PSYCHIC HEARTS
アンブレイカブル「業大老」
~オホーツク海・巨大氷塊~
巨大氷塊を素手で両断した襲撃者は、磨きぬかれた鋼の如き肉体を持つ、老爺であった。
ロシアンタイガーが静かに問う。
「業大老よ、やはり汝の目的は、我が体内にある『弱体化装置』か」
「無論」
「これは、数百年前にグローバルジャスティス様より賜った、世界にただひとつの貴重な装置だ。たとえ命を失おうとも、渡すわけにはいかぬ」
「汝の覚悟は賞賛に値する。限られた時間、全力を持って死合う事を誓おう。」
そして、両雄は遂に激突した。
膨大なサイキックエナジーを消費しながら、両雄は激しく撃ちあう。
力の余波を受け、巨大氷塊はおろか、天や海も裂け砕かれ、激しく荒れ狂う!
両者の実力は互角であるように見えた。しかし……。
ロシアンタイガーは心の中で呟く。
「(蓄積したサイキックエナジーに差がありすぎる。確実な勝機に全力を注ぐ容赦の無さ、流石はアンブレイカブルの古豪、業大老。だが……)」
「我を好敵手と認めてくれた、その気高き武人の精神を利用させていただく」
ロシアンタイガーは、体内に蓄積されたサイキックエナジーを解き放つ。そして解き放たれたエナジーは、氷塊の各所に眠る、ご当地怪人達に吸収されていく……!
エナジーを得て動き出した怪人達は、次々と業大老に立ち向かい、殺されてゆく。
「配下を捨て駒としての、時間稼ぎか!」
「如何にも。我はグローバルジャスティス様の為、日本へと辿り着かなければならんのだ」
「義に篤く誇り高き貴様が、忠の為に全てを捨てるのか!
恐るべしグローバルジャスティス、これほどの漢を、忠誠心で縛るとは……」
尚も業大老は戦いを続け、ロシアのご当地怪人達を次々と虐殺してゆく。
しかし一手番の遅れが致命的となり、大老のサイキックエナジーは枯渇。
ロシアンタイガーと生き残りの怪人達は、日本へと流れてゆくのだった……。