■第5ターン結果
(8)西18丁目駅
●楢山御前
「さて、と。……敵は敗残兵、氷の人形とくりゃぁ……熱い熱い炎で全部溶かしつくしてやらぁ!!」
海保・眞白(真白色の猟犬・d03845)の宣言と共に、炎の剣が氷像を断つ。
先程までの強さを失った楢山御前の軍勢は、灼滅者達にとってはカカシ同然だった。
「おばちゃん、もうヘロヘロよ……」
迎え撃つ楢山御前にも勢いがない。
それでも、灼滅者達よりは強いとはいえ、今の灼滅者達にとって、疲弊した楢山御前を叩くなど、容易いことだった。
「こいつでおしまいっと!」
眞白の炎の剣が、楢山御前を袈裟懸けに断ち切る。
「熱ぅ……。北征入道には悪いことしたわねぇ……少し休まないと……」
楢山御前の姿が、炎の剣に融かされたように消え失せる。
「何か手ごたえが無いな……」
『予兆』で見た者がいたように、憑竜碑に何かの仕掛けがあったのかも知れない。
ただの不死身システムというわけではなさそうだが。
「まあ、考えるのは後にしよう。これで結界は消えたはずだな!」
楢山御前が消え、地下歩行空間を塞ぐ結界は消失した。
あとは、灼滅者達が隣接する戦場を制圧すれば、ラグナロクを救出に向かうことが出来るだろう。
(20)無尽の武器庫(インバルネラブル・ウォーアームズ)
●武器庫の番人サブナック
ハルファス軍の本陣たる無尽の武器庫。
周辺を守っていたソロモンの悪魔達の多くは灼滅者達によって退けられ、残る敵は『武器庫』内部へと撤退していた。
外部に残っているのは、武器庫の番人を自認するサブナックだ。
灼滅者達によって外装が破壊されたことで、サブナックはその姿を完全に見せていた。
鎧のように機械で身を包んだサブナックは、あたかも四足歩行の機械の獣のようだった。
『僕が休んでた分、皆には負担をかけたみたいだからねぇ。『武器庫』を奪われるわけにもいかないし、退けないなぁ』
「サイキックアブソーバーの影響で休眠状態に陥っていた……それだけ強いってことね」
稲垣・晴香(伝説の後継者・d00450)は、武器庫の壁面に張り付いたサブナックを見上げる。
『『軍』で一番強いのは僕だからねぇ。まあ、知り合いがほとんど残ってないのは予想外だったけどぉ』
武器庫に接続したサブナックは、灼滅者達へと何度目かの銃弾の雨を降らせた。
魔力を帯びた弾丸が、灼滅者達を傷つけるが、晴香は怯まず
「『ハルファス軍』最強ね……燃えるわ! でも、最強なら自分で軍を率いないの?」
『ボク、頭悪いからさぁ。他の人が考えた方が効率的ぃ』
なるほど、と晴香は頷いた。
強いが、力に溺れるような性質ではないらしい。強敵だ。
「でも、それを突破してこそ……『武蔵坂のプロレス第一人者』を名乗れるってものよ!」
リングシューズで地面を蹴って、晴香はサブナックへと取りついた。
サブナックの装甲表面に銃口が生じ、そこからの銃弾が晴香を貫く。
「でも、この程度なら!」
サブナックへと、強烈なキックが決まった。
脚部をへし折られながら転落したサブナックは、すぐさま態勢を立て直す。
『この程度の窮地、ハルファス君と一緒に乗り越えた黒の夜の惨劇に比べれば、まだまだなんてことないさぁ!!』
放たれるミサイルが、灼滅者達の陣に着弾。
だが爆炎を貫いて、灼滅者達のサイキックがサブナックの装甲を次々に穴を穿つ。
なおも抵抗を続けようとしたサブナックだが、それを止めたのは足元からの声だ。
「せー……の!!」
『!?』
銃弾を受け、血に染まった晴香が、何トンにも及ぼうかというサブナックの巨体を、勢いよくかちあげる。
『姿勢制御スラスター、スタビライザー……!』
「間に合いはしないわ!!」
腰を曲げると共に、サブナックの巨体が弧を描く。
地面に叩きつけられたサブナックの巨体から、火花が散った。
『うう~ん、プロレス技かぁ。それはちょっと専門外だぁ』
苦笑するような声がして、サブナックの装甲が爆散する。
それと同時に、激しく動いていた『武器庫』の外部武装が機能を停止していた。
「突入!」
ハルファス軍を滅ぼすべく、武蔵坂学園は武器庫内部へと突入してく。
●ハルファス
『侵入者あり。侵入者あり。各員は、速やかに侵入者を撃退せよ。繰り返す……』
ハルファス軍が誇る移動要塞『無尽の武器庫』。
その内部には、激しい警報が鳴り響いていた。
ソロモンの悪魔「ハルファス」率いる「ハルファス軍」は、かつて贖罪のオルフェウスと手を組み、武蔵坂学園と合流する以前の灼滅者組織『病院』に甚大な被害を与えた。
そして今、北海道の地で再び贖罪のオルフェウスと共に武蔵坂学園の前に立ちはだかったハルファス軍を、灼滅者達は確実に滅びへと追い込もうとしている。
武器庫内部は、外部の水晶迷宮とは異なる、近未来技術と魔法技術が入り混じった奇妙な空間となっていた。
ソロモンの悪魔達を退けながら、その通路を駆け抜けた灼滅者達は、『開発室』と書かれた一室でソロモンの悪魔ハルファスを追い詰めていた。
「見つけたぞ、ハルファス!」
月村・アヅマ(風刃・d13869)はバベルブレイカーで、開発室を守るソロモンの悪魔を貫きながら言う。
ハルファスは侵入して来た灼滅者達の姿に、冷静に言った。
「スキュラ結界も効かず、サブナックも破れた。彼我の戦力差は火を見るよりも明らか、か」
「理解が早いな」
「だが、諦めたわけではない。ここで武蔵坂学園を退ければ、まだ勝機はある。故に、抵抗させてもらおう。『貫け、我が矢弾』」
ハルファスの翼から、強烈な魔力が迸る。
翼から放たれた羽の一枚一枚が、強烈な魔力を帯びて灼滅者達を襲った。
ハルファスに付き従う悪魔達が、灼滅者達を退けるべく攻撃を開始する。
「ここでハルファス軍との決着をつける……行くぞ!!」
灼滅者達も果敢に応戦する。
特に、『病院』の人造灼滅者の中には、強い戦意を見せる者が少なからずいる。
だが、殲術再生弾を得た今ならば、灼滅者達の力は、ソロモンの悪魔達のそれを確実に上回る。
無数の魔法弾を放って来るハルファス。
その矢の間をかいくぐり、アヅマは破砕機構【荒御霊】を叩き付けるように繰り出す。
杭が撃ち出される音。
そして灼滅者達は、ハルファスの胸をアヅマの一撃が貫くのを目撃した。
「因縁などあるわけでもなかったが」
「個人の因縁が無ければ戦わないのでれば、『軍』などというものは必要とされまいよ。この『軍』とて、『王』達の脅威がなければ……」
何かを思い出すかのようにハルファス。
「私の軍を滅ぼすのが、『蒼の王』を滅ぼした灼滅者だというなら、それもまた運命の皮肉というものだろう」
消滅していくハルファスのくちばしが、不意に開いた。
「……そうそう、言い忘れていたが無尽の武器庫は私が死亡すると自爆するので注意したまえ。君達はおそらく死にはしないだろうが、とても痛い」
「おい……!!」
してやったり、と言わんばかりの表情で、ハルファスは完全に灼滅された。
それと同時に、警報がさらに激しさを増す。
「脱出するか……ん?」
ふと、アヅマは開発室の奥に、奇妙なものがあるのを目撃した。
「大きな十字架……じゃないな。いや、これは『発射口』……? とりあえず、持って帰るか」
『十字架』を背負い、アヅマ達は急ぎ『武器庫』を脱出する。
彼らが脱出して数分後、ハルファス軍が誇る『無尽の武器庫』は、爆発と共に地上から完全に姿を消したのである。
→有力敵一覧
→(2)中島公園駅(0勝1敗/戦力600→600)
→(6)豊水すすきの駅(1勝0敗/戦力1150→1100)
→(8)西18丁目駅(15勝1敗/戦力300→0/制圧完了!)
→(9)西11丁目駅(1勝0敗/戦力800→750)
→(13)札幌テレビ塔(21勝8敗/戦力2300→1250)
→(19)東区役所前駅(0勝3敗/戦力100→100)
→(20)無尽の武器庫(インバルネラブル・ウォーアームズ)(23勝6敗/戦力800→0/制圧完了!)
→(21)札幌駅(2勝3敗/戦力3850→3750)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。