第2次新宿防衛戦

    ■第3ターン結果

    (8)デスギガスの右腹
    ●パンタソス・カロ
    「ちょっと寒いです、手足が凍えそうです」
     行く手を遮るシャドウ達を退けながら、リーライナ・アンデルスロア(ヴィランズロア・d33284)達は、戦場を上へと進んでいた。
     手袋をつけていてよかった、と思いながら、帽子が落ちないように頭に手をやる。
    「上に登るとどんどん寒くなっていくんでしょうかねー。じゃあデスギガスを転ばせれば高くて寒いところへ行く必要がなくなる………?」

    「えいえい、くらえ脇こちょこちょ。ていていてい」
    「それで本当に転んだら、下の駅や町もただでは済まないような気もするがね」
    「あっ、そうですね。ご親切にどうもです」
     不意に声をかけられ、リーライナは上を見る。
     そこにいたのは、
    「私の真似っこさんですか?」
    「いや違う」
     冷静に返す、ダイヤのスートを持つシャドウ『パンタソス・カロ』。
    「悪いが、ここから先に行かせることはできない」
    「どうしてですか? まさか、まだタカトに籠絡されて……?」
    「確かに私はデスギガスを救うよう言われて来たが、タカトを守ることもしなければいけないのではないだろうか……? などと狂ったことを考えていた気がするが、今はそうではない」
     パンタソスは肩をすくめた。

     デスギガスの右腹に展開したシャドウの軍勢。
     その多くは、ダイヤのスートを持つシャドウだった。
     デスギガスがタカトに籠絡された際、その籠絡を逃れた者達だ。
     救いを必要とするシャドウにコルネリウスが手を差し伸べ、デスギガス救出のために戦力が派遣された、という状況である。
     元々、灼滅者達にとって敵であるとはいえ、ラブリンスターの『無差別籠絡術』が解除された今、この場で武蔵坂学園と争う理由はないはずだった。
     だが。
    「まだ、この先ではシャドウ達が混乱していてね。
     君達に灼滅されるのを、見過ごすのは忍びない」

     無差別籠絡術が解除されてなお、混乱は続いている。
     逃走する者達もいるが、なぜかベヘリタスとタカトを守ろうとする者がおり、それを止めようとする者がいたかと思えばベヘリタスが加わって、異様な状態だ。
     そこに灼滅者の攻撃までが行われれば、一たまりもあるまい。

    「とはいえ、ザ・ハートに彼らを任された以上は、見捨てるわけにもいかないだろう」
    「でも、こっちもあんまり待つわけにはいかないんです」
     殲術再生弾の時間にも制限がある。
     ここで足踏みして、無駄な時間を食われるわけにはいかなかった。
    「決裂かな」
    「戦わないと、ダメですかねー」
     パンタソスの指示を受け、正気を保っているシャドウ達も灼滅者達を迎撃にかかるが、その戦力は灼滅者達を相手にするには、あまりにも貧弱だった。
    「そーれっ!!」
     『畏れ』を纏ったチェーンソー剣が、パンタソスのかざしたアンティーク調のロッドと交錯する。シャドウの纏った白い衣装が、深々と斬り裂かれた。
    「私もヤキが回ったな……。では、これにてお別れだ」
     パンタソス・カロは灼滅者達に深々と一礼すると、消え去っていった。

    ●ベヘリタス人間「澤田・亮司」
     パンタソスの向こう、混乱するシャドウ達の間を走り抜ける、異様な影があった。
    『卵を撒こう、卵を撒こう。僕らの僕らの卵を撒こう。絆を奪って育てよ卵♪』
     頭からベヘリタスを生やした人間。
     ベヘリタスの新たな形態『ベヘリタスマン』が、歌いながらシャドウ達へと新たな『ベヘリタスの卵』を植え付けていく。

    「混乱の原因は、あいつらね……!」
     ラブリンスターが救出され、彼女からの無差別籠絡術が解除されたにも関わらず、いまだタカトに従う者達がいるのは、ああいったベヘリタスマンが他でもせっせと洗脳を行っているのだろうと、水心子・真夜(剣の舞姫・d03711)は推察した。
     混乱する戦場。
     進軍する灼滅者達と、それを遮ろうとするシャドウ達。

    「でも、あいつは放っておけないわね」
     真夜と同様、ベヘリタスマン達の存在に気付いた灼滅者達が、元人間の影を追う。
    『怖いよ怖いよ、灼滅者が来るよ!! 絆を手繰って、灼滅者が来るよ』
    「そうよ、私達は怖いんだから……いきなさい、無銘!」
     真夜の言葉に、彼女霊犬「無銘」は元気よく吠えた。
     戦場を突っ走った無銘が、上へと逃げようとするベヘリタスマンの前方へと回り込む。
     後を追った真夜がすれ違いざまに振った刀が、ベヘリタスマンのスーツを深々と斬り裂いた。
     ポケットに入っていたらしき名刺が風に乗って、真夜の元へと落ちてくる。
    「澤田・亮司……やっぱり、普通の人間だったようね」
     だが、今、この名刺に書かれた名を持つ人物はもうこの世にいない。
     彼は絆を奪われ尽くし、その肉体はベヘリタスと化している。
    「無銘、お願い」
     振るわれた無銘の斬魔刀が、ベヘリタスマンにとどめをさした。

    (9)デスギガスの左腹
    ●タロットホルダー
     順調にデスギガスの体の攻略を進める灼滅者達。
     攻め込んだのは、デスギガスの左腹。
     この戦場には、四大シャドウの一体、贖罪のオルフェウスの軍勢が待ち受けていた。
    「このダークネスくん達は、デスギガスを止める為にやってきたんだよね」
     小堀・和茶(ハミングバード・d27017)は、少しだけ可哀想に感じたが、その余裕は次の瞬間に吹き飛んだ。
     眷属程度の戦闘力でしか無かった、シャドウポーン達が、ジャキンと1枚のタロットカードを取り出すと、それを、自らの脊髄へと埋め込んで見せたのだ。
    「『力(ストレングス)』を装着。戦闘力、増大……』」
     タロットが組み込まれたシャドウポーンの戦力がみるみると強化されていく……。

    「えっと、これがデスギガスを止めるための力なのかな? オルフェウスさんの奥の手って事で……」
     ここで、タロットが出てくるとは、和茶にとっても、想定外であった。
     更に、そのシャドウポーンの中心で、一際大きなシャドウポーンが特別性のカードホルダーから更に数枚のタロットカードを取り出して装着していく。
    「『オーバーロード』更に一枚のタロットを挿入する『魔術師(マジシャン)』」
    「『オーバーロード』更に一枚のタロットを挿入する『戦車(チャリオット)』」
    「『オーバーロード』更に一枚のタロットを挿入する『愚者(フール)』」
     明らかに許容量を超えるタロットを受け入れた、シャドウポーン『タロットホルダー』は、既に暴走状態となっている。
     これでは、たとえ戦闘に勝利したとしても、長くは持たず自滅してしまうだろう。
    「なんか痛々しいよ……。でも、これだけしないと、デスギガスくんは止められないのかな?」
     貴重と思われるタロットを使い、配下の眷属の命すらも使い捨てるほどに、贖罪のオルフェウスは本気であったのだろう。
    「でも、大丈夫だよ。デスギガスはわたし達がちゃんと止めるから…・・・。だから、安らかに眠るんだよ」
     和茶はそう言うと、力の負荷により苦しげに呻きつつも戦うタロットホルダーに、螺穿槍を突き刺した。
    「どーん!」
     その攻撃で、体の中心を貫かれたタロットホルダーは、その貫かれた一点から誘爆するように爆発を繰り返し、一遍の欠片さえ無く消え去ったのだった。

    ●ヒステリックスフィア
     戦場の中心で、ヒステリックな甲高い金切り声が響いた。
     それは、贖罪のオルフェウスが派遣したデスギガス方面軍の指揮官、ヒステリックスフィアの金切り声であった。
    「攻略目標、歓喜の門! タカトとベヘリタスから歓喜の門を奪取せよ! オルフェウス様の為にぃ!」
     だが、その命令に従うものはいない。
     彼女の配下達は皆、無差別篭絡術の影響から、完全に脱しきってはいない。
    「あのダークネスは、正気を保っているのかな?」
     日向・一夜(雪歌月奏・d23354)は、もしかしたら共闘できるかもしれないと、ヒステリックスフィアに接近した。
     ラブリンスターが救助された事で、無差別篭絡術の効果が弱まっているのかもしれない。
    「ねぇ、ちょっと尋ねるのだけれど…・・・。もしかして、正気を取り戻しているのかな?」
     しかしヒステリックスフィアは、一夜の言葉を無視してわめき散らす。
    「『ベヘリタスの秘宝』! それは、『バラバラにし、結びなおす』力を持つ!
    四大シャドウは、かつてタロットと戦い、それを封じ込めた。その封じ込めた先こそ『歓喜の門』。歓喜の門を奪取せよぉぉぉ! タロットをタカトに渡してはならぬー」
     そう叫んだヒステリックスフィアは、だが、次の瞬間、灼滅者に喚きながら切りかかってきた。
    「あなた達、どうしてここに? まさか、タカト様の邪魔をしようとするの? 愛しい愛しいタカト様の邪魔をするものは許さないっ! あぁ、オルフェウス様のためにぃぃ!」
     そのヒステリックスフィアの言動は、まさに支離滅裂であった。
     オルフェウスへの高い忠誠心と無差別篭絡術との狭間で、彼女は苦しんでいるのかもしれない。
    「落ち着いて。タカトのために戦っても、オルフェウスの為にはならないんだよ」
     という、一夜の言葉も届かず、ヒステリックスフィアは狂乱の様相で灼滅者達への攻撃を激しくする。
    「これは…・・・戦うしかしょうがないみたいだね」
     一夜はそう言うと、ヒステリックスフィアの命を刈り取るように、鬼神変を解き放った。
     一夜の鬼神変を受けたヒステリックスフィアは、
    「オ、オルフェ……スさ……のため……」
     そういい残して消滅していった。

    「歓喜の門がタロットを封じ込めた場所なんだね……。もし、そうなら、ますます負けられないんだね」
     一夜は、決意も新たに戦場を後にするのだった。

    ●戦場特殊効果発動!

     戦力への影響は、次ターンの開始時に反映されます。

    ・「(8)デスギガスの右腹」を制圧!
     「(11)歓喜の門」の戦力が1000低下!

    ・「(9)デスギガスの左腹」を制圧!
     「(11)歓喜の門」の戦力が1000低下!

    ・ターン終了時の「(5)業大老」の戦力は「2200」!
     業大老の超巨大気弾攻撃により、「(15)光の玉座」の戦力が440低下!

    ・「(6)もっともいけない収容所」が未制圧!
     「(5)業大老」の戦力が500増加!
     次のターン、灼滅者の重傷/死亡率が半減! 重傷からの回復率が2倍!

    →有力敵一覧

    →(5)業大老(4勝4敗/戦力2400→2200)

    →(6)もっともいけない収容所(5勝0敗/戦力1600→1350)

    →(8)デスギガスの右腹(25勝0敗/戦力950→0/制圧完了!)

    →(9)デスギガスの左腹(34勝0敗/戦力900→0/制圧完了!)

    →(10)デスギガスのへそ(1勝2敗/戦力2350→2300)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    パンタソス・カロ
    840
    (8)デスギガスの右腹:Battle2にて、リーライナ・アンデルスロア(ヴィランズロア・d33284)に倒される。

    ベヘリタスマン「澤田・亮司」
    540
    (8)デスギガスの右腹:Battle3にて、無銘(水心子・真夜のサーヴァント)に倒される。

    ヒステリックスフィア
    585
    (9)デスギガスの左腹:Battle1にて、日向・一夜(雪歌月奏・d23354)に倒される。

    タロットホルダー
    660
    (9)デスギガスの左腹:Battle5にて、小堀・和茶(ハミングバード・d27017)に倒される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

    戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。

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