サイキックハーツ大戦

    ■第5ターン結果

    ●八波木々・木波子
    「やー、また会ったね」
     八波木々・木波子は、やってきた灼滅者達に、大鎌と処刑剣を振って挨拶をする。
     旧知の友人への挨拶は、だが、戦闘の始まりを告げる合図に過ぎなかった。
    「あんたたち、またまた強くなったんだよね? サイキックハーツを倒してその力を喰らって強くなっていくなんて、とんだチートだわ」
     木波子の揶揄に、真咲・りね(花簪・d14861)が可愛らしく言い返す。
    「喰らったのではありませんよ、受け継いだのです♪」
     ダークネスがサイキックハーツ大戦の勝利者となれば、遠からず今の世界が滅亡する事だろう。
     現在の情勢で、それを防げる可能性は、灼滅者がサイキックハーツ大戦に勝利する事だけ。その為に使える力ならば全て使う。それが、灼滅者の選択だ。
    「私たちは、全ての生ある皆の為に戦っているのです!!」
     そのりねの言葉に、木波子は呆れたように肩を竦めて首を振った。
    「強くなったといっても、まだまだね。戦うのに理由を求めているうちは、本当の強さは得られないわよ?」
    「理由の無い殺人を繰り返す六六六人衆には言われたくないですよ。それにですね、戦いう意味を考え続ける事が、きっと、私たちが私たちの力の源なんです!」
     木波子とりねは、互いに見つめ合う。
     相容れない主張、相容れない思い、そして、灼滅者とダークネスという相容れない存在。彼らは、どうあっても戦わざるを得ない存在なのだろう。

    「ひっさつ、虚空ギロチンだよ!」
     最期の足掻きとばかりに、木波子の大鎌が戦場に閃く、
    「この角度ならっ♪ 必殺鬼神変!」
     しかし、りねの右腕がそれより先に巨大化し、凄まじい勢いで殴り飛ばす。
     木波子は、無残な有様で地面に叩きつけられた。
    「桜川さん、止めをお願いです!」
    「うん!」
     りねは、最後の止めを刺すようにと、木波子に因縁を持つ桜川・るりか(虹追い・d02990)を促す。だが、駆け寄ったるりかは、既にその必要がないことを悟った。
    「神判は、こっちに下ったみたいだね。あははははは……」
     笑う声から次第に力が抜けると共に、木波子の体は消滅していく。
    「勢い余ってしまいましたね」
    「ううん、これで多分良かったんだよ」
     少し申し訳なさそうなりねに、るりかが声をかけて、この戦場の戦いは幕を閉じたのだった。


    ●ロード・プラチナ
     デモノイドロードとしてサイキックハーツとなったロード・プラチナは、すべてのデモノイドの魂を束ねる首魁となった。
     それまで爵位級ヴァンパイアの傘下に組み入れられ、たとえ強くとも兵隊扱いされていたロード・プラチナ達にとって、それは世界が開けるような喜びに満ちていたはずであった。

    『うずめ様(巫女)』の裏切りなどもあったが些細なこと。
     あとの残るダークネスのサイキックハーツはヴァンパイア朱雀門・継人のみ。
     彼もまた、剣樹卿アラベスクを完全に制御出来ているとは言い難い。
     この戦争を凌ぎ切ることが、デモノイドの勝利を確かなものにするはずだった。
     だが、しかし。

    『……体が、重い……!!』
     彼女のドラゴンの姿の制御は、レアメタルナンバー達の力にも支えられていた。
     将たるレアメタルナンバー達の死は、その制御力を大きく削ぎ、ロード・プラチナの力はさらに灼滅者達の攻撃を受けて、刻一刻と減じていく。
     プラチナの巨大なドラゴンの体の上は、既に戦場となっていた。
     ドラゴンを構成する鉱石、その一つ一つがデモノイドだ。
     ロード・クロムが遺したクロムナイトから、プラチナ自らが開発したデモノイド。
     デモノイドの中でも強力な者達を出現させ、灼滅者達へとぶつけているが、灼滅者達は肉体を構成する鉱石を次々と飛び移り、デモノイドを撃破しながらプラチナの本体がいる頭部へと迫りつつある。
    「いくで、想希!」
    「はい、悟さん」
     東当・悟(の身長はプラス三センチ・d00662)と若宮・想希(希望を想う・d01722)が互いを庇い合いながらデモノイドを撃破する姿に、ロード・プラチナは歯噛みする。
    「灼滅者……! 数多のロード達を殺した、デモノイドにすら及ばない、ダークネスのなり損ないが!」
     憎悪と共に吐き出されるブレスには、プラチナとマンガンの力のみが宿っている。
     本来はプラチナを含め六つの力を宿していたブレスは、その力を大きく減じていた。
     灼滅者達はそれを凌ぎ切り、さらにプラチナの本体へと迫る。

     ロード・プラチナは事ここに至るまで、灼滅者達と、直接交戦したことは無い。
     ただ爵位級ヴァンパイアやデモノイドロード達すらも退ける、強大な敵としてのみ認識しているだけだ。
     灼滅者達の中にも、ロード・プラチナへ直接恨みを持つという者もいるかどうか。
     ただ、互いの目的を果たす上での障害だからこそ、殺し合う間柄だ。
    「才能っちゅうんも、皮肉なもんやな」
     悟は前方の金属塊の中に、プラチナの少女の姿を認めて呟いた。
     悪心によってデモノイド細胞を制御し、人間の姿を保ちながらもデモノイドの力を駆使する才能の持ち主、デモノイドロード。
     その中でも大地の力を操るレアメタルナンバーであり、さらに『最強』に至ったロード・プラチナは、まさに運命に選ばれし存在であったと言って良いだろう。
     だが、それが必ずしも幸福とは限らない。
    「強いからって勝てるとは限らんのが戦いやしな」
     ただの強い弱いを問うならば、灼滅者達はダークネスに勝つことは出来なかっただろう。今だって、1対1でロード・プラチナと戦って、勝てる灼滅者達など存在しない。
     それでも、勝つのだ。

    「俺は、東当悟や! ロード・プラチナ! お前を倒す男の名や! 覚えとけや!」
    『東当悟……殺す! お前だけは!!』
     ロード・プラチナの敵意が自分へと向いたことを悟は感じた。
     竜の咆哮が天地を振るわせ、物理的な圧力を伴って灼滅者達を襲う。
    「おお……こわ、ビリビリ来るわ」
    「余計なことを言うからですよ」
    「何、大丈夫やろ。想希もおるんや」
     崩壊していく巨竜の上を、悟は想希と共に駆け抜ける。
     吹き荒れる鉱石の嵐が秘める力は、かつてのサイキックハーツたるガイオウガの力をも上回っていただろう。
     だが、飛来する鉱石を立て続けに砕き割りながら、悟はプラチナの本体へと急接近していく。そして、
    「これで──しまいや!!」
     十字を描くように、サイキックが叩き込まれた。
     鉱石の中にあったプラチナはしばし信じられないように己の受けた傷を凝視したかと思うと、次の瞬間には砕け散った。本体を失った竜が、音を立てて崩れ落ちていく。
    「こりゃ痛そうやなあ」
    「我慢ですね」
     巨竜が地面に墜落する轟音は、第五のサイキックハーツに灼滅者達が勝利したことを告げていた。

    ●????
     十字卿シュラウドの戦場の先は、サイキックハーツ大戦の他のどの戦場とも違う、異質な光が生まれていた。
    「この戦場は……何なの?」
     フローレンツィア・アステローペ(紅月の魔・d07153)達灼滅者は、その違和感の元を辿るべく、怪しい赤い光の元へと歩を進める。
     そして、赤き光の先にいたのは、十字卿シュラウドとよく似た、しかし全く異質の気配を発する全身鎧のダークネスであった。
     いや、果たして、これはダークネスなのであろうか?
    「あなたは、何者なの? 真の十字卿シュラウドだとでもいうの?」
     更に近づいた荒谷・耀(一耀・d31795)達は、かの鎧が一切の継ぎ目無く、その体を覆っている事に気づく。
     その鎧は、敵の攻撃を防御するのではなく、まるで、中にいる存在を外気に全く触れさせないた為にあるかのようで……。

    「タカトかっ!」
     灼滅者の一人が思わず叫ぶ。
     光の存在たるタカトがまとっていた宇宙服と……外気を完全に遮断する鎧が、重なって見えたのだ。
     鎧から漏れ出る赤き光が、タカトという言葉に反応するように怪しく明滅する。
     その光の明滅を見た灼滅者の脳裏には、視覚から入り込んだ光が音となり展開されていった。
    『ワレ・ハ・タ・カト・デ・ハ・ナイ。マツ・タ・キ・ヒ・カリ・ナリ』
     と。
    「お前も、タカトと同じ、光の存在であるとでも言うのか?」
     若桜・和弥(山桜花・d31076)が疑問を投げかける。
     その疑問に答えるように、光が瞬く。
     光を音として聞くことに慣れてきたのか、今度は、よりはっきりとその意思に触れ聞き取る事が出来た。
    「我ハ、ヒカリノ存ザイ也。カツテ、サイキックハーツに至ったモノのザンシが集合セシモノ」
     その返答は、ある意味予想通りで、また、予想外のものであった。
    「ヒカリの存在が、サイキックハーツに至ったもの残滓だと? だとすると、お前の目的は!!」
     叫ぶように問い返すニコ・ベルクシュタイン(花冠の幻・d03078)に、その光が更に応えを明滅する。
    「我らの望みは、ソウルボードを未来永劫消滅させる事也。知的生命体を全き光とする事也。一切の闇の無い知的生命体の創造也」
     今度は、光の意志が明確に灼滅者達の意識に入り込んで来る。
     言葉を理解した灼滅者達は、この光の存在を自称する者に、悪意が無い事も理解できていた。
    「でも、この存在とは分かり合えない……」
    「どうやら、そのようだ」
     椿森・郁(カメリア・d00466)と山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)は頷きを交わす。
     この光が絶対に理解し合えない異質なものである事を、彼女達は理解していた。

     全ての知的生命体を、闇を一切もたない光の存在とする。
     それは、一見、とても素晴らしい事に思える。
     が、果たして、そうなった人間は、同じ人間といえるのだろうか?
     闇堕ちした人間が別人格であるのならば、光の存在もまた、別の人格ではないのか?
     つまり、全ての知的生命体を光の存在とするという言葉の意味は、全ての知的生命体を滅ぼし尽くすということでは?

     もしかしたら違うかもしれない。
     時間を掛けて研究すれば、光の存在と共存する未来を考えられるかもしれない。
     だが、自分達はここで決断しなければならない。
     灼滅者達は、決意の眼差しで互いに視線を合わせた。

     この決断が、光り輝く未来を失わせることになるのかもしれない。
     しかし、全ての知的生命体の滅びに繋がる危険があるのならば、ここで食い止めねばならないのだ。
    「灼滅者の責務として、あなたを滅ぼします!」
     杉下・彰(祈星・d00361)は、その決意で殲術道具を取り、そして、『光の存在』が纏う鎧に向けてサイキックを撃ち放つ。
     かの鎧は強固であった。
     だが、それも、サイキックハーツの力を宿した灼滅者の前にはいつしか綻び、そして、ごくわずかに亀裂が入った。
    「なんという硬さ……! これだけやって、亀裂が入っただけとは」
     息を切らせるライラ・ドットハック(蒼き天狼・d04068)。
     だが、その亀裂の効果は劇的であった。
     わずかな亀裂によって外気に触れた光は、虹色に激しく乱舞すると断末魔の光を放ち、そして消滅してしまったのだ。
     光を覆っていた鎧もガラガラと崩れそして消滅していく……。

    「これで、倒したという事でしょうか?」
     灼滅者達は、釈然としない思いで、その崩壊を見守るしかできなかった。

    ・サイキックハーツ『ロード・プラチナ』灼滅により、全てのデモノイドが消滅しました。
    ・(10)の制圧により、(20)の戦力が大きく減少!

    →有力敵一覧

    →(9)ロード・マンガン(2勝0敗/戦力3180→2660)

    →(10)八波木々・木波子(4勝0敗/戦力680→0/制圧完了!)

    →(13)ジョン・スミス(1勝1敗/戦力2200→1940)

    →(15)朱雀門・継人(4勝2敗/戦力1940→900)

    →(17)????(15勝0敗/戦力3000→0/制圧完了!)

    →(19)ロード・プラチナ(18勝3敗/戦力4419→0/制圧完了!)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    八波木々・木波子
    1410
    (10)八波木々・木波子:Battle4にて、真咲・りね(花簪・d14861)に倒される。

    サイキックハーツ『ロード・プラチナ』
    6500
    (19)ロード・プラチナ:Battle4にて、東当・悟(の身長はプラス三センチ・d00662)に倒される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

    戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。

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