■第4ターン結果
ハルファス軍の移動要塞『無尽の武器庫』周辺では、灼滅者達とハルファス軍による激しい戦いが繰り広げられていた。
『無尽』の名に相応しい勢いで、ハルファス軍は要塞内から戦力を繰り出して来る。
灼滅者達は優勢だが、敵戦力は多く、その制圧には今少しの時間を必要とするだろう。
一方、『地下歩行空間』の結界の基点の一つたる南方の学園前駅では、一つの戦いの決着がつこうとしていた。
(5)学園前駅
●シャックス
「ミーは強い、ミーは最強なんザマスっ!」
灼滅者の攻撃を、3度……いや、奇襲も含めて4度受けてなお、拠点を維持していたシャックスは、肩で息をしつつも、そう言い放った。
その翼には、水晶で出来た碑が一本刺さっているが、本人は気づいてもいないらしい。
「死にたい奴からかかってくるザンス。常勝不敗のこのシャックス様が、地獄におくってやるザンマス」
そのシャックスに、灼滅者達は憐れむような目を向ける。
「貴様が強かったわけじゃないぜ。俺達が倒すべき時を待っていただけだな」
代表するように、アーサー・ブリュンヒルデ(赤き護り手ローテハンズ・d02267)が、赤き護りを誇る呪装帯に身を包み、ポーズと共に言い放った。
シャックスが生き残っていたのは、不死身の力を持つという楢山御前を灼滅する為……。楢山御前と同時にシャックスを灼滅すべく戦力を調整していたに過ぎない。
だが、その事実をシャックスは認めない。
「往生際が悪いザンスね。3度も4度も負けた理由が、手加減していたからザマスか。ちゃんちゃらおかしいザンマスねっ!」
どうやら、シャックスからは既に冷静な判断力が失われているようだった。
「なら、格の違いというのを、貴様に教えてやるぜ」
風に呪装帯をたなびかせ、アーサーはシャックスを挑発する。
すると、シャックスは真っ赤になって怒りを露わにした。
「身の程知らずはお前ザンス。灼滅者風情がぁ! ザンマス!!」
翼を広げ、突進してくるシャックス。
だが、アーサーは、その突進に恐怖は感じなかった。
「まぁここまで戦えたんだ。良い夢見れたろ? 相模原のヒーローであるこの俺が、ローテハンズの名のもとに、お前を灼滅してやるぜ」
いつのまにかクルセイドソードを構えていたアーサーが、シャックスの突進の勢いも借りて、すれ違いざまに剣を一閃させる。シャックスを両断してのけた。
それと同時に、破邪の白光が、あたりを明るく照らした。
「ハワユーっ!」
シャックスは断末魔の叫びをあげて地面に転がり生き別れになった、下半身に手を延ばそうとする。
と、そのとき、はじめて、彼は、自分の翼に何かが刺さっている事に気がついた。
「これは、なんザマスか? ミーは知らないザンスよっ!」
情けない表情でアーサーを見上げるシャックス。
「これは、楢山御前が刺したという憑竜碑だ。お前は、楢山御前に利用されていたのさ」
アーサー言葉に、これまでの勝利が自分の力で無い事を認識し、シャックスは力なく崩れ落ち、そして塵となって消えた。
偽りの勝利に酔い真実の敗北に屈したシャックス。
そのシャックスの灼滅と共に『憑竜碑』が砕け、その中にあった力が何処かへと飛んでいく……。
(8)西18丁目駅
●楢山御前
一方、西18丁目駅でも、灼滅者達は優勢な戦いを繰り広げていた。
この駅を守るダークネスは、『楢山御前』なるノーライフキングただ一人。
彼女の創り出した眷属『憑竜楢山御前』は、その強さも相まって、ここまで耐えきることを可能としていた。
「動く氷像……それとも、これもまたアンデッドなのか?」
外観は楢山御前の写し身のようだが、『憑竜楢山御前』達は霊的なエネルギーで動いているらしい。
その向こう側に、楢山御前本体の姿を認め、花檻・伊織(蒼瞑・d01455)は足を止めた。
外見上は似ているが、楢山御前と彼女の眷属の力の差は、一目瞭然だ。
「そろそろ草臥れてきたんじゃないかな? 無理はするものじゃあない」
「あらあら御親切に、ありがとうね。でも、おばちゃん、まだまだいけるわよ?」
艶やかに微笑む楢山御前。
その肩口から生えた氷の竜がするすると伸び生き物のように灼滅者達へと襲い掛かる。
氷像達の攻撃が、それに続いた。
「年を取ると、自分の疲労にも気付かないものだ。この一剣で、長く眠ってしまえばいい」
クルセイドソードを構えると、伊織は伸びて来た竜の顎を素早く断ち切った。
続けざまに薙ぎ払うようにして進路を開き、楢山御前へと距離を詰めていく。
「やるじゃないさ……!」
竜を引き戻し、己の身を守らんとかざす楢山御前。
だが、竜によって防がれる寸前、神霊剣によって非実体化した剣の切っ先は、竜を突き抜け楢山御前を深く貫いていた。
「やるわねぇ、坊や──!?」
瞬間、楢山御前ががっくりと膝をつく。
それはアーサーがシャックスを倒したのと同時であったが、それを知る由もない伊織は、警戒の表情を浮かべる。
「どうした、体調不良か?」
「や~ね~。年寄を~からかうようなことは~。言うものじゃないわよ~。誰だって~。年は取るんだからね~」
伊織はぎょっとした様に楢山御前を見る。ノーライフキングの顔は虚脱し、生気が消え失せていた。
「ちょ~っと、ここは仕切り直しね~」
弱弱しい声での指示に、氷像達が壁を作る。
灼滅者達は、寸前までよりも弱体化した氷像達を蹴散らすが、その時には楢山御前は水晶の迷宮の奥に消えていた。
その後、連絡を取った灼滅者達は、シャックスが持っていた『憑竜碑』が砕けたのと、楢山御前の異変が同時であったことが確認しあった。
「『憑竜碑』を同時に破壊するのは不可能になったか」
「だが、この戦場を陥落させるのは容易くなったようだ」
楢山御前の残していった氷像の力も、急激に弱まっている。まだ札幌市内に残る敵も多い現状、西18丁目駅の制圧は随分と容易になったようだった。
→有力敵一覧
→(2)中島公園駅(0勝2敗/戦力600→600)
→(5)学園前駅(5勝2敗/戦力100→0/制圧完了!)
→(6)豊水すすきの駅(0勝1敗/戦力1150→1150)
→(8)西18丁目駅(12勝10敗/戦力900→300)
→(13)札幌テレビ塔(10勝1敗/戦力2800→2300)
→(14)大通駅(5勝0敗/戦力1500→1250)
→(19)東区役所前駅(0勝2敗/戦力100→100)
→(20)無尽の武器庫(インバルネラブル・ウォーアームズ)(29勝4敗/戦力2250→800)
→(21)札幌駅(3勝1敗/戦力4000→3850)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。