制限か」
    「『密室』の効果でしょうね」
     指揮所を設置していた不動峰・明 (大一大万大吉・d11607)と椎那・紗里亜 (言の葉の森・d02051)は、その情報に眉を寄せる。
     松戸市をはじめ、数々の『密室』事件において確認された『密室殺人鬼』と呼ばれる六六六人衆。彼らが形成する『密室』は、特定の条件を満たさねば入ることも出ることもできない。
     多数の密室殺人鬼によって形成された『ハンドレッド・コルドロン』は、まず内部に入る際に新幹線という条件を限定し、さらに侵入した内部においても、迷宮化と見えざる壁という形で灼滅者達の進軍経路を制限していた。
     多くの組連合が懸念していた通り、通信機器も繋がりづらくなっている。
     もっとも、エクスブレインの予知によって、進軍可能なルートは──そこが敵の制圧下にあるとはいえ──分かっているので、多少はマシなのであろうが。
    「同じ方面に向かう組連合に随行するのが良さそうです。西側方面に先行している組連合に連絡を取りますね」
     野良・わんこ (世界大紀行・d09625)は、中村区役所に攻撃を仕掛けるべく地下へ向かった者達に追い付くべく走り出した。

    ●(4)エスカ・(9)中村区役所・(12)名古屋市街
     新幹線ホームを降りて、すぐ側にある地下街エスカ。
    『密室』の影響で迷宮化している地下街を占拠していたのは、朱雀門高校から派遣されてきた羅刹、鈴山・虎子配下の羅刹達だった。
    「今さら、朱雀門高校がこんなところまで出て来て何のつもりっ!」
     宇都宮ダイナミックをー放つ八重葎・あき (とちぎのぎょうざヒーロー・d01863)をはじめ、9I薔薇連合が、先を往く者達のために進軍経路を切り開いていく。
    「先に行った組連合の帰り道も確保してやらないとな」
     迷宮の構造を調査しながら、天方・矜人 (疾走する魂・d01499)は羅刹達の反撃をいなし、時間を稼ぐ状況に転じる。

     迷宮化した地下街を突破した6F菊の灼滅者達は、さらに先を急ぐ2B桃の灼滅者達と別れ、中村区役所への奇襲を敢行した。
     正面入り口からだけでなく、屋上や背後からも同時に攻撃を仕掛けていく。『密室』化の影響により、侵入経路は限定されているのだが、逆に今回は分散して行動した分だけ侵入口の特定が早められていた。
     すぐに突入口を発見した灼滅者達は、内部で待ち受けていた六六六人衆との交戦に入る。
    「楢山御前の分身体……憑竜楢山御前は、少数だな」
     セレス・ホークウィンド (白楽天・d25000)が目にする敵は、六六六人衆が多く、ノーライフキング『楢山御前』の特殊能力によって造られる分身の創造は控えめだ。再誕がいまだ途上であるためだろう。
     加持・陽司 (炎の思春期・d36254)が首を傾げる。
    「あと、一般人のいる様子がほとんど無いっすね」 「再誕儀式としての虐殺は、儀式場であるここではなく、名古屋市街で行っているということだろうね」
    「まあ、そりゃそうっすね。ここ狭いし」
     クレンド・シュヴァリエ (サクリファイスシールド・d32295)の言葉に、陽司は頷く。
     この区役所に限らず、儀式のために、何万人もを殺害し続けるには、この場所は狭過ぎる。
     とはいえ、幸いにも生き延びている人々もおり、そうした人々は発見され次第、灼滅者達に保護されている。
     クレンド・シュヴァリエ (サクリファイスシールド・d32295)は先に向かった2B桃の灼滅者達の奮闘を願った。

     9I薔薇、6F菊の援護もあって、2B桃の灼滅者達は人々を殺害しようとしていた六六六人衆を何百人と撃破することに成功する。
     だが、広大な名古屋市街に展開した六六六人衆の数は多い。
     迷宮化の影響は主戦場部よりは薄いとはいえ、一度の攻撃で制圧するのは困難が伴うだろう。

    ●(3)サンロード・(7)熱田神宮・(8)名古屋港水族館
     名古屋駅の東側から南方面へ伸びるサンモールを抜け、1A梅の灼滅者達は熱田神宮方面での戦闘に突入していた。
    「なかなか、手強いね……!」
     幸・桃琴 (桃色退魔拳士・d09437)は、熱田神宮内に設けられたバリケードを前に、膠着状態にあった。
     それ自体が『密室』と化した熱田神宮は灼滅者達の侵入を阻み、儀式場を守る……というよりも灼滅者達を殺そうとする六六六人衆の攻撃は次第に熾烈になっていく。
    「『うずめ様』の再誕を邪魔させるな! かかれー!!」
    「軍艦島勢力の残存兵力か。忠義に厚いことよな」
     笹川・瑠々 (平坦系はいてない狂殲姫・d22921)は軍服を着た羅刹や強化一般人の姿に、思わずそうこぼす。
    『うずめ様』本人は、熱田神宮の建物内にいるのだろう。
     奇襲段階で、外部からその姿を見ることは出来なかった。

     一方、名古屋港水族館では7G蘭の灼滅者達が勇戦していた。
     北館と南館、それに陽動班と、あらかじめ複数の侵入経路を想定し、分散していたことが、『密室』化した建物内へ侵入する上で良い効果を発揮している。
     上空にいたアンカー・バールフリット (シュピーレンツァオベラー・d01153)は、開いたスタジアムの中央にある白い人影を目にし、通信機に口を寄せた。
    「こちら陽動隊、海将ルナ・リードの姿を目視で確認した。北館3階のスタジアムだ」
    「了解! 北館突入班、突入経路見つかってるの?」
    「抵抗が激しいので、南から入ってぐるっと回らないといけないようになっているのではないでしょうか」
     突入隊のライ・リュシエル (継ぎ接ぎだらけ想い・d35596)やシエナ・デヴィアトレ(ディアブルローズルメドゥサン・d33905)の声が聞こえて来る。
     狙撃班が屋上部にいる敵を狙うが、その弾丸も『密室』の影響か、迷子になってあらぬ方向に撃ち出されているようだ。
     その時、ふとルナ・リードの視線が周囲にいる六六六人衆を捉えた。
    「誰ひとりとして残すことなく殺しなさい。わたくしの手を煩わせないで」
     物憂げであり、しかし同時に底知れぬ傲慢さを感じさせる声音で、彼女は六六六人衆に命令を下す。
    「あれは……少なくとも、灼滅者ではないな」
     目にした海将の力量から、それだけはアンカーにも確信できていた。

    「この羅刹達……鞍馬天狗の配下のはずだけど」
     3C桜連合のフローレンツィア・アステローペ (紅月の魔・d07153)は、怪訝そうに迷宮化した地下街の様子を窺っていた。
     奇襲で数を削られた羅刹達は、あまり積極的な反撃に打って出ようという姿勢を見せていない。そのお蔭で、仲間達の退路を守ることができていたのだが……。
    「今のお前達相手に戦って命を落としても仕方があるまいよ」
     そう言葉を投げたのは、青年のように見える羅刹だった。
    「鞍馬天狗……」
     灼滅者達の間に、緊張が走る。
     ご当地幹部アメリカンコンドルを上回る力を持つとされる、強力な羅刹。
     その背には、刺青の般若が歪んだ憤怒の相を浮かべている。
     だが鞍馬天狗本人の表情には、落ち着きと共にどこか諦念が浮かんでいるように感じられた。
    「朱雀門高校の生徒会長は己の理想のためならば、何者をも利用する気概はあるようだが……俺にクロム、それに箕輪御前まで使い捨てる気か。勇み足が過ぎるな」
     そう一人ごちると、彼は配下を率いてその場を離れていく。
    「とはいえ、任された以上は仕事は果たさねばな。全く厄介なことだ」
     灼滅者達の攻撃を凌ぐと、鞍馬天狗は配下達を率いて迷宮化したサンロードの支道へと消えていった。

     名古屋市街での殺戮は既に開始されている。
     情報の拡散を防ぐ『バベルの鎖』という存在を以てしても、これだけの大規模な事件の影響を完全に無にすることはできないだろう。
     同時に何十万人という人命が奪われる事態に対し、『バベルの鎖』によって情報の拡散を妨げられた人間社会がどのように理屈をつけるのか、今の時点で定かではなかった。

     保護した人々をメイチカに収容すると、灼滅者達は再び戦場へと向かう。
     いまだ多くの人々が六六六人衆の脅威に晒され、そして16時30分には6体のダークネスの『ハンドレッド・ナンバー』化は完了する。
     名古屋市は戦う者達、そして戦えぬ者達の血によって、赤く染め上げられようとしていた。

    組連合 ファースト
    アタック
    ファーストアタック結果
    1A梅 (7)奇襲 (7)熱田神宮の敵戦力が300減少!
    儀式場を守る敵勢には六六六人衆の他、軍艦島勢力残党が合流しているようです。
    2B桃 (12)奇襲 (12)名古屋市街の敵戦力が500減少!
     敵の質はさほど高くありませんが、数は他の戦場に比べ多いようです。
    3C桜 (3)奇襲 (3)サンロードの敵戦力が250減少!
    鞍馬天狗配下の羅刹は、鈴山・虎子配下より強力なようです。朱雀門高校勢力の派遣は、生徒会長の意志のようですが……。
    4D椿 救護準備 全ての戦場で、KO時の重傷/死亡率が5%減少!
     救護活動の準備を整えました。
     (7)(9)制圧時、それぞれさらに低下します。
    5E蓮 テンションアップ 敵戦力『450』までスルー可能に!
    愛知県の名産品などを振る舞い、士気を高めました。地獄合宿については検討するとのことですが、過去にもダークネスが起こす事件への対策に充てられたこともあり、どうなるかは現状不明です。
    6F菊 (9)奇襲 (9)中村区役所の敵戦力が300減少!
     楢山御前の氷像は以前のような大規模な出現はしておらず、一定の割合に留まっています(再誕儀式終了と共に大幅に増えると予想されます)
    7G蘭 (8)奇襲 (8)名古屋港水族館の敵戦力が350減少!
    陽動班が海将ルナ・リードの姿を確認しましたが、ルナ・リードとしての意識は……?
    8H百合 一般人救出 全てのターン、重傷からの復活率が5%上昇!(2,3,4,7,9制圧時にさらに上昇)
    事前の警戒が功を奏し、一般人に偽装した六六六人衆の排除に成功しました。
    取り残されている一般人の多さと『密室』の影響から、敵の制圧下にある地域を経由しての移送が困難。4D椿の救護施設設置予定地の制圧時に追加救出を行います。
    9I薔薇 (4)奇襲 (4)エスカの敵戦力が300減少!
    敵は六六六人衆と羅刹の混成軍。鈴山・虎子本人は姿を見せていません。

    ●今回のテンションアップ

    残りの敵戦力が「450」以下の戦場をスルーできます。