PSYCHIC HEARTS

    浅凪・菜月
    ~群馬県・赤城山麓~

    「赤城の山を封鎖します。お行きなさい」
     菜月の号令と共に、背後に控えていた数百体の「鬼」達が、麓の村に向けて行軍する。
     まさしく、地獄絵図からそのまま抜け出たかのような鬼達は、意気揚々と民家に向けて進軍し、次々と家屋を破壊し、走行する自動車を止め、中の人々を引きずり出してゆく。
    「人々は後々の糧となります。殺さず捕らえ、連れてゆきなさい」
     穏やかながらも厳かな口調で、淡々と鬼達に命令を告げる菜月。

     ふと顔を見上げ、菜月は呟く。
    「これで、残る懸念は『殲術再生弾(キリングリヴァイヴァー)』だけ。武蔵坂学園の初撃さえ食い止めれば、御子の『羅刹佰鬼陣(らせつひゃっきじん)』は無敵……!
     他のダークネス種族に対し、私達は確固たる地位を築く事ができるでしょう」