アガメムノンの初夢作戦~井の頭池のほとり

    ●井の頭池
     キンと冷えた空気の中、うっすらと朝陽が井の頭池を照らし、わずかに朝靄が漂う。
     正月2日の早朝、井の頭公園は静かだった。まだジョギングやウォーキングの人々も訪れず、鳥の鳴き声だけが長閑に響きはじめる。
     ……その時。
     池の端の小さな四阿の中で、何かがもぞりと動いた。
     黒い――というよりは、夜色のシーツを被った何者か。
     ヒグマほどの大きさに見えるその何者かは、シーツを纏ったまま立ち上がると、四阿の外に出た。
     四阿の影から出、朝陽に照らされても、シーツは夜色のまま。被っている者の正体は知れない。
     突然、シーツの裾がちらりとめくれ上がり、そこから目にも止まらぬ速さで、黒い鞭のようなもの……影が放たれた。その影は四阿の柱の1本に絡みつき、それをへし折った。
     ベキ……ドガガガガ……。
     簡素ではあるが、コンクリート製の頑丈な四阿が、いとも簡単に引き倒されてしまった。
     しゅる。
     影をシーツの下に収納した謎の怪物は、のっそりと池を巡る遊歩道へと歩を踏み出した。

    ●武蔵坂学園
    「新年早々、早朝の呼び出し、申し訳ありません」
     急ぎ集まった灼滅者たちに向けて、春祭・典(高校生エクスブレイン・dn0058)はせっかちに頭を下げた。
    「学園のお膝元、武蔵野市が、シャドウによる攻撃を受けています。第2次新宿防衛戦で撤退した、四大シャドウの一角、歓喜のデスギガスの配下、アガメムノンが、灼滅者の初夢をタロットの力で悪夢化し、悪夢の尖兵を現実世界に出現させたようなのです」
     とはいえアガメムノンは、灼滅者の本拠地が武蔵野である事を知らない筈なので、この作戦の狙いは『どこにあるか判らない、灼滅者の拠点を攻撃する』という漠然としたものであると思われる。
    「僕が予知したのは、井の頭公園内の、井の頭池湖畔に現れる悪夢の尖兵です」
     悪夢の尖兵は、本来ソウルボードの外に出る事はできない。今回は、初夢という特殊な夢のパワーと、タロットの力で無理矢理、現実世界に出現させているようだ。その為、この悪夢の尖兵は24時間程度で消滅するものと予想されている。
     とはいえ、消滅するまでの間は、ダークネス並の戦闘力をもって破壊活動を行うであろうから、なるべく早く止めなければならない。
     悪夢の尖兵の外見は、夜色のシーツをかぶった『おばけ』のような姿をしているが……。
    「戦闘時に本気になると、シーツを捨てて本来の姿を見せるようなんです。その本来の姿というのが、灼滅者が見た初夢が元になっており、戦闘方法や性質なども、その初夢の内容に準じるようです」
     正体を現したときに、その初夢の内容が何かを判断できれば、弱点を見いだせて有利に戦えるだろうが、それを戦闘中に見極めるのは簡単なことではない。
    「今から井の頭池に向かって頂ければ、この悪夢の尖兵が四阿を破壊して徘徊しようとしているタイミングに間に合います」
     典はタブレット上の公園案内図で件の四阿の場所を示すと、灼滅者たちにもう一度頭を下げた。
    「正月早々、やっかいな事件で恐縮ですが、どうかよろしくお願いします!」


    参加者
    各務・樹(カンパニュラ・d02313)
    鴻上・巧(氷焔相剋のフェネクス・d02823)
    高峰・紫姫(辰砂の瞳・d09272)
    一宮・閃(鮮血の戦姫・d16015)
    神無月・佐祐理(硝子の森・d23696)
    イサ・フィンブルヴェト(アイスドールナイト・d27082)
    深夜白・樹(心は未だ薄氷の上・d32058)
    カルム・オリオル(グランシャリオ・d32368)

    ■リプレイ

    ●正月の井の頭公園にて
     1月2日早朝。
     任務を受けた灼滅者たちは、井の頭公園に到着した。井の頭池端の遊歩道を、予知された地目指してひた走る。
     吐く息が白い。
     もう30分もすれば、正月といえど散歩やジョギング、ウォーキングする人々が現れるのであろうが、まだ幸い一般人の姿はない。
     もうじきターゲットが出現する四阿が見えてくるであろう……というあたりで。
     ベキ……ドガガガガ……。
    「!!」
     重たい音がして、足下がかすかに震えた。
     四阿が、悪夢の尖兵に引き倒された!
     そう悟った8名は、いっそう足を速める。
     すぐに、それは見えてきた。
     コンクリートの瓦礫を背景に、朝靄の中、夜を引きずってのろのろと歩む夢の世界のおぞましいバケモノ。爽やかな冬の早朝の公園には全く似つかわしくない。
     灼滅者たちは足を止め、それそのものが悪夢のような存在と対峙する。
    「このシーツの下から、どんな悪夢が出てくるのかしら」
     各務・樹(カンパニュラ・d02313)が、近場への出動にしては大きな荷物を降ろし、サウンドシャッターを発動しながら仲間たちに問いかけた。
    「みんなはどんな初夢を見たの?」

    ●初夢
     まずは防衛線ですね、と素早く前衛を交通標識の黄色い光で照らした鴻上・巧(氷焔相剋のフェネクス・d02823)は、
    「僕は夢自体見ませんので……しかし赤メロンは正月早々やっかいな真似をしてくれますね」
     赤メロンとはこの企みを実行したアガメムノンのことか。
     高峰・紫姫(辰砂の瞳・d09272)は、
    「私は高いところから落下する夢をみたような気がします」
     記憶はおぼろげなのですが、と『堕天使の黒翼』を装着して。
    「ほら、いきなり目の前が崖だったりとか、いつかの大規模作戦のように飛行船に飛び移れとか……私たちは落ちただけじゃ死にませんけど、それでも」
     ぶるっと身震いすると、まずは一撃と、のろのろと近づいてくる闇のバケモノに殴りかかった。
     先制攻撃に敵はよろめき、そこにカルム・オリオル(グランシャリオ・d32368)がサッと利き腕を突き出して、杭をジェット噴射で夜色のシーツに撃ち込み、
    「俺はデュラハン……首なし騎士の夢を見たで」
     首無し騎士が精神攻撃を仕掛けてくるという、おぞましい夢だった。
     同時にイサ・フィンブルヴェト(アイスドールナイト・d27082)が鋼の帯を放って。
    「私は10歳くらいの、自分の姿を」
     それだけならば悪夢とはいえないだろうに、イサはとても哀しそうな眼をした。
    「初夢をエネルギーにするなんて、ひどいです!」
     深夜白・樹(心は未だ薄氷の上・d32058)はぷんすかしながら殺界形成を発動し、
    「私なんて、先日の依頼でひどい目に遭わされた、クラゲ都市伝説が出てきちゃったんですからっ」
    「Das Adlerauge!!」
     神無月・佐祐理(硝子の森・d23696)も反対側に回り込み、殺界形成を発動しながら怒っている。
    「私はマナーの悪い迷惑なカメラ小僧につきまとわれる夢を見ました。胸の谷間とかパンチラとか……ああいう人たちは、はっきり言って、有害です!」
     そういう佐祐理の戦闘姿は、大変扇情的なのだが。
    「う~寒い寒い……新年早々難儀なことじゃ……」
     コートとマフラーを脱ぎ捨てた一宮・閃(鮮血の戦姫・d16015)が、
    「中身が何にしろ、被害が大きくならんうちに倒すぞ!」
     ガッと勢いよく地面を蹴ってジャンプした瞬間。
     夜のバケモノがビリビリと声にならない叫びを上げて。
    「うわあっ!?」
     空中で、華奢な体がシーツの中から放たれた巨大な闇に飲み込まれた。
    「大変! 閃さん、今助けます!!」
     閃のビハインド・麗子が主を禍々しい影から引っ張り出し、佐祐理が癒しのオーラを素早く送る。
    「よくも!」
     各務がオーラを纏わせた拳で殴りかかり、
    「さっさとこのシーツをひっぺがして、正体を見極めるわよ!」
    「はい、なかなか手強いようです。注意ですね」
     巧は後衛に黄色の光を送った。紫姫が、夜の闇を燃え上がらそうという勢いで炎を蹴り込むと、
    「おーおー、ぞっとせえへんな。ほな僕の番」
     カルムは飄々と、敵にも負けぬ黒々としたトラウマを宿した蛇剣を喰らわせる。深夜白が鬼の拳で殴りつけ、回復なった閃とイサが息を合わせて、真っ正面から跳び蹴りを見舞った。
     スタッと着地した閃はとっても嫌そうな表情で、
    「中身が妾の初夢ではないとよいのだが……なにしろ気合いの入ったパンチパーマのおじさんに、手榴弾を投げられまくったからのう……」
     しかもパンチパーマはカツラだという。
     2人分の強烈な跳び蹴りでよろけた悪夢の尖兵は、尻餅をついたような姿勢になり……そして、とうとう。
     ザッとシーツを脱ぎ捨てた。

    ●悪夢の正体
    「きゃあっ」
     シーツをぬぎすてた悪夢を見て、女子たちは一斉に顔を覆ったり、目をそらしたりした。
     なぜなら、現れたのは紙袋をかぶっている他はほぼ全裸の男だったから! かろうじて局部に『禁則事項』と書かれた紙が貼ってあるのが救いといえば救い……と。
     スパカアアアン!
     小気味のいい音をさせて、各務がほぼ全裸男にハリセンで殴りかかった。
    「よ、よよっよ、よりによって……ッ」
     ゼエハアと息を荒げ、せっかくの美貌が鬼の形相である。
    「ど、どうしました?」
     佐祐理がおそるおそる尋ねると、各務は崩れ落ち、
    「これ、わたしの……夫なの……っ」
    「ええっ!?」
     リアルではこんな格好をすることは減ってきているのだが、もっとも見たくない姿を、よりによって初夢で見てしまったというわけだ。
    「でも、弱点ならよく知ってるわ」
     各務は悔し恥ずかし涙にくれながらも、仲間たちにハリセンを配った。やたら大きな荷物の正体はコレだったようだ。
    「これでツッコミながら攻撃して!」
     ハリセンによりダメージがあがる。
    「わかった」
     カルムが鷹揚に頷きハリセンを受け取って、
    「夢ってその人の深層心理を現すとともに、僕らソウルボードに縁のある存在にとっちゃもう一つのマイホームみたいなもんで……それが悪夢化・現実化されるとなっちゃ……」
     スパァン!
     振り向きざまに、接近してきていた全裸男にハリセンと同時に鋭いメスをふるった。ここまでは防御を高めることに専念してきた巧も、
    「ストップ、悪夢。ここから先は灼滅への一方通行ですよ!」
     片手に赤く光る交通標識、片手にハリセンで殴りかかり、
    「大丈夫ですよ、各務さん、本者の旦那様じゃないのですから」
     紫姫は毒弾を撃ち込みながら仲間を励ます。イサは自らの夢が具現化しなかったことに安堵したようで、
    「美しい朝日だというのに……似つかわしくない姿だな」
     ハリセンで威勢のいい音を立てつつキリッとツッコミをかまし、レイザースラストを放った。
     しかし全裸男は集中攻撃を受けつつも、
     シュッ!
    「いやあん!」
    『闇殲刀 白夜白雪』を振りかぶって肉薄していた深夜白に影を伸ばした。影はいやらしく細い身体に巻き付き、引き寄せようとする。
    「せっかくクラゲから逃れられたと思いましたのにぃ!」
    「夢だからって、何でもアリって訳ではないのだぞ!」
     閃が巨斧とハリセンをぶんぶん振り回して斬りこみ、
    「……うー、初夢の夢見が悪いところに、こんな敵……」
     佐祐理が炎を宿した足で蹴りとばして、影はやっと深夜白から離れた。
    「ご、ごめんなさいっ……」
     各務は顔を赤くしたり青くしたりしながら。
    「コレ、女の子を追いかけちゃう……と思うの」
     了解です、と、ディフェンダーの巧はぐっと胸を張り。
    「女性が狙われることが分かっているなら、むしろ守りやすくなります」
    「ああ、望むところだ」
     イサも堂々と最前線に踏み出した。
    「麗子も頼むぞ」
     閃も、自己回復中の深夜白をカバーしている麗子に言った。
    「みんな……」
     各務は顔を上げて、涙に濡れた瞳で仲間を見回し、
    「ありがとう……頼むわね!」
     振り切ったように鬼の拳にハリセンをぐっと握りしめると、
    「だからやめなさいってあれほどーっ!!」
     スパカーーーーン!
     ひときわ高い音をたてて、全裸男を殴りつけた。間髪入れず巧が四阿の残骸を踏み台にして、
    「ブルーシグナル。回れスピナー……彗星刃!」
     流星のような跳び蹴りを見舞い、紫姫がハリセンを握った縛霊手でガツンと押さえ込む。カルムは、
    「アガメムノンら、シャドウの考えとることは相変わらず分かるようで分からんが、とにかく今は目の前のことを一つ一つ潰していくしかあらへんな。シャドウの企みはすべて蹴散らしてやらにゃあ」
     ぐっと足を踏ん張り、気合いをこめて杭を撃ち込み、回復なった深夜白は、
    「この驚異と破壊は、なんとしても止めないと、ですね……!」
     影を伸ばそうとしていた足に、今度こそとばかりに鋭く斬りつけた。
     足を斬られたことで影を封じられた全裸男は、腕を伸ばした。その掌に黒々とした闇が凝っていく……。
    「撃たせるかっ!」
     閃が炎を脚に乗せ勢いよくぶん回したが、回し蹴りはわずかに間に合わず、漆黒の弾丸は佐祐理めがけて飛んでいく……!
    「やはり女子を狙うか!」
     その射線に飛び込んだのは、イサ。
    「ありがとうございます!」
     佐祐理は傷つき膝をついたイサの上に両手を伸ばし、敵に掌に収束したオーラを撃ち込んだ。
     大切なメディックの盾となったイサは、
    「……くッ」 
     弾丸のダメージと共に、付与されたトラウマに蝕まれている。初夢に見てしまった自分の姿……白い長髪の、明るい笑顔の村娘。灼滅者に目覚めず、過ちを犯さなかった場合の……。
    「……そんな可能性はないんだ。それを望んではならない……この命は過ち贖罪の為に使うのだから!」
     気合いの叫びが悪夢を振り払った。
     方や全裸男の方も、攻撃を受けていない瞬間にも、黒い霧が裸体のあちこちを覆い、それにじわじわと蝕まれていっているようで。
    「トラウマが蓄積してきているわ」
     大分立ち直った様子の各務が。
    「みんなのハリセンとツッコミが、じわじわ効いているはず」
    「なるほど」
     巧は頷くと『聖刃兵装 楽園』を構え、
    「この距離なら、こっちの方がいいですね……光よ!」
     輝く一閃を見舞った。もちろんハリセンも忘れない。各務が拳での連打で続き、紫姫は、
    「悪夢ってすぐに忘れたくても忘れられないんですよね。それが目の前に現れるなんてゾッとしますよ」
     仲間の悪夢を祓おうと、ハリセンを振り回しながら炎を思いっきり蹴り込んだ。
     確かに、楽しい夢はすぐに忘れてしまうのに、悪夢はいつまでも頭にこびりついているものだ。
    「女子たちのお返しや。たんと喰らえよ」
     前衛陣の派手な攻撃の間に、カルムはいつの間にか敵の背後に回っており、後頭部にハリセンを喰らわし、脚の腱に刃を入れた。回復なったイサは戦列に戻りながら鋼の帯を発射し、深夜白はハリセン片手にナイフを振るう。佐祐理がサイレンの尾びれで炎を蹴り込むと、閃が続き、麗子に援護させつつ高い位置からのキックを決めた。各務は、攻撃に間を空けまいと、
    「友達にはネタとして認識されてるかもしれないけど、私には、決してその姿は嬉しくないわ!」
     すぐさま鬼の拳でハリセンを握って殴りかかる……と、なんということか、
    「あっ!?」
     全裸男はその拳を受けつつも、妻(?)に向けて、黒々とした影を放った!
    「させません!」
     しかし夫婦喧嘩(!?)を、巧が体を張って阻止した。
    「巧さんナイスカバーです!」
     紫姫がすぐにハリセンを握った縛霊手でひっぱたき、
    「ありがとうございます!」
     絡みつく影から身を引き剥がした巧は、光のオーラで自己回復を行う。その間にもカルムが更なるトラウマ付与を狙って闇を宿した拳を、イサは槍から氷弾をぶちこんだ。
    「女子を優先して狙うなら、男子は動きやすいはずっ。男子のみなさん、がんばってください!」
     深夜白は先ほどから果敢に盾となっているディフェンダーにラビリンスアーマーを施し、
    「ほれほれ、こっちじゃ!」
     閃がハリセンと斧を振り回して敵の視線を引きつける。容姿と服装から、彼を女子だと思ったのだろう、全裸男はトラウマの弾丸を撃ち込んだ……が、
    「ほらきた、頼むぞよ、麗子!」
     ビハインドがしっかり主を守る。
     その間に、佐祐理が勇気を持って懐に潜り込み、鋭い刃で裸の胸を切りつけると、各務がオーラで輝く拳で、力のこもった連打を放ち。
    「あと一息だと思うわ! 影が薄くなってきてる。それに……」
     見れば確かに全裸男の姿が、粒子の粗い映像のように不安定になってきている。それに出現時ほど堂々としておらず、何だか気まずそうにもじもじして、前を隠したりもしている。立て続けのハリセンとツッコミが効いてきているのだろう。
    「そのようですね、頑張りましょう……ストップ、悪夢!」
     巧の交通標識が赤く光って振り下ろされ、
    「この国には『一年の計は元旦にあり』という言葉があるようだが……一日遅くともいいだろう。悪夢から人々を守り切ってみせよう……」
     イサの『冰槍 モリス・テンプス』が筋肉質の腹をぐっさりと貫いた。深夜白のナイフは、頭に被った紙袋をザクザクと切り裂き、佐祐理と閃の炎のキックが、揺らぐシャドウの姿を燃え上がらせて。
    「――おやすみさん」
     カルムの杭が全裸男を串刺しにしたところに、紫姫の漆黒の翼が襲いかかり、ぐしゃりと頭を握りつぶすと――。
     夢から出でた怪物は、闇の粒子となって冬の冷たい空気に紛れて消えた。

    ●一年の計は
     悪夢の尖兵が消えていく様を、巧はじっと観察していた。同時に、夢を生み出した各務の様子にもそっと注意を払う――が、今回のところは、どちらにも特に異変が起きる様子はなく、ホッと息を吐いた。
    「……や、やっと消えたわ」
     各務はこっぱずかしい悪夢がやっと消え、冷たい地面にへたへたと崩れ落ちた。
     紫姫と佐祐理が、
    「悪夢もこうやって倒してしまえば、きっと乗り越えられますよ」
    「初夢もリセットが効けばいいのに……いっそ寝直しましょうか」
     気の毒そうに慰める。
     寒がりの閃が、コートとマフラーをいそいそと着込みながら、
    「さあ、さっさと片付けをして、帰るのじゃ。こんなところでぐずぐずしてたら風邪を引いてしまう」
     仲間たちを促し、くしゃん、と可愛いくしゃみをひとつ。

    作者:小鳥遊ちどり 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年1月15日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 3
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