新宿防衛戦

    ■第4ターン結果

    ●(6)早稲田:Battle5
     早稲田大学と早稲田高校の間にある地域の町並みは、一夜にして大きく様変わりしていた。
     そこは、まるで、古いドイツの町並みのように。
    「そんな馬鹿な、いくら、ゲルマンシャークといっても、ここまでのパワーがあるなんて」
     慌てて駆けつける灼滅者達。
     だが、近づいてみると、その町並みには大きな違和感があった。
    「……これは、写真?」
    「そのようです。大きな布にドイツの建物の写真を印刷して、建物にかけているみたいです」
    「これ、すっごいお金かかってるよね。でも、本当にこれで、ご当地パワーって集まったりするのかな?」
     そう、九条・千早(春風の少女・d00148)が疑問を呈した時、高いところからソレが姿を表した。
     その姿は、まるで、飛空艇のようで……。
    「もしかして、ゲルマンシャーク!!」
     誰もが、そう叫びそうになったが、微妙に違う事に千早達は気づいた。
     そして、その飛空艇のようなソレは、格好良いポーズを取ると、シュタッと地面に着地して、こう名乗ったのだ。
    「我をゲルマンシャーク様と間違えるとは、まだまだ甘い。我こそは、LZ129。ゲルマンの科学力が世界に誇る、飛空艇のご当地怪人である」
     と。そして、更に、
    「朱雀門高校の助力により、札幌でそこそこのゲルマンパワーを取得する事ができた。この新宿で、更なるゲルマンパワーを獲得するのだ。ロード・シラヌイのベルリンタワー計画、邪魔させるわけにはいかぬ」
     そういうと、LZ129は、比較的華麗にスタイリッシュな戦闘スタイルで、灼滅者達の前に立ち向かったのだった。
     華麗な回避で戦場を舞うLZ129。
     椿の攻撃が、薫の攻撃が、立て続け華麗にに回避される。
     そんな混戦の中、
    「弾けろ☆」
     と放たれた羊飼丘・子羊のフォースブレイクが、その回避の連鎖を止め、更に、水素的な何かが充満していた頭部に大ダメージを与えたのだ。
     そのダメージの苛烈さは、札幌の象徴であるテレビ塔にちょっかいをだしたことに対する、北国のヒュー☆ヒーロー子羊の怒り(ぷんすか)であったかもしれない。

     この攻撃で瀕死となったLZ129に、千早が素早く影喰らいを放ち、LZ129の命運を断ちきった。
     くずおれるLZ129は、軽く爆発しつつドイツ風の町並み(写真)に倒れかかり、その重みで、町を覆っていた垂れ幕の一部が剥がれ落ちる……。
     その様子は、ゲルマン勢力の敗北を暗示しているようであった。

    「まさか、この、ヒンデンブルクが、灼滅者ごときに不覚を取るとはっ! 申し訳ありません、ゲルマンシャーク様……。ぐぅぅぅぅ。グローバルジャスティスに栄光あれ!」
     そう言い残し、LZ129ヒンデンブルクは、大爆発を起こして灼滅された。
     その最後は、本家ヒンデンブルクの爆破事故を思わせるほどに、苛烈な大爆発であったのだろう。
     こうして、早稲田大学前の市街地は、灼滅者によって制圧されたのだった。

    ●(6)早稲田:Battle1
     早稲田大学に建設中のベルリンタワー改2前。
     札幌テレビ塔に建設予定であったベルリンタワー改に比べれば、簡易的なものであったが、その出来に、ロード・シラヌイは満足げに頷いていた。
    (「テレビ塔のように恒久施設化を考えず、ゲルマン風ご当地パワーを集めるだけなら、この程度で十分だな。この作戦が成功した暁には、各地の塔という塔をベルリンタワー化する計画を、ゲルマンご当地怪人と協力して進めても良いだろう」)
     朱雀門の資金力。増大するゲルマンパワーとご当地怪人の力。そして、ロード・シラヌイの指揮力があれば、計画は決して不可能では無い。
     だが、そう計画を立てつつも、ロード・シラヌイの心は穏やかではなかった。
     彼の心に刺さった刺、それは……。
    「あいつらと戦ってから、心がざわざわする。何だと言うのだ、一体……!!」】
     急に、声を荒らげたロード・シラヌイに、灼滅者の到来を告げに来たデモノイドがビックリしたようだが、報告は普通は行われた。
    「ふん、返り討ちにしてくれる」
     ロード・シラヌイは自らの持つ、白い戦闘服に見をつつみ、青き罪人の剣を携え、戦場に踊りでた。

    「いよいよ、か。……妙な胸騒ぎがする。何かを待っているのか?俺は……」
     逡巡しつつも、戦場を駆けるロード・シラヌイ。
    「貴方が不知火レイくんだな」
     その彼の前に、現れたのは加藤・蝶胡蘭(ラヴファイター・d00151)であった。
    「貴方がもう朱雀門高校に協力する必要は無いんだ」
     だから、戻ってきてほしいというと紡がれる蝶胡蘭の言葉、だが、その言葉は、ロード・シラヌイに届くことは無かかった。
    「世迷いごとを。その程度の言葉で、この俺が動くとでも思ったか」
     だが、蝶胡蘭はひるまない。
    「もとより、それは覚悟の上。私だけの言葉で、ロードとなった貴方を呼び戻せるとは自惚れていない」
     距離をとって、対峙する2人。
     2人には、まわりの喧騒が聞こえなくなっていく。
    「でも、それでも、私の言葉は呼び水になる筈だ。思い出してくれ! 帰りを待ってくれている大切な人達の事を、これまでに貴方の為に声をかけてきてくれた人の事を!」
     そう言うと、蝶胡蘭は、素敵なステッキの膨大な魔力を解き放ち、今、必殺のフォースブレイクを撃ち放った。
    「これが想いの力だ!」
     それは、蝶胡蘭のマテリアルロッドを介して、ロード・シラヌイ、否、不知火・レイを思う人々の心が流れ込んでいるような攻撃であった。
     圧倒的な破壊力を持つ攻撃。
     しかし、その攻撃は、どこか優しくロード・シラヌイの全身を撃つ……。
     それは、明らかな致命傷の一撃。
     だが……。
     その傷から迸った体液が消えた時、あらわれたのは、ロード・シラヌイでは無く、不知火・レイの姿であったのだ。
     駆け寄る蝶胡蘭と、歓声をあげる灼滅者達。
     その声を聞きながら、不知火・レイはゆっくりと意識を手放した。
    (「あぁ、そうか、そうだったんだ。声が聞こえる、みんな……。あの時、声は確かに届いていたんだ。だから……皆に感謝を……」)
     こうして、不知火・レイは、闇堕ちから救われ、再び光のあたる場所へと帰ってくることができたのだった。

    ■(12)新宿殲術病院
     かつての羅刹佰鬼陣で灼滅者達と初めて相対した白の王セイメイ。
     凄まじい実力を持ちながらも、灼滅者達の猛攻の前に敗れた経験を持つ彼は、新宿殲術病院の屋上から、南下して来る灼滅者達に目を向ける。
    「やはり予想を覆して来るのでございますね、武蔵坂学園は」
     羅刹佰鬼陣の敗北から念には念を入れて、スサノオの元に集まることができなくなった『畏れ』を自分の元に集めている。
    「スキュラの結界で閉ざされ、スサノオの元に至ることができなくなった『畏れ』は我が元に集う……。これらを維持できれば、また再び我が元に新たな『業』をもたらすこととなりましょうか」
     新宿殲術病院の屋上から戦場を見下ろして、白の王セイメイは涼やかに視線を地上へ投げる。
     現在動ける彼の配下の中でも、有数の強さを持つユーリウスをこの戦いで失ったのは小さくない損失と言えた。
     それでも、スサノオを手中に収めることができれば十分な収穫となるだろう。
    「が、それは武蔵坂学園の望むところではありますまい。はてさて、ここからどう出たものか……」

    ●(12) 新宿殲術病院 Battle:2
    「気をつけろ、こいつら、新宿迷宮よりもさらに強さを増している!!」
     英・蓮次(凡カラー・d06922)は『畏れ』の1体と激しく打ち合いながら叫んだ。
     あわよくば、今回の会戦で白の王セイメイを撃破しようと殲術病院に進軍した灼滅者達だが、彼らの狙いは『古の畏れ』達の存在によって覆されていた。
     敵の攻撃は強烈だ。
     下手な戦い方をすれば、一気に押し切られかねない。
    「揃いも揃ってボス面してるね。こういう時こそ駅番・白虎隊の出番ってもんだぜ!」
     眼前にいたムカデの下半身を持つ『古の畏れ』の1体を蹴り倒し、蓮次は奥に控える強そうな巨体へと視線を投げる。
     蒼い龍と人間の相の子のような姿をした『古の畏れ』だ。
    「君に決めたぁ!!」
     叫ぶ全身をオーラが覆い、蓮次は一直線に畏れを目掛けて突っ込んだ。
     愚直な突撃を、『古の畏れ』はこちらもまた正面から受け止める。
    『スサノオ大神様、ご照覧あれ。我が、スサノオ様に与えられしは、まさにだいそれた『竜』の力。
     この『だいそれた力』さえあれば、この歪に進んだ文明を平にし、かつての栄華を取り戻す事ができましょうぞ!』
    「難しいことなんか言われてもな! とにかく、あんたには倒れてもらう!」
     『古の畏れ』が振るう矛が、灼滅者達を脅かす。
     その脅威を肌身で感じながら、蓮次は素早く体を沈めると、その畏れの顎を目掛け、マテリアルロッドを突き上げる。
     強烈な衝撃が畏れを襲い、激しく体を揺らめかせながら畏れは
    「亡霊、怨霊、ってところか?」
     まさに『古の畏れ』だ。そう思う蓮次の前で、青面竜王は彼から遠ざかるように身を翻し、いまだ倒れていない敵群の方に合流する。
    「勝った、か。けど、厄介な連中だな」
     ノーライフキング配下のアンデッドと同様、1体1体がダークネスに匹敵する存在となりかねない。それらを呼び出すというスサノオの脅威を、戦いを経て蓮次は強く感じていた。

    ●(12) 新宿殲術病院 Battle:1
    『セイメイ様の元にはいかせませんよ。私は、セイメイ様の母になるかもしれない妖狐なのですから』
    「何を言っているんですか?」
     巨大な狐型の『古の畏れ』、白面妖狐『キッショウ』が言葉を発したことに僅かに驚きを感じつつ、真咲・りね(花簪・d14861)は鬼神変を繰り出していく。
     無数の狐火を呼び出し、灼滅者達の只中で爆発をまき散らしながら、巨大な狐……のような姿をした『古の畏れ』は甲高い声で語る。
    「私達は、スサノオの力によって生み出された古の畏れ。そして、私の元となった畏れは、伝説の九尾の狐。さにあらば、私は、セイメイ様の母になってもおかしくはないでしょう」
     なぜ、既に生まれている存在の母に成り得るのか。
     その点にセイメイの秘密が隠れているのかも知れなかったが、創造されたばかりであろう『古の畏れ』が本当にそこまで詳しいのかも謎だ。
    「とにかく今は、戦いに集中しますっ!!」
     クルセイドソードを手に取ると、非実体化させた剣で狐火を断ち切ると、返す刃でそのままキッショウの尾を断ち切る。
     切り裂かれたキッショウは傷ついた体を抱え、そのまま他の『古の畏れ』達に合流していく。現状の戦力では、
    「1回では突破できませんでしたね。でも、次で……!」
     りねは突破への決意を固めつつ、一時新宿殲術病院から退くのだった。

    →有力敵一覧

    →(4)歌舞伎町(7勝2敗/戦力1450→1100)

    →(6)早稲田(15勝0敗/戦力500→0/制圧完了!)

    →(10)新宿御苑(17勝1敗/戦力1800→950)

    →(12)新宿殲術病院(21勝25敗/戦力1800→750)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    ロード・シラヌイ
    240
    (6)早稲田:Battle1にて、加藤・蝶胡蘭(ラヴファイター・d00151)に倒される。

    LZ129
    220
    (6)早稲田:Battle5にて、九条・千早(春風の少女・d00148)に倒される。

    白面妖狐『キッショウ』
    250
    (12)新宿殲術病院:Battle1にて、真咲・りね(花簪・d14861)に死の宿命を付与される。

    青面竜王『ゴウテン』
    250
    (12)新宿殲術病院:Battle2にて、英・蓮次(凡カラー・d06922)に死の宿命を付与される。

    白の王セイメイ
    600
    (12)新宿殲術病院:Battle3で戦い、現在も同地域に存在。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

    戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。

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