■第3ターン結果
●(2)朱雀門高校男子学生部隊:Battle1
「ま、そろそろ年貢の納め時っちゅーことやな」
ベルタ・ユーゴー(アベノ・d00617)は、勝利を確信しつつあった。
だが、眼前にいる敵の男子生徒は、その目に力を宿して言う。
「『劣等生』でしかない俺を友と呼んでくれる仲間達のためにも、負けるわけにはいかん!」
「『劣等生』っちゅう割には、あからさまに強いけどなぁ……」
おそらくは目の前にいる彼こそが、この捨て駒扱いされている部隊のリーダーなのだろう。既に倒れた学生達からも頼りにされている様子が見受けられた。
「『情』などは、今の朱雀門高校には求められていない項目なのでな」
「……将に乏しいんが朱雀門の悩みだと思っとったけど……」
案外、外部に戦力を求めすぎて、身内にいる将器のある者を見落としているだけなのかも知れない。
『学生』という身分がいかに成長を要求するものかは、灼滅者達もよく理解している。
だが、そうした事情を考える必要はベルタの側にも無かった。
振り下ろされるクルセイドソードをすんでのところで回避すると、体を屈めて力をこちらもクルセイドソードに籠める。
「ベルタダイナミック!」
廊下を揺らし、ベルタ渾身の一撃が炸裂した。
「見事だな……」
それだけを言い残し、相手は二度と起き上がることはなかった。
●(2) 朱雀門高校男子学生部隊:Battle2
ガッシャーン。ガシャシャーン。
武蔵坂学園の校舎に窓ガラスの割れる音が響く。
ガッゴン、ベリベリベリ。
更に、武蔵坂学園の教室の扉が破壊される。
ドゴン、ガラガラ、ガシャーン。
教室の机が蹴り倒され、教卓に飾られていた花瓶が割れ、教室の後ろに貼りだされていた、生徒の水彩画が破り捨てられ、ボロボロに破壊されていく。
破壊活動が始まってから既に数時間。
その悪行の実行犯である、全身をハリネズミのようなスパイクで覆ったデモノイド、アサルトデモノイド『針玉ちゃん』は、
『ハカイ、ハカイ、ハカイ!!』
と叫びつつ、校舎への破壊活動を継続していた。
彼女の破壊活動は、戦況に大きな影響を与える事は無い。
だがしかし、戦況に影響しないからといって、許されることでは決して無かった。
「そこまでだ、デモノイド」
神山・楼炎(蒼き銀の堕人・d03456)は、凛とした声でそう言うと、銀翼の鎮魂刀をつきつける。
その悪魔の羽のような刀身が煌き、悪意の塊のような青黒いデモノイドの体が銀の刀身に映し出した。
「この校舎は、私と幻夜の大切な学び舎だ。これ以上の暴挙は絶対にゆるさない」
楼炎の静かな声には押し殺した怒りが内包されていた。
だが、針玉ちゃんは、背中のスパイクをフルフルと震わせ、だらしない口元にニタリと笑みを貼り付けた。
『ヤット……パラジ……ザマのケイカ……ク……キタ』
そして、針玉ちゃんは、校舎の破壊を中断すると、灼滅者に向き直り攻撃を仕掛けてきたのだった。
まるで、今までの破壊活動は、灼滅者を呼びこむ為の策略であったかのように。
いや、事実、策略であったのだろう。まさに、ロード・パラジウムあたりが考えそうな姑息な策略である。
だが、策略だとわかっていも……。
「私は、お前を倒す。そして、その姑息な策略ごと喰い破って前進してみせる」
蒼き狼の加護を受けし彼女の影技が戦場を駆け、銀翼の鎮魂刀が唸りをあげる。
「学園に害なすものは、全て私が倒してみせる」
楼炎は舞うように戦い、針玉ちゃんの体を覆うスパイクを切断sじゅると、血の色をした逆十字によって、針玉ちゃんの首を一刀両断に跳ね飛ばしたのだった。
「おやすみなさい…だ」
楼炎は、消滅する針玉ちゃんにそう告げた。
この言葉こそ、激戦の戦場の勝利を確定付けるものであった。
●(9)奴隷級ヴァンパイア団:Battle11
「夏休み前にドでかい宿題が来やがったな……ここは武蔵坂灼滅者の名にかけて、ぜってー通さねえ!」
校内での破壊活動を繰り返す奴隷級ヴァンパイア団の前に立ち塞がるマサムネ・ディケンズ(サンドリヨンの番犬・d21200)をはじめとする灼滅者の姿に、前方にいた
「くそ、ボスコウのモヤシ野郎め。俺達にここで死ねってわけか」
吐き捨てるように言うのは『反逆の』ヴィスコンティ。
「死ぬ前に、野郎に一発意趣返しでもしてやりたかったが……」
「だったら、大人しく従ってる必要なんて無いだろう?」
マサムネの言葉に、ヴィスコンティは忌々しげに首元の首輪を指差した。
「こいつがある限り、本来の力の半分も出せやしねぇ。どういう仕掛けか知らないが、お前達の方がよほど強くなるってこった」
「素の力だとそっちの方が強そうだけどな」
殲術再生弾が発動している間の灼滅者達の爆発力は、実力差を覆しうるものとなる。
ヴィスコンティの言葉は、それを指してのものだろう。
「何にせよ俺は死ぬわけにはいかねぇ! そのためにもテメェらは死ね、灼滅者!」
「ああ、そうかい。なら手加減はできないぜ!」
マサムネが振りかざす炎の剣とヴィスコンティが繰り出すチェーンソー剣が、幾度もぶつかり合い火花が散る。
「やるな。だがもらった!」
ヴィスコンティが大きく横殴りの一撃を繰り出す。
(「ここが勝負!」)
マサムネは身を屈めると、一気にヴィスコンティの懐に飛び込んだ。
チェーンソー剣が髪の毛をいくらか飛ばすのを感じながら、炎の剣をまっすぐに突き出す。
「くそ、やるじゃねぇか。だったら、あのクソ首輪野郎に一泡吹かせて……」
「ああ、任せとけって」
敵であるとはいえ、ボスコウへの敵愾心を持つという点を一瞬だけ共有し、マサムネは消えていくヴァンパイアに背を向けた。
●(9)奴隷級ヴァンパイア団:Battle4
「万歳万歳万万歳デース!! ここはこの世の天国デスね!! あ、空気回収しておかないと」
「何をやってるんですか!?」
雨宮・栞(雨と紡ぐ物語・d23728)は眼前のヴァンパイアの奇行に愕然としていた。
敵が侵入していたのは、よりにもよって武蔵坂学園の女子更衣室である。
戦術的にも戦略的にも全く意味はないが、ひたすらに嫌な気分にさせられる。
「おおっと、これは可愛らしいお嬢さん。生まれる前から愛していました! よろしければパンティ交換していただけませんか」
「お断りします」
0.1秒で拒否しながら、栞はWOKシールドに力を籠めた。
輝く光盾が、腰を振りながら近付いて来た男を弾き飛ばす。
なんか吹っ飛んでいる間にパンティがばら撒かれているがどこから拾って来たのだろう、という疑問は、パンティについている値札で氷塊した。
武蔵坂学園に来るまでの間に店を襲ってきたらしい。
「オーゥ……良い一撃デース。この香しきフレグランスは、パリジェンヌ以上かも知れないデッス」
「完全に変態ですね……」
「私はヘンタイではありマセーン。レッキとしたジェントルマンデース」
折り目正しく一礼すると、男は名刺を差し出した。
盗んだパンティ百万枚。怪盗紳士ミリオンパンツァー。
「奥ゆかしいレッディでスね。ではアナタを倒し、心もパンティも奪わせていただきマース」
怪鳥の如き雄叫びをあげて飛び掛かって来る変態を、女子生徒達の怒りの一撃が粉砕するまで時間はかからなかった。
「ジュ・テェェェェンム!!」
「……疲れる相手でしたね……」
疲労感を滲ませて、栞は
●(8)ボスコウ親衛奴隷軍
「退け、退け! ボスコウ様に増援要請……え、断られた!? もう1回要請を……」
騒ぎながら撤退していく絞首卿親衛隊を見送り、加藤・蝶胡蘭(ラヴファイター・d00151)は、撤退していく奴隷達を見ながら悔しげに言った。
「あと一歩でボスコウの元に行けるっていうのに……」
「ラブリンスターへのダメージも蓄積されています。どうするか考えないと」
優木・ギン(純情ポテトオペレッタ・d25227)がそう告げる。
敵に阻まれ、突破することは叶わなかった。
絞首卿ボスコウの軍勢を目指すべきか、あるいは弱敵であることが目される、ヴラド配下の眷属の軍勢と戦うか。
灼滅者達は判断を迫られる……。
→有力敵一覧
→(2)朱雀門高校男子学生部隊(7勝2敗/戦力350→0/制圧完了!)
→(8)ボスコウ親衛奴隷軍(17勝21敗/戦力1120→270)
→(9)奴隷級ヴァンパイア団(49勝3敗/戦力1620→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。