PSYCHIC HEARTS

    アフリカンパンサーVSクロキバ
    ~大分県・鶴見岳~

     噴煙を上げる鶴見岳の火口に、異様な集団の姿があった。
     その数およそ40体。シマウマ、キリン、ゾウなど、動物の姿を模した怪人達だ。
     集団の中心に位置しているのは、黒い肌と栗色の髪を持つ、一人の少女。
     少女は、長い植物の茎を火口に突き刺し、まるでストローのように何かを吸っていた。
     少女に促され、40体の怪人達も、おもむろに大地を喰らい始める。

    「おいしいね、おいしいね! カカオ豆に紛れて日本に来て良かったね、みんな!」
    「「「ウッホッホー!!!」」」

     そこに、ガイオウガの異変に気付いたイフリート「クロキバ」が、2体の配下イフリートを伴い現れた。クロキバは怒りも顕に、怪人を統率する少女に吼えかかる。
    「キサマ、其処デ何ヲシテイル!」
    「ガイオウガのガイアパワーを吸ってるんだよ! おいしいよ、おいしいよ?」

    「……許サンッ!」
     今にも飛びかからんとするクロキバの体を、配下のイフリートが抑える。
    「待テ、クロキバ! 敵ノ数ガ多スギル!」
    「シカモアノ女、尋常ナラザル強サダ!」
    「ダカラドウシタ! 俺達ハガイオウガノ血肉ナリ!
     奴等ニ牙ヲ突キ立テズシテ、幻獣種ノ誇リヲ護レルモノカ!」
     クロキバの決意に、二人の配下も覚悟を決めた。元々、衝動のままに振る舞うのがイフリートの本質である。
    「ワカッタ、俺達モ行クゾ!」
    「オォッ!」

    「おおっ、戦いかな、戦いかな!? そういうの、ボクいちばん得意!」
     少女はそう言うなり、右腕に力を集中し始める。
     みるみるうちに力は実体化し、やがて燃え盛る骨の如き武器に変化を遂げた!
    「ガイオウガボーンロッド! 今作った武器だけど、たぶん滅茶苦茶強いよー!?」
    「キサマ、ガイオウガ様ノチカラヲ奪ッタノカ!」
    「あれあれ、ボクのこと知らない? じゃあ最初に名乗っておくね!
     ボクは骸の簒奪者にして力の蒐集者、アフリカンパンサー!
     その背後に居並ぶは、ボクのアフリカンご当地怪人達だよ!
     ご当地幹部に喧嘩を売った無謀無策、あの世で泣いて悔やむといいよ!」