■第2ターン結果
●(5) ヴァンパイア魔女団 Battle:8
「見せよ我らが血の力! バーバ・ヤーガの弟子たる者の力を、奴らに思い知らせるのだ!!」
魔女団を率いる厳寒の魔女マローシャの声と共に、ヴァンパイアの軍勢の攻撃が灼滅者達へと繰り出されていく。
次々に飛来するヴァンパイアや眷属の攻撃を受けながらも、リュシール・オーギュスト(お姉ちゃんだから・d04213)は果敢に踏み込んでいった。
「どいてっ!!」
飛びかかって来た大蝙蝠を掴み、壁にこすり付けながら床へと叩きつける。
流れ弾を剣で切り裂き、次なる敵へと視線を向ける。
「あんたらがっ! 早く倒れないとっ! アイドル達に負担が行くのよっ!」
押し寄せてくる眷属を斬り裂きながらも、リュシールは自分の言葉に驚きを感じていた。
淫魔ラブリンスターのことが好きになっている。
その心の動きに最も苛立ちを覚えているのは、リュシール自身に違いなかった。
かつてダークネスによって全てを失っている。
その過去を、彼女は忘れてはいない。
ダークネスへの敵愾心もまた、彼女を構成する一部分であることは疑いようのない事実だ。
家族に対しても、申し訳ないと思う。
「けど、それでも……」
自分達のために援軍に駆け付けてくれた者を好きになることは、自分がダークネスでなく、人間の側に立っていることの証なのではないか。
そう信じる心が、彼女の力となっていた。
「たかが灼滅者に、バーバ・ヤーガの」
「悪者退治が、私のお仕事です。だから、負けません!!」
リュシールの一撃が、魔女団最後の一人となったマローシャへと繰り出される。
「この程度でっ!!」
守りを固めるべく体の前に振り出された翼を、非実体化した刃は貫通した。
魔女の頭部へと刃が刺さり、リュシールは手にした剣へと力を籠める。
頭の中から斬り裂かれた魔女が力を失って倒れ、消えていった。
「さてと。確か、6F菊連合の報告に……」
灼滅者達が周囲を捜すと、すぐに赤い紋様が目に映る。
「これを消すだけでは奪取は防げないでしょうけれど、一応、消しておきましょうか」
戦場を制圧した灼滅者達は、手分けして描かれていた魔術紋様を消しにかかった。
だが三竜包囲陣を打ち破らねば、敗北は避けられない……。
●(5) ヴァンパイア魔女団 Battle:3
蜂蜜の如き金色の髪を揺らし、『大鋏姫』チェネレントラ・フラーヴィは渡り廊下の窓から、向かいの校舎で起きているヴァンパイア達と灼滅者達との戦いの様子を眺めていた。
「いない。いない。いない……」
次々と視線を巡らせながら、己の望みが叶わないという事実を確認するかのように口にする。
「王子様はどこにいらっしゃるのかしら。ここにはいらっしゃらないのかしら。寂しいわ。早く王子様を探さなくっちゃ」
大鋏姫は虚ろな視線を廊下に彷徨わせる。
彼女の瞳が追い求めるのは、ただ彼女の信じる『王子様』だけだ。
それを知る一・葉(デッドロック・d02409)の声が、戦場の空気を貫いて響く。
「よお、お姫様。お探しの王子様は見つかったか?」
「あら、こんにちは。いいえ、見つかっていないの」
チェネレントラの微笑に、葉は名もなき槍を向けて応じる。
「いいや、俺で良けりゃ案内してやるぜ。王子様のいる奈落の城までな」
「王子様は、そんなところにはいない……!」
もはや、彼女が求める王子様などどこを探してもいない──死んでいるのだという事実を拒むように、声に力がこもったのを葉達は感じた。
「何をしている、六六六人衆! 早く前線に加わ……ぎっ!?」
言おうとしたヴァンパイアが、苦痛の声を上げた。ヴァンパイアの腕を鋏の先端が貫いている。鋏をぐりぐりとねじりながら、大鋏姫は告げた。
「私は『お話』をしているの。邪魔をしないで、ね?」
「……狂人め!」
これ以上命令を出すことすら拒むように、ヴァンパイアはチェネレントラから距離を取る。
「さあ、一緒に遊びましょう?」
大鋏姫は、彼女と幾度かの戦いを経験した灼滅者達に微笑を向けた。
勢いよく閉じられた鋏が、灼滅者達の体から血をしぶかせていた。
既に周囲のヴァンパイアや眷属は次々に灼滅し、残る敵はチェネレントラのみとなっていた。
大鋏が勢いよく閉じられ、また一体のサーヴァントが消え去っていく。
だが、勝てない相手ではないと、既に灼滅者達は感じている。
過去に一度は追い詰めた相手だ。
殲術再生弾(キリングリヴァイヴァー)の発動した今、勝利できない理由は無い。
「行きます。……決着をつけます」
誰ともなく言って、灼滅者達は次々とチェネレントラへの攻撃を繰り出していった。
灰色のワンピースドレスが血の色に染まっていく。
鋏を床に突き立て、ドレスの裾を翻して踏みとどまった大鋏姫へと、八重樫・貫と万事・錠が一気に距離を詰めていく。
「トォールハンマー! ってか!」
「合わせていくぜェ!」
貫の拳を体に受けながらも、大鋏姫はかろうじて錠の繰り出した杭の一撃を受け止める。
「ここがあんたの行き詰まりだ。お姫様を城に導くのは、まあ魔法の杖ってとこだな」
だが、そこへと突き付けられるのは、葉のマテリアルロッドだ。
膨大な衝撃が迸り、受け止めた鋏が砕け散り、その衝撃は大鋏姫へと伝わっていく。
「あ……あ……。王子様、そこに、いるの? 何も、見えない、わ……」
ハニーゴールドの髪が床に広がり、そして輝きだけを一瞬残して消滅する。
王子様を追い求める姫君、その最終幕は終わりを告げるのだった。
→有力敵一覧
→(2)朱雀門高校男子学生部隊(14勝2敗/戦力1050→350)
→(5)ヴァンパイア魔女団(48勝42敗/戦力1570→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。