■第3ターン結果
●(5)赤城南面千本桜
(5) 赤城南面千本桜 Battle:5
「現状の鬼は、ここに多そうですね」
夜空・大破(白き破壊者・d03552)は他の灼滅者達と共に、千本桜方面へと進出していた。周囲では既に、羅刹達との戦いが始まっている。
既に西側のルートは開いているが、あえて大破がここに来たのは鬼達を狩り尽くすという一義のためだ。
だが、敵は羅刹達だけではない。
敵の引き連れた眷属のうち、地上を走っている1体のフライングメイド服に気付いて、大破は一瞬自分の目を疑った。
「いらっしゃいませご主人様もごもご」
「あれは……?」
よく見れば、メイド服の下から細い脚が見える。
どうやら、子供がフライングメイド服の中にいるらしい。
「……フライングメイド服に捕まっているのでしょうか。助けてあげなくては」
鬼の全てが敵であるとはいえ、眷属に捕らわれた者まで死なせるつもりは毛頭ない。
だが、その前にフライングメイド服の方から声が聞こえた。
「ふぇえ、服がおっきくて前が見えないよぉ」
「どういう嗜好なんでしょうね、これ作った羅刹」
「でも頑張って殺すよ。みみちゃんはもうひとりで殺れるもん!」
ここで殺されるわけにはいかないと、大破の腕が鬼のそれへと変じ、フライングメイド服を引き裂かんとする。
しかし、中の人を得たフライングメイド服は、他のフライングメイド服よりも確実に強靭だ。
「ふぇえ……痛いよぅ……」
泣き声をあげながら、『みみちゃん』はそのままどこかへと跳び去っていく。フライングメイド服を得たが故の、灼滅者達をも一時的に上回るような身体能力だ。
「……あの子、また倒さないといけないんですか……頭痛いですね」
自分には鬼を退治するという使命がある。今度は他の人に任せよう。
大破は、密かにそう決意するのだった。
(5) 赤城南面千本桜 Battle:1
「桜に花を咲かせよう……。真っ赤な花を咲かせよう……血飛沫舞う舞う、桜の木!」
桜の木の下で踊り狂っているのは、赤鬼を中心とした地獄絵図から現れた羅刹達であった。
ファーストアタックの時には咲いていなかった桜の木は、赤く彩られている。
桜の木を赤く彩るそれは、赤い血であった。
乾く暇もないほどの血で、千本桜は赤く彩られている。
鬼達の中央で踊っていた鬼が、ふと灼滅者達を見てニンマリと笑った。
大きな口の奥から、酷い腐臭が感じられる。
「待っていたぞ、我が千本桜に血飛沫の花を咲かせるための新たな肥料!」
「何人、殺した?」
トリハ・エーレン(護盾の紅十字・d05894)の怒りを秘めた声に、鬼は不気味に笑って見せた。
「あーん……? まあ多分、千本桜を全て染めるほどではないな。さぁ、今度はお前達の血潮で、この並木を美しく彩るのだ。御子様の御目を楽しませる為にな!」
「ほざけ!」
全ての人の盾となる。
そう誓うトリハにとって、鬼の言葉を許容できるはずもなかった。
他の灼滅者達にしてみても、それは同じことだ。圧倒的な勢いで、灼滅者達は鬼を駆逐していく。
「うおぅ、これはたまらんな!」
鬼達自身の血で、千本桜が赤く染まる。だが、突破するにはこちらの戦力が足りないと、トリハも判断せざるをえなかった。
「だが、せめて、あんたは殴っておく!」
左腕を覆う聖人の腕を模した巨腕が、赤鬼の横面を殴打する。顔を変形させながら吹き飛んだ鬼は、他の鬼達に守られつつ千本桜の奥へと撤退していった。
●(6)東国文化歴史街道西側
(6) 上毛電気鉄道大胡駅周辺 Battle:1
東国文化歴史街道上を遮るように展開した敵軍を率いているのは、一人の少女の羅刹だった。
夕永・緋織の闇堕ちした羅刹は、暗い視線を灼滅者達へと向ける。
「やりなさい……」
緋織の号令と共に、羅刹達が一斉に襲い掛かって来る。
灼滅者達を容赦なく撃ち滅ぼそうとする緋織に、桜庭・遥(名誉図書委員・d17900)は声を張り上げた。
「夕永先輩、迎えに来ました。みんなのところに帰りましょう!」
その声を聴いて、緋織の表情が揺れた。
羅刹と化した彼女の心の中で、何か大きな情動が走ったのだろうか。
その揺らぎを打ち消そうとするかのように武器を振るおうとした緋織を、遥の鋼糸が縛り上げる。
「ごめんなさい、先輩……」
そのまま説得しようとした時、遥へ向けて鬼達の攻撃が飛ぶ。
「夕永殿を御救いするのだ!!」
羅刹の一人が声をあげる。こちらの戦力が不足していた分、残る敵が指揮官を救おうと押し寄せて来たのだ。鬼達はすぐさま緋織を回収すると、戦場を後退していく。
「でも、次こそは……!」
この戦争の間が勝負だと、遥は救出への思いを新たにするのだった。
●(9)赤城国際カントリークラブ
(9) 赤城国際カントリークラブ Battle:3
「確実にいくっすよ!!」
荒野・鉱(その眼差しの先に・d07630)のガトリングガンから放たれた弾丸が、戦場の地面に突き刺さっていく。
赤城国際カントリークラブ。ゴルフ場の地面は、灼滅者達とこのゴルフ場に集まった六六六人衆との戦いによって、荒れ果てていた。
ゴルフ場として営業を再開するには相当な時間と金を要するだろう。だが、今六六六人衆との死闘を繰り広げている灼滅者達に、そのような事は二の次だ。
「あはははは! 斬ル斬ル斬ル斬ル!!」
クルクルと回りながら鉱に狂笑を向けた。
自らの体すらをも手にした鋼糸で引き裂き、その赤い血を見てさらに興奮しては加速する。その姿は間違いなく、
「異常者っすよね……」
「キレイでしょ? キレイでしょ? この六六六人衆の斬里山・斬里斬里子が一番キレイって言いなさいよォ!!」
鉱の肌が糸で斬られ、僅かに血がしぶいた。
かすり傷だと平然とガトリングガンを撃ち続ける鉱に対し、斬里斬里子は陶然と自慢するかのように語る。
「ワタシさぁ、キレイでしょ? だから、HKT六六六にも誘われたんだよね。『あなたこそNO1だ』ーってね。でもね、あれでしょ? 都落ちっぽいからことわったの」
「そりゃすごいっすね。契約金幾らだったんすか」
周囲の敵がおおよそ片付いたのを感じながら、鉱は話を合わせつつ、ガトリングガンへと爆炎の魔力を籠めた弾丸を充填していく。
「そのおかげで、こんなに沢山の灼滅者と戦えるなんて、うーん、エクスタシーっ! ワタシのする事は、ゼンブ正解ってね♪」
「それじゃ、回避の正解も見つけるといいっすよ!」
鉱のガトリングガンが金属の咆哮をあげた。
無数の弾丸は回避せんとした斬里斬里子の周囲で爆発し、彼女の肢体を炎に包む。狂笑をゆがませて、自分の腹に開いた穴を見ながら斬里斬里子は不思議そうに言う。
「おっかしぃなぁ。どうして、ワタシのおもいどーりにならないの? ねぇ、こたえてよ、ねぇ……」
声の途切れは命の終わりを意味していた。
「HTK六六六とやらに行ってた方がマシだったかもしれないっすね。……しっかしどこのアイドルグループっすか、それ」
アイドルは淫魔だけで十分だと心の中で思いながら、鉱は大きく息をついた。
(9) 赤城国際カントリークラブ Battle:7
高速のデブ達がゴルフ場内を駆け巡っていた。
追随するミケ・ドール(凍れる白雪・d00803)をはじめとした灼滅者達を振り切るかのような勢いで野山を疾走するのは、巨体ゆえの殺戮術を身につけた、異形の殺人者たち。
その中でもひときわ背の高い巨漢が、外見に似合わぬ凛々しい声を上げる。
「六六六人衆、獅子山・レオ! 我が師の殺戮術の神髄を見せるため……貴様らを殺戮する!」
「そんな体で殺戮とはね」
「我が師の殺戮術は『速度』と『質量』を基本とする……不肖の弟子たる我には、師ほどに完成されたサイキックは持たぬ」
合間合間に飛んでくるサイキックを回避し、あるいはその肉体で平然と受け止めながら、獅子山は続けた。
「それゆえに、我は物理的な肥大化によって、殺戮術に必要な『質量』を手に入れた。不完全ではあるが、貴様らを殺すには十分だ」
「……方向性、間違ってないかい?」
実際のところ、六六六人衆になった時点で間違っているし、おそらくその点では、殺人鬼たる自分も変わりあるまいとミケは内心で苦笑した。
「切宮殺戮術の誇りにかけて、獅子山レオ、参る!」
「切宮……?」
どこぞの学校で聞いたことがあるような名前だ。そんなことを思いつつ、
「ブラスティング・レオォォォ!!」
号砲のような雄叫びと共に、獅子の闘気がミケを撃たんとする。斜面に身を投げたミケが片手で振るったチェーンソー剣が、獅子山の足を薙いだ。僅かな
「確かに速度は重要なようだ……!」
集中砲火を浴びて、獅子山が崩れ落ちる。
そのまま転がりやすそうな彼の体は、斜面を転がり樹にぶつかって止まった。
「く……だが、これが切宮殺戮術の全てだと思うな……我が師ならば……」
そう言い残し、獅子山は息絶えた。妙な六六六人衆もいたものだと思いながら、カントリークラブを制した灼滅者達は次なる戦場へと向かうのであった。
→有力敵一覧
→(5)赤城南面千本桜(16勝0敗/戦力1832→1032)
→(6)東国文化歴史街道西側(18勝0敗/戦力1200→300)
→(9)赤城国際カントリークラブ(59勝0敗/戦力1670→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。