サイレーン灼滅戦

    ■第3ターン結果

    ●夜伽のキトハ

    「全く、オーバーキルにも程がありますわね~」
     淫魔、嘲謔のシュトヴィカが思わず漏らした言葉に、今井・紅葉(蜜色金糸雀・d01605)はそうかも知れないなぁ、と内心で思う。
     ファーストアタックと先刻の攻撃で戦力の大半を失った被虐要塞ガンマゾーン。
     灼滅者達は、この要塞を制圧しつつあった。
     それでも、戦意を喪っていない分、目の前のキトハは優秀だと言えただろう。
    「邪魔をするなら……!」
    「では皆さん、最後の一仕事といきますわよ~」
     紅葉達とキトハ率いる一隊は、要塞の通路で激突した。
     キトハの手にしているのは殺傷力も無さそうなモップだが、
    「武器の見た目なんて、性能には関係ないよね……」
     キトハのモップで拭き清められた灼滅者達が原理不明の爆発と共に盛大に吹き飛んでいくのを見つつ、紅葉はモップに清められた床を踏んでキトハへ迫る。
     バトンのようにくるくるとモップを振り回し、灼滅者達を寄せ付けまいとするキトハに対し、ブレイドサイクロンを繰り出した勢いのまま、紅葉は突っ込んだ。
     突撃して来る紅葉を、キトハはモップで壁の方へと逸らす。
     だが激突の直前、紅葉は壁を蹴って跳び上がった。
     反対の手に握られたクルセイドソードが煌めいた。
     頭上から、ホワイトプリムを傷つけることなくキトハの頭を貫いた切っ先が、紅葉の落下と共に引き抜かれる。
     紅葉が振り向くと同時に、キトハの姿は跡形も無く消え去っていった。

    ●嘲謔のシュトヴィカ

    「いきなり要塞を落としに来るとは、なんともたまげた連中じゃん」
    「起き抜けで悪かったね。まあ、そろそろいいよね?」
     被虐要塞の司令室。
     廣羽・杏理(ヴィアクルキス・d16834)の問いかけに、司令室に手勢を率いて待ち受けてシュトヴィカは苦笑で返した。
     もっとも、シュトヴィカの周囲にいた淫魔達は、そのことごとくが撃破されている。
     シュトヴィカもまた、周囲を灼滅者達に囲まれた状況だ。
    「一応聞きますけど、降伏しておきます?」
    「三食昼寝、いい男いい女つきなら考えても……いやいや、サイレーン様を殺そうって連中を前に、勝手に降伏してどうするって話じゃん」
     杏理は、拒否の返事に一つ頷いた。
    「なら、加減はせずにいきますよ……!!」
     シュトヴィカのまたがるミサイルが、勢いよく灼滅者達へと撃ち出された。
     その間に背中に生やした翼で包囲を抜けようとしたシュトヴィカへと、爆発と共に巻き起こる粉塵を突っ切って、杏理の飛び蹴りが突き刺さる。
    「サイレーン様はあたいらに逃げろっておっしゃったけどよ。ここを逃れてどこへ行くって話じゃね?」
     そう言い残すと、シュトヴィカの姿は消滅していく。
    「サイレーンの元に集った者達にとっては、各地の海上都市が最も安心できる場所なのかも知れないな……」
     杏理はそう思いながら、残る敵に警戒しつつ、要塞の道を戻っていった。

    ●被虐のルサルカ

    「こちらからでござるか……?」
     ハリー・クリントン(ニンジャヒーロー・d18314)をはじめとする【スーパー銭湯部】の灼滅者達は、被虐要塞の最下層に辿り着いていた。
     被虐要塞からは、『無限なる白濁陣』を維持し守るための魔力が供給されている。
     その源を探る銭湯部の面々は、要塞下層から漂う悪臭に気付き、ここを訪れていた。
    「しかし、酷い悪臭にござる」
     覆面を通しても耐え難い臭いに、ハリーは顔をしかめる。
     やがて、辿り着いた先には、奇妙に発光する触手の塊があった。

    「この触手が、被虐要塞から無限なる白濁陣に魔力を供給しているのでござるか?」
    「よく気付いたわね、灼滅者!!」
     その声と共に飛来したのは、潜んでいた淫魔達からの攻撃だった。
     咄嗟に周囲にあった機材で遮蔽をとり、反撃に転じる銭湯部の面々。後続の灼滅者達も入り混じり、魔法陣の周辺はたちまち戦場と化した。
     敵を率いるのは、ほとんど全裸の肢体を晒す淫魔だ。
    「儀式塔での借りは返させてもらうでござるよ、淫魔ルサルカ!」
    「何よそれ、こっちが儀式塔破壊されたのに、意味わかんない!! お返しするのはこっちでしょ!?」
     ルサルカの角から放たれた光線が、灼滅者達を薙ぎ払う。
    「なるほど……要塞を率いるだけの実力はあるということでござるな」
     態度からはあまり感じられないが、言うだけの事はあって、ここまでに戦った淫魔達とは一線を画した実力を持っているようだった。
     だが、殲術再生弾を受けた灼滅者達の力は、彼女が引き連れていた淫魔達をさほどの時間を掛けずに灼滅するに十分なものだった。
     こうなってしまえばさしものルサルカも、焦燥の色を隠せない。
    「私を追い詰めるとはね……やるじゃない。こうなれば、最後まで徹底的に戦って、あんた達一人でも多く道連れにしてやるわ!!」
     部下たちの灼滅を目の当たりにし、ルサルカは決死の表情で叫ぶ。
     灼滅者達が、これはさらに何人か戦闘不能もやむなし、と思ったその時だった。
    「隙ありィッ!!」
     後方の暗がりから伸びた腕が、ルサルカの胸を思いっきり鷲掴みにした。
     ハリーだ。
     何やってんだこいつ、と灼滅者達が思う中、後方に回り込んだ彼はルサルカの胸を思う存分揉みしだく。
    「きゃっ……あ……ちょっと……え、何、この感覚!? 新手の忍術!?」
    「皆、今でござる!! 拙者がこやつを抑えつけているうちに!!」
     絶対に忍術ではないだろう、とその場にいた全員が思いながらも、良いチャンスなのでルサルカへと攻撃を繰り出す。
    「こ、この被虐のルサルカ様が……こんな……」
     痙攣しながら倒れ、灼滅され消滅していくルサルカの横、儀式塔の戦いでの意趣返しを終えたハリーは、満足げな表情で頷く。
    「ふっ、借りは返したでござるよ」
     そして灼滅者達はハリーを一発しばくと、無限なる白濁陣へと魔力を供給する触手塊を破壊する後に残されたものは、勝利の喜びと、ハリーへの女性陣からの冷たい視線であったという。

    ●漆黒姫ネグレロ

     愛は美しい、愛は尊い、そして愛は人々を救う。
     しかし、全ての愛が尊いわけではない。
     誤った方向に向けられた愛は、それ自体が罪であるのだ。
     愛欲大門キュピデイタスを訪れた多くの灼滅者は、その巨大な門を飾る彫刻から顔を背けた。
     その彫刻達は、人間の愛と欲望が淫魔によって歪められ、究極までに汚されたその姿に違いなかった。

    「気に入ってくれたかしら?」
     その灼滅者達の様子に、この大門を守るブラックヴォイドの指揮官、漆黒姫ネグレロが声をかける。
    「良い出来でしょう。これらの彫刻はね、わざわざ人間に行為をさせている瞬間を固めたものを原型に作られているの。人間も本気を出せば、このくらいの事、出来るのよ」
     フフフと笑うネグレロは、目の前の彫刻の一つを打ち壊す。
     すると、彫刻の中からは、淫猥な姿勢のままつながった一対の男女のミイラが現れる。
    「でも、そろそろ、この彫刻達にも飽きちゃった。あなた達が、新しい彫刻になってくれると嬉しいのだけれど」
     そのネグレロの言葉と同時に、多数のブラックヴォイド達が灼滅者に襲い掛かってきた。
     彼女達の目は淫蕩な光を称え、美しい容姿をした灼滅者達に襲い掛かる。
     最後には彫刻にするとしても、その前に、飽きるまで楽しませてもらおう。
     手取り足取り、淫猥な技を教えつくしてあげよう。
     だって、それが、愛なのだから。

    「アンタら、俺をなめてるのか?!」
     ブラックヴォイド達の攻撃に、ダメージを受けながらも、夜鷹・治胡(カオティックフレア・d02486)が力強く反撃する。
    「アンタ達のような狂った淫乱娘達がいるから、風紀の乱れがとまらないんだよ。いますぐ、浄化してやろうか」
     治胡は、そう啖呵を切ると、深紅の翼を模った飾りベルトが宙を切り裂き、正面からどんどんとネグレロへと近づいていく。

    「人間なんて生まれて生殖して死ぬだけの存在ではないか。私がしてるのは、その手助けよ」
    「言いたいことはそれだけか?」
    「ふーん、あなたも、実は欲しいんじゃない? 男の格好したりして、溜まってるんでしょ、手助けしてあげるわ」
     ネグレロの瞳の瞳孔が広がり、その魔力が高まっていく。
     それと同時に、愛欲を高める華奢な手が、治胡へと迫ってきた。
     その手が繰り出す淫らな波動は、少しでも触れればいってしまいそうだ。もし、この手に導かれたならば、きっと、天国のような地獄を見る事ができるだろう。
     が、治胡は手にした†紅蓮の堕天使†を振るい、その淫らな手を振り払った。
    「俺はアンタと楽しんだりはしない。ただ灼滅滅するだけだ」
    「私の誘いを断るなんてっ!」
     ネグレロは怒りのあまり、広がった瞳孔を血の赤に染まっていく。
    「私と私の愛を拒んだあなたを、私は絶対に許さない」
    「許されようとも思わないな!」
     治胡は、ネグレロの手を振り払ったダイダロスベルトを逆手で持ち帰ると、体内から噴出させた焔を宿して肩口から深く切り込み、一気に引き落とした。
     ネグレロの体内に渦巻いていた氷の力とレーヴァテインの焔の力が融合し、すさまじい破壊の力となりネグレロの体をズタズタに切り裂いていく。
    「えっ?」
     何が起こったのかもわからぬうちに致命傷を受けたネグレロは、疑問と共に、血の海へと沈み灼滅された……。
    「アンタら淫魔に愛を語る刺客など、もともと無かったんだよ」
     治胡は、そう言い残すと、キュピディタスの戦場を後にしたのだった。

    →有力敵一覧

    →(6)密通街道 ダルテリウム(2勝2敗/戦力950→850)

    →(7)色情海岸 レシピスコン(1勝0敗/戦力850→800)

    →(8)獣欲鉄橋 クレアチュア(1勝0敗/戦力900→850)

    →(9)愛欲大門 キュピディタス(14勝7敗/戦力600→0/制圧完了!)

    →(10)誘惑華園 アペラティオン(0勝2敗/戦力1500→1500)

    →(11)邪淫隧道 キケロニア(1勝0敗/戦力900→850)

    →(12)嬌声劇場 ヴィソピドゥム(1勝0敗/戦力950→900)

    →(14)被虐要塞 ガンマゾーン(20勝0敗/戦力300→0/制圧完了!)

    →(23)サイレーンの褥 マーレバビロン(0勝1敗/戦力1800→1800)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    漆黒姫ネグレロ
    1080
    (9)愛欲大門 キュピディタス:Battle2にて、夜鷹・治胡(カオティックフレア・d02486)に倒される。

    被虐のルサルカ
    720
    (14)被虐要塞 ガンマゾーン:Battle3にて、ハリー・クリントン(ニンジャヒーロー・d18314)に倒される。

    夜伽のキトハ
    300
    (14)被虐要塞 ガンマゾーン:Battle4にて、今井・紅葉(蜜色金糸雀・d01605)に倒される。

    嘲謔のシュトヴィカ
    300
    (14)被虐要塞 ガンマゾーン:Battle20にて、廣羽・杏理(ヴィアクルキス・d16834)に倒される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

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