修学旅行2015~シェルクラフト 海からの贈りもの

    作者:西東西


     武蔵坂学園の修学旅行は、毎年6月に行われる。
     今年の修学旅行は、6月23日から6月26日までの4日間。
     この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒たちが、一斉に旅立つ。
     また、大学に進学したばかりの大学1年生が、同じ学部の仲間などと親睦を深めるための親睦旅行も、同じ日程・スケジュールで行われる。

     修学旅行の行き先は『沖縄』。
     沖縄そばを食べたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載だ。

     ――さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!
     

     修学旅行1日目。
     首里城を観光し、沖縄ソーキそばを堪能した後は、興味のある体験を選べる『体験学習』の時間となる。
     沖縄特有の武術や音楽、衣装のほか、ガラス体験やシーサー作りも楽しそうだが、せっかく訪れた沖縄の土地。
     記念に、なにか手元に残るものを――と考えているあなたは、『シェルクラフト』などいかがだろうか?

     『シェルクラフト』とは、浜辺で手に入れた素材を使って様々な雑貨をつくること。
     今回は沖縄本島北部の恩納(おんな)村にある『ダイヤモンドビーチ』で素材を集め、浜辺に設営したテントの下で雑貨作りを体験する。
     『ダイヤモンドビーチ』の正面には本部半島の山々が連なり、見渡す眺めも美しい。
     浜辺をのんびり歩くだけで十分楽しめるが、今回は波打ち際付近までであれば、海に入っても良いという許可が出ている。
     散歩がてら、心ゆくまで海辺を歩くのも良いだろう。

     拾える貝殻にもさまざまな種類があり、ホネガイ、カナリウムホワイト、ミミガイパール、ウミウサギなどなど。
     大きなものでは、イシガキやヤコウガイ、シャコガイなど、数えきれないほど多彩な色、形、大きさが存在する。
     目当ての素材が見つからなくても、大丈夫。
     制作テントのすぐ裏手に、シェルクラフトのお店がある。
     有料にはなるが、お店にある多彩な素材を購入するのも、ひとつの手だ。
     
     素材が手にはいったなら、『制作テント』へ向かおう。
     設営されているのは、海のすぐそば。
     手軽に作れるのは、アクセサリーやストラップ。
     想い出の写真とともに飾ることのできる、フォトフレームも人気が高い。
     アクセサリートレイや小物入れ、コンパクトなどは、女性にも人気だ。
     ほかにも、ジェルキャンドルやシェルリース、素材を詰めこんだ小瓶など。
     道具はひととおり揃っているため、アイデアしだいで色々な作品を作ることができる。
     作り方がわからなければ、テントにいるシェルクラフトの店員に声をかければ良い。
     よく日焼けした人好きのする若者たちが、喜んで手順を教えてくれるはずだ。
     
     ――手作りするものに合わせ、素材を探すか。
     ――拾ったものを使い、現地でなにを作るか考えるか。
     思い巡らせるだけでも、心躍るひと時となるだろう。
     
     楽しい想い出に添えて。
     世界にたったひとつの、手作り雑貨を作ってみませんか?


    ■リプレイ


     白い砂浜に、エメラルドグリーンの海。
     砂浜を見るや、学生たちは思い思いに素材探しを開始する。
     双子の姉妹は、海を間近に見るのは初めて。
    「ユエ、この貝殻変な形ですよ! あ、これは…パール?」
     はしゃぐシェリーに、ユエも微笑んで。
     おそるおそるつま先を波にひたせば、次に寄せた波が、すぐに足首までを濡らしていく。
    「海の水って冷たいんですね!」
    「ひんやりして、とても気持ち良いです」
     ざぶざぶ波をかき分け歩き、何を作ろうと思案する。
    「ストラップかな、それともフォトフレーム?」
    「きっと、いい想い出になります」
     ともに過ごす時間が、とても楽しくて、大切だと。
     陽光のまぶしさに、眼を細める。
    「わああ、砂が真っ白!」
    「海も空も砂浜も、作り物じゃないんですよね」
     ほうとため息をつくのは、春香と千鶴。
     『綺麗』のカケラを、ひとつひとつ、手に取って。
    「宝探しみたいで、わくわくしますね!」
     手を伸べ、互いに引っ張りあいながら、波打ち際を歩く。
    「かけっこみたい」
    「あはは! 千鶴さんだって早足です」
    「嘉瀬さ――春香さんだって! おあいこですよ!」
     自然と口をついてでていた、名前。
    「桑子さ――ちづる、さん!」
     呼び返せば、内気な少女がほわり、微笑んだ。
     テントをめざし素材を集めるのは【刺繍倶楽部】の6人。
     先行く供助と長押に続き、藤乃が胸いっぱいに潮風を吸いこむ。
     はしゃぐ希沙と香乃果が貝を拾い集めれば、すぐに袋いっぱいに。
    「ふじ、欲しい色あったら言うて」
     ナゲ氏より貝殻持ってるからね!と豪語すれば、
    「質を重視で集めているから仕方ないねっ」
     希沙と長押が競いあい、
    「篠村姉ちゃんに牛尾兄ちゃんも、頑張れなー」
     健が負けじと、大自然のお宝を集めるべく波間を歩く。
    「お、この貝真っ白だな」
     独りごち、二枚貝を拾ったのは雷歌。
     寄せる波で砂を洗い落とし、手のひらに乗せた巻貝と並べ見る。
     ふと顔をあげれば、空と海とを分かつ青が広がって。
    「あいつに心配、かけちまったしな」
     心の赴くまま手を動かせば、素直な気持ちを伝えるなにかが、できるかもしれない。
     ――さて、何を作ろう?


     浜辺のテントでは、早々に作品制作が始まっている。
     桜貝を集めたのは悟。
    「どんな服にも使える、綺麗なやつがえぇな」
     相棒のうさぎさんを傍らに、琉球ガラスのビーズ玉と、銀の弾を繋いでいく。
    「おっしゃできた!」
     仕上がったブレスレットを手に、
     ――さくらえ先輩が、いつも幸せで居られますよーに!
     なーむーと念じて、力を注入。
     隣では、響が集めた貝を前に、なにを作ろうかと思案中。
     聞けば、ジェルキャンドルも作れるらしい。
    「なら、それにしよう」
     透明グラスに芯を据え、白砂を敷きつめる。
     貝を散りばめ、青と透明のジェルを流しこめば、眼前の絶景を詰めこんだ小さな箱庭が、てのひらに広がる。
     晶は先に店の展示を見て、参考用に写真撮影。
     テントで作るのは、自分でも使えるようなネックレスだ。
    「針金で模様をつくって、オブジェのように」
     ワイヤーに貝殻やガラスを固定し、モチーフを作成。
     似たようなモチーフをいくつも作るのは、自分の店に出すためだ。
     器用に作業する晶を横目に、
     「おー」と掛け声あわせ、作業にかかるのは仁奈とフィンナーシュ。
     ストラップの色を仁奈に問えば、
    「赤が似合う、かな。白のレースとか好き?」
    「白のレース、結月様みたい…」
     こくり頷き、飾りつけて。
     今度は仁奈が、フォトフレームと貝殻を指しだす。
     小さな指で、白い大きい貝殻をぺたり。
     貼りつければ、海色と貝殻のフォトフレームが完成!
    「一緒に作ってくれてありがとう」
    「ストラップ…。想い出と、一緒に。大切にする、です」
    「私も、大切にするね」
     そうして甘いものを食べに行こうと、席を立つ。
    「あっちゃんは、なに作るか決めてきた?」
    「うーんとな、お揃いの髪飾りがいいな」
     意見を交わすのは、灯夜と藺生。
     バレッタはどうかと提案すれば、藺生も賛同し、制作開始。
     灯夜はひし形に、白の巻貝、桜貝と藍のリボン。
     藺生はハート形に、星型の珊瑚と白の貝殻。薄いピンクのリボンを添え、仕上げた。
    「洋服にあわせて、交換してもいいのですね」
    「ふふふ、後で交換してみようね」
     そろいの品を身に着ける時間も、きっと楽しい想い出になる。
    「修学旅行、一緒に行けて良かったね」
    「いい想い出になったね」
     笑い交わし、眼前に広がる情景を見やって。
     二人、潮騒に耳を澄ました。

     ひとつの机を陣取り、作業に勤しむのは【吉祥寺2-7】の4人。
     黙々と作業を進める烈也をよそに、かなめ、シェレスティナ、翠の3人が、和気あいあいと手を動かす。
    「手先は器用な方ですからね! フィーリングでなんとか!」
     貝殻とガラスを白い写真立てに貼り、太陽と海と空を表現。
     そこに皆との写真を入れるのだと、かなめが満足げに頷く。
    「かいがーらビーチグラース♪」
     歌うシェレスティナが作るのはミニランプ。
     時間が限られているので細部まで作りこむことはできないものの、
    「かーわーいーいーでーすー!」
     覗きこんだ翠が絶賛。
    「翠ちゃんと烈也ちゃんは、どんなかんじー?」
     シェレスティナが声をかければ、烈也が作っていたペンダントをさし出して。
    「どうせ翠は作ったものを妹にやるんだろ? だからこれは、お前にやるよ」
    「わ、ありがとうございますですー♪ では交換ですねっ!」
     翠も完成したばかりのミミガイのペンダントを、烈也へ。
    「今日は、御柱さんのをつくっていましたのですよっ♪」
     予想が外れた烈也は、目線を逸らしながらペンダントを手に取って。
    「仲が良くて、とってもいいことだと思いますよー?」
     にまにまと見守る2人に、
    「見世物じゃねぇ!」
     椅子を蹴倒し、烈也が立ちあがり。
     テントを飛びだした2人が、笑いながら砂浜を駆けていった。
     賑やかなお隣をよそに、【刹那の幻想曲】の4人も制作中。
    「うーん、どこにつけようかしら」
     悩む薫が作るのはアクセサリートレイ。
     容器に貝を貼ろうと思えど、配置が決まらない。
     ハート形に貝を貼りつけた花瓶を見せ、
    「薫さんも気の赴くまま、飾ってみると良いのではないでしょうか?」
     センスは人それぞれだと、オリシアが励ます。
    「うちは写真立て作るでー。旅行で撮った写真入れるんやー♪」
     日々音が形になった品を机の上に立てるも、なかなかうまくいかない。
     ふと薫を見やれば、既製の容器に貝を張りつけているではないか。
    「そ、その手があった!」
     しかし、眼前には集めた貝の山。
     やるしかないんやと、気持ちを奮いたたせる。
     一方ペーニャは、オリシアが目を離した隙に悪戯を決行。
     爽やかな情景に心洗われたオリシアが見たものは、
    「んなッ!? なななにこれぇえええ!?」
     T字状に貝を貼り足された花瓶だった。
    「オリシア・シエラと言えば下着は必ずTバック! 相応しい花瓶ではありませんか」
    「わわっ、すごいですね」
    「さすが、都会っ子はカゲキやで」
     下手人の言葉に、頬を染める薫、感心する日々音。
    「今日からオ『シリ』ア・シェルさんと呼んでさしあげまブゴハァッ!?」
     主の制裁に現れた翼猫を慌てて荷物の中に隠し、4人はいぶかる店員へ向け、愛想笑い。
    「沖縄も海も初めてなのよー」
    「心が洗われるようだ!」
     テントからの光景に歓声をあげるシュエットと雪音のそばで、ベアトリスも故郷に負けず劣らずの絶景だと絶賛する。
    「否。可愛らしい友人たちに囲まれているぶん、こちらの方が数億倍美しく感じるっ」
     シュエットが作るのは、貝殻と想い出を詰めこんだジェルキャンドル。
     ベアトリスは、サンゴ砂に多彩な貝を散りばめたシェルリースを作ったと告げ、
    「キミをイメージして作ってみたよ」
     シュエットへ向け、ウインク。
     雪音がじと目を向ける。
     一方の雪音は、貝に鈴を添えたストラップを作っている。
    「でも、あまり手先に自信がなくてな」
     助けを求めるよう茴香を見やれば、
    「綺麗に作ろうと、気負わなくていいと思う」
     想い出も、手作りの品も。
     世界にたったひとつだけの、尊いもの。
     励まされた雪音は、俄然やる気を取り戻し。
    「美しい景色に、美しい友情。この最高の時間を、私は、心に深く刻みつけた――」
     ベアトリスの声を聞きながら、最後の仕上げにかかる。
     広めの机を陣取った刺繍部の6人も、素材を前に制作開始。
     健の力作は貝時計。12の貝を使い、賑やかにイラストを添える。
    「想い出がさらなる時を刻むのって、イイ感じじゃないか?」
    「貝の種類生かせて、面白いな」
     じっと見やる供助の手元には、白のシェルリース。
     ムーンリース型に白と青、褪せた瑠璃を配し、シックに仕上げた。
    「供さん、こゆの作るん好きそですね」
    「こういうのに限らず、作るの好きだよ。室本はどんなのにした?」
    「私はこれです」
     笑顔で見せたのは、硝子の器を海に見たてたジェルキャンドル。
     カクレクマノミの泳ぐ、海中の情景が美しい。
    「希沙ちゃんと藤乃さんのお揃いも、可愛いな」
     2人は誘いあわせ、揃いのストラップも作っていた。
     自分用に作ったチャイムやトレーとは別格の、想い入れのひと品。
    「僕は、自分用のネックレスを」
     それから、長押はもうひとつ。
    「藤乃。よかったら、このかんざしを使ってくれたら嬉しいな」
     さしだしたのは、細木に白黒の貝殻を並べた簪。
    「良いのかしら? ありがとうございます、ナゲ氏」
     手にした貝が、手の内でからりと揺れて。
    「全員自分の持って、写真撮っとこうぜ」
     店員がシャッターをきると申しでて、部長の藤乃を中心に、長押と希沙が押しあいを開始。
     笑顔の供助、香乃果に、健も堂々とVサインを掲げて。
     ――ハイ、チーズ!

     素材を手にテントに向かうのは、啓太郎とつばめ。
     向かいあい席につけば、自然、意識は手元に集中。
     沈黙にふと顔をあげれば、視線がぶつかって。
    「こういうのって、集中しちゃうよな」
     互いに笑い交わし、作業を進める。
     啓太郎は、白砂のフォトフレーム。
     つばめは、貝をあしらった小物入れを作りあげ。
     続けて、小貝を連ねたストラップを啓太郎へ。
     いつの間に作ったんだと、啓太郎が微笑んで。
    「ありがとな。大事にする」
     眼を細め、頷く。
    「一緒に来れてよかった。せらくん、ありがとう」
     ――ずっと、時間が止まればいいのにな。
     同じく向かいあい作業をするのは、幽と狐狗狸子。
     手先の器用な幽が順調に作業を進めるのを見やり、
    「アンタ上手いわね、ちょっとここやってよー」
    「いいぜ。手伝い賃はサービス――」
     一瞬、狐狗狸子がおどろいたような表情を浮かべるも、
    「5割引き。いや、出世払いでいいぜ」
    「うわ、ちっさ」
     ハッと、鼻で笑う。
    「てめぇ、やっぱり金払いやがれ!」
     ひと悶着の後。
     狐狗狸子が完成したミサンガをぽいと投げ、
    「あげるわ。売らないでよね?」
     幽はミサンガを手に、小さく舌打ち。
    「手伝い賃はいらねぇよ。あとこれ。受け取っとけ」
     器用に作られたストラップを受け取り、狐狗狸子は小さく、口の端をもたげた。
    「さすが沖縄、暑いね」
    「ホント、暑いのね。でも大丈夫よ!」
     吹きすぎる風に涼を感じながら、螢とリューシャも制作に励む。
     螢が作るのは、繊細なうさぎのクラフト。
    「リューシャはどんなのを作るのかな?」
    「フォトフレームにするの!」
     桜の花を散らし、隅に蛇を配置するという。
     うまくいくかしらとはにかむ少女に、
    「帰ったらコレ、リューシャにプレゼントするね」
     驚き、ありがとうと告げたリューシャも、螢へ向け微笑み返す。
    「それじゃあ、こっちも渡せるようなの作らなきゃ」
     完成が楽しみだと、螢はリューシャを、そっと抱き締めた。

     テントひとつを貸切り作業にあたるのは【千川キャンパス 2-3】の8人。
     意気ごむ菖蒲の隣では、ヒノエが桜貝で作った薔薇を添え、シェルリースを作っていく。
    「藍凛のほら貝ランプは、良い発想ですね?」
     これを点けて夜に談話してみたいと告げれば、藍凛がこくり、頷く。
    「…記念に日付と、僕のイニシャルを刻むんだ」
     見れば、店員に教わりながら、小唄がブレスレットを制作中。
    「…ガンバレ小唄君、そうソコくっつけてー」
     藍凛の応援に、照れながらも奮闘を続ける。
    「美優ちゃんのもすてき! 誰かのお土産?」
     小唄が問えば、贈り物の首飾りだと言う。
    「御剣さんのダークネス像も、綺麗ですね」
    「みつるぎも邪神作ってたんだね。すごい、超正気度下がる」
     名伏しがたい何かを作っていたれん夏も、ベタ褒め。
     続けて「私も負けずに頑張ります」と美優に告げられ、
    「ば、ばっか! 俺の動物だし、すげぇそう見えるし!」
    「えっ動物?」
    「なるほど、アートですね」
     小唄に続き、首をかしげる美冬が作っているのはフォトフレーム。
     羽や兎、ドラゴンなど、それらしく見える貝を並べ、貼りつけた。
    「おおーかわいい。ここ、うさぎか? 器用だなー」
     感心したように美冬の品を覗きこんだリュカの前には、眼前の海の色を思わせるジェルキャンドルが置かれている。
    「アロマも加えてみてはいかがでしょうか?」
    「ヒノエ、ナイスアイディア!」
     聞けば、店員が材料があると持ちだして来てくれた。
    「花露さんの、白い貝殻が似合ってるです、可愛い」
    「色合いが綺麗だなー、よく似合いそうだ!」
     完成したブレスレットを見て、美冬とリュカが微笑んで。
    「不恰好だから恥ずかしいけど、褒めてもらえたのは嬉しいな」
     照れ笑い、小唄も皆の作品を眺めに回る。
    「…あ、リュカ君キャンドルだー。…ねぇねぇ夜になったら一緒に灯そうよ」
    「凄いな、同じ材料なのに、こんなにも違うんだな」
    「てゆかみんな発想がすでにおしゃれだ」
    「みんなの作品、写真に収めるです!」
     褒めて、笑って、言葉交わして。
     ――私は今、こんなにも多くのお友達に囲まれて、元気に過ごせているんだよ。
     広がる空を仰いで。
     美優は小さくつぶやき、微笑んだ。
    「あ、この白くて小さい貝殻、リヤンちゃんぽい!」
     テントの端。
     無邪気に告げるシアンの言葉に、リヤンはほんのり頬を染め。
     ふたり、黙々と作品作りに勤しむ。
     やがてリヤンが、完成した品を手に口を開いて。
    「あの…有難う。これ、良かったら」
     さし出したのは、白貝に硝子ビーズを連ね、濃青リボンで飾ったストラップ。
    「ありがとうは、こちらの台詞だわ!」
     シアンも白とピンクの貝殻をあしらったコンパクトを、リヤンへ。
    「よかったら、もらってくれる?」
     思いがけない申し出に、頬を火照らせ、頷いて。
    「…嬉しい。明日も、宜しくね」
    「沖縄だけじゃなくて! 学校に戻っても、仲良くしましょ☆」
     出会わなければ、独りだったかもしれない時間。
     うまく紡げぬ言葉の代わりに、たくさんの想いをこめて。
     ――一歩の勇気を、ありがとう。
     
     

    作者:西東西 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2015年6月23日
    難度:簡単
    参加:45人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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