ハンドレッド・コルドロン

    ■第1ターン結果

    ●室崎・初音
    「テメェら三下が、虎子さんの邪魔をしてんじゃねぇ!!」
     鈴山・虎子配下の羅刹達の中に混じって、灼滅者達への攻撃を仕掛けて来ているヴァンパイアの少女の姿を守安・結衣奈(叡智を求導せし紅巫・d01289)は目にしていた。
    「朱雀門高校の制服を着ていることからすると、監視役か連絡役っていうところかな?」
     結衣奈はそう思うが、もっとも、眼前のヴァンパイアの口ぶりからすると、あまりその用をなしているとは思い難い。
    「てめぇらには散々ダチが世話になってんだ。ぶっ潰してやる!」
    「悪さを働いたりしなければ、こっちだって相手をせずに済むんだけどね……」
     朱雀門高校。
     同じく学園を母体とする組織だが、その性質は大きく異なっている。
     今回のハンドレッド・コルドロンでの戦いに朱雀門高校が送り込んで来ている戦力に、ヴァンパイアの姿はほぼ無い。 
    過去の戦いでも送り込んできた生徒達が灼滅者達に太刀打ちできなかったことを考えれば、妥当な判断と言えたかも知れないが。
    「こっちも、箕輪御前には思うところもあるけど……」
     クルセイドソードの切っ先をこちらに向け、突き込んで来るヴァンパイアの少女をマテリアルロッドでいなすと、結衣奈は振り切るようにして杖をさらに円を描くように振るう。
     桃色の光と共に衝撃波がほとばしり、少女が地下街の壁面に叩きつけられる。
    「チッ、この室崎様をなめんなよ……」
    「一人でも多くの人々が殺戮されるのを防ぐ為にも、負けるわけにはいかないの」
     毅然と言って、止められるかと問うように杖を突きつける結衣奈。
     室崎の顔が歪む。
     殲術再生弾があるとはいえ、いまだ室崎というらしいヴァンパイアの実力は灼滅者達よりも上だ。
     だが少なくとも、意志の面で灼滅者達に劣る部分は皆無。
    「虐殺に手を貸す道理があるっていうなら……言ってみなさい!!」
     再びマテリアルロッドが振りかざされ、衝撃波の直撃を受けたヴァンパイアの姿が消滅していく。

    ●箕輪御前「鈴山・虎子」
     羅刹と六六六人衆を切り抜けた先で、椿森・郁(カメリア・d00466)達はエスカの敵軍を指揮する羅刹と交戦していた。
    「しばらく見ない間に、随分とまあ強くなったもんだねぇ」
     感心するように言うのは鈴山・虎子。
     刺青羅刹であり、同時に朱雀門高校の主要な指揮官の一人である彼女が、赤城山を舞台にした戦いで、最初に武蔵坂学園と戦ったのは、3年近く前のことだ。
     その後、刺青を集めていた虎子は灼滅者の前で紫堂・恭也のスカウトで朱雀門高校へと身を寄せているが、それでも灼滅者達と直接交戦するのは前回から実に2年以上の時間を経ている。
    「全く……何倍に強くなっているんだか。これじゃほとんど別の生き物じゃないか。あたいが刺青を集めるのより、よっぽど効率的だ。何とも末恐ろしいことだよ」
     呆れたように虎子は言う。
     灼滅者達が強くなっていることは、爵位級ヴァンパイアを退けていることからも聞き及んでいるだろうが、それでも話で聞くのと直接自分の目で見るのとでは、実感が異なるのだろう。
     その力を示すように、郁達は虎子の周囲を固める羅刹達を切り崩していく。
    「最短ルートで一般人の被害を最小限に抑えるためにも……ここは通らせてもらうよ」
    「そうはいかないさ……赤城山のが生きてたら、これも渡世の義理とでも言ったかね」
     呟いた虎子の姿が掻き消える。
     糸が迷宮の大気を裂いて飛び、灼滅者達を斬り裂いた。
     それを構わぬというように、郁は前へ。
     灼滅者達の攻撃が、着実に虎子を追い詰めていく。
     仮に殲術再生弾が無かったとしても、今の灼滅者達にとって、鈴山・虎子は太刀打ちできないほどの強者では既に無かっただろう。
    「人はいつか死ぬ。私も、私のそばにいる人も。……でも、人が死ぬのは、こんなふうに理不尽なのは、嫌だ」
     かみしめるように呟いて、郁は先を見据える。
     今も地上では、多くの人々が六六六人衆によって殺され続けている。
     少しでも、早く、そして一人でも多くの人々を救うために、先を急がねばならない。
     急加速した郁の足が炎を帯び、伸びやかな弧を描いて虎子の胴に吸い込まれた。
     返す刀で振るわれた糸が郁の髪を僅かに断ち切るが、糸が首に届くよりも早く虎子の体から力が抜けていく。
    「やれやれ、乗った船の降り時を間違えたか。あたいもヤキが回ったね……」
     強かに蹴りつけられた虎子の姿が炎の中に消え去るのを、郁は見送ると地下街を走り出す。奇襲を行った組連合の情報を元に、迷宮の構造は既に把握していた。
     まだ抵抗を続けている敵はいるようだが、このエスカの制圧も時間の問題だ。
    「刺青は、これでまた消えた……。回収はできなくなったことになるの?」
     だが、予兆の情報を考えるに、トリプルクエスチョンがいる限りは再び継続を考慮しない『再誕』によって一瞬だけ甦らせることで、刺青を回収される恐れがあるだろう。
    「虐殺を止めるためにも、あの六六六人衆を倒さないと……」
     決意も新たに、灼滅者達は走り出した。

    →有力敵一覧

    →(2)ユニモール(10勝2敗/戦力1800→1300)

    →(3)サンロード(9勝4敗/戦力1550→1100)

    →(4)エスカ(30勝3敗/戦力1500→0/制圧完了!)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    「箕輪御前」鈴山・虎子
    1200
    (4)エスカ:Battle7にて、椿森・郁(カメリア・d00466)に倒される。

    室崎・初音
    240
    (4)エスカ:Battle17にて、守安・結衣奈(叡智を求導せし紅巫・d01289)に倒される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

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