■第7ターン結果
●美醜のベレーザ
「巳型デモノイドが完成に至っていないというのに、また武蔵坂学園……。撤退する気配も無いようだし、ツキに見放されているのかしらね?」
美醜のベレーザは、愚痴を言いながら調整プール内で自らの撤収に向けての作業を進めていた。
調整プールは本来のプールの姿からは一変し、一種の研究施設のようになっている。
灼滅者達は午前中から七不思議使い救出の傍ら、この施設への攻撃を続けているが、ソロモンの悪魔である彼女は勿論ながら、この調整プールの守りとして彼女が配置したデモノイド達は、灼滅者達にとっても侮れない相手であった。
だが、ベレーザの表情は決して冴えたものとはいえない。
「ロード・クロムの出現で、デモノイド改造技術は私の占有事項ではなくなった……。彼の言うことしか聞かないクロムナイトが増えて行けば、いずれ私は不要となる。その前に、巳型デモノイドを完成させたかったけれど……」
デモノイドの稼いだ時間を利用して、ベレーザは調整プール内でデータの消去等を行っていた。
このデータを他の者に渡すわけにもいかない。
データはベレーザの頭の中にだけあれば良いのだ。
「何より重要なのは、巳型デモノイド達を海へ放流することね。回収できない分は出るでしょうけれど、武蔵坂学園に目をつけられた以上、ここに置いておくわけにもいかないでしょう」
プールの中に浮かんだデモノイド達は、どこかいびつな姿をしていた。
だが、それを解放するよりも早く、破滅を報せる警報が響く。
「ついに限界が来たようね……」
「美醜のベレーザ!」
彼女の元へと駆けこんで来たのは、ナハトムジーク・フィルツェーン(黎明の道化師・d12478)と田所・一平(赤鬼・d00748)。その後にも、灼滅者達が続く。
「来たわね……また敗北するのであれば、美しく散る様を見せてもらいましょうか!」
デモノイド達を次々と繰り出すベレーザ。
青い巨体が、灼滅者達の前に立ちふさがる。
「こんなところでも研究とはね。何をする気なんだ、ベレーザ君?」
「巳型デモノイドは、素体であるデモノイドに、都市伝説や刺青羅刹の性質を『加えた』もの……。これがどれほどの偉業であるか、あなた達におわかりになって?」
「……?」
ナハトムジークと一平は顔を見合わせた。
「二つのダークネスの力を同時に扱うことが出来る……。あなた達を見ていて思いついたのだけれどね。悪くはないでしょう?」
おそらくは、様々な種族が集まった朱雀門高校に所属することになったのが刺激となったのだろう。彼女の技術はアモンの元にいた頃よりも、大幅に発展しつつある。
デモノイドという種族が、ただの知性無き存在から、他のダークネスとは異なる何かになろうとしていることを、灼滅者達は感じ取る。
「それでも、ロード・クロムの『クロムナイト計画』がある以上、私一人が優位とはいかない……。この場を乗り切れば、また別の手を考える余裕もあるのでしょうけれどね」
ロード・クロムを止めてくれれば自分の得だというかのように、ベレーザは言う。
その間にも、デモノイド達の駆逐は着々と進んでいた。
先程までとは違う勢いに、ベレーザもまた、どこか諦観を感じさせるように背の翼を広げる。
「ここは任せて、アンタはヤツを!」
一平の言葉を受けて、ナハトムジークはベレーザへと疾走。
切り裂かれたベレーザが逃走しようと身を翻すが、それよりも早く一平の振るった杖が巻き起こした竜巻が、ベレーザを地に叩き付けた。
「悪運もここまでのようね……。このような死にざま……なんとも美しくない、わね……」
灼滅された美醜のベレーザの姿は消滅していく。
後に残ったのは、舞い落ちる白黒の羽だけだった。
そして調整プールを制圧した灼滅者達は、プールの中に留められていた未完成の巳型デモノイド達を灼滅していった。巳型デモノイド計画は未然に阻止され、美醜のベレーザによるデモノイド製造技術の拡散も止まった。
●巨大定礎石
不吉に鳴動する巨大定礎石へと攻め寄せる灼滅者達。
その前に立ちはだかるのは、甲型仁王と乙型金剛、2体の巨大な定礎怪人に率いられたダークネス達だ。
だが、巨大なご当地怪人の相手ならば、昨年既に経験済みだ。
灼滅者達は次々に、定礎石を守るダークネスへと挑みかかっていく。
「軍艦島、なかなか面白い場所じゃな。じゃが、お主らは邪魔じゃ! 還してもらおうか!」
勇ましく言うアルカンシェル・デッドエンド(ドレッドレッド・d05957)。
鳴動する巨大定礎石を守る巨体へと突っ込んでいく。
灼滅者達を叩き潰さんと振り下ろされる巨大定礎怪人の鉄槌。
地を揺らす衝撃を、アルカンシェルは銀髪をなびかせて受け流す。
「お主の力、こんなものか? さあ、楽しませてくれ!!」
目を輝かせ、アルカンシェルは甲型仁王との戦いを楽しまんとするように拳を連打。
腹部への痛烈な打撃に巨体が揺らぐ。
だが相手も、巨大定礎石を守る意志を強くにじませて踏みとどまる。
「我ら甲乙は儀式を預かる身……。貴様らに易々と負けるわけにはいかぬ!」
「大したものじゃな。さぞ強い目的があると見える」
「アフリカンパンサー様の力添えにより、時とサイキックエナジーは満ちようとしている」
甲型仁王は、力強く鉄槌を振り下ろしながら続ける。
「この軍艦島は、我らが主の新たな肉体となる地! そのための儀式を成功させるためにも、断じて、貴様らに負けるわけには往かぬのだ!」
「ほう、それは良いことを聞いた。ならば、こちらもなおのこと、はいそうですかと見逃すわけにはいかんのう!」
アルカンシェルを中心に、灼滅者達の攻撃が加速していく。
「甲型仁王」が僅かに態勢を崩した瞬間、アルカンシェルは地を蹴り、高々と跳んだ
「ここが、お主のデッドエンドじゃ!」
縛霊手の一撃が、甲型仁王の腹を貫く。
音を立てて倒れた巨体の定礎石が崩れ、それと共に鳴動は弱いものとなっていく……。
「『甲型仁王』! ……くっ! 我ら2人が揃わねば、儀式を完遂することは……」
甲型仁王の巨体が文字通り崩れ落ちるのを間の当たりにし、大定礎「乙型金剛」の声に震えが走る。
「ゲルマンシャーク様をも下した武蔵坂学園の実力、やはり恐るべきものか!」
「私達は、負けるわけにはいかないのです!」
媛神・まほろ(夢見鳥の唄・d01074)の神薙刃が、乙型金剛を大きく断ち割る。
地響きと共に、乙型金剛の巨体が地に伏せると、巨大定礎石の鳴動は止まった。
「終わったのでしょうか……?」
「いや、まだじゃ!」
警戒を促すアルカンシェル。
それと同時に、巨大定礎石はまっすぐに上へと持ち上がっていく。
「浮かんでいるのですか?」
「……いや、違う……っていうか、なんじゃそれは!?」
巨大定礎石の下から現れたのは、
「筋肉質な……」
「『体』……?」
唖然と見上げる灼滅者達に、渋みを帯びた男性の声が届く。
●力未だ十全にあらず
「我が名は定礎! ザ・グレート定礎!」
「我、目覚めたり。されど、力未だ十全にあらず」
「これは、我が復活がデスギガスに露見さるることを防がんとする、うずめの意志か」
「……否。さにあらず」
「我が眼前に立ちはだかるこの熱き瞳の若者達が、我の完全復活を阻止したが故だ」
「若者達よ、勇敢な諸君の名を聞こう!」
→有力敵一覧
→(3)野生のグラウンド(1勝1敗/戦力500→450)
→(4)巳型調整プール(12勝5敗/戦力550→0/制圧完了!)
→(10)バックヤードHKT六六六(4勝9敗/戦力1650→1450)
→(12)羅刹神域(3勝4敗/戦力1650→1500)
→(14)アガルタの口(1勝1敗/戦力1800→1750)
→(16)巨大定礎石(25勝13敗/戦力1250→0/制圧完了!)
→重傷復活者一覧
→死亡者一覧
■有力敵一覧
戦功点の★は、「死の宿命」が付与されていることを表します。