PSYCHIC HEARTS

    ソロモンの悪魔『アムドシアス』達
    ~愛知県・宇連集落跡~

     奥深い山中の廃村には、異様な光景が広がっていた。
    『繭』の如き巨塊が所狭しと立ち並び、その全てが不気味な脈動を繰り返しているのだ。
     繭の周囲には、馬のような下半身を持つ、同じ姿をした悪魔の集団。
     彼らは一斉に、同じ声色で歌い出す。
    「「♪さぁ育ちなさい育ちなさい! アモンの造りしデモノイド!」」
    「「♪魂にどの種族が眠ってるかなんて関係なし! 改造改竄デモノイド!」」
    「「♪力は強いが脳は無い。理想の手駒デモノイド!」」
    「「♪しかし御同輩。このアムドシアスがアモンの手下とは、少し不愉快では?」」
    「「♪しかたないでしょ御同輩。ブレイズゲートに飲まれたせいで、我ら分裂弱体化!」」
    「「♪なるほどそれは一理ある。さぁデモノイド育ちなさい!」」

     しかし次の瞬間、どこからか激しい爆発音が聞こえる!
     慌てて調査に向かったアムドシアスの1人が、数分後に満身創痍で戻ってきた。
    「♪気をつけなされ御同輩。謎の軍勢崩れ込み、次々繭を破壊して…………!」
     語り終わるのを待たず、背後から放たれた黒き奔流が、アムドシアスを蒸発させる!
     黒き奔流を放ち現れたのは、制服を纏った1人の少女。
     少女は、アムドシアスの群れと、その背後にある『繭』の集積地へと、ゆっくりと歩みを進めてゆく……。