グラン・ギニョール戦争

■十の戒め
　灼滅者達は十の戒めの敵を駆逐しつつあった。
　ランキングマンが、先の黄金闘技場の戦いで受けたダメージから回復しきっていない影響もあるのだろう。
『亡者』達の抵抗も鈍く、あっさりと灼滅者達に打ち破られている。
　灼滅者達が突破を可能とするのは時間の問題だ。

「第三の言葉、堅守せよ」
「了解した……とはいえ、今の様子ではそうも言ってはいられんなぁ」
　第８位『ランキングマン』の護衛として、十の戒めの六六六人衆を率いる21位『ゴリアテ殺し』は、前線の様子を見ながらどこか投げ遣りに呟いた。
　番外の連中では灼滅者達の勢いを妨げられないのは既に分かっている。

「こういう指揮とかは好きじゃないんだがねぇ」
　一応最強戦力達に次いでランキングは高いゴリアテ殺しだが、別に指揮官としての適性があるわけでもない。こうした逆境への態勢も無かった。
「おまけに守る相手が口やかましい爺さんだし、襲撃されてると知ってるのに、４位や５位が援軍を送って来る気配も無ぇ」
　仲間同士の殺し合いを旨とする六六六人衆に、連携の取れた集団行動など求めるのが間違いというものだろう。
　ミスター宍戸、あるいはジークフリート大老が生きていれば、まだ多少は纏まりを見せていたかも知れないが。
「貧乏くじ引いちまったかなぁ。まあ、この戦いの間守り抜いたらランクアップは頼むぜ、ランキングマンさんよ」
　そう言いつつも、彼は前線から退いて来る六六六人衆やアンブレイカブルを再度前線へ向かわせるため、声を張り上げるのだった。