羅刹佰鬼陣

    ■第7ターン結果

    ●(7)東国文化歴史街道東側
    「しっかしまぁ、こうもやられると自信なくすぜホント」
     闇堕ちした李白・御理……羅刹の『李白』は、呆れたように
     闇堕ちした灼滅者達は、レベルで3倍、実力で10倍の強さになると言われる。事実、李白の強さは灼滅者達とは比較するのも無意味だ。
     が、それも1対1の話。
     多数の灼滅者達を前にして、李白一人で勝てる道理はなかった。
    「殲術再生弾(キリングリヴァイヴァー)の時間切れまで戦えば、俺達の勝ち。そのための足止めが俺達の役目だったわけが……どうもこりゃ無理っぽいな」
     灼滅者達の攻撃に、李白の顔が苦痛にゆがむのを結城・杜槻(セレスタイトの雨・d01656)は見た。
     もう一押しだ。
     杜槻のガンナイフの銃口から弾丸が吐き出され、通常の銃ではありえないような軌道を描いて李白に突き刺さった。
     血を吐きながら、李白が笑う。
    「やるねぇ……解体して玩具にするには、お前ら強ぇな」
     先程も廿楽・燈(すろーらいふがーる・d08173)から、一緒に帰ろうと言われていたのだ。こうも負けた上で、それに反するというのは李白自身のプライドが認めないのだろう。
    「ま、今回は俺はこいつの中に退散するとしようか。もっとも、コイツが生きてりゃぁ、俺がまた出て来ることもあるだろうぜ。そん時まで、さよならだ!」
     自分がやられるというのにどこか気楽な笑みで、李白は倒れる。
     御理ばかりではなく、他の灼滅者達の中にも、ダークネスは眠っているのだ。
     痛快と言わんばかりの笑い声をあげながら『李白』が倒れ伏す。
     その額から角が消え、本来の御理になるのを、灼滅者達は見つめていた。

    ●(12)夜景パノラマ展望台
    (12) 夜景パノラマ展望台 Battle:4
    「明らかに悪化しているよな」
     桜庭・晴彦(インテリと呼ばせないメガネ・d01855)は、目の前の地獄羅刹に嫌悪感を覚えざるをえなかった。
     死の運命を付与された、地獄羅刹衆「黒縄地獄」の体は、黒縄漢縛りと影縛りの影響か、ミミズ腫れのような跡を縦横無尽に残していた。
     回復サイキックの効果があれば、傷痕など簡単に消える筈なのに、それをしていない。
     体力は回復させても、傷痕は消さない。
     そんな心意気が見え隠れする。
     というか、全く隠していない。

    「何がどうあれ、俺のやる事は変わらねえさ」
     晴彦は、WOKシールドを前面に構えつつ、龍砕斧を構えて突撃し、シールドバッシュの一撃で、黒縄地獄を押しつぶしてみせた。
     それは、鮮やかな手並みであり、黒縄地獄は全く対応することはできなかったようだ。

    「あぁ、これはこれでいい。気持ちいいでよぉ。縛るよりも押しつぶされるのが気持ちいいでよぉ」
     地獄羅刹衆「黒縄地獄」は、涎を垂らした口で、焦点の合わない目で、そして、けいれんする逸物で、シールドバッシュを堪能し、そして灼滅されたのだった。

    「ラグナロクダークネスに生み出された地獄絵図の鬼か……。思えば、哀れなものだよな」
     晴彦は、そういうと、少しだけ、地獄羅刹衆「黒縄地獄」の冥福を祈り、戦場を後にするのだった。

    (12)夜景パノラマ展望台:Battle13
     夜景パノラマ展望台の戦いは、いままさに決着を迎えようとしていた。
     ダークネス側の戦力は既に過半数が失われており、その戦力差は広がるばかり。
     まさに、殲滅戦の様相を呈していた。

    「御子ちゃんは私が守る! 約束したんだ!」
     そんな中でも、摩利矢は獅子奮迅の戦いを見せていた。
    「御子ちゃんは私が守る! 約束したんだ!」
     どれほど傷ついても、その戦いの意志は鈍らない。
    「御子ちゃんは私が守る! 約束したんだ!」
     どれほど絶望的な戦力差であっても、降伏などありえない。
    「御子ちゃんは私が守る! 約束したんだ!」
     だがしかし、その精神は、正常とはいいがたかったかもしれない。

    「もう、いい加減にするんだよ、摩利矢」
     その摩利矢に立ちはだかったのは、渡部・アトリ(高校生ダンピール・d10178)であった。
     アトリは、無敵斬艦刀を摩利矢につきつける。
    「御子ちゃんを守る? 今の摩利矢には全然無理だね」
     アトリの言葉に、摩利矢は戦いの手を止めてアトリの目をのぞき込んだ。

    「無理? 何を根拠にそんな事を言うの? 御子ちゃんと私の絆は絶対に断ち切れはしないのに」
     摩利矢は、心からそう信じて拳を振るう。

     が、アトリは、冷めた口調で真実を伝えるのみ。
    「御子は、僕の仲間が闇堕ちから救うだろう。だから、摩利矢がしている事は全部無駄なんだ」
     そして、アトリは、摩利矢を灼滅すべく、最後の一撃を繰り出した。
    「僕も霧栖と同じで、摩利矢を説得しない。助かるかどうかは……天に聞くんだな」
     そして、アトリの無慈悲なご当地キックが、摩利矢の胸に吸い込まれる──!

    ●(16)地獄絵図の間
    (16) 地獄絵図の間 Battle:48
     地獄羅刹衆「大叫喚地獄」との戦いは、佳境を迎えていた。
     「大叫喚地獄」と刻印された大釜から溢れ出す湯は、サイキックとして灼滅者達に深刻な傷を与えうるものだ。
     風祭・千里(最後の忍道・d02945)の健康的な肌も、蒸気を浴びただけでひきつれたような痛みを訴えている。
    「ささ、4列に並んで私の蒸気浴をご体感下さいませ!」
    「わしらに浴びせるには、ちと熱過ぎるのう!」
     千里は頭上から降り注いでくる飛沫をさけながら、大叫喚地獄の足元へと飛び込んだ。
     相手の弱点は明白、それは、
    「おぬし、両手を塞がれていては近付かれては攻撃をふせげまい」
    「いえいえ、そこは私自慢の健脚で……って速っ!」
     千里は、その長い髪を床に着かせることもなく疾走する。
     鬼の上半身へと達した千里の手の中で刃が閃き、鬼の両脇から血がしぶいた。
    「あっあっあっ……重い……」
     力が抜けた上半身は釜を持ち上げ続けることすらできず、大叫喚地獄は自らの釜に押しつぶされながら消滅していく。
    「健脚勝負でわしに勝とうなどとは千年速いのう」
     忍者の末裔たる少女は、不敵にそういうのだった。

    (16) 地獄絵図の間 Battle:9
    「邪魔! 邪魔だから!! 君の優先度低いんだよ!」
     再び灼滅者達の前を遮る「赤城山の獣」バルトロンの巨体に向けて、竹宮・友梨(鳴歌巫医・d00883)は矢継ぎ早に神薙刃を撃ち出していた。小山のような巨体のイフリートは、友梨の言葉に低く唸る。
    「ウヌゥ……ジャマダトイウナラバ、キサマラガユクテヲハバマヌナラワレハタタカワヌガ」
    「あれ、案外理性的」
     だったら、この強力なイフリートを撃破せずにおいても問題ないのかも知れない。
     そう思いかけ、友梨は油断こそせぬままに、バルトロンに問いかける。
    「ちなみに、ここで君を通したらどうするんだい?」
    「ワレハ、ワレガシスベキバショヘトオモムク。ワタチトニクヲがいおうがニササゲルノダ」
    「ちなみに、そうするとどうなるの?」
    「ムロン、ワレラガらぐなろくだーくねすタルがいおうがガヨミガエリ、ホノオノオウコクヲ……」
    「あ、ゴメン前言撤回。ダメだソレ」
    「グヌヌ……!!」
     せっかくクロキバやアカハガネをはじめとして、ガイオウガ一派のイフリートを適当にあしらうことが出来ているというのに、ここでまたガイオウガ一派を刺激するような事態が起きてはよろしくない。
     バルトロンを通してはならないという事実が明らかとなると、灼滅者達の攻撃は一層強まった。やがて友梨の神薙刃がバルトロンを引き裂く。
     かくして、ラグナロクダークネスガイオウガの復活は未然に阻止されるのだった。

    (16) 地獄絵図の間 Battle:24
     ラグナロクダークネス「御子」の周囲は、鬼達と灼滅者達との戦場となっていた。灼滅者達の攻撃に対して鬼達は次々と集まり、自らの主たる御子を守らんとする。その暴風雨のような暴力の中で、鬼神楽・神羅(鬼の腕・d14965)の視線は御子を鋭く射抜いた。

     自分よりも遥かに強力な存在であるはずのラグナロクダークネス。
     ラグナロクダークネスと化すと同時に僅かに年を重ねたようだが、灼滅者達からの説得の言葉を投げかけられる今の彼女は、神楽とさして年も変わらない少女に過ぎないかのように見えた。
     灼滅者達の攻撃に曼荼羅が揺らぎ、光が薄れる。
     神羅はマテリアルロッドを一振りして曼荼羅からの雷を受け止めると、一気に御子への距離を詰める。

    「摩利矢殿を止めて救えるのは、今汝だけであると気付け! 今なら間に合う! 汝には伝わっていよう!」
    「摩利矢を脅かしているのは、あなたの仲間たちでしょう!」
     上泉・摩利矢との繋がりが、時折薄れるのを御子は感じていた。摩利矢が生命の危機にさらされているのだ。それも、灼滅者達との戦いによって。
    「汝と摩利矢殿は普通に生きて行ける!」
    「普通とは何です! また元の通りに生きろというのですか!」
     『御子』は血を吐くように言った。
     ラグナロクとして狭い村の中に幽閉され続け、一切の自由なく羅刹の戦略兵器としての存在しか認められなかったのが、『御子』のこれまでの人生だ。
     ラグナロクダークネスとなった今、彼女は羅刹を支配するものとして初めての自由を得たのだ。ラグナロクに戻って、それを失うことは出来ない……。
     しかし、神羅は御子にとって、思いもよらぬことを口にした。

    「だから……拙者の一撃をもって、『汝を灼滅者にしよう』!!」
     神羅の言葉に、御子はおろか、周囲の灼滅者達までもが瞠目した。
    「何を……!?」
    「御託はここまでだ。汝を一人の灼滅者にしてやる。この一撃を受け入れよ!」
     神羅の拳が羅刹の如く変化した。鬼神変の一撃が御子を撃ちぬく。
     ラグナロクダークネスであることを示す曼荼羅が消え、頭部の角が消えて元の年齢へと戻り……そして、本来の姿に戻った御子から、彼女がラグナロクであることを示す『契約の刻印』までもが消失する。
     地獄絵図の間が消え、灼滅者達は羅刹の村へと再び姿を現していた。

    「……上手く行ったか」
    「すまん。説明してくれ……灼滅者になったのか?」
     御子の体を神羅の言葉に、周囲の灼滅者達が首を傾げた。
     中には神羅と同じように御子を説得しようとしていた者も含まれていた。

    「ラグナロクダークネスとはいえ、ダークネスから元に戻れる可能性があるとすれば、それは灼滅者の素質を持つ者以外にありえないだろう。
     故に、拙者は御子殿が『灼滅者の素質を持っている』ことに賭けた」
    「常識的には、むしろそちらが正しいのか」

     ありえない、とは言い切れない。
     大体、ラグナロクダークネスを闇堕ちから解放しようなどと真剣に考える勢力が、ダークネスの人類支配以降、いまだかつて存在したはずもないのだ。
     自分達がどれだけ常識に外れたことをしようとしていたのか、改めて灼滅者達は感じ取る。
     大体、単にラグナロクに戻っても、意味はないのだと神羅は思う。

    「今までの人生が異常に過ぎたのだ。普通に生きるが良いであろう。……灼滅者としてではあるが」
     灼滅者としての人生とて、『普通』とはかけ離れている。
     それでも、彼女が生きて来た幽閉の人生を思えば、遥かに良いに決まっているに違いない。
    「……ありがとう」
     目を覚ました御子の笑顔に、神羅はそう思うのだった。

    ●(12)夜景パノラマ展望台
    「あっ……。御子……ちゃん……?」
     アトリのキックにより、摩利矢が灼滅されるその寸前、御子の力が摩利矢を包み、致命の一撃を回避させる。
     そして、更に……。
    「……御子ちゃん、どこ? えっ、その姿は……」
     摩利矢は驚いたような表情のまま、糸が切れたように頽れたのだった。
     それは、地獄絵図の間で御子が倒された事が原因であったのだろうか……。

     アトリは目の前で奇跡を見た。
     摩利矢の額の黒曜石が消えていく、その奇跡を……。

    「とりあえず、御子が救われれば、契約者も救われるという事だね。まぁ、悪く無い結末だ」
     ならば、自分が言うべき事は一つしかない。
    「御子と摩利矢の本当の物語は、ここからが始まりなんだな」
     それは、そうなれば良いという、期待を込めた言葉であった。

     そしてアトリは、倒れた摩利矢を背負い、赤城山を下りはじめた。

    ●(14)長七郎山
    「ふふふ……♪」
     長七郎山に布陣するソロモンの悪魔の首魁、美醜のベレーザは鼻歌交じりに戦場を見下ろしていた。
     戦いは、どうやら、灼滅者の勝利に終わったようだ。
     側に控える「真なる姿の」筒井・柾賢は、そのベレーザにぐしゅぐしゅと話し掛けた。

    「筒井君は言っています。
    『戦争に敗北したというのに、ベレーザは何が楽しいですか?』
     と。ぐしゅ、ぐしゅしゅ、ぐしゅしゅしゅしゅしゅ」

    「いいこと、柾賢。あの灼滅者はね、蒼の王を灼滅し、この私に死の恐怖を味合わせたのよ。田舎の羅刹ごとき、いくら、ラグナロクダークネスを擁したといっても、勝てる道理が無いでしょう?」

     ベレーザは美しい半面で艶やかに微笑み、醜き半面で不気味に笑った。
    「だからね、柾賢。あなたは、すぐに、山を下りなさい。そして、可能な限り多くの手駒を連れて、戻ってくるのよ。ふふふ、これだけの敗残の兵を手駒に加えられれば、ハルファス様だって、無碍にはできないわ。アモンの遺産の残りは、レヒトに熨斗をつけて贈呈しようってものよ」

     上機嫌なベレーザの命令に、柾賢はぐしゅぐしゅと気持ち悪い音をたてながら首肯し、山頂を後にしたのだった。
     ベレーザ・レイドの挑戦は、まだ続くようだ。

     そして、山を降りた柾賢は……。
    「ぐしゅぐしゅしゅしゅしゅ。
     筒井君は言っています。
    『武蔵坂学園の灼滅者は、なにをおいても、私とベレーザを倒しに来るべきでしたでしょう。
     こんな簡単な事を、どうして、わからなかったのでしょう』
     と。ぐしゅしゅしゅしゅしゅしゅ」

     この柾賢の、あまりといえばあまりに自分本位な言葉は、誰にも聞かれることなく、赤城の山に消えたのだった……。

    →有力敵一覧

    →(7)東国文化歴史街道東側(9勝0敗/戦力50→0/制圧完了!)

    →(10)三夜沢赤城神社(6勝0敗/戦力1341→1041)

    →(12)夜景パノラマ展望台(20勝0敗/戦力750→0/制圧完了!)

    →(13)赤城白樺牧場(7勝2敗/戦力1550→1200)

    →(16)地獄絵図の間(46勝2敗/戦力1500→0/制圧完了!)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    李白・御理
    200
    ★★
    (7)東国文化歴史街道東側:Battle9にて、結城・杜槻(セレスタイトの雨・d01656)に倒される。

    ただでさえ気持ち悪いのにさらにやばい奴
    180
    ★★★
    (10)三夜沢赤城神社:Battle3にて、木通・心葉(パープルトリガー・d05961)に死の宿命を付与される。

    「箕輪御前」鈴山・虎子
    200
    ★★★
    (10)三夜沢赤城神社:Battle6にて、枷々・戦(学園一の夏男・d02124)に死の宿命を付与される。

    地獄羅刹衆「黒縄地獄」
    180
    (12)夜景パノラマ展望台:Battle4にて、桜庭・晴彦(インテリと呼ばせないメガネ・d01855)に倒される。

    上泉・摩利矢
    250
    (12)夜景パノラマ展望台:Battle13にて、渡部・アトリ(高校生ダンピール・d10178)に倒される。

    怨霊の守ゴジョウミヤ
    180
    ★★★
    (13)赤城白樺牧場:Battle3にて、水流丸・冬馬(高校生神薙使い・d10513)に死の宿命を付与される。

    「赤城山の獣」バルトロン
    250
    (16)地獄絵図の間:Battle9にて、竹宮・友梨(鳴歌巫医・d00883)に倒される。

    「御子」
    400
    (16)地獄絵図の間:Battle24にて、鬼神楽・神羅(鬼の腕・d14965)に倒される。

    地獄羅刹衆「大叫喚地獄」
    180
    (16)地獄絵図の間:Battle48にて、風祭・千里(最後の忍道・d02945)に倒される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

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