武神大戦獄魔覇獄

    ■第2ターン結果

    ●大河・虎次郎
    「交渉は決裂、三竜包囲陣は間に合わずか」
     獄魔覇獄直後の戦闘で敗北寸前まで追い詰められ、今また、周囲を灼滅者に囲まれた、大河・虎次郎は人型のまま、諦めを込めて大きく息を吐いた。
     この戦いは賭けであった。
     灼滅者がどう動くかを予測する事は、ダークネスである虎次郎やクロキバにも不可能な事であったから。
     しかし、ガイオウガ様を一刻も早く復活させるには、これしか方法は無かったのだから、分が悪くとも賭けざるを得なかったのだ。

    「緑の王・アフリカンパンサーの復活も近い。それまでにガイオウガ様を復活させねばならなかった。奴は、今度こそ、ガイオウガ様の力を取り込んでしまうかもしれないのだから……」
     そうなれば、灼滅者達にとっても、恐るべき敵となるはずなのだ。
     虎次郎は、今からでも自分達に協力するようにと灼滅者に訴える。
     セレス・ホークウィンド(白楽天・d25000)は、逆に、鷹のような鋭い目で虎次郎を見やると、降伏勧告を行った。
     戦いの帰趨は既に明らかなのだ、勝ちを譲ることは出来ないが、これ以上の戦いは必要無い。
    「逃走を選ぶも勇気……灼滅されたらクロキバの役に立てなくなるぞ」
     だが、セレスの説得は、虎次郎には届かなかった。
     灼滅者と虎次郎の縁が今まで無かったのが大きな原因であったのかもしれ。
    「事ここに至れば、是非も無しだ。俺には、策を用意し、クロキバを獄魔大将として戦場に狩り出した責任というものがある。ここで逃げ出す事など認められぬな」
     そう言うと、死を決意した虎次郎は体を獣の形に変えると周囲を取り囲む灼滅者達に躍りかかった。

    「迎え撃つよっ!」
     その不退転の意志を感じたのか、セレスもまた、妖のの槍『ツグルンデ』を構え全力で迎え撃つ。
     死を望むものに、逃走を共用する事は、かえって、相手を愚弄する事になるだろう。
     セレスの言葉と共に、灼滅者達の攻撃が雨あられと降り注ぎ、虎次郎を襲う。
     そして……、
    「そこっ!」
     虎次郎の急所を瞬時に見出したセレスの『ツグルンデ』の一撃が、虎次郎の意識を刈り取ったのだ。
     こうして、大河・虎次郎は戦場に倒れ、クロキバの軍勢もまた壊滅したのだった。

     クロキバに協力するという選択肢を拒否した灼滅者の、戦いは続く。

    ●ヒイロカミ
     散々に打ち減らした、クロキバの軍勢の戦場を、湧玉・水守(濁り水・d28959)ら、灼滅者は進む。
    「行くのー行くのー粉々なのー」
     意気軒昂な水守は、次々と生涯を排除して進む。
     だが、その彼女達の快進撃の前に、一体のイフリートが立ちふさがった。
     ヒイロカミである。

    『ナンデ、クロキバノ味方ニナッテクレナカッタンダ』

     ヒイロカミは、傷ついた表情で、灼滅者達を見る。
     クロキバの提案は受け入れがたいものであったが、ヒイロカミは、その提案がどんなものかも理解していなかったのだろう。
     灼滅者達なら、クロキバを助けてくれると理由も無く考えていたのかもしれない。

     ヒイロカミを確認した水守は、彼に後方に下がっているようにお願いする。
    「ヒイロカミくんだね。ちょっと下がっててなの。おいらたちが勝つところ、安全なところで見てるといいんだー!」
     彼女としては、クロキバの提案には賛同できないが、クロキバやヒイロカミ達を灼滅したいとは思っていない。
     三竜包囲陣さえ発動できなくできれば、命まで取ろうとは全く思っていなかったのだ。

    『ヤダヨ、オレハクロキバノタメ戦ウ。本当ハイッショニ戦イタカッタケド、同ジ戦場デ戦ウノハ変ワラナイ』
     水守の提案を蹴ったヒイロカミであったが、配下の眷属達は次々と倒れ、次第に追い詰められ、灼滅者達の総攻撃の前に満身創痍となっていく。
     配下が全滅した後は、なのなのののからしゃぼん玉攻撃によろめいた後に、必死の思いで、3連続で回避を成功させる事ができたが、幸運はここまでであった。

     一瞬の隙を見逃す事無く、水守がヒイロカミの急所を、縛霊手で鷲掴みにしたのだ。
     いや、違った。
     鷲掴みにする直前で、水守は、その手を止めていたのだ。

    「今ので、ヒイロカミくんは絶対死んだよね。死人なら、おいらの言う事に絶対服従なのっ!」
     そういうと、水守はヒイロカミに撤退するようにと言い聞かせた。
    「クロキバくんは、獄魔大将だから死なないんだよ。なら、ヒイロカミくんも死んじゃんだめ。まだまだ、クロキバくんと楽しく過ごす事ができるんだから」
     水守の急所攻撃に背筋を凍らせたヒイロカミは、クロキバも死なないという水守の説得を受け入れ、戦場を去った。

    『オレ、オマエトハ二度ト戦イタク無イナ』
     ニコニコと手を振る水守に、そう言い残して。

    ●クロキバ
     三手に分かれたイフリートの布陣の一角で、灼滅者達は黒い豹の姿をしたイフリートと邂逅した。
     向こうも灼滅者に気付いたのだろう、人間の姿に変身すると、そこには見慣れたクロキバの姿が現れる。
    「ガイオウガ様ノ復活ニ協力スルツモリハ無イヨウダナ」
     灼滅者達がイフリート達を退けてクロキバの前に現れていること、それ自体が回答でもあった。
     『手加減攻撃』でもしている者がいれば別だが、そうでなければ死ぬだけだ。
     クロキバに従う者達の壊滅を意味している。

     カンナビスの方も気になっている鴨打・祝人(みんなのお兄さん・d08479)だが、目の前のクロキバからは目を離せそうになかった。
    「オ前達ト直接協力デキナイタメノ苦肉ノ策デハアッタガ、オ気ニ召サナカッタヨウダナ」
    「別のやり方でもあればよかったんだろうけどね」
    「ソレハ、コノ獄魔覇獄ヲ仕組ンデイル者ガ認メマイ。所詮、コノ戦イニ乗ッタ時点デ奴ノ掌ノ上ダ」
     もはや交渉は不要と言うように、クロキバはその姿を黒豹に変じた。
     クロキバの呼び寄せた爆炎が山の木々を揺らす。
     それに反応するように、眷属達やイフリート達が一斉に現れ、灼滅者達に襲い掛かった。
    「ふわまる!」
     祝人はナノナノに皆を癒すよう指示を下す。
     攻撃をいなしながら戦う灼滅者達に対し、クロキバは告げた。
    「武神大戦ハ大地ヲ乱ス災イ。コノ戦イノ激化ハ、オソラク業大老ノ思ウツボダロウ」
    「だったら、何故……」
    「ガイオウガ様復活ニ結ビツクナラバ、手段ハ問ワヌ。オ前達モ、業大老ノ思惑ニ乗ルト知ッテ、挑ム価値ガアルト認メタカラコソ、戦ッテイルノダロウ」
     ラグナロクのサイキックエナジーを使えば、ガイオウガを復活させられる可能性が高い。
     イフリートの王『ガイオウガ』を復活させるわけにはいかない。
     それは、武蔵坂学園の灼滅者達が以前から為して来た行為でもあった。

     自ら発した炎を踏んでさらに跳躍すると、クロキバは灼滅者達の喉笛に飛びかかる。
     だが、イフリートや眷属達を撃破した灼滅者達は、そのクロキバを包囲していく。
    「武蔵坂学園として、灼滅者として決着をつけないといけない連中もいる。クロキバ君の下につくわけにはいかない」
    「ナラバ、勝者トシテ越エテイクガイイ!」
     眼前に迫るクロキバを、祝人は渾身の力で抑え込む。
     その間にナノナノが放ったしゃぼん玉が、クロキバの抵抗する力を奪い去った。

     どう、と倒れるクロキバだが、命を落とす様子は無い。
    「俺達ノ、負ケダナ。オ前達ノ武運ヲ願オウ」
     クロキバはヒイロカミをはじめ、残存した戦力を率いて去っていく。
     だが、穏健派であったクロキバの勢力がガイオウガ派の中で失墜することは免れ得ないだろう。それが何をもたらすかは、いまだ分からないことではあった。

    ●試作型アンデッド薬殺人形72号
    「人造灼滅者のアンデッド……いや、闇堕ちしかけた状態で死んだのを、そのままアンデッドにしたのですね」
     基地入口で雪乃城・菖蒲(平々凡々な白・d11444)達を迎え撃ったのは、カンナビスが製造した試作型の巨大なアンデッドだった。
     身体に巻かれた包帯に『病院』のマークが見えることから灼滅者の死体のようだが、殲術道具は見えていない……。だが、その疑問はすぐに払しょくされた。
     灼滅者のアンデッドは、基地内に設置されていた交通標識を引き抜いたのだ。
    「何のつもりでしょう?」
     疑問の声をあげつつ、振り下ろされて来る標識を避けようとした瞬間、その標識を目にした菖蒲(の動きが強制的に停止させられた。
     直撃して来る標識は、間違いなく、
    「殲術道具ですね……あれもカンナビスの仕掛けの一つですか? ならば、奪い取るまでですね!」
     菖蒲の言葉を聞いて、周囲にいた灼滅者達も問題のアンデッドへと火力を向けていく。
     だが、アンデッドの力によるものか、それとも自壊するように仕掛けが施されていたのか、戦闘が終った時には問題の標識は大幅に破損していた。
    「何を考えて、こんなものを作ったんでしょうね」

     菖蒲は首を傾げつつも、破損した標識を持ちかえることにする。
     日本全国津々浦々のどこにでも存在する交通標識。
     それらが武器化されているとなれば、恐るべき事態かも知れなかったが……。

    ●百識のウァプラ
    「スキュラ結界……以前よりは範囲も効果時間も拡大に成功しましたが、やはりあなた達には効果が無いようですね」
     百識のウァプラは、スキュラ結界の内側に踏み込んで来る灼滅者達の姿に、その獅子の顔を歪めていた。
     ハルファス軍に所属するウァプラは、昨年の冬以来武蔵坂学園を何かと敵視しているが、その一方で直接戦えば不利であることも理解している。
    「直接戦えば勝ち目がないことは、昨年の戦いで十分に理解できましたからね。交戦は避けたかったのですが……まあカンナビスさんがあの様子では、無意味なことでしたね」
    「ごちゃごちゃと何を言っている!」
     雪風・椿(南海闘姫・d24703)の拳が、立て続けにウァプラを狙う。
     拳がウァプラの顔を掠め、金色の体に傷がついた。
    「ハルファス軍が、カンナビスの奴と結びついて何を企んでやがる?」
    「この戦いは、カンナビス殿の目的と我々の目的が合致した結果です。我々は獄魔覇獄の力を得て、カンナビス殿は、スキュラの力を手にするという目的がね」

     武蔵坂学園によって灼滅された大淫魔スキュラ。
     その秘術は、いまだに完全に再現できたとは言い難い。
     デモノイドを創造したソロモンの悪魔アモンといい、研究開発の才能は戦闘の才とは別のところにあるようだった。
     金色の腕を振るい、灼滅者達を遠ざけようとするウァプラ。
     だが、灼滅者達の実力が、既にウァプラを倒すに十分なものとなっていることは証明済みだ。
     個々の実力では及ばぬまでも、連携をとった灼滅者達の動きは、
    「金色はアガメムノンだけで十分だっての!!」
     眼前に突きつけられたウァプラの腕に強烈な魔力が集中する。
     それを恐れず、椿は伸ばされたウァプラの腕を取ると、そのまま勢いよく身を沈めた。
     ウァプラの体が弧を描き、地面に叩き付ける。
     金属音が響き、ウァプラの体から力が抜けていくのを椿は感じ取る。
    「ここまでですか……ですが、研究の成果はハルファスさんが引き継いでくれるでしょう」
     金色のソロモンの悪魔は、そう言葉を残すと消滅していくのだった。

    ●カンナビス
     基地の奥に創られた奇妙な一室で、カンナビスは灼滅者達を待ち受けていた。
     周囲には死臭が立ち込めている。
     灼滅者達がここに辿り着くまでに倒した多くのアンデッドは、ここに集積され、カンナビスによってアンデッドにされたものと思われた。
    「カンナビス……お主は確実に殲滅させてもらうぞ!」
     鳳凰院・那波(朧月姫・d00379)の声に、カンナビスは溜息で答えた。
    「フゥ……全く、何をそんなに怒っているのカナ。キミ達の怒りハ全く理解デキナイよ。コチラとしてハ、ハルファスから提供サレタモノを使っているダケさ」
     カンナビスが『病院』の人造灼滅者達をアンデッドとして扱っていることに、怒りを覚えている灼滅者達は数多い。
     カンナビスはなお火に油を注ぐような言葉を続ける。
    「それに、リサイクルは人間にとっても善なる行いだト認められているコトだし、利用デキル資源は有効ニ利用スベキだろウ? それトモ人間の死体ダケハ特別だトでも言うツモリなのカナ? 生物は死を喰ラッテ生きるモノ。君達のカラダは植物ノ、動物ノ、微生物ノ、死を喰らっテできていルというノニ」
    「『智』の犬士と聞いておったが、人間の感情も学ぶべきじゃったな。これ以上の狼藉は許さん!」
    「だったラ、廃品をまた破壊していくんだネ!」
     カンナビスが腕を振り下ろすと、天井が開きドカドカとアンデッド達が降り注ぎ、カンナビスとの間を遮る。
     だが灼滅者達は、それらのアンデッドを次々と蹴散らしていった。
     武蔵坂学園との合流前に命を落とした人造灼滅者のアンデッドも、殲術再生弾を受けた灼滅者達の敵ではない。
    「全ク、役に立たナイな」
     そう嘆くカンナビス自身は、翼を翻して距離をとらんとする。
     だが、それを追った那波はたちまち距離を詰めると、カンナビスの水晶の肉体に鬼神変を叩き込んでいく。
    「言ったじゃろう、確実に殲滅するとな」
    「ク……スキュラ八犬士がなんてザマだ。だが、獄魔大将であるこのカンナビス、死ニはシナイよ」
     『保護結界』の効果なのだろう、灼滅者達とカンナビスを遮るように現れた水晶めいた壁に守られ、カンナビスはその場を逃げ去っていく。
    「く……この場で奴を灼滅できないとは!」
     カンナビスの力は、はっきり言って大したことは無いように思えた。
     およそ1年前に倒された、大淫魔スキュラよりも弱いだろう。保護結界さえなければ倒せる相手だったはずなのだ。
     次に遭遇した時こそは、必ず。
     灼滅者達は、その決意を噛み締めるのだった。

    ●特殊能力発動
     『ブエルの策略』により(2)の敵戦力が200上昇&(2)を除く戦場の敵戦力が50減少!
     交戦により(6)斬新・京一郎の戦力が450減少! (8)シン・ライリーの戦力が330減少!

    →有力敵一覧

    →(2)ブエル(57勝5敗/戦力3050→200)

    →(3)ナミダ(0勝4敗/戦力2800→2800)

    →(4)クロキバ(10勝1敗/戦力200→0/制圧完了!)

    →(5)カンナビス(17勝2敗/戦力850→0/制圧完了!)

    →(6)斬新・京一郎(3勝2敗/戦力3200→3050)

    →重傷復活者一覧

    →死亡者一覧

    ■有力敵一覧

    有力敵 戦功点 現状

    ブーネ
    1271
    (2)ブエル:Battle5にて、さんぽ(多鴨戸・千幻のサーヴァント)に死の宿命を付与される。

    ブエル
    3800
    (2)ブエル:Battle14にて、グレイス・キドゥン(適当人間・d17312)に死の宿命を付与される。

    大車輪ブエル兵
    750
    (2)ブエル:Battle61にて、黒蜜・あんず(帯広のシャルロッテ・d09362)に死の宿命を付与される。

    大河・虎次郎
    850
    (4)クロキバ:Battle1にて、セレス・ホークウィンド(白楽天・d25000)に倒される。

    クロキバ
    2220
    (4)クロキバ:Battle3にて、ふわまる(鴨打・祝人のサーヴァント)に倒される。

    ヒイロカミ
    750
    (4)クロキバ:Battle11にて、湧玉・水守(濁り水・d28959)に倒される。

    百識のウァプラ
    340
    (5)カンナビス:Battle3にて、雪風・椿(南海闘姫・d24703)に倒される。

    試作型アンデッド薬殺人形72号
    950
    (5)カンナビス:Battle5にて、雪乃城・菖蒲(平々凡々な白・d11444)に倒される。

    カンナビス
    1800
    (5)カンナビス:Battle19にて、鳳凰院・那波(朧月姫・d00379)に倒される。

    戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。

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