PSYCHIC HEARTS
カットスローター
「どうして、どうしてこんな事に……!!」
少女は嗚咽と慟哭を挙げながら、男性の頭部に突き刺さった包丁を引き抜いた。
たちまち鮮血が噴き出し、少女を朱に染める。
目の前の男性が絶命すると同時に、バトルフィールドに例のアナウンスが流れる。
「三郎、死亡。小鳩、プラス6ポイント。現在の生き残り、14名」
少女達がこの閉鎖空間に集められてから、既に8時間が経過していた。
この短い時間で、少女……小鳩は全てを失った。親友に裏切られ、薄汚れた大人たちの罠にはめられながらも、小鳩は生き延び、その度に何かを失い続けた。
「今回の勝利者は、あの子かな……?」
参加者達が順調に殺しあいを始めた事を確認し、カットスローターは帰り支度を始めた。
「それにしても、縫村はマジメだなぁ。そりゃ、暗殺ゲームがあんなに大失敗するなんて、思いもしなかったけど」
カットスローターは、誰も通れないように『縫い付けられた』空間をこじ開けて、バトルフィールドの外に出た。
「それにしても、『縫村委員会』を見るのは久々だね。この前はダークネス相手に使ってみたら、みんなが強すぎたせいで、戦場がブレイズゲートになっちゃったんだよね。
僕も縫村も、巻き添えでブレイズゲートに飲み込まれちゃった訳なんだけど……。
まあいいや、暗殺ゲームで出た欠員を埋められる、立派な六六六人衆になってくれよ。
さて、次はどこに行くんだったかな……?」