羅刹佰鬼陣

    ■第1ターン結果

     武蔵坂学園が拠点を置いた上毛電気鉄道赤坂駅から、灼滅者達は二手に分かれて進軍した。
     ここから先、赤城山周辺一帯は、羅刹佰鬼陣の影響範囲内となる。
     サイキックアブソーバーの影響が及ばない羅刹佰鬼陣の内部には、羅刹達の姿が数多く確認されている。
     それらの羅刹達を駆逐しながら、灼滅者達は赤城山に隠された羅刹の村……そこにいるラグナロクダークネス、『御子』の元を目指して走り続ける。

    ●(2)上毛電気鉄道大胡駅周辺
     大胡駅周辺の市街地の一角は、季節外れの冷気に覆われている。
     その源を、平・等(眼鏡眼鏡眼鏡眼鏡眼鏡眼鏡眼鏡・d00650)は敵陣の中に見出していた。
    「あのデカい鬼が寒波の原因か……」
     眼鏡を光らせて見つめる先には、巨大な鬼の姿があった。
     水疱まみれの手で氷の柱のようなものを握り締め、頭から齧っていた鬼が、灼滅者達の接近に気付いて大きな目を動かす。
     その時に、等は鬼が齧っているものが何かであるかを理解して眉をしかめる。
     人だ。
     鬼は氷漬けになった人を、アイスキャンディーのように齧っている。
     羅刹達にとって人間は新たな同胞となりうる有効な『資源』であるとはいえ、欲望の赴くままに人の命を左右するのもまた、ダークネスの本質に他ならない。
     ファーストアタックで一般人を救助しているとはいえ、既に殺害されている者達までは如何ともしがたかった。
    「寒い寒い寒い寒い……」
     言いながらバリバリと氷漬けの死体を食い散らかしていた鬼は、冷気を発しているとは思えないような台詞をはく。自らの冷気で水疱ができては剥がれ落ち、鬼自身に苦痛を与えている。
     地獄絵図の鬼達もバベルの鎖を帯びているので、それ自体で生命に影響はないのだろうが。
    「八寒地獄の鬼ってことか?」
     鬼達が地獄絵図から現れたことを思い出しつつ、等は首を傾げる。
     その呟きに反応したのか、巨大な鬼は彼に狙いを定めたらしかった。
    「寒いから凍るなよ、凍るなよ? 触っても凍るなよ……!!」
     その鬼、虎々婆座衛門の水疱にまみれた掌で、今度は灼滅者達を襲おうとする。
     同時に現れる鬼達が、地獄絵図の一部にせんと暴れ出す。
    「クックック、緒戦で躓いてられるかよ。行くぞ、煎兵衛」
     ナノナノ「煎兵衛」の鳴き声を聞きつつ、眼鏡を外し、敵を睨みつけた等の足元から伸びた影が、騎士の如き姿を取る。
     一気に鬼達を蹴散らしにかかる灼滅者達。
     最後に残った巨体の鬼を、等は「煎兵衛」と共に狙う。
    「やってやれ!」
     煎兵衛の吹き出したしゃぼん玉が、羅刹の顔を覆った。弾けたしゃぼんが即座に氷、鬼の巨顔を凍結させる。
    「ふフバー……」
     悶絶しながら倒れた鬼は、奇妙なうなり声をあげて消滅していく。
     大胡駅周辺の戦いは、灼滅者達が制したようだった。

    ●(3)上毛電気鉄道中央前橋駅周辺
     大胡駅周辺とは反対に、中央前橋駅周辺にはありえないような熱気が立ち込めていた。
    「あっつい……」
     幾ら全国有数の猛暑地を抱える群馬県といえど、幾らなんでも酷暑に過ぎる。
     常識ではありえないような事態であれば、まずサイキックを疑うのが灼滅者達の常であり、そしてその予想は正しかった。

    「チカづクとモヤすぞ。おラおらァぁぁ!」
     灼滅者達もよく知る羅刹とは異なる、地獄絵図めいた『鬼』の姿。
     先月以来出現していた鬼達は、ラグナロクダークネス『御子』の力によって無から生まれたものだ。炎を纏った赤鬼は、金棒を振り回しながら近づく灼滅者達を退けんとしている。
     鬼達と灼滅者達とのサイキックがぶつかり合い、戦場となった駅の周辺の熱された空気をかき乱す。
     鬼達は実体を持ったとはいえ、その実力面では灼滅者達に比しても高いとはいえないようだった。だが、中に何体かいる指揮官級の存在は別格だ。
     あの熱波を放っている赤鬼も、その1体らしい。

    「これが戦争ですかー……」
     戦場に満ちる緊張感に、緑川・椎菜(スマイルクリエイター・d17116)は、戦場の熱に浮かされたように呟いた。
    「え、笑顔がないのは当たり前ですよねっ。笑顔でやるものでもないでしょうし……。で、でもでも、戦いの先に笑顔があると信じてっ」
     あの鬼達がいる限り、街の人々に笑顔が戻ることはないだろう。椎菜にとって、それが良いはずがなかった。
     一般人の救助に動いた6F菊の灼滅者達によると、羅刹達にいまだ囚われたままの人々もいまだ多くいる模様だという。そうした人々も、救い出さねばならない。
    「緑川椎菜、いきます!」
     椎菜はマテリアルロッドを握る手に力を籠めた。
    「ヒッさツ、だいエンネツはぁっ!」
     大仰なポーズから、鬼の撃ち出した熱波が道路の上に炎を走らせる。炎熱地獄を思わせる炎の中で、椎菜は鬼へとマジックミサイルを撃ち出していく。
    「ぐぉぉッ!! テメェ、女、ざっけんなコラァ!!」
     口汚く罵声を叩きつけて来る鬼にひるむことなく、椎菜はなおもマジックミサイルを放っていった。他の灼滅者達もそれに加わり、鬼は膝を地面につく。
    「ちっくショウ……!! この俺様が!」
     撤退していく鬼達。中央前橋駅周辺を突破するまでは、今少しの時間が必要そうであった。

    →有力敵一覧

    →(2)上毛電気鉄道大胡駅周辺(61勝0敗/戦力2200→0/制圧完了!)

    →(3)上毛電気鉄道中央前橋駅周辺(27勝0敗/戦力2200→850)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    虎々婆座衛門
    180
    (2)上毛電気鉄道大胡駅周辺:Battle16にて、煎兵衛(平・等のサーヴァント)に倒される。

    大炎熱権蔵
    180
    (3)上毛電気鉄道中央前橋駅周辺:Battle2にて、緑川・椎菜(スマイルクリエイター・d17116)に死の宿命を付与される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

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