ゴッドモンスター

    ■第5ターン結果

    ■(7) マールイ美術館跡
    ●Battle:7 レディ・マリリン
    「ここは通しませんよ? ゴッドモンスター様が、あれほどのイケメンであったのならば、なおのこと、守り通さねばならないのです……! オーホッホッホッホ!!」
     マルーイ美術館跡に足を踏み入れた灼滅者達の前に立ちふさがったのは、ゲルマンご当地怪人として再生された、阿寒湖マリモのご当地怪人レディ・マリリンであった。
     レディマリリンが手にした鞭をふるう時、彼女のマリモのような胸部装甲がたゆんたゆんと揺れる。それは、視覚心理戦を重視した、彼女の防具の効果も相まって、高い効果を発揮していた。

     その高笑いのマリリンに相対したのは、東京都大田区の町工場のご当地ヒーロー真継・旋である(板金戦士センバーン・d06317)であった。
    「俺はゲルマンシャークと戦うつもりだったんだがな。お前には、因縁のある奴も多そうだが、ここは俺に倒されてもらうぞ」
     旋は、立ちふさがるレディ・マリリンに無造作に武器を向ける。
    「うっ、なんか、また怖い感じの人に会ってしまいましたわね? でも、ワタクシは負けませんよ? ゴッドモンスター様は、天然記念物の阿寒湖のマリモと同じように、護られなければならない存在なのですからっ!」
     レディ・マリリンの阿寒光殺法が唸り、旋の妖の槍が空を切り裂く。
     その戦いの中でも、胸のマリモがプルンプルンしているが、気にしなければどうということは無いだろう。

    「お前は、ゴッドモンスターを護ろうとしているのだな。その理由を聞いておこうか」
     戦闘の中、旋は、マリリンに問いかける。
     マリリンがゴッドモンスターを護ろうとうする理由は、もしかしたら、ラグナロクダークネスを救うヒントになるかもしれない。
     マリリンは、よくぞ聞いてくれましたというように、頬を緑に染めて、鞭をふりつつ嬉しそうに答えた。
    「マリモ羊羹をあんなに美味しくアレンジしてくれたのは、ゴッドモンスター様だけなのよ? あの優しさに報いるためならば、たとえ死んでも、ここは通しませんわ?」
     その姿は、ゴッドモンスター様の為に戦う事に幸せを見出しているようであった。
    「なるほど、よくわかった。じゃぁな。ゴッドモンスターは、機会があれば助けようとしてみるよ。いつだって、希望を守るのが、ご当地ヒーローの勤めだからな」
     そう宣言すると、旋はとどめとばかりに、板金戦士の必殺技『下請けダイナミック』を繰り出していく。
     どんなに親会社からコスト削減をされようと、世界に冠する技術を生み出し続けた下請け工場の汗と涙と意地と誇りをかけた下請けダイナミック──その天然記念物として保護され続けていたマリリンでは耐えられよう筈もなかった。

    「わ、ワタシは天然記念物なのよ? こんなことして良いと思って……?」
     レディ・マリリンは、最後まで、自分が灼滅されたことを信じられない様子だった。
     彼女が灼滅された後、その場に残されたのは、マリリンの髪を飾っていたマリモの髪飾りだけであった。

    ●Battle:14 七凪・小鳩
     マルーイ美術館の廃墟にたたずむ、血まみれドレスの女。
     黒髪を赤いリボンで結び、手にはこれも血まみれの包丁を握っている。
     その姿は、縫村委員会により、六六六人衆となった少女、七凪・小鳩に間違いなかった。

    「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺」
     大きく見開いた小鳩の視線が、陰条路・朔之助(雲海・d00390)を貫く。
     それは、灼滅者として多くの死線をくぐりぬけた朔之助であっても、戦慄せざるを得ない、殺意の視線だ。
    「まぁ、あんたは被害者だと思うぜ。純粋に、同情もしている。縫村委員会なんてなければ、こんな事にもならなかったろう」
     朔之助の言葉は、勿論、小鳩に届く事は無かった。
    「御託は結構ですあなた方はあれですかバカですかアホですか戦場で敵をすくいたいとかすくいようがないんですか殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺」
     小鳩の心は、あの閉ざされた空間で壊れてしまっていたのだから……。
    「わかった。戦ってやるぜ!」
    「やっとやる気になりましたか遅いですね愚図ですねグズグズすぎです殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺」
     朔之助は、クルセイドソード『流星』を構えて、慎重に距離を取り、小鳩の包丁の切っ先を避ける。
     翻った小鳩の血まみれのドレスが不吉な花のように舞った。
     更に、小鳩が姿勢を低くし、陸上のクラウチングスタートのような速度で迫ってくる。
     黒髪の揺れる二本の尻尾が風をはらんで鞭のようにしなる。
     突き出された白い腕。
     その先にある血まみれの包丁の煌きは、幻想的にさえ見えた。
     だが、
    「遅いはお前の方だったぜ、小鳩ちゃん」
     朔之助は、少し悲しそうに言うと、神速の動きで小鳩の視覚に回りこむと、血まみれのドレスごとその柔肌を切り裂いたのだ。
     その斬撃は、小鳩の鮮血により、ドレスを更に赤く染めたのだ。
     肺を潰されたのだろう小鳩は、
    「ヒュー殺ヒューすヒューヒュー殺」
     と言葉にならない声を上げ、そして事切れた。
     朔之助は、死後も大きく見張らいたままであった瞳に手をやり閉じさせる……。
     狂気と殺意に見開かれた瞳を閉じさせると、小鳩は、歳相応の少女のように見えた。
    「……縫村委員会の元凶、縫村針子とカットスローター。あいつらを灼滅すれば、お前のような犠牲を出さずに済むのか?」
     そう呟いた朔之助は、小鳩の死体をおいて、歩みだすのだった。

    ●Battle:4 ゲルマンシャーク
    「ここであったが百年目ぇ! 待たせたな、ゲルマンシャーク!」
     北条・葉月(我歌う故に我在り・d19495)は、巨大化したゲルマンシャークにビシッと人差し指を向ける。
    「グリュック王国に篭っていれば、見逃してやったものを、わざわざやられに出てくるとはな!」
     その挑発に、ゲルマンシャークの周囲のご当地怪人達が怒りを露わにするが、ゲルマンシャークはカカカと余裕の笑いで答える。

    「蒼の王コルベインを制し、更には、ゴッドモンスターをも制しようというのか。
     もし、この戦場で、我を撃退できたのならば、我らの世界制服の最大の障害と認めてやっても良いぞ。
     だが、できるかな? この場にいるのは、我らだけでは無い。強力な六六六人衆の傭兵達がいるのだ」
     事実、戦場には、六六六人衆の姿がある。
     戦力をすりつぶし合っている他の幹部の戦場と違い、最初から共闘体制を敷いていたゲルマンシャークは、戦力を充分に残している。
     だが、だからどうしたというのだろう?
    「六六六人衆に頼った時点で、お前の勝利はなくなってんだよ。ゲルマンシャーク。六六六人衆は当然裏切るんだからな!」
     それだけ言うと、葉月はバトルオーラを全開にした。
     クルセイドソード『グラジオラス』を青眼に構え、廃墟の鉄骨を掛け上り、巨大化したゲルマンシャークに一太刀を浴びせる。
     対して、ゲルマンシャークも、巨大化した杖を振り上げる。
    「パンツァーファウスト発射!!」
     杖の先端が切り離され、灼滅者達の中央へと至ると同時に爆発する。巨大なパンツァーファウストの爆発音が鳴り響き、ご当地幹部と灼滅者の激しい戦いの幕が切って落とされたのだ。

     灼滅者達は善戦した。
     巨大化したゲルマンシャークに怯むこと無く、各々持てる力を振り絞って戦った。
     戦いが6分を超える頃には、ゲルマンシャークの周りの敵を排除し、完全に取り囲む体制を整えたのだ。
     だが、それでもなお、ご当地幹部の強さは強大だった。
     包囲した後、周囲を完全に取り囲むのに使った時間と同じだけの時間を闘いぬいても、ゲルマンシャークの体力が尽きる事は無かったのだ。

     しかし、戦闘に絶望する灼滅者はいなかった。
     左之島・きいちの炎の剣が灯した炎は、時間が経つにつれてゲルマンシャークをじわじわと苛んでいるのだ。
    「ゲルマンシャークさん、あなたは確かに強いのだろう。でも、あなたと同じ強さを持つものが殴ったらどうなるのかな?」
     星宮・詩穂の放ったトラウマナックルのトラウマが、ゲルマンシャークを責め苛む。
     近世のゲルマンの歴史、それは、敗北の歴史でもあった。
    「グゴゴゴゴ! 賠償金……敗戦……」
    「今です!!」
     更に、炎などの継続ダメージが、追い打ちを掛け、ついに、ゲルマンシャークの体力を削り尽くしていく。
    「おのれ! だが我がゲルマン魂は不滅! ゼーレ機関起動、まだ戦いはこれからだ!!」
     巨大なゲルマンシャークの体内で何かの機械が作動し、灼滅者達に与えられた傷が見る間に癒されていく。
     パンツァーファウストが再び唸り、爆轟が戦場を覆い尽くした。
     だが、灼滅者達への勝利への執念は揺るがない。
    「さぁて、ゲルマンシャーク。お祈りは済ませたかよ? これは、ガチバトルだぜ。なら、どれほど強かろうと、死ぬ覚悟はできていたんだろ?」
     万事・錠のブレイドサイクロンにタイミングを合わせて放った、葉月のフォースブレイクが、ゲルマンシャークの飛行船のような体に風穴を開けたのだ。
    「そんな、バカな、ラグナロクダークネスである、このゲルマンシャークが、たかが灼滅者などに……! グローバルジャスティス様、申し訳ありませぬ!」
     信じられないといった表情のまま、巨大化したゲルマンシャークの身体は飛行船事故を彷彿とするように、真っ二つに折れた。そして地に堕ち、大爆発を起こしたのだ。

     こうして、ゲルマン怪人や六六六人衆は灼滅され、マールイ美術館跡も制圧されたのであった。
     ラグナロクダークネスにしてご当地幹部たるゲルマンシャーク、死す。
     それは、歴史的な偉業の瞬間であったかもしれない。

    ■(3)アメリカンショッピングセンター
    「しょうこりもなくまた来ましたか! ゲルマンシャークにも聞いてはいましたが、諦めの悪い生意気なジャパニーズデース」
     鞍馬天狗勢力との戦いに度々介入してくる灼滅者の存在に、アメリカンコンドルは忌々しい表情を隠さない。
     計算では、充分に守りきれる戦力であったというのに、計算違いも甚だしいのだ。

    「敗戦国風情が、宗主国に逆らうとは不届き千万!」
     アメリカンコンドルは、戦場の様子を見ながらそう切って捨てる。
     有象無象のような灼滅者など、彼にとっては敵では無い、はずだった。
     しかしそれは、鞍馬天狗達、刺青羅刹の勢力がいなければの事。

     なんとか武蔵坂学園の灼滅者を長時間に渡って追い返し続けたアメリカンコンドルであったが、残された戦力は少なく、もはや、鞍馬天狗の攻勢を支える事はできなかった。

    「シット、オーマイゴッドモンスター!
    やむを得まセーン。CQCQ、こちらアメリカンコンドル、アメリカンショッピングモール陥落により戦略的に撤退するオーバー。シャーク、聞こえマスか? シャーク、シャーク!
    シャーク!」
     次第に声が大きくなるアメリカンコンドル。
     だが、盟友ゲルマンシャークからの返答はない。

     そして、返答が無い理由を察したアメリカンコンドルは泣いた。
     男泣きに泣いた。
    「ゲルマンシャーク、ユーはミーの心のフレンドであったよ。ユーの無念はミーが引き継ぎ、立派に志を継いでみせよう。
     そう、アメリカンジャスティスとなる我が野望と共に……」
     そして、アメリカンコンドルは涙を拭うと、ジェット戦闘機を思わせる速度で飛翔すると、空の彼方へと消えていったのだった。

    「灼滅者よ、これで勝ったと思わないことデース。既にジャパンのアメリカナイズは終了しているのデス。つまり、このジャパンは全てアメリカご当地と同じナノデス。世界最強のアメリカご当地軍団を揃えて、必ずや……アイルビーバック!!」
     空の彼方からは、アメリカンコンドルの捨て台詞が聞こえてきた。

    <ダークネス勢力同士の交戦が発生!>

     (3)(8)の敵戦力が下記戦闘結果からさらに500減少!
     これによって(3)は制圧状態となりました。

    →有力敵一覧

    →(3)アメリカンショッピングモール(4勝7敗/戦力690→490)

    →(7)マールイ美術館跡(36勝9敗/戦力1050→0/制圧完了!)

    →(8)レストラン「ダーチャ」跡(6勝4敗/戦力1130→830)

    →(9)マンモスイリュージョンスタジオ跡(17勝4敗/戦力2000→1150)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    巨大化ゲルマンシャーク
    2520
    (7)マールイ美術館跡:Battle4にて、北条・葉月(我歌う故に我在り・d19495)に倒される。

    レディ・マリリン
    360
    (7)マールイ美術館跡:Battle7にて、真継・旋(板金戦士センバーン・d06317)に倒される。

    七凪・小鳩
    150
    (7)マールイ美術館跡:Battle14にて、陰条路・朔之助(雲海・d00390)に倒される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

    戦闘結果を取得しています。しばらくお待ちください。

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