PSYCHIC HEARTS

    ヴァンパイア「侍従長デボネア」
    ~朱雀門家・私邸~

    「デボネア!」
    「はい、お嬢様」
     壮年のメイドは颯爽とスカートを翻し、両手に構えたガンナイフで、次々と六六六人衆の男に弾丸の雨を浴びせ続ける。
     男はナイフで弾こうと試みるが、僅かしか弾くことができず、次々と被弾した。
    「シャシャ、これは一体どうした事……あの女の力、まるで準男爵級!」
    「愛しいお嬢様を傷付けた罪、己が死で贖え……!」
    「それはご勘弁を。ワタシは別の手を考えることにします。さらばです……」
     あっという間に逃げ出した男を無視し、デボネアと呼ばれた女性は、傷だらけの瑠架へと駆け寄る。
    「どうやら、ご無事でございますね……お久しゅうございます、お嬢様」
    「デボネア、動けるようになったの? 神津・零梨の獲得には失敗したのに……」
    「はい、旦那様や爵位級の皆様までは叶いませんでしたが、私ほか数名だけは。
     もちろん、すぐにこうしてお嬢様の元に駆け付けました。それも私の愛情のなせる……」
    「神津・零梨が闇堕ちしていないのに、お前が蘇る程にまでサイキックアブソーバーが弱体化している。それができる術が、日本にはただひとつだけ存在する」
    「白炎換界陣……でございますね。先程の六六六人衆も、無関係では無いかも知れませぬ。
    お嬢様、このデボネアを配下にお加えください。お嬢様への溢れる愛にかけて……」
    「ありがとうデボネア。助かるわ」
    「あっ……はい……(まだ言い終わっていないのですが……)」