■第4ターン結果
●(6)東国文化歴史街道西側
夕永・緋織の姿を認めると共に、月翅・朔耶(天狼の黒魔女・d00470)は即座に攻撃に入った。
「おい!!」
「逃がさなければいいんだろう?」
説得を行うつもりのまるで感じられない朔耶の姿に、流石に非難めいた声が飛ぶが、まずは勝たねば話にならないというのは周囲も理解している。
ましてや緋織の方も、こちらへの攻撃を行って来ているのだ。
相手は闇堕ちした灼滅者。
武蔵坂学園の灼滅者達よりも、確実に格上の相手である。
「手加減していて、勝てる相手ではないな……!!」
とはいえ、この戦場内で周囲の敵を倒した後であれば、数を頼みとすることも可能だ。
灼滅者達は着実に周囲の鬼達を片付けると、緋織への攻撃を加えて行った。
朔耶の手の中で、サイキックソードが光を放つ。
光刃が容赦なく緋織を貫き、そして霊犬「リキ」の口にくわえられた刃が、緋織を断ち切る。
崩れ落ちる緋織の体から、ダークネスの気配が消えていく。
「……ご迷惑を、おかけしました」
顔を上げ、ゆっくりと立ち上がる緋織の頭部からは、羅刹の証である角は消えていた。
ダークネスとしての緋織は死に……あるいは彼女自身の魂の中へと帰り、灼滅者としての緋織が戻って来たのだ。
●(8)寺沢ダム
一見すると斜面と沼としか見えないだろう寺沢ダム。
その周辺には、東西の部隊との連絡役を務める羅刹の少女が陣を張っていた。
和服を身に着け、暗紅色の瞳を持つ少女の羅刹は、浅凪・菜月(ほのかな光を描く風の歌・d03403)の闇堕ちした姿に他ならない。
本来の彼女よりもやや大人びた顔立ちは、どこか不確かな憂いに満ちていた。
有力な羅刹として、羅刹の村の長からの命令を受けて活動しているにも関わらず、彼女の顔にはおよそ落ち着きというものが感じられない。
「迎撃しなさい。なるべく、傷つけないように……私も前に出ます」
どこか躊躇うような雰囲気は、彼女が戦いそのものを嫌っていることを感じさせた。
「やらねば、こちらがやられるのです。仕方がないことですね……」
闇堕ちした今、彼女は『羅刹』だ。
彼女にとっての『同胞』たる羅刹達を殺害しながら進軍して来る灼滅者達は敵に他ならない。だが、それでも彼女の中の『灼滅者』たる彼女自身は、その立場を不服としているようであった。
「菜月!」
指輪を握り締めた藤倉・大樹(希望導く闇の狩人・d03818)の声が、菜月の耳を打つ。
瞬間、彼女は我知らず地面に膝をついていた。鬼達に遮られ、菜月の戦場から妨げられた大樹が舌打ちする。
「だ……誰、ですか……?」
それを好機として、灼滅者達は一気に菜月へと攻撃を仕掛けていく。
「事情は知っておるでござるが……まあ、とりあえずやられるでござる」
やがて阿久沢・木菟(汚いでござる忍者モドキ・d12081)の螺穿槍が菜月を貫く。救援に駆けつけた鬼達が、菜月を後方へと下がらせていく。
「クッソ……」
大樹は去っていく菜月の姿を苦々しげに見送った。
『御子』に近付くにつれて困難を増す戦況は、彼女を助けることを困難なものにしようとしているかのように思えた。
●(11)水晶街道
(11) 水晶街道 Battle:4
「デカい狐だな……」
瑠璃垣・恢(皆殺半径・d03192)は、水晶街道の前方に現れた巨大な狐型の眷属を見上げていた。一部で目撃された、鬼火狐と呼ばれる眷属に似ているが、大きさがケタ違いだ。
巨体から放たれる狐火が、水晶街道の水晶に映し出され、光を照り返している。
その鳴き声一つにも、サイキックの力が宿っているのを恢は感じ取る。
だが、倒さなければ突破できないのなら、撃破するのみだ。
「全員突撃。粉砕するぞ」
獣のように殺意をむき出しにして敵陣へと突き進む恢に続いて、灼滅者達は一気に前進した。
水晶洞窟を守る敵の多くは、コルベイン一派から離脱したアンデッド達だ。
以前ならば、強敵と言えたのかも知れない。だが、不死王戦争から僅かな時間で、灼滅者達は不死王戦争に勝利を収めた時よりも、なお強さを増している。
「そして、強大な敵との多人数での戦いなら、慣れている……!!」
黒い霧状のオーラが拳に集まり、巨大な拳を形作る。
降り注ぐ九本の尻尾を殴りつけ、振り払い、掴み取る。
振り回される尻尾の反動と共に、跳ね飛ばされた恢の体は洞窟の天井にまで達する。
足をたわめ、衝撃を吸収した恢の背で、影業が翼のようにはためく。
「終わらせる……!」
首の付け根、狐型眷属の庇う一点へと、殺意を籠めたフォースブレイクが炸裂した。
弾ける衝撃が眷属の首の後ろを弾けさせ、そのまま消滅させていく。
(11) 水晶街道 Battle:35
この洞窟に集まっているのは、コルベインの遺産であるという。
もっとも、倉澤・紫苑(奇想天外ベーシスト・d10392)にとって、それ自体はどうでもいいことではあった。
「個人的に興味はないけど、ここを抜けなきゃいけないわけだし、ね」
紫苑と同様のことを考えている灼滅者は、少なからず居ただろう。
もっとも、それはこの洞窟に集まっているノーライフキング達にとっては屈辱的なことには違いなかった。
「この呪禁法師ドウマの真なる力を使えば、敵も味方も含めて全て皆殺しにするなど簡単なことだというものを……!!」
ドウマを名乗ったノーライフキングの不穏なセリフに、紫苑は眉をしかめる。
だが、その言葉もノーライフキング達にとっては当然のものであったようだ。
「その通りだ! 力を取り戻すのだ!」
「この人達……」
ダークネスなので人と思っていいのかは微妙なところだ。
「力を失うことさえなければ、『奴』の傘下に入るなどせずに済んだのだ……!!」
おそらくサイキックアブソーバーの影響で、力を喪失したのだろうと紫苑は推測する。
「こういうのがダークネスってものよね……」
「何をゴチャゴチャというておる。お前達は、この洞窟で死に、その力を儂に捧げるのじゃ。偉大なる儂の力の一部になれることを、光栄に思うが良い!!」
「冗談にしてはつまらないわよ!」
強烈な呪詛を叩きつけて来るドウマに対し、灼滅者達は捨て身で挑んでいった。
周囲の力の劣るノーライフキングやアンデッド達を撃破し、ドウマの間近へと迫る。立て続けに呪詛を乱発するドウマだが、その髑髏めいた顔にも焦りが浮かぶ。
「おのれ、灼滅者がここまでやるとは聞いておらんぞ!」
実際に、このノーライフキングの力はソロモンの悪魔アモンをも上回っているだろう。単純に、灼滅者達の力が、さらにそれを上回ったというだけの話だ。
飛来する呪詛を回避して、紫苑は地面を蹴るとウロボロスブレイドを振るった。紫苑のティアーズリッパーが胸を引き裂いた瞬間、何事かを悟ったように、ドウマは絶叫する。
「『白の王』め、儂を……、この儂を捨て駒に使ったのか! 無念だ……!!」
その叫びを最後に、ドウマは消滅していく。
残されたローブも、水晶洞窟の床に落ちて消えて行った。
→有力敵一覧
→(5)赤城南面千本桜(12勝0敗/戦力1032→432)
→(6)東国文化歴史街道西側(9勝0敗/戦力300→0/制圧完了!)
→(8)寺沢ダム(9勝0敗/戦力1200→750)
→(11)水晶街道(64勝1敗/戦力1845→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。