第2次新宿防衛戦

    ■第5ターン結果

    (11)歓喜の門
    ●ベヘリタスジャイアント
     朝から姿を見せている、ベヘリタスの新たな形態たる『ベヘリタスマン』。
     その出現が、四大シャドウの力の、一端でしかないという事実を、灼滅者達は知ることになった。
     デスギガスの体の制圧によって、力を衰えさせたベヘリタス。
     僅かに残った戦力のうち、灼滅者達を出迎えたのはスーツ姿の巨人だったのだ。

    「本体だけならまだしも、なんでこいつまで巨大化してるんですか……!」
     ご当地怪人じゃあるまいし、と押出・ハリマ(気は優しくて力持ち・d31336)は思わずつぶやく。
     だが、すぐに気を取り直して、ハリマは顔を一度張った。
    「あいつは、俺達でなんとかします!」
     絆のベヘリタス。
     四大シャドウの本体がおり、しかも今はデスギガスと結んでいた『絆』を削ったことで大きく弱体化している。ここで逃す手は無いと、灼滅者達は即座に判断。
     確実に仕留めるためにも、ベヘリタスと戦う仲間たちに、余計な邪魔者を、近づけさせるわけにはいかない。
    「行きますよ!!」
     ハリマは身を低くすると、一度四股を踏むと、全力でベヘリタスジャイアントの巨体へと突っ込んだ。
     巨人の体は、軽く揺らぐが、それだけだ。
     だが、それを皮切りに、灼滅者達の攻撃が一斉に巨人へと集中する。振り回されるクラブの棍棒の強打に耐えると、
    「せーのっ!!」
     ハリマが足を掴み、バランスを崩した巨人を強引に投げ落とす。ハリマは、首元から生えるベヘリタスの、仮面へと駆け寄る。
    「本体じゃない奴に見せる技としちゃあ、上等っすよ……!」
     黄金の仮面の首を捩じ切るように、竜巻の如く振り回した。立て続けの攻撃が巨人へと降り注いで反撃を封じる。
     糸の切れるような、という音と共に仮面が取れ、そこから黒い液体が溢れ出した。
     同時に巨人の体は消滅し、灼滅が果たされたことをハリマ達に教える。
    「本体の様子は……!?」

    ●絆のベヘリタス
     ベヘリタスの足がデスギガスの表皮を破りながら灼滅者達を蹴り飛ばし、蟹を思わせるベヘリタスの赤鋏が伸ばされ、引き裂かんとして来る。
     新宿橘華中学に出現していた絆のベヘリタス。
     それを単純に巨大化しただけともいえる、今のベヘリタスの攻撃は、灼滅者達には見慣れたものであるが速度も威力もケタ違いだ。

    「『絆』を削って、なおこれだけの力とは……流石に四大シャドウ、ですね」
     吹き飛ばされた犬神・沙夜(ラビリンスドール【妖殺鬼録】・d01889)は、ふわりとデスギガスの表皮に降りると血をぬぐった。
     シャドウハンターたる彼女が追い、戦い続けて来た、シャドウ達。
     その最大の存在と言える、四大シャドウ。
     そのうち、ベヘリタスとデスギガスが、今、彼女の目の前にいる。
    「……貴方が死ねばシャドウはどうなるのでしょうね? バランスが崩れる事で何が起きるのか、封じたタロットが現界する事は何を意味するのか。解らない事だらけです」
    『タロットの現界……。高まる骸の力は、いずれタロットの目覚めを招くやも知れぬ。だが、未来は……我が絆あれど、定かならざるものとしか言えぬ』

    「いずれにせよ、貴方の絆は貰い受けたいと思います」
     その言葉に、ベヘリタスはじっと沙夜を見つめた。
    『犬神・沙夜よ。内なるシャドウよ。四大の座を望むか? 我が『絆』を望むか?
     光と闇の真理に迫る『絆』を継ぐならば、我が魂の片割れをも破り、我が『実験』を継ぐ覚悟を示せ……』

     再び突進してくるベヘリタス。その足の間へと沙夜は身を躍らせた。
     引き裂かんとするベヘリタスの足をかいくぐった沙夜が拳を握ると、その手は影に覆われる。
    「は……!!」
     上へ向けて繰り出された拳が、ベヘリタスを貫いた。
     それと同時に、圧倒的な巨大さを誇っていたベヘリタスの体が、空気の抜けたゴム風船のように縮み、消滅していく。
     崩れ去るベヘリタスの、黒い液体をかき分けて、外に出た沙夜は、消え去るベヘリタスの口からは幾つもの球状の物体が溢れ出しているのを見た。
     その物体は、勢いよく空の彼方へと飛んでいく。
    「あれは何? 泡? いや、卵……?」
    『『ベヘリタスの秘宝』。『分割』と『結合』を操作する、我が力の一端なり』
     消滅していくベヘリタスが、仮面の口元から卵……その言が正しいならば『秘宝』を噴き上げながら言う。

    「分割と結合……まさか」
     灼滅者達は、歓喜の門に奇襲をかけた際にベヘリタスが巨大化したのを、あるいは、分割存在となった六六六人衆のカットスローターと縫村・針子が『ベヘリタスの秘宝』によってブレイズゲートから脱出したのを思い出し、さすがに顔色を変えた。
    「それをバラ撒いたの、今!?」
    『秘宝を真に使いこなし、我が実験を継続する者は現れるのか。
     光の心にて生存本能たる闇を御し、戦闘存在タロットの骸を操る汝らが、それを止めるのか……』
     噴き上げられていた『秘宝』の噴出の勢いは次第に衰え、ベヘリタスの声もまた、次第に途切れていく。
    『……ベヘリタスが滅びるとも、絆は……不、滅……タ、カ、ト……』
    「最後まで、はた迷惑な存在ですね」
    「まったくだ」
     沙夜の言葉に、灼滅者達は同意を示す。
     いや、あるいはタカトが滅びていない以上、ベヘリタスという存在は真に滅びてはいないのかも知れなかった。

    (13)デスギガスの左手
    ●ロード・ビスマス
    「あれあれ? 僕、なんでここで戦っているんでしたっけ。なんか、光の少年タカトのために戦わないといけないような気がしてましたけど、そんな必要ないですよね」
     おくればせながら、ラブリンスターが救出された影響で、ロード・ビスマスの無差別篭絡術は解除されたようだ。
     だが、正気を取り戻すのは、少しだけ遅かった。
     既に、デスギガスの左手の戦力は大きく減り、同じように正気を取り戻した者達は、既に戦場を離脱してしまっているのだから。
    「そういえば、ここに居た人達もかなり少なくなってるよね。みんな、どこかに帰っちゃったのかな。僕も急いで、出てかなくっちゃ」
     だが、空気を読まないロード・ビスマスは、特に何も考えず、戦場から離脱しようと動き出した。
     が、灼滅者がそれを見過ごすかどうかは別問題である。

    「ビスマスくん、どっこいくのかな?」
     ロードビスマスは、その新堂・桃子(鋼鉄の魔法使い・d31218)の呼びかけに、にこりと笑い返した。
    「僕は、ちょっとこの場所、空気悪いかなって思って……帰るところなんだ。君達も、こんな所に長居はしないほうが良いよ」
     それじゃ元気でねと手をふって、その場を去ろうとするロード・ビスマス。
     だが、桃子は、その撤退を許さなかった。
    「どうしたの? さよならの挨拶はもうしたんだよ」
     そう言うビスマスに、ガッチガチの肉体言語で語りかける事にしたのだ。
    「ボクは、これでも魔法使いだよ。でも、ビスマス君には、こっちの方がいいかなって思うんだよね」
     だらだらと流されるままに生きてきた、ロード・ビスマスには、キッツイ肉体言語くらいが丁度良いだろう。
     桃子は、そう言うとロード・ビスマスの襟元を掴むと、
    「いっくよー! せーのっ!」
     と、大きく振り回し、
    「とんでけー!」
     と危険な角度で投げ飛ばした。
     ロード・ビスマスは、綺麗に空中に舞い、どちゃっと地面に突き刺さり、永遠に動かなくなったのだった。

    「ビスマス君は、もう少し、まともに生きていれば良かったと思うんだよ」
     動かなくなったロード・ビスマスに少しだけ手を合わせて、桃子達灼滅者は、新たな戦場へと歩みだした。

    ●ビスマス親衛隊(総勢1名)
    「お前達は、ビスマス君の敵か?」
     戦場に足を踏み入れた桜庭・理彩(闇の奥に・d03959)名達の前に、一体の不良っぽいクロムナイトが立ちふさがった。
     おそらく、無差別篭絡術でつれてこられた戦力の一人だろう。
    「聞こえなかったのか、お前達は、ビスマス君の敵か?」
     うなるような声で、そう凄むクロムナイト。
     が、この程度で威圧される灼滅者はいない。
    「そうだと言ったらどうするのですか?」
     理彩の返しに、そのクロムナイト……ビスマス親衛隊(総勢1名)は、歯を剥き出しにして威圧した。
    「ビスマス君の敵は、俺の敵だ。ビスマス君は、実験体として生まれ死ぬしかなかった俺に、新しい居場所をくれたんだ。俺は、ビスマス君に天下を取らせる、そして、俺はその組織のナンバー2となって、俺を見下した全てのものを見返してやるぜっ」
     そう夢を語る、ビスマス親衛隊(総勢1名)。
     おそらく、ビスマスがなんか適当な理由で(ひとりだと、なんか寂しいから誰か友達にしようかなとか)声をかけたのが、こいつだったのだろう。
     ビスマスの言葉を真に受けてしまうとは、このクロムナイトはかなり残念なクロムナイトであるようだ。

    「いや、そもそも実験体として使い捨てられている時点で、お察しですね……」
     理彩はそう言うと、ビスマス親衛隊(総勢1名)に向き直る。
    「ビスマスが天下を取るなんてありえないですし、あなたがNO2になることもありません。あなたの夢は砂上の楼閣に過ぎないのです」
     そう言い放つと、
    「なにをぉ、なにをぉ、俺は俺は、本当はやる男なんだぜっ!」
     と我武者羅に攻撃してくるビスマス親衛隊(総勢1名)の攻撃を、冷静に読むと、手にした日本刀『心壊』の一撃を見舞った。
     理彩が闇の世界より持ち帰ったという『心壊』は、その美しさに反して、敵の心を砕き壊す力を秘めている。

    「知っていますか? 本当はやる男と自分で言う男が、本当に何かをなしとげる事は殆どないという事を……」
     理彩の言葉に、ビスマス親衛隊(総勢1名)は、心の底の絶望をかいまみたような恐ろしげな表情だけを残し、灼滅されていくのだった。

    ●戦場特殊効果発動!

     戦力への影響は、次ターンの開始時に反映されます。
    ・ターン終了時の「(5)業大老」の戦力は「1350」!
     業大老の超巨大気弾攻撃により、「(15)光の玉座」の戦力が270低下!

    ・「(6)もっともいけない収容所」が未制圧!
     「(5)業大老」の戦力が500増加!
     次のターン、灼滅者の重傷/死亡率が半減! 重傷からの回復率が2倍!

    →有力敵一覧

    →(5)業大老(29勝2敗/戦力2800→1350)

    →(6)もっともいけない収容所(4勝0敗/戦力1100→900)

    →(10)デスギガスのへそ(1勝0敗/戦力2250→2200)

    →(11)歓喜の門(3勝3敗/戦力1→0/制圧完了!)

    →(13)デスギガスの左手(8勝0敗/戦力300→0/制圧完了!)

    →(14)デスギガスの首(19勝4敗/戦力2200→1250)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    絆のベヘリタス
    2400
    (11)歓喜の門:Battle1にて、犬神・沙夜(ラビリンスドール【妖殺鬼録】・d01889)に倒される。

    ベヘリタスジャイアント
    480
    (11)歓喜の門:Battle6にて、押出・ハリマ(気は優しくて力持ち・d31336)に倒される。

    ロード・ビスマス
    150
    (13)デスギガスの左手:Battle1にて、新堂・桃子(鋼鉄の魔法使い・d31218)に倒される。

    ビスマス親衛隊(総勢1名)
    450
    (13)デスギガスの左手:Battle2にて、桜庭・理彩(闇の奥に・d03959)に倒される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

    戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。

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