■第5ターン結果
●朱雀門・瑠架
灼滅者達のくりだすサイキックが、タトゥーバットの群れを蹴散らしていく。
嵐の如く飛び交っていた眷属も、もはや僅かな数を残すのみとなり、その中心にいる瑠架の姿を明らかとしていた。
瑠架の体は、無数の眷属の集合体として巨人のような大きさとなっている。
抵抗が弱まったのを機に、一気に瑠架を取り込みにかかろうとする黒の王の闇よりも早く、灼滅者達は朱雀門・瑠架の元へと至る。
「瑠架さん……!!」
『来ましたね。では、決着をつけましょう』
シャオ・フィルナート(d36107)の声に、瑠架は彼の方を見た。
瑠架の全身を覆っていたマントの内から広がるエネルギーと無数の鎖が、灼滅者達へと襲い掛かっていた。
シャオの手にした断罪の剣が、向かって来る瑠架の鎖を断ち切ると、鎖はサイキックエナジーと化して散った。
「俺は……種族関係無い、本当の『共存』を望んでた……」
「おそらく、私の考える『共存』と、あなたの考える『共存』は違っています。
本当の『共存』とは、何なのでしょうね」
その言葉は、あまりにも意味が広い。
ダークネス達による一般人の支配も、ある面では『共存』だ。
ダークネスの邪悪さも、それによる犠牲も、果ては闇堕ちという現象さえ、多くの灼滅者は許容できないのではないか。
「あなたがどんなに望んだとしても、あなたの『死』を許容することは、違う!!
瑠架さんがどんなに死を望んでも……助けたい。ただのわがままだったとしても」
少なくともシャオの目には、彼女は『共存』しうる存在であると写っていた。
考えは異なるとはいえ、幾らでも考えなど変えることが出来る。
生きてさえいれば。だが、サイキックハーツの大量出現は、それすらも許さない。
既に多数の眷属を放出していた瑠架の力は、見る間に弱まっていった。
殺すことを望まぬまま、シャオは歌声を瑠架へと向ける。
瑠架の巨人態を構築していた眷属が崩れ、中から瑠架の裸身がまろび出る。
極力手加減しての一撃が、瑠架の胸へと導かれるように入った。
「……ごめんなさい」
「気に病むことはありません。人類存続の可能性を、私があなた達に勝手に押し付けているだけの話です」
シャオだけでなく、灼滅者達は瑠架からのサイキックハーツとしての力が流れ込んで来るのを感じていた。灼滅者達が帯びる殲術再生弾の力が強まっていく。
「こちらにはサイキックハーツの力があるんだ。瑠架を灼滅者として切り離すことはできないのか?」
【シス・テマ教団】のワルゼー・マシュヴァンテ(d11167)らが、流れ込んで来るサイキックハーツの力に意識を向ける。
サイキックハーツが同種の個体を切り離すことが出来るならば、瑠架にもそれが出来るのではないかと。
だが、灼滅者になる資質は瑠架には元からない。でなければ、1年以上に及びダークネスのまま武蔵坂学園で拘禁することもなかっただろう。
「……おかしな人達です」
世界の行く末に関する意見は異なり、おそらく利害が一致することもない。
ましてや自分はダークネスで、敵だ。
それでも、自分の死を望まない者が何人もいるということに、瑠架は困ったように眉を寄せた。
「……ごめんなさい。手間をかけさせました。後は、お任せします」
瑠架の存在が、かき消えていく。
●消えゆく者達
「どうやら、決着がついたようだな。朱雀門・瑠架の望んだ通りになったか」
タトゥーバットの群れを突破した森下・良平(d29279)達の前には、鞍馬天狗が現れていた。
だが、その存在が次第に薄れ、消えていくのが、良平達の目に映る。
聖女ガラシャの陣の方でも、同様の現象が起きているようだった。
「どうなっているんだ?」
「サイキックハーツに魂を預けた者の末路だ。サイキックハーツの中心たる存在が滅びれば、共に滅びる」
淡々という鞍馬天狗。
『精神防衛戦』でソウルボードに来た時点で、サイキックハーツとなった瑠架の力を受け入れていたのだろう。
「あの娘の行く末を見届けるのが、ルイス・フロイスの最後の依頼だ。鴉天狗……アメリカンコンドルに会ったら伝えてくれ。地獄で待っているとな」
そう言葉を残し、鞍馬天狗は瑠架に続いて消滅していく。
破壊の痕跡だけを残し、
瑠架の力を得られなくなった黒の王もまた、破壊の痕跡だけを残して西東京市から消えていく。
かくして、瑠架との戦いは終わった。
だが、次なるサイキックハーツは、既に動き出そうとしていた!!
→有力敵一覧
→(2)タトゥーバット群(3勝0敗/戦力150→0/制圧完了!)
→(8)朱雀門・瑠架(19勝2敗/戦力150→0/制圧完了!)
→(9)『黒の王』朱雀門・継人(7勝5敗/戦力3600→3250)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。