第２話「よみがえる歴史の偉人達」

■オープニング

　2016年、東京。
　詫び石流星群のもたらした大破壊により、東京は「光り輝く死の草原」と化した。
　しかし人は、抗うこと、生きることを諦めたりはしない。
　例え歴史が繰り返し、時を巻き戻されようとも、人の魂は変えられない。
　だからこそ始まったのだ。後に『偉人戦争』と呼ばれるであろう、この悲劇が……。

「……ふたつめの願いにより、東京に詫び石流星群を降らせました。残りの願いはひとつです」
　大天使ユリア・フランチェスカが、暁の魔術教団の歴々を見下ろし宣言する。
「大量の詫び石を前に、流石の『聖杯』も溢れ出してございます。東京には偉人が溢れ、相争い、私もこのように、最強の『偉人カード』を揃える事叶いました。残るは……」
　陰陽師・白の王セイメイはそう言うと、御簾の奥に座する盟主に目を向ける。御簾がゆっくりと開くと、身の丈3ｍはあろうかという美丈夫が姿を現した。盟主・『暁』のイグニスである。
「時は来た。これより行う『儀式魔術ガイセリウム』により、強き者……即ち偉人や、我らカード使いは死を超越し、何度でも蘇るようになる。優秀なる者は世界の希望ではあるが、戦いを呼ぶ癌細胞でもある。だが彼らが無限に転生する不死となれば、その叡智は優しさの為にのみ使われる事となるだろう。死を超越した暁の未来に、永遠の至福あれ……」

「尊き偉人達を己が陰謀の為に弄ぶとは……許さん！」
　聖杯騎士団の守護神、偉人の魂弄ぶ奴絶対許さない明王が、怒りの怪鳥音を発する。
「奴等は偉人の力を使って、強者が何度でも転生できる世界を作ろうとしている。だがな！　理想だけを追い求めて現実を捻じ曲げる……その行為はまさに『否定の行軍（リセットマラソン）』。暁の未来に幸運などありはしない！」
　騎士団総帥・桜庭照男は、滾る怒りにリーゼントを燃やす。
「その通りです。我思う故に我ら在り（コギト・エルゴ・スム）。人生は一度きりのものだからこそ、涙が溢れ、友が側にいて、思いのままにあることができるのです。永遠の命を得たものは最早人とは言えません。イグニスを止めましょう！」
　聖杯とその身を融合した聖少女・天野川カノンの号令により、聖杯騎士団のカード使い達も行動を開始。こうして、『偉人戦争』は戦いの火蓋を切って落としたのである……。

　さあ、詫び石でカードを揃え、8人の「偉人カード」を召喚して共に戦え！
　カード使いたる君の決断が、この戦いの趨勢を握る！
　君は、「暁の魔術教団（悪）」と「聖杯騎士団（善）」の、好きな方に味方できるぞ！

■参加勢力を選択してください

(1)偉人カードを集める

「暁の魔術教団」に味方し、陰陽師・白の王セイメイと共に、「光り輝く死の草原」で偉人集めに精を出します。東京中心部での激しい戦いとなりますが、逆に、聖杯騎士団が使う強力な偉人カードを手に入れるチャンスでもあります。

(2)偉人カードを私利私欲に使う奴絶対許さない

「聖杯騎士団」に味方し、偉人の魂弄ぶ奴絶対許さない明王と共に、カードを弄ぶむかつくゲス男（注：セイメイ）の軍をとっちめに行きます。まあ、こっちも偉人カードは使うんですけどね。遮蔽物の無い平原での大規模戦となります。

(3)聖杯を破壊する

「暁の魔術教団」に味方し、大天使ユリア・フランチェスカと共に聖杯騎士団の本拠地ジュネーブ（スイス）に乗り込み、聖杯を破壊します。大天使はまだひとつ願いを残しており、詫び石流星群レベルの大規模な天変地異を起こせます。

(4)聖杯を防衛する

「聖杯騎士団」に味方し、聖少女・天野川カノンと共に、カノンに接続された騎士団の中枢「聖杯（別名：サイキックアブソーバー）」を防衛します。聖杯を破壊されると、偉人達を封印する方法は失われ、聖杯騎士団の敗北となります。

(5)世界の理を変え、死を超越する

「暁の魔術教団」に味方し、盟主・『暁』のイグニスと共に、東京中心の機動要塞ガイセリウムにて、死を超越する儀式魔術を行います。儀式はまだ完成していませんが、この戦場にいる者は皆徐々に「何度でも蘇る身体」へと近づいていきます。

(6)イグニスの儀式を阻止する

「聖杯騎士団」に味方し、騎士団総帥・桜庭照男と共にガイセリウムに乗り込み、イグニスの儀式をぶち壊します。しかし、あなた達もまた、儀式の影響により「何度でも蘇る身体」へと近づき、徐々に戦う意欲も失っていきます。

■リプレイ

●偉人達の夜
　詫び石流星群による大破壊は、東京二十三区を「光り輝く死の草原」に変えた。
　草原を満たす白光は、時空の歪みが垣間見せる今ではない時代の詫び石の輝きだ。
　その草原を無事に往くことができる者は、時空の歪みから現代に姿を現した偉人達。
　そして、偉人をカードに封じ、共に戦う偉人カード使い達だけだ。
　暁の魔術教団と聖杯騎士団、二つのカード使い組織は、この草原で激突する。
　光り輝く死の草原は、偉人達の血に染まろうとしていた。

「カードを弄ぶむかつくゲス男絶対に許さない！！」
　戦力比は、ほぼ互角。ならば、最後に勝つのは正義である自分達である。
　偉人の魂弄ぶ奴絶対許さない明王を中心とした聖杯騎士団の精鋭達は、白の王セイメイの軍勢に対して、偉人カードを三連斉射すると、我先へと敵軍に向かって突入していった。
　その乱戦の中、聖杯騎士団の識守・理央（魔導勇者マジリオン・d04029）も、白の王セイメイを討つ為に戦場を駆け続ける。
　その姿は、７人の英霊達と共に戦場を切り裂く疾風のようであった。

「自分達も偉人カードを使っている身で、よくも言うものです」
　聖杯騎士団の攻撃が始まって数刻。白の王セイメイは、本陣で優雅に玉露を嗜んでいた。
　その横で茶菓子をつついていた佐久間・凪（小悪魔・e05817）も、そのセイメイの言葉にニコリと笑みを浮かべた。
「既に偉人カードの展開は終了しています。あのような攻撃、そう続くものではありません。たぶん！」
　凪の答えに満足したセイメイは、防衛戦の指揮を凪に任せると、自らは偉人カードの収集に向かうと告げた。
　既に敵味方に多くの死者がでている。ならば、その戦死者から、偉人カードを奪い取る仕事が必要となるのだ。
「聖杯騎士団の偉人カード、どのような偉人に出会えるか、私はワクワクしていますよ」
　そう言うと、セイメイは軽やかな足取りで、本陣を後にしたのだった。
　残された凪は、配下の軍勢を指揮して、聖杯騎士団の攻撃に対応する。
　敵は強いが、決して強すぎはしない。
　互角と思われていた戦力であるが、今では、僅かながら自軍の方が上である事が見えてきていた。
「敵を包囲して、徐々に外側から内側に行くように攻めなさい」
　凪の指揮に従い、暁の魔術教団の団員達は聖杯騎士団の騎士を追い詰めていく。
　一方、追い詰められた聖杯騎士団は、決死隊でもって暁の魔術教団の中枢へと切り込む事を選択する。
　勿論、簡単に突破などできるものではなく、凪の元へたどり着く頃には、多くの仲間を失い、偉人の魂弄ぶ奴絶対許さない明王と後数人の精鋭騎士を残すのみとなっていた。

「ご苦労様です。ですが、ここまでです」
　凪が偉人カードを構える。
　詫び石をジャブジャブさせてそろえた自慢の偉人デッキだ。
　対して、偉人の魂弄ぶ奴絶対許さない明王も偉人デッキを展開する。
「最後に勝つのは正義である！」
　そう吼える偉人の魂弄ぶ奴絶対許さない明王に、凪は余裕の笑みで同意する。
「最後に正義が勝つですか。それは当たり前ですね。だって、勝った側がおおむね正義なのですから」
　その凪の返答に、偉人の魂弄ぶ奴絶対許さない明王が鶏冠を立てて怒りを露にした。
「正義を馬鹿にする奴絶対許さない！」
　怒りのままに偉人カードを展開する偉人の魂弄ぶ奴絶対許さない明王。
　だが、その怒りをコントロールするように、軽快に偉人カードを展開していく凪の前に、その実力を出すまでも無く敗北したのだった。
「はい、チェックメイト。あなたの偉人カードは、私がもらっておきますね。さーて、セイメイ様が戻ってきたら褒めてもらわなくっちゃ」
　凪はウキウキした口調で、そう言うと、聖杯騎士団の残敵掃討の指揮を執り始めるのだった。

　一方その頃。
「これは、良い偉人カードです。やはり、聖杯騎士団の精鋭、良いカードを持っています」
　戦場では、白の王セイメイが、残留カードの収集に勤しんでいた。
　彼の軍団の目的は偉人カードの収集であるのだから、戦闘指揮よりもカード収集を優先するのは当然の事。
　偉人カードの収集が遅れれば、敵に回収されてしまう危険もあるので、戦闘中だろうとカード収集を怠るわけにはいかないのだ。
「凪がうまくやってくれたようで、戦いも勝利したようですし、最高の結果ですね」
　いざとなれば、収集したカードと共に自分だけ離脱するつもりだったセイメイは、予想外の勝利に浮かれて周囲の注意が疎かになっていた。
　だが、それを責めるのは少し酷かもしれない。
　本来であれば、そのくらいの余裕は許されて叱るべきであったのだから。
　そう、セイメイを狙って戦場を駆ける理央という存在が無ければ……。
「戦い散った死者のカードまで収集し、果てない戦いをまだ続けようというのか！」
　戦場でセイメイを発見した理央は、戦死者のカードを漁っているセイメイの姿に激昂して声をあげた。
　その行為は、偉人の魂を汚すだけでは無く、戦死者の魂をも汚す行為なのだ。

「何を言うのです。偉人だろうと戦死者であろうと、ただの死者。ならば、生きている者の為に利用される義務があるのです」
　最初は驚いたセイメイも、やってきたのが、たった一人の騎士であったので、余裕を取り戻して相対する。
「折角です。死者から回収した強力偉人カードを組み入れた、私の新十二神将デッキで相手をしてあげましょう」
　その申し出に、理央も自慢のデッキを展開する。
「その余裕後悔させて見せる」
　戦いの初めは、新十二神将デッキのカードパワーにより押し込まれた理央であったが、セイメイのデッキの調整不足の隙をついて逆転すると、フィニッシャーである『シル』の偉人カードの２連撃を決め、セイメイの偉人デッキに打ち勝った。
「強いカードを集めるだけで最強になれると思うなよ」
　セイメイはその理央の言葉を聞きながら、永劫の死の暗闇に囚われたのだった。

●聖杯戦争
　東京を遠く離れたスイス首都ジュネーブは、かつての国際連盟の本部が置かれた都市であり、現代においても、各種の国際機関が置かれている。
　この都市を一望するサン＝ピエール大聖堂の地下に、聖杯騎士団の本部はあった。
　だが今、千年以上の昔から密かに人類を守って来た聖杯騎士団の本部は、今、戦火に晒されようとしていたのだ。

「ヨハンよ……どこにいる……さぁ……私を止めて見せろ……！」
　エフイー・ゼノ（闇と光を両断せし機人・e08092）が放った荒ぶる火は、歴史ある街並みを灰塵に帰していく。
　その業火の前に、聖杯騎士団本部に施された魔術的隠蔽は焼き払われた。
　発見されたい入口へと教団員が我先にと攻め入っていく。
「石……！　石を降らせねばなりません……！！　詫び石を！　詫び石をもっと降らせるのです……！　そのためなら、僕は……僕はああああっっ！！！　きょうしごとやすみました！！　仕事を休ませた詫び石ください！　そうです、あなたが詫び石になるんですよ！」
　現実（リアル）すら侵食する強烈な呪詛。
　守篠・紺（女生徒ちゃん大好き養護教諭・e05463）の妄想具現化の前に、騎士達がひるむ。だが、
　だが、教団の進撃は一人の偉人カード使いの出現によって阻まれた。
　聖杯騎士団を守るべく、魔術師たちの前に敢然と立ちはだかった少女の名は、ウォーグ・レイヘリオス（山吹の竜騎を継ぐもの・e01045）！
　あたかもジャンヌ・ダルク（１％）の如く聖なる槍を振り上げ、ウォーグは叫ぶ。
「これより『聖杯守護戦(サイキック・オーダー)』を開始する！　皆、偉人の魂を繋ぎ、己の命を燃やせ！　その身に『聖雄魂衣(ゴースト・コート)』を纏え！　そして、グレイトフルな闘魂をブーストさせ聖少女を護るのだ！」
「お、おおおお！！」

「さぁ、ショータイムだ！　ここからは我々のステージだと敵に思い知らせろ！　スタート、ユア、エンジン！」
「１年早いんだよォ！！　そんなことより詫び石下さい！！」
　ウォーグに襲い掛からんとした深月・雨音（夜行性小熊猫・e00887）は、召喚されたなんかエロい女性によって吹き飛ばされた！
　魔術と科学の両面によって強化された聖杯騎士団の本部もまた、その機能を十全に発揮して、教団員達を押し戻す。
「否定の行軍…略してリセマラ……！運命を歪め、多大な時間を奪うそれを、決して許すわけにはいかない……！」
　三和・悠仁（憎悪の種・e00349）の決意が伝播し、騎士団は見る間に勢いを盛り返していく！！
「そうです、偉人の方たちの魂を利用されるわけにはいきません！　お願いします……力を貸してください…」
『偉人カード』に敬意を払って話しかけるトルテ・プフィルズィッヒ（シェーネフラウ・e04289）。その敬意の差こそが、騎士団と教団の差であったのかもしれない。
　召喚された美しき女性達は、トルテの意によく応え、教団勢を退けていく。

「展開速すぎじゃ～！！追いつけんのじゃい！！」
　浅川・恭介（ジザニオン・e01367）は戦況のあまりにも早すぎる変化に悲鳴をあげた。
「こうなったら……フランチェスカ様、さっさと聖杯を踏み潰しましょう！」
「それが、私への願いなのですね」
　大天使フランチェスカは頷く。
　そして、みるみるうちに巨大化し始めた！
　聖杯を踏み潰せるだけの大きさへと変化した大天使ユリア・フランチェスカの前に、聖杯騎士団の者達も思わず茫然とする。
「は、はははは！！！　ほら～、天使ちゃんに踏みつぶされて喜べよ」
　恭介の哄笑と共に、ユリアの足がサン＝ピエール大聖堂を粉砕した！！
　繰り返される踏みつけによって、次第に地下に隠された騎士団本部が露出していく。

　だが、ユメ・リントヴルム（竜胆の夢・d23700）はひるまなかった。
「★3バストアップに、★1アイコンと★4スレイヤーカードをチューニング！！　数多の願いが、思いを貫く星となる！　飛翔せよ！！　★8 スターライト3点セット！！」
　ユメの放った三点セットコンボが、大天使ユリアの巨体を激しく揺らす！　それを皮切りに、大天使ユリアの全身に攻撃が突き刺さっていく。
「願いなんて、そんな邪悪なものであってはならないんだよ」
　朝比奈・夏蓮（アサヒニャーレ・d02410）は、戦いを見つめ、そっと呟く。
「カノン、わたしはね。正義の味方になりたかったんだ。リセマラとかリクマラとかそんなチャチなもんじゃぁない全ての人に3000円で好きなSSR1キャラ買える権利を、願ったんだよ」
　ＤＬＣで三千円払わされたら怒るのにね。

　聖杯騎士団本部は激しい戦いの末に崩壊した。
　だが、暁の魔術教団は退けられていく。
「皆さんの勝利ですね」
　聖少女カノンはほっと息をつく。だが、瓦礫の下に潜んでいた睦沢・文音（インターネットノドジマン・d30348）は、その隙を見逃さなかった！！
「後の事は頼みましたよッ！　未来の私ッ！　これがッ！　限界を超える力ッ！」
　文音が詠唱するそれは、己の未来を詫び石に変換する禁断の呪法。
「『リボ払い課金』ですッ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」
　瞬間、文音の全身とデッキが、眩い光と共に詫び石と化す！
　詫び石の塊となった文音は、一直線にカノンの命を奪うべく飛翔した。だが、カノンの前に、キサナ・ドゥ（一日限定オズデーモン・e01283）が立ちはだかる。
「カノンちゃんのためなら……この命あんまし惜しくはないよ！」
　微笑を残し、キサナ・ドゥ（一日限定オズデーモン・e01283）の姿は文音詫び石と共に消滅した。
「キサナさん──！！」
　悲しみの慟哭と共に、聖杯騎士団本部を巡る戦いは終わりを迎えたのである。

●鋼の荒野
　かつて国会議事堂が存在した荒野に、忽然と巨大な歩行要塞が出現していた。
　現代科学では実現不可能な異形の移動要塞は、名を『ガイセリウム』という。
　この要塞こそが、『暁』のイグニスが操る、「暁の魔術教団」の移動本部であった。

「詫び石流星群によって滅び、多くの『死』を受け入れた東京……その中心部こそ、世界の理を変え、死を超越するための儀式場として相応しい」

　魔術教団の長、『暁』のイグニスは、ガイセリウムに構築された儀式場を眺める。
　既に、ガイセリウムそのものを魔術装置として、儀式は発動した。
　間もなく、世界の理は書き換わるのだ。

「人類はついに、永遠の命を得る……諸君の活躍によって、人類は『死』を超越した存在へと変わるのだ！」

　人類が夢見た『死』の超越まで、間近に迫らんとしている。
　だが、その時ガイセリウムが大きく揺れた！！
　聖杯騎士団の騎士達が、ガイセリウムの脚部を破壊し次々に乗り込んで来る。
「黄昏は宵闇に。そして暁へと至る。空の色が移ろうように、命有る者もまた変化していく。それは、命に始まりと終わりがあるからこその奇跡だ」
　御影・有理（どら焼き・e14635）が嘯く。
　不死――終わりなき永遠の命など、停滞も同然。
　そう捉える騎士達も、少なからずいた。
　しかし、有理達の進軍はすぐにストップさせられることになった。
「な……なんだ、これは！？」
　騎士達の眼前に広がるのは、池。そして和風の城であった。
「ようこそ、風雲緋頼城へ」
　色射・緋頼（生者を護る者・d01617）は、偉人カード達の魔力によって構築した結界で侵入者を出迎えた。90年代バラエティー色に満ちた懐かしの難関による妨害が、次々に騎士達をノスタルジーに捉えていく。

　さらに、他の足でも激しい戦いが繰り広げられていた。
「『何度でも蘇る身体』……だとぅ！！　闘技場でフィニッシュ効かないなんて最高じゃないか！！　ひゃっはー！　すばらしい！　ひゃっはー！」
『死』のなくなった未来を想い、サラフディーン・リリエンタール（蒼き大鷲・e04202）は歓声を上げる。

「何度も生き返れるなんて素敵じゃないですか！　つまり、永遠に愛しいひととの甘いひとときを過ごせるということ……なんて、パラダイス！」
　無人の野を往くが如く突き進む教団員アレクセイ・ディルクルム（狂愛月下香・e01772）。
　彼を打倒せんと立ち向かうのは、彼と恋仲であったロゼ・アウランジェ（時空詩う黎明の薔薇姫・e00275）だ。
「命は一度限りであってからこそのもの……確かに何度も生き返れたら便利だけど、何度も痛い思いして死ぬのも嫌だもの。とにかく、こんな儀式は壊させてもらうわ！」
「ロゼ……僕の戦いの全ては、君のためのものだというのに」
　アレクセイは悲しみの籠った目でロゼを見ると、懐から何かを取り出した。
「だが、どうしてもというのなら……このお守りへの誓いを守るため、僕は！！」
「私のショーツをお守りにするなぁぁぁぁぁぁぁぁ！！」
　怒りゲージが頂点を振り切り、アレクセイは星になった。
　だが、ロゼの勇戦も虚しく、騎士団は次第に劣勢に追い込まれていったのだ。

「儀式さえ妨げれられれば……」
　斎藤・斎（修羅・e04127）が悔しそうにガイセリウムを見上げる。
　教団員達は、『死』の克服のために限界を超えた力を発揮していた。
　儀式が成功すれば、彼らは蘇ることができる。
　文字通りに命を賭して戦おうと、何ら問題が無いのだ。

「ここは一度、態勢を立て直して総攻撃を……」
「あはは！！　そんな貧弱な力で不死を拒もうだなんて、笑っちゃうわね」
　騎士団総帥・桜庭照男がそう言いかけた時、上空から笑い声が響く！！
　見上げる先にいるのは、イグニスの腹心、ランジ・シャト（舞い爆ぜる瞬炎・e15793）！！
「教団の……上級幹部！！」
「イグニス様の前にひれ伏すがいいわ……！！」
　ランジの放った偉人達が、照男のリーゼントを焼き尽くす。デッキを展開する暇もない早業であった。
「総帥──！！」
　総帥を失った騎士団が、ガイセリウムからの撤退に追い込まれるのは時間の問題だった。

「死ぬのは怖いもの。でも、その恐怖を私達は超越する──行きましょう盟主様、誰も死なない世界のために」
「ああ……今こそ、人類は『死』を超越する！！」
　八上・咲耶（光陰・d35562）の声を受け、イグニスは儀式をついに完成させた。

　東京全域の光り輝く荒野がじゃぶじゃぶと詫び石光を溢れさせ、時空は歪む。
　そして──。

→(1)偉人カードを集める
　（参加人数：308名　合計戦闘力：36552629　/勝利！）

→(2)偉人カードを私利私欲に使う奴絶対許さない
　（参加人数：272名　合計戦闘力：32339463　/敗北……）

→(3)聖杯を破壊する
　（参加人数：248名　合計戦闘力：29352748　/敗北……）

→(4)聖杯を防衛する
　（参加人数：330名　合計戦闘力：38459574　/勝利！）

→(5)世界の理を変え、死を超越する
　（参加人数：165名　合計戦闘力：19703608　/勝利！）

→(6)イグニスの儀式を阻止する
　（参加人数：161名　合計戦闘力：19201403　/敗北……）