「楽しみですねえ、修学旅行……なにせ沖縄ですもんねえ」
『修学旅行のしおり』を眺めつつ、 春祭・典(高校生エクスブレイン・dn0058)はウットリと。
「僕、日本海の荒波育ちなもんですから、南の海ってすんごい憧れなんですよ」
武蔵坂学園の修学旅行は、6月24日から6月27日までの4日間。
この旅行には、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が参加する。また、大学に進学したばかりの大学1年生が、学部の親睦旅行として同行する。
行き先は沖縄。語るまでもない、日本最高にして最大のリゾート地、沖縄ならではのお楽しみがいっぱいだ。
白く長い指がしおりのページをめくる。
「2日目午後のやんばるのネイチャー体験も、南の海を堪能できるコースに参加しようと思ってまして……これこれ」
典が指したのは。
『やんばるでカヤック体験~マングローブ林観察と、カヤックフィッシング』
場所は本島北部のやんばる。亜熱帯の大自然を味わえるエリアである。
この体験コースでは、カヤックを操り、慶佐次(けさし)川で本島最大のマングローブ林の観察をした後、海に出てフィッシングをする。
●コースの流れ
(1)まず、河口のビーチでツアーガイドさんからカヤックの操り方と釣りのレッスンを受ける。
パドリングや方向転換、釣り竿のキャスティングなどしっかり学ぼう。
(2)カヤックに乗り込んで、いざ慶佐次川へ。
上流へ5分ほど進むと視界が開け、両岸に心地の良いマングローブ林が広がる。
(3)支流へ入ると川幅が狭くなり、マングローブ林を間近で観察できる。
シオマネキやミナミトビハゼ、アカショウビンなど、可愛くて珍しい生き物にも会えるかも。
(4)川を下り、海に出る。
ガイドさんが連れて行ってくれるポイントで、ルアー釣り開始。
狙うは沖縄ならではの亜熱帯魚、ミーバイ(ハタ)やオジサン(ヒメジ)、タマン(フエフキダイ)!
(5)最後はビーチに戻ってパイナップルで乾杯!
●注意点
・カヤックはフィッシングカヤックで、1人乗りか2人乗り。安定感があるので、滅多に転覆はしません。
・カヤックや釣り道具、ライフジャケットは、ツアーショップで貸してくれますが、濡れてもいい服装で。
・釣りは環境保護のため、キャッチ&リリース。
・マングローブ林での釣りは不可。
「ね、楽しそうでしょう? ルアー釣りだから初心者や女子でも大丈夫でしょうし。ただ紫外線対策はガッツリしなきゃですけどもね」
典の心はすでに南の海へと飛んでいるようで、夢見るキラキラお目々になってしまっている。
「きっと、こういうのは釣れても釣れなくても楽しいですから――よろしければ一緒にいかがです?」
沖縄ならではの亜熱帯ネイチャーツアー、さあ、キミも最高の思い出を作ろう!
●まずはレッスン
ボートとカヌーの違いをご存じだろうか。漕いでいるところを見れば一目瞭然だが、ボート類はオールで漕ぎ手の背後に向かって進むのに対し、カヌー類はパドルを使い、漕ぎ手の向いている方向に進む。カヌーの中でも、両端にブレードのついたダブルブレード・パドルを使うのがカヤックだ。
ビーチの砂の上でパドリングやキャスティングを習った武蔵坂学園の生徒たちは、ガイドさんやインストラクターさんに手伝ってもらいながら、カラフルなカヤックでおそるおそる海へと漕ぎ出す。
銀色(d27592)は、後部座席から、不安そうなクロノ(d27425)に笑顔で声をかける。
「もしもの時はボクに掴まってくれたらいいからね」
「……ありがとう。その時は頼むよ……もしもは無い方がいいが……」
クロノは苦笑して答える。安定感抜群のシット・オンタイプのカヤックだし、しっかりライフジャケットを着ているので、泳げないクロノであっても、危険は少ないはずである。
静かな湾内で10分も練習していると、さすが灼滅者と言うべきか、始めは多少苦労していたが、皆すぐに方向転換も出来るようになってきた。
しかしその中で妙に苦戦しているのは、【西久保2-1】鏈鎖(d18605)。ミズスマシのようにくるくる回ってしまっている。多分、左右の腕力のバランスが悪いのだろう。
『さあ、慶佐次川に入りますよ! ついてきてくださーい』
ガイドさんの声がスピーカーから響いた。
「えっ、もう!?」
鏈鎖は着々と河口に近づいていく仲間のカヤックを追おうとするが、やはりどうしても回ってしまう。
「待ってくれーい! ええい、こうなったら最終手段、力技だッ、うりゃああああっ!!」
くるくるしながらも、激しい水しぶきを上げて必死に仲間達を追う。
●慶佐次川を上る
「右、左、右……」
銀色とクロノのカヤックは、元気にかけ声を掛けあいながら、順調に広い川を遡っていく。練習がてら、一生懸命川を遡っていくと、数分で川岸にマングローブが広がった。
「うわあ……」
生徒たちが一斉に歓声を上げたところで、
『はーい、じゃちょっとマングローブについて、説明しますね』
ガイドさんの説明が入る。
マングローブとは、熱帯から亜熱帯地方の河口付近の、淡水と海水が混じる『吃水域』に発達した、独特の景観を持つ植物群落のことだ。慶佐次川では、オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギが群生し、タコのような根を張り巡らせている。
漕ぎ上りながら【武蔵境2-8】蕾花(d13829)は、
「あの、梓さん、私、こういうのとっても下手でごめんなさいね……?」
すっかりパドリングに慣れて、鼻歌交じりに珍しくも開放的な景色に見とれている同乗者の梓(d19041)に申し訳なさそうに言った。
「え、全然大丈夫よ? それに大分慣れてきたんじゃない?」
梓はニコニコして答える。
「ええ、少しずつ景色を見る余裕が出来てきたみたい」
「のんびり楽しみましょうよ……って、それだけで済めばいいんだけど」
梓は声を低めて。
「フィンさん、どうしてるかしら?」
「ええ、私もそれ考えてたの。春祭さんを叩き落としてやるとか、言っていた、ような」
と、そこに、噂をすれば影。
「おーい、2人とも楽しんでるかー?」
フィン(d11443)が1人乗りのカヤックで通りかかって、いかにも何かを企んでる笑顔ですいすいと追い越していった。
蕾花と梓は顔を見合わせて。
「……目を離さないようにしようね」
●マングローブのトンネルで
生徒たちはガイドさんに案内され、支流へと漕ぎ入った。ぐっと川幅が狭くなり、頭上に生い茂った枝が覆い被さってくる。正にマングローブのトンネルである。
【西久保2-1】梛(d18259)は、パドリングの手を止めると、タコのような根を見上げて、
「おお、低い位置から見上げると迫力あるな。いかにも冒険って感じだわ。いいねえ、この熱帯感」
木陰の涼しさに目を細める。
「根っこすごいな、写真と同じだ!」
同乗の希(d20549)は興奮気味で、梛がサボってるのに気づかない。
「あ、ポッポー、ちょっと右右」
「ん、こっちか……?」
寄せたところには、カメラを構えたクレイ(d17759)の1人乗りカヤック。
「うりゃ、無理すんなよ」
梛が腕を伸ばして撮影に夢中のクレイの頭にタオルをかけてやり、希もやほー、と手を振る。
「お、サンキュ……って、当たる当たる!」
梛と希のカヤックはすれすれを通り抜けると、ケラケラと笑い声を残して離れていった。
クレイはタオルをかけ直し、
「よし、この風景は、ぜひ写真に収めないと……それからもちろん、クラスの奴らもな!」
気合いを入れてファインダーを覗き込み、友達のカヤックが1つ1つ収まるようにシャッターを切っていきながらも。
「うーん、可愛い……和むなぁ」
女の子たちのはしゃぎっぷりを捕らえるたびに相好を崩す。
その女の子たちは。
「マングローブ、実物みるとすごいのですね! 根っこが多いのですねー! あっ、今根っこの間に変わった蟹さんがっ」
テンション上がりまくりのナーシャ(d18837)の肩を、同乗のシグマ(d18226)がポンと叩き、口元に指を立て静まらせる。そして指した方角には。
「あっ……アカショウビン、ですか?」
小さな赤褐色の鳥が、木の枝に。
「わあ、アカショウビン、可愛い!」
近くにいた春陽(d17714)と、リア(d17394)のカヤックも近づいてきて、林の中を覗き込む。
アカショウビンはカワセミの仲間の渡り鳥で、その名の通り、クチバシもや足も含めて全身真っ赤な鳥だ。ただ、腰の部分にわずかにライトブルーの羽毛があって、飛んだときには粋なアクセントになる。体長は25センチメートルほど。
「……とても綺麗」
リアがうっとりと呟く。
クラスメートの様子を見て、梛と希も、大分漕ぎっぷりがマシになった鏈鎖も一生懸命やってきて。
「パン屑見せたら寄ってこねーかな」
船体にくくりつけた防水のおやつ袋をごそごそ。
すると。
キョロロロロロ……。
特徴的な鳴き声を残して、アカショウビンは飛び立ってしまった。赤と空色の羽毛が、キラリと光る。
「ああ……やっぱ警戒心が強いな」
リアがおっとり微笑んで。
「逃げてしまったのは残念だけど、マングローブって本当に凄いし、ゆったりして気持ちがいいわ」
「そうよね!」
春陽が元気よく。
「初めてのカヤックで、沖縄の風と空気を身体いっぱいに感じながら、みんなとゆったりと流れる川を漕いでるっていうだけで、楽しいね!」
「あ……ごめんごめん」
唯世(d26619)と遊太郎(d25602)のカヤックは、勢い余ってマングローブの半ば水没した根にぶつかりそうになったが、遊太郎が器用にトン、とパドルで突き放した。
「もやしくん、上手だね」
「僕、そういえばカヤックやったことあったよ。コツはね、水を掴むイメージで、パドルをしっかり水に差し込んで、身体のひねりを意識して……うん、そうそう」
フォームを意識しながら緑のトンネルを漕ぎ進んでいくと、
「わあ、可愛いカニ……あ、あっちに今赤い鳥も飛んだよ!」
カニはおそらく、片側のハサミだけが大きいのが特徴のシオマネキ。
唯世は余裕が出てきたのか、あちこちに生き物を発見し、口を開けてきょろきょろ……と。
パシャリ。
いきなりのシャッター音。
振り向けば、遊太郎のカメラのレンズが、唯世を捉えている。
「……もやしくんったら、珍しい生き物がいっぱいいるんだし、僕なんて撮らなくても」
「いや、あの……」
遊太郎は小声でカメラを弄りながら。
――この時間がずっと終わらなければいいのに、な。
「なに?」
良く聞こえなかった唯世が聞き返したが、いや何でもない、と遊太郎は笑ってごまかし。
「パイナップル、楽しみだね!」
わざとらしく快活に言った。
動物好きの銀色とクロノは岸スレスレにカヤックを寄せ、動物観察にいそしんでいた。
「あ、今、泥の上をハゼが跳ねた!」
「え、どこどこ?」
「クロノもウキウキだね♪ ほらあっちにも!」
「何処だ? って、そんなにウキウキしているかな……あ、いた!」
クロノは嬉しそうに手を伸ばし、ぐらりとカヤックが揺れる。
「わあ、気をつけてね」
そう言ってバランスをとりつつ、これだけはしゃぐクロノも珍しいや、と銀色は嬉しくなる。
●海へ
マングローブを堪能した生徒たちは、慶佐次川を漕ぎ下り、いよいよ海へと向かう。帰りは当然川を下っていくので、行きよりカヤックのスピードは速い。皆のパドリングの腕も上達したので尚更だ。
そのすいすいと川を下っていく色とりどりのカヤックの中で、ひときわエキサイトしている一艘がレオナ(d08524)だ。
「カッター競争じゃなくてカヤック競争だ!」
ミリタリー同好会部長の彼女は、何事も軍事訓練に見立てずにはおれない。服装も白い防暑軍装で、顔にはモスキートネットまで被っている。
「アジア南方ではマラリアが発生していると書いてあったからな!」
だそうだが、ちなみに琉球諸島のマラリアは1960年代に撲滅されている。
どんどんどんどん下って、ガイドさんも追い越して、一番乗りで河口から有銘湾に飛び出す……と、そこに広がっていたのは。
「おお!」
故郷にはない、亜熱帯の眩しい海。レクチャー中には見る余裕が無かったが、舟の操作に慣れた今、その美しさが目に染みる。
「何て美しいんだ!」
青く透明な海水を透かして見る、白い砂やサンゴ、色鮮やかな魚に、レオナはいつものクールキャラを忘れて思わずはしゃぐ。
●フィッシング!
「沖縄美女……いやこうなりゃ観光客の美女でも、同じ学園の美女でも構わねェ。せっかくの常夏だ、ナンパとセクシービキニを楽しもうぜ!……って筈がどうしてこうなった」
竿を手にぶつぶつ言っているのはミカ(d03129)。隣でニコニコ顔なのは智之(d16606)。
「何が悲しゅうてカヤックに男2人、仲良く並んで釣りとか?」
ミカはじと目で友人を見やる。
「いやー付き合って貰っちゃって悪いね。だが結構楽しいもんだぜ? 色気は無ェけどなァ~」
智之はご機嫌だ。何しろ、釣り糸を垂れる先からバンバン釣れて、どんどんリリース。そもそも彼は、ナンパなんかより自然の中で気兼ねなく遊ぶ方が好きなのだ。
「なんかいつもより調子いいなぁ~」
ご満悦のどや顔。
「ちぇっ。おい、コツとかあんのかよ! ちょっと移動しようぜ!!」
一向に釣れないミカは、短気をおこして釣り竿をパドルに持ち替えた。
「あ、ちょっと……急に動くなって、揺れる揺れる!」
智之は慌てて舟の上で踏ん張ってバランスを取り、その慌てっぷりを見て、ミカはケラケラ笑い……そして、男同士でこういうのも、まあ悪くねーかも、とこっそり思った。
「釣り、初めてだから、餌を食べてくれるだけでもいいかなって思ったんだけど……」
リア(d17394)が釣り糸を垂れながら首を傾げる。
「ルアー釣りだから、食べてくれる餌も無いね」
春陽(d17714)が答えて、ふたりはクスクスと笑いあう。
ルアーとは疑似餌のことで、今日は金属で魚を模ったものを使っている。
「おーいおーい、釣れてますかあ?」
そこへやってきたのは、シグマとナーシャのカヤック。
「あら、どうしたの?」
「ナーシャも俺も釣りの才能無さそうだから、みんなにちょっかいかけて回ろうと思ってな」
「変わった名前のお魚、釣れるといいですね、頑張ってください!」
「頑張るよ! ナーシャ、後でパイナップルで乾杯しようねっ」
「はい! って、えっと、春陽、パイナップルで乾杯ってどうやるのです?」
ナーシャの疑問を載せたまま、2人のカヤックはそのまま別のクラスメートの方へと去っていく……と、思ったら。
「あらっ、引いてるかも?」
リアの竿に手応えが。
「春陽さん、引いて!」
「うんっ」
春陽が竿を支え、リアが必死にリールを回した……が。
「「あっ?」」
急に手応えが無くなった。どうやら外れてしまったらしい。
「いなくなっちゃった……」
「日差しキツいな、これ被ってろ」
シグマはナーシャに持参の麦わら帽子をぽんと被せてやる。
「おお、ありがとなのです」
そんな2人が次に訪問したのは、梛と希の舟。彼らは無言で釣り糸を垂らし、波音や鳥の声などに耳を澄ませていたのだが、シグマたちの訪問で急に賑やかになる。
「なんだァ、お前らもう諦めたのか? シグマは釣りとか得意だと思ってたわ」
「そういうお前らの調子はどうなのよ」
「案外イケてると思うけど」
「それなら、大物を狙うのです!」
「おい、ポッポー、期待されてるぜ。でかいの釣ってみせてやれ」
「え、俺? んー、どうかな、魚も可愛い女の子の方がいいんじゃない?」
軽やかな笑い声を残して、放浪のカヤックは去って行く。その後ろ姿を見ながら希は。
「(このクラスに来て日が浅いから、まだ少し緊張してたけど……仲良くなれそうだな)」
こっそりと笑みを漏らした。
「いいねえ、大自然の中での釣り。なあ、レンちゃん?」
クレイは近くで釣り糸を垂れている鏈鎖に声をかけた。が、返事が無い。見れば、いつになく真剣な顔つきで海面を睨み付け、
「……今晩のおかず、今晩のおかず」
と、唱えているではないか。
「お、おい、キャッチ&リリースだぜ?」
鏈鎖はハッと顔を上げて、
「も、もちろんわかってら、冗談だ冗談」
しかし顔つきは真剣で、すぐまた竿に集中する。クレイは心配&不審そうに鏈鎖を見やりながら、釣りと撮影に戻る。
……しばし後。
「反応アリッ」
鏈鎖が声を上げた。
「おお、来たか!」
クレイはその瞬間をカメラに収めようとレンズを向ける。
「まだだ、まだ……しっかり食いつくまで待つんだ俺……浮きが完全に沈むまで……よし、今だ!」
鏈鎖は全力でリールを巻き。
「キタキタキタ……よっしゃー! 釣……」
いよいよ魚影が近づいてきて、興奮のあまり立ち上がってしまい……舟がぐらあ……。
「うわあぁ!」
ざっぱーん。
「うおぁああ、レンちゃん!……あ、やべ」
そして慌てて舟を近づけようとしたクレイもバランスを崩し。
ざっぱーん……。
「フィンさん、どうして追いかけるんですかあ~!」
典(dn0058)はクラスメートのカヤックに追いかけられていた。フィンは、必死に漕ぐ典を、舌なめずりしながら追い詰める。
「ふふふふ……この機会にやんばるの自然を破壊しようと思ってたんだが、公序良俗になんとやらだし、女子が怖いのでやめた。バベルの鎖があるから大丈夫だろうが……でも止めた。だからせめて、典を叩き落とす!」
「なんで僕を~!?」
「お前毎度、エクスブレインだから無理☆ とか言って運動会も合宿もサボってるじゃないか! 修学旅行くらいつきあえ、オンドゥルァ!」
「充分つきあってるでねえだか!」
「さあ、覚悟!」
いよいよ追いつかれ、掴みかかってくるフィンに、典はパドルで必死に応戦する……と、そこに。
「待ちなさーい!」
「やめるのよ! クラスメートの私たちが恥ずかしいわ!!」
凄まじい勢いで近づいてきたのは、梓と蕾花のカヤック。
「わっ、出たッ」
フィンは女子たちの出現に驚き慌て、バランスを崩す。しかも典を捕まえようと、大きく腕を伸ばしたタイミングだったからたまらない。カヤックは……。
ぐらぁ。
「うわあぁあぁ?」
フィンは思わず典のパドルにしがみついた。
「わあっ!?」
典のカヤックも大きく傾き。
……ざっぱあぁん。
結局、男子2人はもつれ絡まり、海に落ちたのであった。
海に落ちた者たちが、仲間たちやインストラクターさんに手伝ってもらって、再びカヤックの上に戻った頃。
『はーい皆さん、ビーチに乾杯の用意が出来たそうです-、戻りましょう!』
ガイドさんの声が響いた。
傾きかけた、しかしまだまだ強い南国の日差しの中、カラフルなカヤックに乗った生徒たちは名残惜しげにビーチに向かうのだった。
作者:小鳥遊ちどり |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年6月25日
難度:簡単
参加:18人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 2
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