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深夜。
ある小さなライブハウスのステージ上に、ひとりのアイドル淫魔が立っていた。
60年代風のミニ丈ワンピースに、GOGOブーツ。
マッシュルームボブの頭には、大きめのサングラスを乗せて。
骨格構造の愛用ギターを携え、手にしたマイクで楽しげに観客たちに話かける。
「ハァイ、夜更かしでゴキゲンなみなさん。あたしのスペシャルなライブ『fallen heaven』へようこそ。今夜は倒れるまで、一緒に踊り明かしましょ?」
集まった一般人は20人ほど。
盛大な拍手を贈ると、すぐに淫魔の曲と歌にあわせ、身体を揺らしはじめる。
――エレクトリック・ギターの煌めく旋律に、気だるげな歌声。
表の世界に立つアイドルとは一線を画した存在感に、観客が魅入りはじめたころ。
ライブ会場の入口に、パーカー姿の少年が姿を現した。
「うわぁ。すごい盛況ですね! でも……」
小柄な少年の視界には観客のシルエットがあるばかりで、ステージ上の淫魔の姿は見えにくい。
少年は笑みを歪め、口を開いた。
「ちょっと、どいてくれます?」
眼前にいた青年の服のすそを掴むや、尋常ならざる力で壁に叩きつける。
異変に気づいた別の人間が少年に手を伸べるも、薙いだ手刀はひとの首の骨を易々と砕いた。
突き飛ばせば肋骨が砕け、殴れば頭蓋が弾け飛ぶ。
やがて少年はステージの前に立ち、淫魔へ向かって、微笑んだ――。
●
教室に集まった灼滅者たちを見渡し、一夜崎・一夜(大学生エクスブレイン・dn0023)が事件についての説明を開始する。
「最近、ラブリンスターの配下淫魔『パラダイス・ディスコ』が、頻繁にライブを行っているようだ」
バベルの鎖があるため、これまでは客が集まることはなかった。
だが、仲間になった『七不思議使い』たちに噂としてライブ情報を流してもらうことで、集客に成功したらしい。
観客20名ほどの小規模なステージだが、これまでに比べれば格段の進歩だ。
だがこの噂を聞きつけ、『デモノイドロード』までもがライブ会場を訪れてしまう。
「デモノイドロードの名は、『朔月・望(さくつき・のぞむ)』。ライブ会場に到着した後、観客を次々と手にかけ、アイドル淫魔のところへ向かおうとする」
デモノイドロードの目的は不明だが、ライブ会場の一般人が殺されてしまうとなれば、見過ごすことはできない。
「よって、きみたちの手で灼滅願いたい」
「接触タイミングは、デモノイドロードがライブ会場に入る前であれば、いつでも構わない」
会場から数分歩いた場所に駐車場があるため、そこへ誘導するのが得策だろう。
深夜のため周囲に一般人の姿はなく、車もすべて引き払われている。
障害物もないため、戦闘にはうってつけの場所だ。
とはいえ、デモノイドロードはライブを目的にやってくる。
誘導に失敗すれば会場入りを強行されかねないと、一夜は注意を促す。
「戦闘となれば、朔月・望は『デモノイドヒューマン』、『ガンナイフ』に似たサイキックを使ってくる」
体力の高い相手ではあるものの、8人が協力して臨めば、灼滅は難しくないはずだ。
ひと呼吸置き、一夜はあらためて灼滅者たちの顔を見渡す。
「今回の任務だが……。『会場に集まっている一般人を事前に解散させる』という方法も、考えられる」
要するに、ライブが始まる前に一般人を会場から出してしまえば、事件を未然に防げるということだ。
ただし。
ライブを邪魔された『パラダイス・ディスコ』とは、必ず戦闘になってしまう。
そうなれば、戦闘中にデモノイドロードが乱入してくる可能性もあるため、ダークネス2体を相手取る覚悟で臨む必要があるだろう。
――どちらにせよ、最優先すべきは、一般人への被害を防ぐこと。
「どちらの方法をとるかは、きみたちに任せる」
そう告げ、一夜は「よろしく頼む」と、静かに頭をさげた。
参加者 | |
---|---|
雨月・ケイ(雨と月の記憶・d01149) |
森村・侑二郎(一人静・d08981) |
村本・寛子(可憐なる桜の舞姫・d12998) |
チェーロ・リベルタ(忘れた唄は星になり・d18812) |
草壁・夜雲(中学生サウンドソルジャー・d22308) |
翠川・夜(今宵は朝日が登る迄・d25083) |
アリエス・オデュッセイア(アルゴノーツ・d29761) |
アサギ・ビロード(ホロウキャンバス・d32066) |
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「ライブ会場に入る前のデモノイドロードを灼滅する」作戦を選んだ灼滅者たちは、各自の役割ごとに別れ、ダークネスの来場を待っていた。
会場前で待機するのは、5人。
入り口からやや離れた位置で警戒していたアサギ・ビロード(ホロウキャンバス・d32066)が、『DSKノーズ』にかかった強い業の匂いに気づき、仲間たちの元へ駆ける。
吐き気をもよおすほどの強烈な匂いに、宿敵であるデモノイドロードが、どれほど残虐な殺害を繰りかえしてきたかを想う。
(「惨劇は起こさせません。デモノイドロードは……絶対に灼滅します」)
アサギが戻ると同時に、待機していた他の灼滅者たちも作戦を開始する。
「申し訳ございません。ライブ『fallen heaven』は急遽会場が変更になりました」
ライブスタッフに変装した森村・侑二郎(一人静・d08981)が、歩き来るダークネスにも聞こえるようにと声を張りあげて。
「突然、会場変更。何故?」
「なるほど、これもサプライズというわけですね!」
ファンを装い、声をあげるアサギと雨月・ケイ(雨と月の記憶・d01149)。
そこへ、パーカー姿の小柄な少年――デモノイドロード、朔月・望(さくつき・のぞむ)が近づく。
「へえ。会場変更になったんですか。……というか、あなたたち灼滅者ですよね?」
あどけなさの残る容貌に、いぶかしげな目線を寄越す。
スタッフに変装し、ファンを装ったところで、ダークネスを相手に間近で対峙すれば、灼滅者であることは隠しようがない。
――もし誘導に失敗すれば、ここで戦闘を始めるしかない。
そうなれば、一般人に被害がでる危険性も高まってしまう。
チェーロ・リベルタ(忘れた唄は星になり・d18812)と草壁・夜雲(中学生サウンドソルジャー・d22308)はあくまで平静を装い、親しげに声をかけた。
「あなたもライブに来たんですか?」
「せっかくですから、変更先の会場まで一緒に行きませんか?」
その言葉を受け、望は強張った表情から一変、ぱっと顔を輝かせた。
「ああ、あなたたちも、『パラダイス・ディスコ』のファンなんですね。僕もそうなんです!」
警戒していたのは、お互いさまだったらしい。
「今日は最前列で応援するつもりなんです!」と熱をこめて語るその姿は、ライブ会場で気のあう同志を見つけ、興奮するファンそのもの。
「変更後の会場は、こちらになります」
侑二郎がスタッフを装っているのも、淫魔に協力しているためと思いこんだらしい。
案内する灼滅者たちを疑いもせず、並んで歩きはじめる。
「どこから来たんですか? ディスコさんのライブは、遠方からでも来る価値がありますよね」
「僕はあちこち転々としているんです。そのせいもあって、今までなかなかライブに参戦できなくて」
ケイの問いかけにも気さくに応え、ディスコの歌について延々と語りはじめる。
灼滅者と戦闘をするつもりなど、まるでないらしい。
(「……もしかして。デモノイドロードは、本当に『ただライブを楽しみに来た』だけ、なのでしょうか」)
先頭に立つ侑二郎はそういぶかりながらも、誘導先の駐車場へ向かって歩きつづけた。
一方、誘導班の携帯電話を通じて状況を把握し、戦闘場所となる駐車場で待機していたのは、3人。
「私たちの声を届けるのがどれだけ大変か、その苦労も知らずに……!」
「ようやく成功するディスコちゃんのライブ。絶対に邪魔はさせないの!」
偽ライブの準備を進めながら、ぐっと拳を固めるアリエス・オデュッセイア(アルゴノーツ・d29761)と村本・寛子(可憐なる桜の舞姫・d12998)。
ふたりとも淫魔と同じくアイドル活動をしているため、今回の件については、どうにも他人事とは思えない。
しかし、翠川・夜(今宵は朝日が登る迄・d25083)はひとり、首をかしげる。
「デモノイドロードさんの目的は、何なんでしょう。ライブの邪魔なら困りますけど……。誘導班との会話を聞く限りでは、ただのファンのように感じます」
「でもエクスブレインの予測では、笑ってライブの邪魔をするって話だったじゃない。そんなの、絶対に許せないわ!」
「寛子も、ディスコちゃんの友達だから!」
友達のライブは守ってみせると、決意を固める。
灼滅者たちが介入しなければ、エクスブレインの予測通りになることは確か。
しかしエクスブレインは、ヴィジョンで視たダークネスたちの心情まで覗き見たわけではない。
――つかみどころのない、違和感。
夜は予測の内容を思いかえそうとしたが、アリエスがギターのチューニングを始めると同時に我にかえり、思考を中断する。
旋律にあわせ三人が歌声を重ねれば、やがて誘導班とデモノイドロードが姿を現した。
「移動先の会場って、ここですか? 確かに何人か演奏者はいるようですけど――」
アリエス、寛子、夜の姿を認め、足を止める。
「ここは、とてもライブ会場にはみえません」
「パラダイス・ディスコも居ませんし」と望が振り返れば、それまで言葉を交わしていた灼滅者たちが周囲を取りかこんでいる。
続く夜雲が、ESP『サウンドシャッター』を展開。
「……一体。何のまねです?」
「貴方、目的、何?」
「理由は何であれ、一般人を襲う未来は防がねばなりません」
アサギと侑二郎の言葉に、望が、別の灼滅者たちへも視線を向ける。
チェーロは静かに、首を振り。
「では、ギグを始めましょうか」
スレイヤーカードを取りだしたケイの姿を目の当たりにして。
パーカー姿の少年は、今にも泣きだしそうな子どものように、醜く表情をゆがめた。
●
「しょせん灼滅者は、灼滅者ですか……!」
小柄な体躯の半分を、青い寄生体に覆わせて。
利き腕に仕込んだガンナイフで弾丸を嵐のようにまき散らす望の前へ、ケイ、チェーロが壁を作る。
その死角から飛びだし、初撃を見舞ったのは、侑二郎だ。
「あなたがここへ来た本当の理由は、一体なんなんですか」
繰りだされた槍の一撃を受け、望が嗤う。
「ハハッ! そんなこと、おまえたちはとっくに知ってるじゃないか!」
駐車場までの道のりで、灼滅者たちは確かに聞いていた。
朔月望はファンとして、淫魔の会場を訪れている、と。
――ライブが目的であれば、ファンを装うことで誘導できると考えた。
ファンを装った声かけにより、実際、その作戦は成功した。
ロードが、灼滅者たちを淫魔のファンと信じたが故に――。
「なのにまた聞くんですね? どうせ僕が『本当』のことを言ったところで、おまえたちは嘘と断じるんだ! そうだろう灼滅者!」
吠えたロードの攻撃線上に、アリエスのライドキャリバー『フォルテッシモ』が身を投げ、斬撃を受けとめる。
身動きを止めた一瞬を逃さず、ケイが踏みこんだ。
雷の弾ける拳を繰りだし、
「くらえ……!」
渾身のアッパーカットを叩きこむ。
ふわり、浮いた少年の身へ、侑二郎のウイングキャット『わさび』がさらに肉球パンチを見舞って。
アリエスは望の言葉を聞きながらも、螺旋の如き捻りを加えた槍でダークネスの身を貫く。
自身もバベルの鎖に苦戦する、アイドル志望。
この場へきたのは、パラダイス・ディスコに心から共感し、応援したいと思ったからだ。
それなのに、
(「まさか『本当』に、このデモノイドロードは淫魔に危害を加えるつもりがなかったと言いたいの!?」)
夜は仲間たちの傷に応じ、夜の霊犬『ポチ』とともに、仲間たちに癒しを施していく。
(「もしも。もしもダークネスが言葉どおり、ファンとしてライブに参加したとして――」)
浄化をもたらす風を招きながら思考を巡らせ続けるも、考えはまとまらない。
一方、ロードがなにを語ろうと、アサギの決意は揺るがない。
眼前の『闇』が残虐な殺しを繰りかえしてきたことは、先の業の匂いをもってしても明らか。
灼滅者たちの連携攻撃を受け、膝をつく宿敵を前に、叫ぶ。
「此処、通行止!」
寄生体の肉片から強酸性の液体を飛ばし、望の装甲を腐食させ。
(「細々と頑張ってる人は応援したいし、被害が出るのは問題だからね……!」)
意思持つ帯を射出し、夜雲が追い撃ちをかけるようにダークネスの身を切り刻む。
望の反撃をかいくぐり、迫った寛子の決意もまた、固い。
淫魔パラダイス・ディスコとは、これまで二度、会ったことがある。
けれど、デモノイドロードと出会うのは、これが初めて。
ましてやひとに危害を加えるダークネスの言葉を、うのみにすることなどできはしない。
――ダークネスが本当のことを言う確証など、どこにも、ないのだから。
「どっちにしても、一般人が不幸になる未来を見過ごせはしないの!」
神秘的な歌声を響かせれば、望の動きが一段と鈍って。
チェーロは積極的にWOKシールドで殴りかかり、ロードの注意を引きつづけた。
小柄な体躯をひるがえし、闇雲に攻撃をくりだすダークネスを見やる。
(「彼は、『どちら』なんでしょうか」)
そう考えて、思い至る。
デモノイドロードは、『悪』の心をもつがゆえにその力を手にした存在。
今この場でなくとも、今後、なんらかの事件を起こすことは間違いない。
言葉少なく対峙する灼滅者たちに、ロードはもはや、語る言葉を捨てたようだった。
「うぉおおおおおお!!!!!」
手負いの獣の如く雄たけびをあげ、傷だらけの身体で弾丸をばらまいて。
けれどその勢いも、間断なく繰りだされる攻撃を前に、長くは保たない。
夜と霊犬『ポチ』の回復を受け、灼滅者たちの攻撃はいっそう、激しさを増していく。
怒りを与えたチェーロが望を誘導し、仲間たちと足並みをそろえる。
ライドキャリバー『フォルテッシモ』が、真っ先に突撃。
続く侑二郎が、流星の煌めきを描きながら重い飛び蹴りを炸裂させて。
人と、デモノイドの形を半々に残したデモノイドロードは、アスファルトにめり込み、わずかに手指を動かすばかり。
ウイングキャット『わさび』が猫魔法をはなちその身を戒めれば、アリエスが影で作った触手を放ち、さらにダークネスを絡めとる。
身動きの取れなくなった望を、寛子はすぐさま高く持ちあげて、
「札幌テレビ塔ダイナミック!!」
大地に叩きつけ、大爆発が巻き起こる。
入れ替わるように夜雲がマテリアルロッドを振りかぶり、望を打ち据えて。
膨大な魔力を流しこめば、暴走した力が、青い身体を内側から爆破していく。
ケイは爆煙を振りきるように周囲を旋回すると、摩擦により生じた炎をまとった脚で、華麗な蹴りを叩きこんだ。
たとえば、デモノイドロードが淫魔に危害を加えないつもりだったとして。
(「――今回とはまた別の言葉で誘導を促していたなら。その時、このダークネスは一体、なんと答えただろう」)
そんな考えが、一瞬、アサギの脳裏をよぎる。
しかし。
一刻一刻、振りかえる間もなく過ぎゆていく現在に、『もしも』はありえない。
手にした『The Mutilater』――切り刻む者の駆動音を唸らせ、斬りつける。
「貴方、此処、灼滅必定!」
切れ味は、あえて鈍く調整してある。
ゆえに傷口は深く、広くなる。
デモノイドロードは激痛と憎しみにかられながら、最後の最後の力を振り絞り、嗤い、叫んだ。
「灼滅者たちめ……! 『fall to heaven』!!!」
絶叫とともに、青い身体が一瞬にして塵と化し。
ぬるい夜風にのって駐車場に飛散した後は、なにひとつ、残らなかった。
●
デモノイドロードを灼滅した後、灼滅者たちはそろってライブ会場へ向かった。
途中入場となったため何曲かの演奏を逃してしまったが、それでもライブを堪能するには十分。
「ディスコちゃーん!」
応援用のハッピとTシャツ、鉢巻を着用した寛子は、ペンライトを手に最前列で華麗なオタ芸を披露。
気づいたディスコが笑顔で手を振り、一層、場が盛りあがる。
パラダイス・ディスコのライブを満喫したのは、観客たちも同じだ。
すっかりディスコの虜となった一般人の観客たちを見送り、灼滅者たちは楽屋へと向かう。
「ライブおつかれなの!」
「ライブ成功おめでとうなんだよ」
「初めて参加しましたが、楽しませていただきました」
花束と菓子折りを手に寛子、夜雲、侑二郎の3人が声をかければ、
「ありがと。灼滅者たちにも来てもらえるなんて、噂を流してもらったかいがあるってことかしら」
出迎えた淫魔パラダイス・ディスコが花束を手にはにかみ、8人へ礼を述べる。
「そのことなんだけど!」と、アリエスが身を乗りだし、
「七不思議使いのライブの宣伝方法、詳しく教えて……! バベルの鎖、突破できるの?」
ダークネスも灼滅者も、アイドルのもつ悩みは同じ。
ディスコも意を察して頷いたが、
「ライブの日時をラブリンスターさまに伝えているだけだから、あたしも詳しいことは知らないのよね……。でも、効果があるのは確かだわ。おかげで、ここ最近のライブはいつも盛況だもの」
七不思議使いさまさまねと告げ、満足げに微笑んで。
「あの、サインとかもらったら失礼ですかね?」
「まさか! 大歓迎よ」
夜とアリエスに求められたサインにも、快く応じる。
「宣伝も大事だけど、変なのも来るから警戒も忘れずになの!」
「ヘンなの?」
「ダークネス、とか」
寛子に続き、チェーロがぽつりと言葉を重ねて。
しかし淫魔は、意に介さずといった様子で眼を細めた。
「心配してくれてありがと。でも、大丈夫よ。こう見えて、あたしも一介の淫魔だもの。いざとなったら、籠絡してやるわ」
いたずらっぽく微笑むディスコを見やり、チェーロは内心、複雑だった。
――悔しさをにじませ消えていった、デモノイドロード。
――ライブの成功を喜ぶ、淫魔。
ダークネスのすべてが悪いわけではなく、とはいえ、完全に共存できるのかもわからない。
(「でも素直にがんばる彼女は、歌声は、素敵だと感じました」)
ディスコとの交流を終えた後、灼滅者たちは学園へ報告に戻るため、夜の町を歩いていた。
灼滅したデモノイドロードや淫魔のライブについて、アサギや仲間たちが言葉を交わすなか。
ケイはライブ会場の物販で購入したCDを取りだし、その中の一曲のタイトルを見た。
――『fall to heaven(天国へ堕ちなさい)』
ライブ中、ディスコの歌声に聞き惚れていた観客たちを。
そして、淫魔のファンを自称していたデモノイドロードを思いかえす。
はたして堕天したのは、『だれ』なのか。
観客か。
デモノイドロードか。
それとも、自分たちか――。
煌々と照る月を見あげる。
ただ、たしかなのは。
潰えるはずだったひとの命を、守ることができたという事実。
それだけだった。
作者:西東西 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年6月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 8
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