●琵琶湖畔、とある廃旅館にて
数年前に廃業し、廃墟となっているはずの旅館の奥から、怪しい男女の怪しい声が聞こえる。
「ぬっ……んっ……おおっ」
「ん、ここね。わかったわ」
「アッ……そこそこ……ううたまらん……っ」
「ふふ、可愛い声出しちゃって。よっぽど気持ちいいのねぇ」
大胆なカップルが廃墟なのをいいことにイチャイチャしているのかと思いきや、残念ながらハズレで、どうやらマッサージをしているようだ。
施術しているのは露出度の高いナース服姿の女で、客は頭に角を持つ屈強な男。
「おおおっ、そこも効くぅ~!」
男は裏返った声を上げた。
「でしょう? 派閥抗争で負った怪我も、私たちのサービスを受ければ、すぐに治るわよ」
「うむ、さすがはいけないナース、期待に違わぬ腕であるな……うおお、そこ痛きもちい~!」
「だから……コトが起きた時には、私たちのこと……お願いね。頼りにしてるわよ?」
●武蔵坂学園
「華乃さん、華乃さん! 廃旅館を根城にしている淫魔、見つけましたよ!」
「まあ、やっぱりいましたのね!」
蔵守・華乃(レッドアイ・d22909)は 春祭・典(高校生エクスブレイン・dn0058)に呼び止められ、驚いて振り向いた。
「華乃さんに言われて、全国の廃旅館を当たっていたのですが、最近DOG六六六が琵琶湖畔で活動を始めたという情報が入ってきましてね」
灼滅者の襲撃で、道後の拠点を維持できなくなった『もっともいけないナース』が、琵琶湖に拠点を移したらしい。延々と続く安土派と天海派の小競り合いのために、怪我をしたダークネスが非常に多い……つまり彼女らの需要が高い地を選んだというわけだ。ちなみに、ナースたちは派閥は関係なくケガ人は全て受け入れて、自分たちのファンにしようとしている。
典が予測したのは、廃旅館の一室をマッサージ店としている、いけないナースの存在だ。
「わかりました、早速急襲しましょう!」
華乃は意気込んだが、典は首を振り、
「今回は、そう簡単にはいかないのです。ナースたちは非常に警戒心が強くなっています。激戦の末に戦闘不能になるような怪我を負った者しか近づくことはできません」
「じゃあどうすれば?」
「接触前に、灼滅者同士が2グループに別れて、本気度の高い模擬戦を行うというのはどうでしょうか」
「ええっ……それって、誰かが戦闘不能になっちゃうくらい激しく戦わなければならないということですの?」
「そうです」
典は気の毒そうに頷いた。
「敗北したケガ人は、客としてナースに接触することができます。彼らがナースを施術に集中させれば、その間に勝った人たちも施術室に押し入ることができるでしょう」
いけないナースは淫魔っぽいアレコレには長けているが、戦闘力はそれほど高くないので、ケガ人がいても勝利することは難しくない。しかもナースは客を守って戦おうとするので、その習性を利用すれば逃走も防げる。
「むしろ、マッサージ客になるための模擬戦の方で、痛い目にあいそうですわね……」
「申し訳ないです……しかし、いけないナースたちを灼滅していけば、もっともいけないナースへの手がかりが得られるかもしれませんので、何とかここは堪えて頂きたいのです」
「わかりました」
華乃は悲壮な表情で頷いた。
「今回ばかりは、ご学友の皆さんが相手でも、本気モードで戦いますわ」
「その意気です」
典は励ますように、
「現在は無差別に回復をしているナース達ですが、どこかの組織に所属してしまうと、大きな脅威になってしまいます。それを防ぐためにも、どうかよろしくお願いします」
参加者 | |
---|---|
柳谷・凪(お気楽極楽アーパー娘・d00857) |
李白・御理(玩具修理者・d02346) |
深草・水鳥(眠り鳥・d20122) |
志穂崎・藍(蒼天の瞳・d22880) |
蔵守・華乃(レッドアイ・d22909) |
仮夢乃・蛍姫(小さな夢のお姫様・d27171) |
エイミー・ガーネット(きゃぷてんエイミー・d31006) |
遠波・瑠璃花(波間の迷い子・d32366) |
●夕焼けの湖畔
琵琶湖畔の砂浜で、赤々と夕日を受けながら、4組の少年少女が向かい合っていた。
「ナースのマッサージが、未知の療法やヒールサイキックかもしれませんから、調査したい気持ちもあるのです……」
李白・御理(玩具修理者・d02346)は医師の息子らしく、生真面目に葛藤している。
「ですが、模擬戦も手を抜くわけにはいきません」
「ナースの技は、季白さんの分までわたしが一生懸命体験してくるんだよ!」
彼と対峙しているのは仮夢乃・蛍姫(小さな夢のお姫様・d27171)。
「よろしくお願いしますね、蛍姫さん。では先手、行かせてもらいます」
御理は拳にオーラを載せて殴りかかった。蛍姫は殴られるまま抵抗せず、自分に言い聞かせる。
「ふぐっ……ううっ、怖くないよ、痛くないよ……」
打ち合わせ通り、効率よく戦闘不能になって、ナースの元に向かわなきゃ……と理性では分かっているが。
「やっぱり怖いんだようー!」
怖さと痛さのあまり、ついついダイダロスベルトを振り回してしまう。
「うわっ」
御理はからみついてきたベルトを鬼の手で振り払って。
「わかりました。それならば、痛覚神経の伝達速度は時速108キロmと呼ばれています。ということは痛覚よりも速く意識を摘み取れば痛くないはず」
「ええっ、そんなのってあり?」
「研究テーマができました。やってみましょう」
御理はふたたび拳にオーラを集積しはじめた。眼がマジである。
その真剣さに蛍姫は思わず後退る。
「もしかして、わたし実験台!?」
「な、なんかすごく申し訳ないです……」
深草・水鳥(眠り鳥・d20122)は対戦相手のエイミー・ガーネット(きゃぷてんエイミー・d31006)に、大変恐縮している様子である。彼女は人見知りな上に、相手との戦闘経験の差も気になる。
しかしエイミーはうっとりと、
「遠慮はいらないデスヨ、水鳥! ビシバシ来てクダサイ。ナースのマッサージ、とても気持ち良いらしいデスカラ……」
すでに気持ちがナースの方にいっているので、ウェルカム状態、集中力はとっくにお留守である。
「そうですか、では、よ、よろしくお願いしますっ」
おどおどしつつも、水鳥はエイミーに向け影の刃を放った。
「ナースはどんなコトをしてくれるのデショウネ……ああっ、シマッタ!」
ザクザクザクッ。
早速エイミーのセクシーコスチュームが切り裂かれた。
「こんな開けたところで露出なんてハシタナイ……でも、ナースに会うニハ……」
慌てて裂けた装備を掻き合わせ、ガンナイフの引き金を引くが、狙いも定めず苦し紛れに撃ち込んだ弾はひょろひょろで、水鳥はたやすく避け、
「ごめんなさいごめんなさい、時間かかると思いますけれど、ぼこぼこにさせてもらいますーっ」
「ウヒャー!」
影を放った水鳥自身は謝りまくっているが、漆黒の鳥は大きく嘴を開け、エイミーに遠慮会釈なくがっぱりと喰らいついた。
「いけないナースのマッサージ、すごく気になるんだよ!」
ナースの施療への憧れを熱く語っているのは柳谷・凪(お気楽極楽アーパー娘・d00857)。
「折角の機会なので、ぜひ受けてみたいんだよ! お願いだよ、瑠璃花ちん、ボクを負けさせて!」
「え、えっと、そこまでいうなら……」
遠波・瑠璃花(波間の迷い子・d32366)はガチで戦うつもりだったようだが、凪の説得に折れた。
「わかりました、凪せんぱい、やらせてもらうです。よろしくお願いします……です!」
「ありがとう! どんと来いなのだ!!」
凪はどんと自分の胸を叩いた。
「でも、全力でいどむことが、礼儀だと思う……です。だから、てかげんは、しません!」
「もちろんだよ!」
「では」
戸惑い気味だった瑠璃花の表情が変わった。
「行きます……です!」
瑠璃花のエアシューズに本気の炎がめらめらと燃え上がる。
「たあーーーっ!」
「わわっ」
足下にスライディングキックが決まり、凪は砂浜にもんどりうって倒れ込んだ。
「次はこれいく……です!」
そこにすかさず縛霊手がずっしーんとのしかかる。
「むぅ、わざと受けてるとはいえ、やっぱり痛いものは痛いんだよう~」
一方。
「力量、経験の差は明らかですが、そんなものはぶち壊すためにあるのですわ!」
「そんなの当然よ、お互い全力を出しましょう!」
瞳に真剣な光を満たして向き合っているのは蔵守・華乃(レッドアイ・d22909)と志穂崎・藍(蒼天の瞳・d22880)。
「志穂崎藍、参ります!」
先手は藍。鬼の拳が華乃を殴りつけた。華乃は倒れ込んだが、受け身をとって素早く起きあがると、斬艦刀を力一杯振り下ろす。刃はポニーテイルをかすめ、髪が一房秋風に舞い上がったが、藍は気にもとめず、すかさず星の煌めきのような拳の連打を後輩の白い頬に見舞う。頬を腫れ上がらせながらも、華乃は嬉々とした笑みを浮かべて、
「肉を斬らせて骨を断つ、ですわ!」
今度は光と化した聖剣を突き出した。それも藍は素早く後ろに飛び退いて避け、次の瞬間、大きく踏み出しながら薙刀を捻り込んだ。
「バトルはこうでなくっちゃ、楽しいですね!」
刃は華奢な肩をえぐり、けれど華乃は傷をモノともせず、逆の腕に再び聖剣を構えた。藍は剣から逃れるべく、砂浜に転がる……そこに。
「!?」
ビシュルッ!
華乃の背から鋼の帯が延び、藍を襲った。
「……やるな」
ベルトに打ち据えられた藍は、ニヤリとして立ち上がった。相対する華乃も凄みのある笑み。
●いけないナース
――戦い済んで。
「うぅ……痛い……ナースさん助けて……!」
廃旅館の最奥、元は貴賓室だった広い部屋によろよろと雪崩込んだのは、蛍姫、エイミー、凪、華乃の4名である。
「灼滅者ね? どうしたの、みんなそろってボロボロじゃないの!」
いかがわしいピンクのシーツをかけた施療台を整えていたナースが、慌てて4人に駆けよった。
蛍姫はその豊満な胸に、すかさず身を投げ出して。
「ナースさんのマッサージがとっても上手だって聞いて……わたしたちにもお願い……痛いんだよう……」
「助けてクダサイ!」
エイミーも涙目ですがりつく。
演技半分ではあるが、実際しんどい。一応回復はしてきたが、4人とも戦闘不能まで頑張ったので、この短時間ではとても完治とはいかない。
「可哀想に、ひどいケガね」
母性本能を刺激されたのか、ナースは蛍姫をむぎゅっとして。
「わかったわ、お姉さんが治してあ・げ・る。今は、種族に関わらず治療してあげる方針だしね。それに、可愛い子ばっかりだし……むふふっ♪」
一方、心霊治療も施して、準備万端の勝ち組の4人は、遅れて廃旅館に潜入していた。
足音や気配は極力殺して奥へと向かうが、迷う心配だけはない。曲がり角毎に『いけないナースのマッサージはこちら♪』的な、風俗店のような派手なチラシが矢印付きでべたべた張ってあるので……。
その頃。
「ヒャウッ!」
ナースのマッサージは2人目のエイミーに入っていた。1人目だった蛍姫は、座布団を並べた上に横たわり、うっとりくったり放心状態だ。
「あら可愛い声。ふふふ」
「変な声、恥ずかしいデス……」
「構わなくてよ……ここはどう?」
「アアッ、気持ち良いデス……でも恥ずカシイ……ッ」
「いいじゃないの、女同士だもの? ウフフ、ほっぺたもすてきなおっぱいも、火照ってピンク色だわ♪」
勝ち組が、施術室の隣室に忍び込んだ途端。
『あぁ、そ、そこ、いいにゃぁぁぁ……』
壁越しに聞こえてきたのは、凪のあられもない喘ぎ声。
「な、なにが起こっているのでしょう?」
様子を窺うつもりで壁に耳を当てた水鳥は、どぎまぎと仲間を振り返った。
「当然マッサージでしょう」
御理は真顔で答えると、
「相当効いているみたいですね。やっぱり調べてみたいです……」
水鳥と並んで壁にぴったり壁に耳をくっつけた。
華乃は、凪がマッサージを受ける様子をじっと観察しながら、ポケットの中の携帯を握りしめていた。3人目が終わる間際に、連絡のメールを送る手はずである。
凪の反応や、すでに施術が終わった2人がぐったりと横たわり、時々身体をビクンとかさせている様子を見ていると、華乃としては、自分も受けてみたかったような、4人目で良かったような。
と、凪が、
「むうぅ、そこ気持ちいいにゃあぁ~」
また甘い声を上げた。
「もうすぐオシマイよ。起きたらすごく身体が軽くなってて、びっくりするわよ?」
その言葉を聞いて、華乃はメール送信ボタンをぐっと押した。
「あっ、きました……ですっ」
瑠璃花が握りしめていた携帯を、勝ち組の仲間に見せた。壁越しに聞こえてくる凪の声からも佳境であることがわかる。
4人は頷き交わすと、スレイヤーカードに触れながら、ナースの施術室へと向かった。
●バトルにお色気は必要ですか
「御用ですよ! いけないナースさん♪」
鬼の拳を握りしめて、真っ先に施療室に踏み込んだのは藍。
「おとなしく患者を渡せばよし、そうでないなら貴女を灼滅しちゃいますよ~!」
「何ですの、あなた方!」
驚いたナースが反応するより早く、勝ち組の前に飛び出したのは華乃だった。
「施療中に踏み込んでくるなんて、卑怯ですわ! あいたたたた……」
敵同士のふりをしながら、わざとらしく深手を負った肩を押さえてうずくまってみたり。いや実際痛いのだけれど。
「あらダメよ、あなたまだ施療前なんだから!」
ナースが慌てて華乃を庇い、勝ち組の4人をキッと睨みつけて。
「あなた達が、この子たちを痛めつけたのね。試合か喧嘩か知らないけれど、回復するまでは、この子たちは私のお客さんよ。渡すわけにはいかないわ!」
シャキーンと取り出したのは、巨大な注射器。怪しいピンク色の液体が満たされている。
そんなナースの姿に釘付けになっているのは水鳥。
「これがいけないナース……本当だわ、これは、い、いけなすぎ……っ」
いけないナース初お目見えの彼女は、そのお色気っぷりに思わず赤面。
そんなことには委細構わず、ナースは豊満な胸をゆっさゆさして注射器を振り上げる。
「毒注射を喰らいなさい!」
しかしその瞬間。
「ナースさん、ボクまだマッサージ終わってないんだよ~、うにゃ~、お助けを~」
背後から凪が抱きついて、胸をモミモミ。
「あっダメ……うっふーん♪」
凪の巧みな攻め……もとい妨害の隙を、勝ち組が逃すはずもない。
「そのいきや良し、全力でお相手しますよ!」
藍が鬼の拳で殴りつけ、御理は、
「いけないナースたちのやっている事は真っ当で、やりづらいのですが……」
医療は重い責任が伴うものであるから、その見返りを求めるのは責任保証という意味で当然であろう。また、敵味方区別なく救おうとする愛や献身の心は、医療人の基本である、というあたりに思い至っちゃうと、御理的にはやりにくいったらない。
「けれど、あなた方が癒したダークネスにより広がる悲劇まで、責任を持つことは出来ませんよね?」
葛藤を押さえ、負けじとぶっとい注射針をぶっすり刺して、生命力を吸い取る。続いて瑠璃花が炎の蹴りを見舞い、水鳥は影を伸ばして喰らい込む。
「きゃあ、ちょ……ちょっと離れてちょうだい、まずはこいつらを……」
ナースは身体をよじって、影と、しぶとく胸を揉……もとい羽交い締めにしていた凪を振るい落とした。すると今度は、
「うわあああん!」
蛍姫が泣き出した(演技)。
「怖いよう~、このままじゃやられちゃうよう、ナースさん、もっとマッサージしてよう~」
ナースは慌てて
「大丈夫よ泣かないで、お姉さんすぐに勝つから……ミュージック、スタート!」
情熱的なタンゴが流れだすと、ナースは鮮やかなステップを踏み始め、
「あっ!」
「しまった!」
前衛をキレッキレのターンで躱し、後衛の2人を、
「ハッ、ハーッ!」
ナースサンダルで連続で蹴りつけた。
「あっ……今回復を……」
水鳥は倒れ込みながら癒しの風を吹かそうとしたが、それより早く、
「ぐすんぐすん……」
今度は瑠璃花が泣き出した(演技)。
「いたいよう~、もういたいのいやだよぉ、ナースのおねえちゃん、ひどい……です~」
「え……ご、ごめんなさい?」
背後では蛍姫が、目の前では瑠璃花が大泣きで、ナースは混乱せずにはいられない。そしてその隙を逃す前衛の2人ではない。
藍が薙刀を突き出し、
「ナースさん、あなたにとって人を癒すとは、なんでしょうか?」
御理はオーラを宿した拳の連打を見舞う。そこに水鳥の回復を受けた瑠璃花が縛霊手で殴り抑えつけて。
「嘘泣きかーい!」
ナースはぎろりと瑠璃花を睨みつけると、巨大な掌を押しのけながら、
「あなたたち、ここにいたら危ないわ、一旦避難してちょうだい! 私が足止めするから」
負け組に避難を促した。4人は頷いて立ち上がったが、
「アワワどこから逃げるデス?」
やっと縛霊手から逃れたナースに、エイミーが涙目ですがりついた。
「どこからって、そこに非常口が……うぎゃっ」
そこに凪の雷を宿した拳が、容赦なくアッパーカットを見舞う。
「非常口、非常口……」
エイミーはパニックのふりをして、ナースのそばを右往左往。
「あそこよ、標識灯が……ぷぎゅる」
御理も鬼の拳で殴りつけ、
「アッ、あの窓デスネ、開けていいデス?」
「あったりまえでしょ! 開けないでどうす……ぐぼっ」
エイミーはコントよろしくナースにまとわりつき、瑠璃花は施療台を踏み台にして流星のような跳び蹴りを見舞い、水鳥の影鳥がナース服を切り裂く。
「よ……よくも……」
ナースは注射器を杖に立ち上がったが、すぐさま反撃する余力はなさそうだ。この際、回復される前に……。
勝ち組と負け組は、ターゲットを挟んで視線を交わした。
「さあ、いやらしいナースさんは徹底的にお仕置きですよ!」
藍の叫びを合図に、8人は一気に攻撃に出た。
「ええ~、仲間だったの~っ!?」
挟撃されてはひとたまりもない。
いけないナースは、廃旅館で哀しく散ったのであった。
――もうひとつの戦いが済んで。
「やった、勝ったね! ……けどごめんね、ナースさん」
「……貴女は確かにナースでした」
蛍姫と御理が、施療台に向けて神妙に頭を下げた。
「マッサージ、本当に良かったよ~」
凪の言葉にエイミーも頷いて。
「エエ、心酔しかけたデス。恐ろしい敵デシタ」
「うん、病みつきになりそうだったにゃ~」
エイミーはしみじみと窓から黄昏の琵琶湖の空を眺めた。
「惜しい相手を亡くしたデスネ……」
作者:小鳥遊ちどり |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年9月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 6
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