胎蔵界戦争

    ■第4ターン結果

    ●ホワイト・ビヘイビア

     白く輝く水晶で作られた『罪の祭壇』。
     その壁面には水晶が感じさせる美しさとは裏腹の、邪悪な彫刻が彫り込まれていた。
     人類の罪深さを示すような、様々な殺人や拷問、凶行をかたどったそれらの彫刻は、先代のホワイト・ビヘイビア……灼滅者達が『白の王セイメイ』として知るダークネスの代から伝わっているものだった。

     2016年3月、富士山麓に築かれた迷宮での決戦で、白の王セイメイは灼滅された。
     開発者である白の王セイメイの死と、灼滅者達による『生殖型ゾンビ』の殲滅によって、この研究は完全に失われたはずであった。
     そこに、元老達の知識や記憶を引き継ぐ『不滅の兜』という代物が関わっていることは、アッシュ・ランチャーの兜をかぶったステラ・バールフリット (氷と炎の魔女・d16005)やシエナ・デヴィアトレ (治療魔で被虐嗜好な大食い娘・d33905)には想像に難くなかった。
     とはいえ、白の王セイメイが兜を被っていた期間も長いせいだろう。
     現在のホワイト・ビヘイビアをもってしても、『生殖型ゾンビ』の研究を、およそ1年前に転生すら許されずに灼滅されたセイメイのものよりも先の段階に進めるには至っていなかった。

    「……もしかして……あの人、ホワイト・ビヘイビアになって、1年ぐらいしか、経っていない……?」
     ノーライフキングを変化した肉体で切り飛ばし、神宮時・蒼(大地に咲く旋律・d03337)は祭壇をホワイト・ビヘイビアの元へと駆け上る。
     祭壇の最上部に立つ女性、不滅の兜を被った『ホワイト・ビヘイビア』は、祭壇の各所で戦う灼滅者とノーライフキング、アンデッド達の戦いの光景を見つめていた。
    「『サイキックアブソーバー』の出現も、『サイキックエナジー』の管理者たるを忘れ、業の蒐集にうつつを抜かしていた先代ホワイト・ビヘイビアの愚行が原因と言えましょう。その愚かさのつけを、こうして払うことになるとは……」
     ホワイト・ビヘイビアが先代にも、そして灼滅者達にも忸怩たる感情を抱いていることを、蒼はその言葉から感じ取る。
    「……貴方には、この祭壇も、きっと、永遠に、使えない、代物、なの、でしょう、ね……」
    「ダークネスの活動に必要不可欠となる『サイキックエナジー』。その産出量を調整し、ダークネスの出現率や活動頻度を調整するのもまた、『人類管理者』の務め……それを放棄した先代の遺した祭壇は、現代の……『サイキックアブソーバー影響下』では役に立たないでしょうね」
     人類を管理するならば、ダークネスの管理もまた同様に必要となる。
     ダークネスは邪悪と看做される行為に走りやすい。
     先代ホワイト・ビヘイビアこと白の王セイメイが求めた『業(カルマ)』の高まる行為とは、闇堕ちのしやすさ、そしてサイキックエナジーの高まりを操作しようとする行いなのかもしれない。

    「ですが先代は長くホワイト・ビヘイビアの座にあり過ぎ、そして逸脱し過ぎました。サイキックエナジーを管理する役割を放棄したのです」
     そのまま不滅の兜を脱ぎ棄て情報共有を拒否して昨年まで好き放題に活動していたのだろう、と蒼は思う。
     白の王セイメイは、今の元老達と比べて明らかに弱かった。
     それは『王』の簒奪者達の力で転生したことによるものであり、同時にサイキックアブソーバー環境下で活動するためでもあったのだろう。
     ホワイト・ビヘイビアが立場を捨てて兜を持ち逃げしたのでは、さぞ他の元老達も困っていただろうが。
    「……セイメイも、迷惑な……」
    「それに関しては同意します」
     思わぬ同意を得る灼滅者と元老。
     だが、その傍らで、戦いの趨勢は灼滅者達の側に明白に傾いていた。
     ノーライフキングや完全型生殖ゾンビ達も、灼滅者達に苦戦を強いながらも倒されていく。

    「まずは私が生き延びることを考えねばならない戦況ですか。歴代最速で灼滅された元老になるなど、笑い話にもならない」
    「……そういう、わけには……」
     ここに至るまでの戦いで、ホワイト・ビヘイビアの能力を蒼は目にしていた。
     サイキックエナジーごと命を吸い取る能力。
     サイキックエナジーの管理者を名乗るのは伊達ではないらしい。
     命を吸い上げるべく、白い光が蒼達を包み込もうとする。
    「だけど……!!」
     白い光を切り裂くように、蒼の放った風が戦場を吹き抜ける。
     白光を切り飛ばした風の刃は、そのまま白いスーツを着た元老の体を大きく切り裂いた。スーツが大きく切り裂かれ、赤い血が業の祭壇に滴り落ちる。
    「……なら、その、業と、言うものを、全部、背負って、ボクが、引き継ぎ、ましょう……」
    「……業を、背負う……。では、あなたも兜を被るがいい……人類全ての悪逆非道を管理する、その業を、担えるならば……」
     息絶えたホワイト・ビヘイビアの肉体が、不滅の兜を残して消滅していく。
     不滅の兜を拾い上げた蒼は、しばし残された言葉の意味を考えるのだった。

    →有力敵一覧

    →(2)闇の雪原(2勝1敗/戦力1300→1200)

    →(3)業の荒野(1勝1敗/戦力350→300)

    →(4)力の森林(16勝3敗/戦力1400→600)

    →(5)知識の山脈(1勝1敗/戦力250→200)

    →(8)罪の祭壇(16勝4敗/戦力700→0/制圧完了!)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    ホワイト・ビヘイビア
    8000
    (8)罪の祭壇:Battle3にて、神宮時・蒼(大地に咲く旋律・d03337)に倒される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

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