新宿防衛戦

    ■第8ターン結果

     ラグナロクと呼ばれる「特殊肉体者」がいる。
     彼、彼女らは体内に膨大なサイキックエナジーを蓄積し、闇堕ちすると強大な「ラグナロクダークネス」に覚醒することから、あらゆるダークネスに狙われる存在だ。
     灼滅者達はラグナロク達を救い、そのサイキックエナジーをサイキックアブソーバーによって吸収して来た。
     ラグナロクのサイキックエナジーを吸いとったサイキックアブソーバーには、「殲術再生弾」と呼ばれる弾丸が装填される。

     この弾丸は戦争の際に発射され、その力によって灼滅者達を大きく強化する。
     新宿を舞台とした戦いは、殲術再生弾の効果時間における、最後の攻撃へと至る。
     数多の敵を灼滅した灼滅者達が最後に挑むのは、東京都庁に座す『スサノオ』、そして市ヶ谷駐屯地を拠点とするソロモンの悪魔『百識のウァプラ』。
     そして、それらの強力なダークネス達の影に隠れ、ロード・ナインライヴスは静かにその野望を広げんとしていた。

    ●(13)東京都庁:Battle4
    「まるで特撮みてーだな」
     そう思いながら、宮藤・源太郎(闘戦の心猿児・d02422)は都庁を見上げた。
     大きく一つスサノオが雄叫びを上げると共に、ビル街にまだ残っていた窓ガラスが次々と砕け散る。
     それと同時に現れるのは、
     スサノオの咆哮を戦いの号砲として、灼滅者達はスサノオとの最後の決戦に挑んでいく。
     都庁の展望台から飛び降りて来たスサノオの攻撃を受け止めたのは、城戸崎・葵(素馨の奏・d11355)のサーヴァントだ。
     牙を受けたビハインドの姿が、一瞬にして消滅した。

     そして敵は無論、スサノオだけではない。
     巨体をもって灼滅者達を押しつぶさんと迫る『古の畏れ』達に、灼滅者達のサイキックが叩き付けられ、灼滅された『古の畏れ』達の姿が次々と消滅していく。
    「時代錯誤な連中は、さっさと滅びちゃえ!!」
     『古の畏れ』達へと、祟部・彦麻呂(災厄の煽動者・d14003)が曼珠沙華と名付けた杖を振り下ろして叫ぶ。
    『時代錯誤。言わば言うが良かろう。だが、いかに忘れられようと、古に存在したという事実は決して消えはせぬのだ……!』
     スサノオに相対する者達を襲おうとする『六刀仙』に率いられた集団を、彦麻呂たちが迎撃する。
    「泣いても笑っても最後、全力を出し切るよ!」

     スサノオはもちろんのこと、『古の畏れ』も容易な相手とは言い難い。連続して攻撃を受けたディフェンダー達を、メディック達が癒していくが、回復が間に合わない場所では戦闘不能者が発生していく。
    「退くなよ、前に出るんだ!」
     縛霊手に包まれた源太郎の両腕が、スサノオへと叩き付けられていく。
     叩くたびに白い炎が舞い散り、破壊された都庁を彩った。
    「うおおおお!!」
     そしてスサノオがこちらにとびかかろうと姿勢を低くした瞬間、スサノオの巨体へと灼滅者達は取りつき、駆け上る。
     白き炎に肌が焼け、息が詰まりそうになるが、バベルの鎖ある限り、この程度で死ぬようなことはない。
     鋭い牙をかいくぐり、灼滅者達は前進した。
     拳、剣がスサノオの白い炎を叩き、その存在を揺るがしていく。
     やがて灼滅者達の攻撃は、スサノオの奥に隠れる場所へと至る。
    「こいつで、終わりだァァー!!」
     源太郎の縛霊手が、スサノオに叩き付けられた。
     その瞬間、スサノオの全身が崩壊した。無数の小さな白い炎達は、花火のように空を一瞬染めると、地面に落ちて消えていく。
     空を彩る白い輝きの下で、灼滅者達は戦いが終わったことを確信していた。

    ●(13)東京都庁:Battle5
    「ジルコニア、パラジウム……。レアメタルの名を冠したロード達。
     彼ら『レアメタルナンバー』は、単にその名を名乗っているのではない。
     レアメタルナンバー達は、『大地の力』を確かに宿しているのだ」
     東京都庁の廊下。
     松苗・知子(なんちゃってボクサーガール・d04345)をはじめとした灼滅者達との交戦の最中、ロード・ナインライヴスは、戦いの中で不意にそう告げた。
     フィナレ・ナインライヴス(九死闇主・d18889)へ呼び掛けていたせいか、あるいは知子たちが負わせた傷のせいか、ロードの表情は優れない。
     知子はナインライヴスの言葉に疑問で返した。
    「だから何だっていうの?」
    「私の目的は『古の畏れ』に接続し、デモノイド寄生体を大地を通じて拡散することだ。そのために、スサノオに接触する必要があった」
     理解が浸透するまで、一瞬の間があった。
     スサノオの力は、大地に宿る『古の畏れ』に働きかける力。
     デモノイドロードの『レアメタルナンバー』に共通する『大地の力』。
     彼女が東京都庁に潜伏していた理由は、その実験のために他ならない。
    「でも残念だね。スサノオは私達の仲間が倒したよ!」
    「奇遇だな。私の試みも、『既に終わっている』」
     にんまりと口の端が上がった。
    「こいつ……!」
    「試みは、まあうまく行ったと言えるだろうな。お陰で、私はこの通り、戦場を徘徊していても『古の畏れ』に狙われることもなかった」
     知子たち灼滅者の攻撃は、既にナインライヴスに甚大なダメージを与えていた。魂の内からのフィナレの抗いによって、彼女はデモノイドロードから武蔵坂学園の灼滅者達へと戻ろうとしている。

    「私の試みが上手くいっていたならば、レアメタルナンバーを魂に宿した者達は、これからさらに目覚めていく……私は魂の内より、その成否を見るとしよう」
     言葉が途切れると共に、デモノイドロードの体は耐えかねたように床に崩れ落ちた。その体を覆っていたデモノイド寄生体が減少し、フィナレの姿が明らかとなる。
    「なんか、トンデモない話を聞いたような……」
     しゃおら!と気合一番、残っていたソロモンの悪魔を拳で撃ち落とし、知子は深くため息をついた。

    ●(8)市ヶ谷駐屯地
    「なんとか敵は退けた、が……この拠点はもう駄目だな」
     飯山・千里(迷宮ダイバー・d05329)らと交戦した百識のウァプラは、半壊した市ヶ谷駐屯地を放棄する決意を早々に固めていた。
    「『スキュラの結界』のデータ収集は十分だ。セイメイは撤退し、スサノオとスキュラは破れた。これ以上、我らが留まる必要は無い」
     スキュラが灼滅されたことで結界は予定よりも早く消失していたが、最重要のタイミングである『結界の形成時』のデータはとることが出来た。

    「では撤退するぞ。灼滅者どもに付き合う必要は無い!」
     百識のウァプラは金色の翼を羽ばたかせ、空へと消えていく。
     その後を追うように、ソロモンの悪魔の群れは新宿の街から去っていくのだった。

    →有力敵一覧

    →(4)歌舞伎町(2勝4敗/戦力650→550)

    →(8)市ヶ谷駐屯地(24勝4敗/戦力1297→97)

    →(13)東京都庁(35勝11敗/戦力350→0/制圧完了!)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    おばあちゃんの知恵袋
    0
    (8)市ヶ谷駐屯地:Battle7で戦い、現在も同地域に存在。

    百識のウァプラ
    340
    (8)市ヶ谷駐屯地:Battle9にて、飯山・千里(迷宮ダイバー・d05329)に死の宿命を付与される。

    スサノオ
    400
    (13)東京都庁:Battle4にて、宮藤・源太郎(闘戦の心猿児・d02422)に倒される。

    ロード・ナインライヴス
    280
    (13)東京都庁:Battle5にて、松苗・知子(なんちゃってボクサーガール・d04345)に倒される。

    地這い大将軍『六刀仙』
    250
    (13)東京都庁:Battle6にて、祟部・彦麻呂(災厄の煽動者・d14003)に倒される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

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