琵琶湖・田子の浦の戦い~前門の鬼後門のワニ

    「伏見城の戦いはお疲れ様でした」
     春祭・典(高校生エクスブレイン・dn0058)は、集った灼滅者たちに頭を下げた。
    「この戦いでスサノオ壬生狼組の被害が少なかった事もあり、天海大僧正は、全軍を琵琶湖に向かわせて、安土城怪人との決戦に挑もうとしています」
     既に琵琶湖大橋では両勢力がにらみ合いを始めており、小競り合いも始まっているようだ。
    「天海大僧正勢力からは、自分達が琵琶湖大橋で戦線を膠着させている間に、後方から安土城怪人勢力を攻撃して欲しいという要請が入っています。この要請は協定に沿ったものですが、同時に、想定していなかった事件が発生しまして……」
     典は表情を曇らせ、黒板に広げた日本地図を指した。指示棒は琵琶湖からつつっと東へと動き、静岡県で止まった。
    「第2次新宿防衛戦直後から行方をくらませていた軍艦島が、静岡県沖に出現し、田子の浦の海岸に上陸しようと近づいてきたのです」
     灼滅者たちはざわめいた。
     軍艦島の出現が偶然という事はないだろう。おそらく、日本のご当地幹部ザ・グレート定礎が、安土城怪人と結託して図った作戦なのだ。あるいは、エクスブレインとは別系統の予知能力を持つ、刺青羅刹・うずめ様によるものか?
     どちらにせよ……。
    「我々は、戦力を二分して対応しなければならないということです」
     琵琶湖を優先するか、田子の浦の軍艦島を優先するか……。
    「どちらを優先するのが正しいかは判りません。皆さんの意思で、どちらの戦いに参加するか決定してください」
     続いて典は、双方の戦いの結果によってもたらされるメリット・デメリットについて説明した。
    「琵琶湖の戦いに大勝利すれば、安土城怪人の勢力を壊滅させる事も可能となるでしょう。逆に敗北すれば、天海大僧正の軍勢は壊滅してしまいます」
     天海大僧正勢力の壊滅は致命的な問題ではないが、武蔵坂が協定を反故にして見殺しにしたと解釈されれば、今後のダークネス勢力との交渉などに悪影響を与えるかもしれない。
    「田子の浦の戦いに大勝利すれば、上陸しようとする軍艦島に逆侵攻して、壊滅させる事が出来るかもしれません。逆に敗北した場合、軍艦島勢力が白の王勢力に合流してしまう可能性が高くなるでしょう」
     軍艦島勢力は、勢力規模としてはさほど大きくないが、有力なダークネスが多く参加している。この軍艦島勢力が、戦力は大きいが有力な将が少ない白の王勢力と合流する事は、強大なダークネス組織の誕生を意味する。
    「バランスよく戦力を2分して戦えば、両方で勝利できる可能性もあります。けれど両方で敗北する可能性も否めませんので、大きなリスクを抱える事になります。どういう結果が出たとしても、この戦いの結果が、今後の情勢に大きな影響を与えるのは間違いないでしょうね……」
     琵琶湖の戦いを諦めて、軍艦島の上陸阻止を行うべきか。或いは、軍艦島が上陸するのを見過ごして、琵琶湖の戦いに全力を注ぐか。
     或いは、戦力を2分して両勢力の撃破を狙うか。
     考え込む灼滅者たちに、典は。
    「今回は、どの選択が正しいという事はありません。どちらで戦うかは皆さんにお任せします。より良い未来につながるように、皆さんのお力をお貸しください」
     もういちど深々と頭を下げた。


    参加者
    東雲・凪月(赤より緋い月光蝶・d00566)
    古海・真琴(占術魔少女・d00740)
    神楽・三成(新世紀焼却者・d01741)
    ミネット・シャノワ(白き森の旅猫・d02757)
    病葉・眠兎(紙月夢奏・d03104)
    城・漣香(焔心リプルス・d03598)
    丹羽・愛里(幸福を祈る紫の花・d15543)
    赤城・碧(強さを求むその根源は・d23118)

    ■リプレイ

    ●バナナワニ怪人
    「来たな……咲け、黒百合」
     赤城・碧(強さを求むその根源は・d23118)の解除コードを合図のように、灼滅者たちはそれぞれの殲術道具と装備を身につけた。
     田子の浦の沖合には巨大な廃墟……軍艦島と、これみよがしなアメリカンカラーのご当地戦艦・スイミングコンドル号が停泊している。
     そしてそこから続々と、ダークネスの揚陸部隊が押し寄せてきているのだ。
     その揚陸部隊の中には、彼らのターゲット、伊豆バナナワニ怪人3人組もいるはずだ……と。
    「見つけた!」
     彼らから遠くない浜辺に、3体のワニ、それも頭に大きなバナナを乗っけたワニが上陸しようとしている。ワニだけに泳いできたようだ。
    「よし、こっちに誘き寄せるか……やーい、爬虫類共、こっちだこっちー! 一発喰らわせてやるよー!」
     城・漣香(焔心リプルス・d03598)が囃し立て、丹羽・愛里(幸福を祈る紫の花・d15543)も、
    「あなた達の好き勝手にはさせませんからねーッ!」
     と叫ぶと、挑発の声が耳に入ったか、
    『誰が爬虫類ズラー!』
     3体の駿河弁の爬虫類が、憤然としてこちらに向かってきた。二足歩行、しかも短い足の割には速い。
     灼滅者たちは誘き寄せた敵から目を離さずに、砂浜の奥へと下がった。スーパーGPS係の古海・真琴(占術魔少女・d00740)の提案で、防風林の間のちょっとした窪地を戦場にするためだ。
     窪地へと降りながら、真琴が複雑な表情で。
    「天海様との約束をすっぽかしてしまいましたが、こちらを放置するわけにもいきません」
     愛里が頷いて、
    「厳しい戦いになりそうですが、頑張っていきましょう!」
     皆を励ます。
    「白の王との合流は何とか阻止したいよな……」
     東雲・凪月(赤より緋い月光蝶・d00566)は難しい表情で呟く。
    「とにかく俺は俺のやるべきことを、此処で成さねば、だね」
    「どっちに転ぶかはわかんないけど」
     砂に足を取られそうになりながら、漣香は。
    「確実に敵の首は取るよ」
    「……とはいえ」
     神楽・三成(新世紀焼却者・d01741)は首を振る。
    「この状況で、どこまで大将首に迫れますかねぇ……」
     田子の浦で軍艦島を迎え撃つ灼滅者は、今回の全作戦参加者の1/3でしかない。苦戦は必至であろう。口にはしないが、水際で阻止できなければ、防衛は失敗するであろうことは、皆認識している。
     ともあれ、今、軍艦島勢力を叩くことは、決して無駄ではない。
     窪地の底にたどり着くと、
    「……了解、当チームもターゲットと接触しました」
    「現在地をお知らせします」
     連絡係のミネット・シャノワ(白き森の旅猫・d02757)と病葉・眠兎(紙月夢奏・d03104)が他班に連絡をいれる……と。
    「オイコラ灼滅者ども!」
    「いきなり逃げるとは、弱虫ずら!」
     窪地の上辺から、ワニトリオが交通標識を掲げながら駆け下りてきた。
     バナナ載せワニ3体は、大小と口の長いのがおり、それぞれナイルワニ、コビトワニ、クチナガワニのようだ。
    「正々堂々と勝負するずら!」
    「のぞむところだ!」
     待ち構えていた灼滅者たちは一斉に初撃を放った。凪月は槍を捻り込み、碧は『妖刀・黒百合』を振り下ろす。真琴は脇からシールドで殴りかかって自分の方に注意を向けさせようとし、
    「ヒャッハー! これぞ決戦! 全てを決める大一番よぉ!!」
     早速戦闘モードにアゲた三成は『断罪斧』に載せた炎を叩きつけた。眠兎は軽やかに跳ぶと細剣で鋭く刺突し、愛里とミネットは鋼の帯を放つ。漣香は盾役の真琴に、交通標識から防御を高める黄色い光線を送りながら、ぶるりとひとつ武者震いをして。
    「いつもより緊張してんのは、怪人相手にビビってるんじゃない。自分の中の獣が怖いからだ……オレが言うまで暴れんじゃねえぞ」
     ふっ、と小さく呼吸をする。
     サーヴァントたち……凪月の華月、碧の月代、真琴のペンタクルス、漣香の煉も姿を現すと、ワニトリオを窪地の中で取り囲む。こいつらを絶対取り逃がしはしない。
     が、上陸に意気上がるワニトリオは、圧倒的な灼滅者側の人数にもひるむことなく、反撃してきた。
    「どりゃあ!」
     隙を窺っていた真琴を、クチナガワニが赤いワニ絵の交通標識で殴り、コビトワニがバナナ絵の標識を光らせて、初撃を一身に引き受けていた、盾役と思われるナイルワニを回復させた。
     凪月はその様子を見て、
    「こいつからだね」
     盾役から一体ずつ倒していくよう、打ち合わせ済みだ。聖剣を振り上げて、ナイルワニの巨体めがけて踏み込んでいく……が。
     ガシッ。
     分厚い皮が光の刃を受け止めた。ナイルワニはニヤリと笑うと、
    「うわあっ!」
     凪月の襟首をつかんで無造作に投げた。窪地の斜面まで投げ飛ばされてしまう。
    「がははははは、灼滅者など、我々の敵ではないずら! アフリカンパンサー様、バンザイ!!」
     高笑いするナイルワニ。ご当地の上、アフリカンパワーをも得ているバナナワニ怪人は、攻撃力もチームワークも侮れない……しかし。
    「くらえ!」
     二足歩行で露わになっている柔らかい腹に、碧が毒弾を撃ち込んだ。三成の『リア充オーラ』の影刃がワニ皮を削り、愛里が十字架で足下をすくう。
    「回復はお任せください……っ!」
     眠兎が踊るようにステップを踏んで、真琴と凪月に癒しの風を送った。さらに漣香も防御力を高めがてら、凪月への回復をフォローする。
    「悩んでる暇はなさそうですね……!」
     ミネットも仲間に続いて踏み込み、縛霊手でナイルワニを抑え込んだ時。
    「オレも相手になるずら!」
     クラッシャーらしいクチナガワニが交通標識を青く光らせ、後衛の目を眩ませようとする。
    「華月!」
    「月代!」
     凪月と碧が同時にビハインドを呼んだ。2体のビハインドは、素早くメディックの盾となった。
    「ありがとうございます!」
     メディックは守られたが、光をまともに浴びてしまった愛里と4体のサーヴァントは、眩しさと怒りにかられ、クラッシャーであるクチナガにかかっていこうとしている。
    「待って、落ち着いてください!」
     ミネットが蝋燭に黒い炎を灯し、眠兎が聖剣を掲げた。黒煙と清らかな風を浴び、愛里とサーヴァントたちは踏みとどまる。無駄打ちをする余裕はない。第一ターゲットのナイルワニは、またコビトワニに回復を受けて立ち上がり、
    「そりゃ!」
     短い足で碧に向かってキックを放ってきた……が。
    「させません!」
     飛び込んだ真琴が受ける。しっかり腰を落として受けたので、揺らぎはしたが、倒れない。すかさずその背後から碧が飛び出して、利き腕の蒼い刃で斬りつけ、凪月のレイザースラストがザクザクと刺さった。
     チームワークとコンビネーションはこちらの方が断然上である。時間はかかるかもしれないが、やれる。
    「休むな、行くぞ!」
     灼滅者たちは弛むこと無く、攻め、護り、癒し続けた。
     ナイルワニを倒すのには少々苦労したが、盾役を倒してしまえば後は連携に勝るこちらが断然有利。メディックのコビトワニを手早く片づけ、残るは攻撃役のクチナガワニだけだ。そのクチナガも大分ダメージを蓄積させている。
    「ガアアッ!」
    「ヒャッハー、させるかよう!」
     ワニらしく吠えて標識を振り上げたクチナガの足下に、ドカンと三成が杭を打ち込んだ。その勢いで振り上げられた標識は空振りし、その下をかいくぐるように愛里が影を放って縛り上げる。
    「ペンタクルスも猫魔法を!」
     真琴が愛猫に指示を出しながら、自らは伸ばした掌から魔法弾を撃ち込み、
    「煉、補助を頼む!」
     漣香は姉に霊撃を命じると、勢いよく影を放っずっぽりと喰らいこんだ。メディックの眠兎とミネットも勝負処と見て攻撃に加わる。
    「グワアッ!」
     クチナガは力任せに捕縛を振り払ったが、そのままよろけて砂地に倒れ込む。
    「決めるよ!」
    「おうっ!」
     無様にもがくワニに、凪月の聖剣と、碧の日本刀がひらめいて……。

     どっかあああああん!

    ●増援
    「ヒャッハー! やったぜ、ターゲット灼滅! 仲間たちはどんな状況だ?」
     三成が『恋の予感壱号』を掲げて振り返ると、連絡役の2人は今正に交信中だった。だが、その表情がみるみる険しいものになっていく。
    「こちらもターゲットは倒し……えっ?」
    「何ですって、そんなに!?」
     2人は交信を繋いだまま、チームメイトの方を見て。
    「敵の増援が上陸中だそうです」
     慌てて海岸線が見渡せる位置に戻ると、
    「!?」
     軍艦島から陸続とダークネスが押し寄せてきていた。先の揚陸部隊の倍はいるだろうか。
    「……無理だ」
     誰かが呆然と呟いた。この数の敵と連戦し、上陸を阻止するのは無理だろう……。
    「あっ、見てください!」
     愛里が沖を指さした。見れば、ダークネスを出動させ終えた軍艦島が、ゆっくりと沈んでいくではないか。島の維持に使っていたサイキックエナジーも、全て戦いのために費やす覚悟ということか……?
     その間にも連絡係は、忙しく他班と交信していた。
    「……了解です、お気をつけて……っ」
     眠兎が悲壮な表情で。
    「4チームが、うずめ様を狙いに行くそうです」
     上陸阻止は無理でも、最も危険な予知能力を持つうずめ様だけでも倒せれば、ということだろう。
     ならば、自分たちが取るべき行動は……?
    「まずは回復しないと。オレ、心霊治療してやるよ」
     漣香が皆を元気づけるように言った。全員まだ戦えるが、さすがに前衛のダメージは大きい。まずは回復をと準備をはじめた、その時。
    「いたぞ、灼滅者だ!」
     野太い声がして、8人の前に、壁のような一団が立ち塞がった。

    ●定礎怪人部隊
     現れたのは定礎怪人の一団だった。中に3体、テカテカした偉そうな定礎がおり、それが司令官であるようだ。その3体が各々ぞろぞろと部下を連れている。
    「援軍か!」
     灼滅者たちは素早く装備を整え直し、新たな敵と対峙した。
     連絡によると、他の幾つかのチームもダークネスの増援部隊との連戦に入っていた。どこも多くの敵を相手にしている。自分らも容易い戦いにはなりそうもないが、仲間たちも相当苦しい戦いを強いられることだろう。
    「……俺たちは、こいつらを蹴散らして」
     凪月が槍をぐっと握りなおして、
    「仲間たちの為に退路を確保しよう!」
     果敢に敵の群へと飛び込んでいった。
    「おう、こいつらの親玉には、聞きたいことがある。ちょうどいい!」
     碧が蒼い刃を光らせて続く。
     自分達と同じく防衛戦を保つために戦うチームも、また、うずめ様を狙いに行ったチームも、難しい戦いとなるだろう。仲間のために、なんとしても撤退ルートを死守する!
     決意した灼滅者たちは、まずは司令官を護る手下たちの排除に邁進する。
     真琴は盾で殴りつけて引きつけ、そこに三成が斧に載せた炎を叩き込んだ。愛里はレイザースラストを放ち、眠兎と漣香は、心霊手術ができなかった分せめて、と、精一杯の回復サイキックを送る。
     必死で情報収集していたミネットが。
    「アメリカンコンドルが別働隊として動き始めたようなので、2チームはそちらに回ると」
    「アメリカン怪人もややこしいことを……」
     愛里が顔をしかめた。そちらのチームも、おそらく激しい戦いとなるだろう。
    「考えこむのは後だ! とにかく、こいつらを倒そうぜー!」
     ヒャッハー! と三成が影を勢いよく放った。その影は最前列にいた、手下定礎を切り裂き、倒した。
    「そうだな!」
     気力を奮い起こし、仲間たちも続々と攻撃を加えたが、敵も怯む様子はない。
    「退がるのはお主ら、灼滅者だ! 前進、前進~!」
     壁のような配置を組んだ定礎怪人部隊はぐいぐい押し込んでくる。
     定礎怪人達は、攻撃力はさほどでもないが、盾役を多く配置し、戦列を進めることに徹しているため、なかなか数を減らすことができない。そのため、1発あたりのダメージこそ大きくはないが、じわじわと灼滅者たちは弱っていく。
     定礎部隊との戦いが始まって10分近くなる頃には、防御に努めていたディフェンダー陣はかなり苦しくなっていた。終始元気に振る舞っていた真琴が、肩で息をしている。ビハインド達もギリギリの様子だ。
    「(いっそ……)」
     じりじりと敵を睨みつけながら、何人かが考えはじめる。手下はあらかた片づけたが、まだ精鋭怪人は3体とも残っているのだ。
    「(堕ちて一気に片づけるという手もある……)」
     ……そこに。
    「はいっ、こちら病葉……えっ」
    「シャノワです……え、そんなっ」
     続々と他班からの通信が入り始めた。
    「複数のチームで闇堕ちがでているそうです……っ」
    「重傷者も多数とのこと!」
     灼滅者たちは息を呑み……。
    「……となると、まだ動ける俺らが、皆を逃がしてやらにゃなるまいな?」
     三成が傷だらけの顔でニヤリとしながら囁いた。
     そう、苦しいながらもこのチームはまだ全員動けるのだ。堕ちずとも仲間を救うことができる!
    「ええ……助けてあげましょう! 幾つかのチームはもう撤退を始めたようですし……っ」
     眠兎も涙ぐんで頷いた……と。
    「あれを!」
     愛里が戦場の奥の方を指した。見れば、ケガ人を抱え、必死で撤退する灼滅者のチームがある。
     漣香がとぼけた口調で、けれど素早く。
    「もう一撃だけ定礎共を押し込んだら、彼らを援護しに行くって、どうよ?」
     仲間たちは頷いた。もうひと攻め。それなら頑張れる!
    「そうと決まったら……いくよ!」
     凪月は渾身の回し蹴りで、雑魚をまとめて蹴り倒し、
    「隙ありですよ!」
     一瞬丸裸になった精鋭怪人の1体に、愛里が氷弾を撃ち込み、碧が武器を持つ利き腕を斬りつける。真琴は残る力をかき集め、盾に思いっきり力を籠めて押しやった……が。
    「この小娘弱っておる、やってしまえ!」
     他の2体の精鋭怪人が、真琴めがけて武器を伸ばす……!
    「月代!」
    「華月!」
     スッと2体のビハインドが割り込んで、彼女を護り……2体共消えてしまった。
    「退がれ、この塗り壁野郎っ!」
     ビハインドの献身を無駄にすまいと、三成と漣香が炎を叩きつける。眠兎が細剣を振り回して敵を遠ざけ、ミネットは煙幕のように黒煙で前衛を包み込み――灼滅者たちは視線を交わすと、一斉に踵を返した。
    「援護にいくぞ!」
    「はい!」
    「あっ、逃げるか、まだ勝負はついておらぬ!」
     定礎怪人の声や、追撃が追いかけてきたが、退がると決めたら用はない。
     激戦の中、自分たちの助けを必要としているチームがたくさんあるのだから……!

     ――こうして、追撃を振り払い、多くの仲間を助けながら、彼らも田子の浦を後にしたのだった。

    作者:小鳥遊ちどり 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2016年2月16日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 8/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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