PSYCHIC HEARTS
鍵島・洸一郎
~東京丸の内・鍵島コーポレーション最上階 22:30~
「来たか」
「……鍵島さん、仕事の依頼か?」
「そうだ。栃木のご当地怪人共が、何かを企んでいるらしい。急で悪いが、向かってくれ」
「ああ、任せておけ。ただし……」
「分かっている。灼滅を実行するかどうかは、お前自身が判断すればいい」
「すまないな」
「気にすることは無い。お前は灼滅者なのだから、お前の考える悪を断罪せよ。
お前の殲術道具『ウロボロスブレイド』を向ける相手は、お前が決めるのだ。
お前が悪と断じたならば、俺やコルベイン様にさえ、牙を剥いて構わないのだからな」
「あんた達を悪と断ずる証拠は、まだ見つかっていない。
俺にとってのあんた達は、まだ……ただの恩人で、育ての親に過ぎない」
「殊勝な事だ。だが、純粋さと誠実さは、時に真実を歪めることもある。
いつか、目的の為に手段を選ばぬ汚さも、お前に教えてやるとしよう。
その時まで、俺がお前に殺されていなければ、の話だがな」