■第5ターン結果
●サイキックハーツ『グラシャ・ラボラス』
「オセ。ザガン。フュルフュール。ヴァレフォール……」
サイキックハーツ『グラシャ・ラボラス』は、ゆっくりと倒れたソロモンの大悪魔達の名を数える。
大悪魔達の魂を取り込んでいたグラシャ・ラボラスの力は、戦闘の開始前と比べ、大きく減退していた。
それでもなお、灼滅者達が遭遇した中でも最強クラスの敵達と同等の力を、このサイキックハーツは保っていた。
「アムドシアスとアスモダイは逃げやがったか。まあ、そういう奴らだな」
吐き捨てるように言うと、グラシャ・ラボラスは灼滅者達を見下ろした。
その巨大な肉体も、総攻撃の時に比べれば幾分か大きさを減じているようだ。
「やはりソウルボードは正しかったな。他の大悪魔連中がどう思っていようと、俺が選ばれたのは当然の帰結だ」
グラシャ・ラボラスの全身からの魔力の迸りが、灼滅者達の肌を叩く。
アデーレ・クライバー(地下の住人・d16871)が、勇気を奮い起こすように声を上げた。
「随分と自信があるようね?」
「当然だ。戦うこともなく『ソロモンの鍵』の奥に引きこもってた年寄りどもに、戦い続けて来た『軍』の俺が魂の強さで負けるわけがあるか」
「その割りに、絶対空間の案に乗ったの?」
「絶対空間とやらが出来たら、まずはあの不死王と殺し合って力を奪うに決まっているだろう? それに未来の方がきっと人口は増えている。殺戮するならそっちの方がいい」
心底不思議そうに、グラシャ・ラボラスは問うてくる。
アンリもそうだが、こちらも同盟など守り続ける気は最初から無かったようだ。
「ダークネス同士って……」
アデーレは一瞬、アスモダイ達の裏切りについて指摘しようかと思い、止めた。
おそらく、この大悪魔がそれで動揺するようなことも無いだろう。
知性に欠けるだのなんだのと散々な言われようのサイキックハーツだが、その『殺戮』を望む意志は、限りなく強い。
「俺の強さは『殺戮』を望むソウルボードの強さ。
どれだけの『殺意』が世界に積もり積もっていたかの証拠だ!」
最後の僅かな手勢と共に、グラシャ・ラボラスは灼滅者達へと襲い掛かる。
その翼が超魔術空間を舞い、さらにその翼の中からは無数の目を持たぬ猟犬が飛び出しては、灼滅者達を引きちぎりにかかる。
「人間改造病院の連中も、お前達も、良いな! 必死に足掻き、もがき続けながら勝利を掴もうと殺戮を繰り返す!」
灼滅者達の戦いぶりを賞賛するグラシャ・ラボラス。
凄まじい力は超魔術空間を吹き荒れ──そしてその嵐が止んだ時、彼の前には倒れた灼滅者達の姿があった。
「もっと、大悪魔達を倒せていれば……」
「殺す気でやったが、まだ生きているのか。そういえばお前達は簡単には死なないんだったな。その辺りは人間改造病院とは違うか」
戦場にただ一人残ったグラシャ・ラボラスは、感嘆するように言うと、虚空に巨大な魔法陣を展開させた。
大悪魔がソロモンの鍵を出入りするための、転送魔法陣だ。
志穂崎・藍(蒼天の瞳・d22880)が叫ぶ。
「逃げる気!?」
「ああ、この場は退かせてもらおう。どうやら、勝ち目は無さそうだ」
巨大な魔法陣が、グラシャ・ラボラスを呑み込んでいく。
「また戦おう。『サイキックハーツ大戦』が終わらぬ限り、再びその機会は訪れる!」
その言葉を残し、グラシャ・ラボラスは姿を消した。
『ソロモンの鍵』を捨て、彼が何処にいこうというのか。
灼滅者達は嫌な胸騒ぎを覚えながら、残るサイキックハーツ、不死王アンリの元を目指すのだった。
・グラシャ・ラボラスが戦場から撤退しました。これに伴い、ソロモンの悪魔軍が全軍撤退しました。
・上記撤退によって、援軍が停止したことを受け、不死王アンリの戦力が減少しました。
→有力敵一覧
→(2)ウヴァル(1勝5敗/戦力1150→880)
→(3)アンドレアルフス(2勝1敗/戦力1690→1150)
→(13)グラシャ・ラボラス(21勝3敗/戦力870→0/制圧完了!)
→(16)不死王アンリ(3勝1敗/戦力1663→853)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。