■第2ターン結果
(3) 杉並区荻窪体育館 Battle:3
「L☆O☆V☆E☆L☆I☆N P☆O☆R☆O☆R☆I☆N!!」
「またいる……!?」
白麗・久音(解体少女・d04360)達は、絶句と共にその光景を見つめた。
跳ねる。飛ぶ。光る(ペンライトが)。
見事なまでに統率の取れた動きでアイドル淫魔達の歌に合わせて踊り狂うアンデッド達は、醜悪な絵画を思わせた。この世の中にそんな絵画があるのか灼滅者は知らなかったが。
「デュフフwwwまた来たでござるな灼滅者wwwぽろりんバニーたんがいる限り、我ら親衛隊は不死身なりwww」
腕を身体に絡めるような、奇妙な立ちポーズを取ったハプニンガー原田は虚ろな眼窩で久音を見下ろす。
「ぽろりんバニーたん達に嫉妬するのは分かるでござるがwwwその貧相な体でもwwwきっと需要はあるでござるwww諦めてはいけないでござるwww」
「……解体(バラ)す」
久音の体から、怒りと共に真っ黒いオーラが噴き上がったかのように見えた。
黒いパーカーを羽織った体が一陣の風となり、手にした解体ナイフが幾重もの輝線を空中に描いた。
銀光が収まった時、ハプニンガー原田の体は、久音が宣言していた通りに幾つもの塊に分割されていた。空中に浮いた髑髏の顔に、焦るような色が浮かぶ。
「あれ?www小生がこんなところで終わるとはwwwこれぞまさしくハプニン」
「もう黙れ」
最後にもう一つナイフを閃かせると、久音は真っ二つのなった髑髏を踏みつけ、勝利を確信するのだった。
(3) 杉並区荻窪体育館 Battle:2
「も、もう勘弁してくださいよぅ」
ぽろりんバニーは、またも裸体を晒して再びステージ上に上がっていた。
あるいは再びハプニンガー達によって着衣を剥ぎ取られたのかもしれないが。
「ここでお前を倒せば俺達の勝ちだ。倒す必要もないが見逃す理由もない。覚悟してもらおうか」
萬里小路・忍(高校生殺人鬼・d03683)が宣言する。
灼滅者達の優勢は、もはや確定的だった。
灼滅者達の姿に、統制の取れなくなった親衛隊や淫魔達は次々と撃破されていく。
「えっ、ええっと……これ、ドタキャンしちゃってもいいかなぁ?」
逃走の姿勢を見せたぽろりんバニー。
だが、彼女がそれを実行に移すよりも速く、忍の手にした魔血糸がその肢体を絡め取った。
まだ灼滅されていない周囲のファン達が悲鳴とも歓声ともつかない声をあげる。
「──終わりだ」
ティアーズリッパーが淫魔の体を引き裂き、既に死の運命を与えられていたラビリンスバニーは、今度こそ灼滅される。
後には何も残らない。
杉並区荻窪体育館周辺の戦闘は、こうして幕を閉じた。
(4) 杉並区役所 Battle:10
ソロモンの悪魔達によって占領された、杉並区役所。
ブエル兵団を主力にしたソロモンの悪魔の軍勢は、中世ヨーロッパの悪魔達の姿を彷彿とさせる異形達である。
日本の街並みに中世ヨーロッパの悪魔達が彷徨く様子は、どうにも異物感がぬぐえない。そう思う灼滅者は少なく無かっただろう。
「…ここに悪魔は必要ない。ただの平穏の街であるべき、よ」
ライラ・ドットハック(サイレントロックシューター・d04068)は、決意と共に、先陣を切って敵陣に突入した。
蒼の王コルベインの居城、水晶城につながる地下鉄駅に到達するには、是が非でも、この地を制圧しなければならないのだから。
ライラの突入を引き金に、灼滅者とソロモンの悪魔の戦いが始まった。
戦力的には、武蔵坂側が有利であり、戦線は杉並区役所へと着実に進んでいく。
そして戦闘が開始されて数分が経過した頃、ソロモンの悪魔達やその配下の狂信者達を、灼滅し、区役所前まで来たライラ達の前に、一体のアムドシアスが立ち塞がった。
ブレイズゲートの影響で分裂し弱体化したアムドシアス。
分裂する前は、有力なソロモンのあくまであったかもしれないが、今のアムドシアスを怖れる必要は無い。
「そこをどきなさい、アムドシアス」
ライラは、無造作に妖しの槍、ゲイ・シャルグを振るった。
だが、それは、そのアムドシアスは余裕をもって回避すると、楽しげに歌を歌ったのだ。
「♪御同輩がお世話になって。
♪でもワタシはそうはいきませんよ。
♪何故ならワタシはブルーホーネット。
♪十把一絡げとは違うのです」
楽しげに歌うアムドシアスは、青紫のオーラをまとい、不敵に微笑んだ。
分裂して弱体化した筈のアムドシアスの中で、希に発生する変異種。
それが、ブルーホーネットであり、その力は並のダークネスを凌駕する。
勿論、弱体化前のアムドシアスの足下にも及ばないだろうが、今の武蔵坂学園にとっては、油断ならぬ大敵となるだろう。
ライラは油断無く武器をかまえ、周囲の灼滅者達もまた、ブルーホーネットへと攻撃の矛先を向けた。
「♪あらら、ワタシは孤立無援。
♪これは、大変、一大事。
♪ブルーホネットもたまらず、逃げ出します」
灼滅者達の激しい攻撃にさらされたブルーホーネットは、その予想外の強さに、逃げだそうと周囲を見渡した。
だが、その隙は既に塞がれていたようだ。
「♪これは、なんということでしょう。
♪なりそこないの強さとは思えません。
♪どんな秘密があるのだろう。
♪ブルーホネットは考えます。
♪そう、これこそはサイキック……ハ……」
逃げられないとわかった、ブルーホーネットは、楽しげにそう歌を歌いながら戦い、そして、ライラの螺穿槍の破滅的な威力によって命脈を絶たれたのだった。
「……悪魔祓い、完了よ」
ライラは、そう言い残し、戦場を後にした。
(4) 杉並区役所 Battle:1
区役所前の戦いでブルーホーネットが倒れた事で、戦場は、杉並区役所の内部へと遷っていく。
狙うは、ブエル兵を率いる、兵団長、フレイムブリンガー。
フレイムブリンガーを灼滅すれば、杉並区役所の制圧はほぼ完了する。
まさに、勝利は目前の状況であろう。
勇躍敵陣を切り開いた海野・歩(ちびっこ拳士・d00124)達は、階段を駆け上り、次のフロアへと歩を進めた。
そのフロアは、炎に満ちた灼熱の戦場と化していた。
「我はブエル兵団長、フレイムブリンガー。アモン殿との契約に従い、この地を守護するものなり」
炎のオーラを纏い、そう宣言するフレイムブリンガー。
その威圧感は、他のブエル兵を圧倒するだけでなく、この戦場のソロモンの悪魔の軍勢を指揮しうるに充分であったろう。
だが、この戦場のソロモンの悪魔を壊滅させて、この場に立っている灼滅者にとって、その程度の威圧感はどうというものでは無い。
「さ~、ぽち、頑張ろうねっ!」
灼熱の戦場に楽しそうに飛び込んだ歩は、後ろからついてくるパートナーの霊犬「ぽち」の背中をぽんと叩くと、バトルオーラを全開にして、フリエムブリンガーに向かって駆け出した。
フレイムブリンガーは、たかが、灼滅者の子供が、ブエル兵団の兵団長である自分に恐れ気もなく近づいてくる事に虚を突かれたようだが、フレイムホイールで周囲の敵をなぎ払おうと奮戦する。
が、この段階で既に、多勢に無勢の状況に陥っていた。
「それじゃ、いっくよー。わっほーい♪」
最後は、歩の閃光百裂拳により、フレイムブリンガーの姿は、ひび割れ砕け散った。
最後に、
「わ……我は、兵団長の中でも下から7番目の実力なり。我を倒したとしても、第二第三のブエル兵団がオマエタチの前に立ち塞がるだろ……」
という言葉だけを残して。
ブエル兵団、彼らとはまた、戦う事があるのかも知れない。
(8)JR阿佐ヶ谷駅
ソロモンの悪魔アモンは焦りを隠せずにいた。
「たかが、灼滅者如き劣等種、何故、私を追い詰めているのだ。灼滅者など眷属以下の存在では無かったのか? 何がどうなっている……」
JR阿佐ヶ谷駅に集結させたソロモンの悪魔達は、質的には劣るとはいえ灼滅者達に易々と負けるはずもない者達であった。
だが、事実として彼は追い詰められつつあり、灼滅者達に一方的な撃破を許している。
「ここまで一方的に敗北する……? 先程の『光』か!」
得心が行ったと、アモンは向かって来る灼滅者達を退けながら思考する。
キリングリヴァイバーの影響で、灼滅者一人一人の質は大きく向上させている。
気がつけばアモンの周囲に、彼を守る護衛達は誰一人としていなくなっていた。クラッシャーたちの打撃は重く、アモンすらも大きく揺るがす。
「ええい、小賢しい!!」
氷の嵐が吹き荒れ、灼滅者達を押しとどめようとする。
その嵐を撃ち破って殿宮・千早(陰翳礼讃・d00895)の妖冷弾が飛ぶ。
その弾丸をアモンが回避した瞬間に、オデット・ロレーヌ(スワンブレイク・d02232)が素早く接近していた。
「次はわたしよ!!」
杖の先端がアモンの体に触れ、魔力の奔流がアモンの体内を荒れ狂う。
「うぬ……!!」
がっくりと膝をついたアモンに、先程までの威厳は感じられない。
翼を一打ちし、駅のホームへと舞い上がったアモンの周囲に、
「ここは、一度退いた方が良さそうかな」
オデットは千早と視線を合わせると、速やかに後退していった。
(8)JR阿佐ヶ谷駅
「あやかしの特攻隊帳、黒夷・黒。行かせてもらうぜッ!!!」
『なんの! 我が炎の黒いうちは、アモン様には指一本触れさせはせぬぞ!!』
車輪や星を思わせる、奇妙な姿の存在達が、灼滅者達を迎え撃っていた。
槍を振り回し、その突撃をいなしながら、黒は何かの本でソロモンの悪魔として記されていた存在の姿を思い出す。
「ソロモンの悪魔ブエルか?」
『否! 我等ブエル兵、等しくブエル様より零れ落ちし影に過ぎぬ!』
轟音と共に転がって来る黒い炎を帯びたブエル兵。どうやら指揮官級らしいその個体が仲間の方へと転がって行こうとするのを、黒は愛黒斧【狂愛】で遮った。
「仲間の方へは行かせないぜ。俺とやろうじゃないか」
『良かろう!! シャドウテイカー、参る!!』
高速で回転するブエル兵、その軌跡が黒の周囲に漆黒の円を描く。
黒の繰り出した龍骨斬りとブエル兵の蹄がぶつかり合い、激音が周囲に響き渡った。
だが、黒がシャドウテイカーを引き付けている間に、他のソロモンの悪魔達を撃破した仲間達が参戦して来る。
『くっ! 無様な姿を晒しおって!!』
「仲間への信頼の差」
再び龍骨斬りを繰り出す、と見せかけて、黒は斧をそのままシャドウテイカーの方へと投じる。
シャドウテイカーはそれを見切れず、ぶち当たった斧がシャドウテイカーの回転を歪ませた。
「こっちが本命だ!!」
瞬時に叩き込まれた拳が、シャドウテイカーの顔をしたたかに撃つ。
横倒しに倒れたシャドウテイカーは、そのまま影に溶けるようにして消えていった。
「灼滅したか? いや……」
手応えが無かった、と黒は判じる。死の運命を与えられた敵は、この戦場の制圧と共に倒れることとなるだろう。
(8)JR阿佐ヶ谷駅
「我が輩は、クランプスエリートなり。我が輩がクランプスチャンプに進化する為、オマエタチの命を貰い受けよう!」
堂々と名乗りを上げ、阿佐ヶ谷駅を攻撃する灼滅者達を迎え撃とうとするソロモンの悪魔。
その言葉に、榊・蓮曄(物臭神薙使い・d11405)はふむ、と息をつく。
「進化する……ということですか? 成長するダークネスとなると、厄介そうですね」
前に出て角槍を振り回すクランプスエリートの力は、他のクランプスを大きく上回っている。
だが、そのアドバンテージも、灼滅者達が攻撃を開始するとすぐに消える。
「では、今のうちに撃破させていただきましょう」
チャンスを伺っていた蓮曄は、クランプスエリートが角槍を振り回す間に出来た、一瞬の隙を逃さない。
飛来した導眠符は、クランプスエリートの意識を奪い、灼滅せしめんとするが、撃破されたかに見えたクランプスエリートは符を引き剥がすと転がるようにして後退した。
周囲の様子を改めて見ると、
「敵は体制を整えつつありますね」
→有力敵一覧
→(3)杉並区荻窪体育館(20勝0敗/戦力475→0/制圧完了!)
→(4)杉並区役所(50勝0敗/戦力1500→0/制圧完了!)
→(8)JR阿佐ヶ谷駅(21勝0敗/戦力1500→450)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。