■第1ターン結果
夏休み最終日を迎えた武蔵坂学園の内部には、破壊音が響いていた。
奇襲を受けながらも武蔵坂学園内に侵攻したダークネス達が、奇襲を行った組連合の用いた防火壁等を積極的に破壊しているためだ。
自らの手勢の損耗を嫌った爵位級ヴァンパイア『絞首卿ボスコウ』が、武蔵坂学園の校内へと突入させたのは、ヴァンパイア達の学園組織、朱雀門高校の生徒達だった。
「あからさまな捨て駒ね。私にとってはありがたいけれど。デボネアを喪い、絞首卿を怒らせて……継人さんのお姉さんは、あまり有能とは言い難いのかしら」
魔女バーバ・ヤーガは校内に入り込んだ部下達からの状況報告に、そう呟く。
朱雀門のヴァンパイア達にとっても捨て駒のような役割は不本意ではあるのだろうが、さらに上位にある者達には逆らえない。それが、ヴァンパイア達の社会であった。
●(3) 朱雀門高校女子学生部隊 Battle:7
『さいきっくあぶそーばー、サガス、サガス、サガス……』
フィアッセ・ピサロロペス(睡蓮の歌姫・d21113)達の前方にいるメイジデモノイドの体には、幾つものデモノイド寄生体の結晶が浮かび上がっている。
他の同種……原始的な魔術を操る『メイジデモノイド』とは異なり、その結晶は眼球を模したような形となり、ぐるぐると周囲を見回していた。
「サクテキ、カンアリ! すれいやーハッケン!」
「気付かれましたか……サイキックアブソーバーを捜すための斥候役ということでございましょうか」
地の利があるとはいえ、基本的な能力でこちらを上回るダークネス達に一度警戒されてしまうと、奇襲攻撃を仕掛けるのは困難となる。
それでも今回攻め寄せて来ている敵の中では、朱雀門高校は弱い部類なのだというから気が滅入るところだ。
「ですが今は……戦う時ですね」
フィアッセは呟き、ディーヴァズメロディを朱雀門の斥候部隊へと向けていく。
応ずるようにメイジデモノイド達も咆哮をあげ、寄生体からの魔術を撃ち出していった。
前線では前衛達の衝突が起こり、校舎が激しく鳴動する。
だが、序盤の優勢を維持するかたちで勝利を得たのは灼滅者達の側だ。
「これで、終わりにしましょう」
歌姫が故国スペインの情緒を乗せて歌い上げるメロディは、斥候部隊の中心となっていたデモノイドの全身に生えた結晶体を次々と割り砕いた。
『カツドウ、コンナン。ぱらじうむサマニでーたヲ……』
崩れ落ちたデモノイドの体が消滅していく。
「朱雀門高校の主力メンバーは来ていないようですが……思惑はあるのかも知れませんね」
どうやらヴァンパイアも一枚岩というわけではないらしかった。
●(3) 朱雀門高校女子学生部隊 Battle:11
鴻上・巧(造られし闇・d02823)は、デモノイドを主体とした敵集団と対峙していた。
首輪のように首元に巻き付いたエネルギーの塊をいとおしげに撫でながら、ヴァンパイアの女子生徒は口元を歪める。
「クフ、クフフフ! 私はボスコウ様に頼み込んで力を得たの!! 今の私は誰にも負けないわ! 『便所飯マスター』扱いも今日でおしまい……行きなさい、デモノイドども!!」
低い笑いを浮かべる女子生徒の命令に従い、デモノイド達は巧たちの方へと一斉に突進して来た。青い波濤のように押し寄せて来るデモノイドの群れに立ち向かうべく、巧は殲術道具に力を籠める。
「こっちも勢いをつけていかなきゃ……負けるわけにはいきません!」
エアシューズの車輪が音を立てて回る。
加速した巧は壁を蹴って廊下を塞ぐように突撃して来る敵群に身を投じると、空中でサイキックソードを一閃させた。
頭部を斬り裂かれたデモノイドが苦痛の声を上げて動きを止めた隙に天井を蹴って着地、当たるを幸い蹴りまくり、後続の灼滅者達が攻め込む隙間を造る。
先程まで行われていた奇襲作戦に引き続き、壁走りなどを活性化している灼滅者達が廊下の外から攻撃を仕掛け、デモノイド達の前衛を食い破っていった。
「何よ、何よあんた達! 私達の……私の邪魔をしないでよ!」
「人の学校に攻め込んでおいて、邪魔をしないでもないでしょう。ええと……『便所飯マスター』さん?」
少女の眼が吊り上り、背にした血の翼が空気を叩いた。
振り下ろされて来る剣に応ずるように、巧の手にしたサイキックソードとガンナイフの刃が炎を帯びる。
ガンナイフが少女の剣を弾き、続くサイキックソードが胸を貫いた。
「もっともっと活躍して、もっと力を戴ければ……」
口惜しげに言って、少女の姿は完全に消滅していった。
→有力敵一覧
→(2)朱雀門高校男子学生部隊(19勝4敗/戦力2000→1050)
→(3)朱雀門高校女子学生部隊(73勝9敗/戦力1660→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。