「お前達の介入の結果、伏見城を陥落せしめる事ができた。こいつはでかい戦果だぜ」
神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)が、教室にやって来た灼滅者達へ勝利を伝える。
「それにスサノオ壬生狼組の損害が少なかったのもあり、天海大僧正のじいさんは全軍をもって琵琶湖へ進軍、いよいよ安土城怪人との決戦に臨もうとしているようだ」
舞台となる琵琶湖大橋ではすでに両勢力が睨み合い、工作を仕掛けたり奇襲をかけたりと小競り合いが始まっていて、緊張は高まる一方だという。
「そこで、天海大僧正勢力からお前達への要請だ。自分達が琵琶湖大橋で安土城怪人軍を釘付けにしている間に、後方から回り込み敵本拠地を攻撃してくれ、ってな。協定を結んでる俺達としては是非もないんだが……」
一つ問題が発生した、とヤマトが表情を引き締める。
「第2次新宿防衛戦直後から行方をくらませていた軍艦島が、静岡県沖に出現し、田子の浦の海岸に上陸しようと近づいて来やがったんだ。まるで今回の大戦に引き寄せられるみたいにな」
おそらく日本のご当地幹部であるザ・グレート定礎が、安土城怪人勢力と連携して作戦を決行したのだろうと、ヤマトは言う。
「あるいはエクスブレインの予知と別系統の予知能力を持つ、刺青羅刹のうずめ様による策かもしれねぇが、いずれにしても武蔵坂としては見過ごせねぇ。二方面作戦を展開せざるを得なくなっちまったってわけだ」
天海大僧正の要請に応じ琵琶湖へ向かうか、脅威として迫り来る軍艦島を迎え撃ちに行くか、灼滅者達は選ばねばならないのだ。
「琵琶湖の戦いに大勝利できれば、安土城怪人の勢力を壊滅させる事も可能だろうぜ。しかし大敗してしまえば、天海大僧正軍は滅びる。天海大僧正勢力の滅亡は武蔵坂にとって同盟勢力が消える以上の意味を持たねぇが、俺達が協定を反故にして見殺しにしたって事実は、各勢力との交渉や接触に良くも悪くも遺恨を残すだろう」
逆に田子の浦の戦いで大勝利した場合、上陸しようとする軍艦島にそのままの勢いで逆侵攻し、勢力丸ごと撃破する事が出来るかもしれない。
だが田子の浦で敗北した場合、軍艦島が白の王勢力に合流してしまう可能性が高くなる。
「軍艦島の勢力としての規模はそれほどでもないが、手強く頭の切れるダークネスが数多く参入してやがる。白の王勢力は兵隊の数こそ多いが他と比べて武将の質が小粒だ。もし軍艦島とセイメイの野郎が手を組んだら、今までにない一大勢力ができあがるだろうな」
なんとしても阻止したい、とヤマトは言う。
「戦力を二分して戦えば両方で勝てる可能性は上がるが、両方で負けちまったら目も当てられねぇ」
どうなったとしても、この戦いの結果が今後の情勢に大きな影響を与えるのは間違いないだろう。
「どっちが正しいのかは俺にはわからない。だからお前達自身がどうするか決めてくれ。悔いのないように、しっかり話し合ってな」
あくまで灼滅者達の意思を尊重すると、ヤマトは頷きかけた。
参加者 | |
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ミルフィ・ラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・d03802) |
皇樹・零桜奈(漆黒の天使・d08424) |
緑風・玲那(ラストフェザー・d17507) |
セラフィーナ・ドールハウス(人形師・d25752) |
ヘイズ・フォルク(青空のツバメ・d31821) |
甘莉・結乃(異能の系譜・d31847) |
御伽・百々(人造百鬼夜行・d33264) |
アルルーナ・テンタクル(小学生七不思議使い・d33299) |
●水平線の脅威
田子の浦海上には、ご当地幹部やうずめ様を擁する軍艦島と、戦艦スイミングコンドルの姿があった。
迫り来る敵軍を皇樹・零桜奈(漆黒の天使・d08424)は静かに見つめて。
「大規模な……ダークネス同士の……戦争か……。まあ……両方滅んで……くれると……嬉しいけど……せっかくの……同盟が……無意味になるから……手助けは……しようか……」
この機にアフリカンパンサーやうずめ様を撃破しておきたい、というのも偽らざる思いである。
「天海大僧正へ義を通さない選択になれど、今はやるべき事に集中しましょう」
緑風・玲那(ラストフェザー・d17507)も決断に迷いがないと言えば嘘になるが、それでも仲間を護る為ならば戦い抜く覚悟は出来ていた。
「甘莉、俺の後ろは任せる……頼んだぞ」
「いいよ、任された」
空を見上げ、軽く深呼吸したヘイズ・フォルク(青空のツバメ・d31821)が振り返ると、甘莉・結乃(異能の系譜・d31847)も薄く笑って返す。
「琵琶湖に向かったみんなも同盟に応えようとしてる。こっちはしっかりとセイメイの企みを阻止しなきゃね!」
その通りだ、と御伽・百々(人造百鬼夜行・d33264)は頷く。
「七不思議使いとしても、此度の戦いは見逃せぬ。……テンタクル、他チームも配置についただろうか」
「はい、みなさん準備万端みたいです。通信も滞りなくできてますよ」
インカム型の無線機をつけたアルルーナ・テンタクル(小学生七不思議使い・d33299)が、スーパーGPSや地図を見比べ、問題はないと応じる。
少ない戦力を最大限生かすべく連携に重きを置いた作戦のため、仲間達も通信機は準備済みだ。
「いつぞや取り逃がした、フォルネウスの配下が、軍艦島側に付いているとは……裏にどの様な思惑があるのか知れませんけども……」
ミルフィ・ラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・d03802)は、揚陸部隊に見え隠れするソロモンの悪魔を見据え、呟く。
「しかし……何故両方の勢力に、ソロモンの大悪魔の配下が……?」
その問いに答えられる猶予はもはやなく、セラフィーナ・ドールハウス(人形師・d25752)がビハインドの聖堂騎士を呼び出す。
「来ましたね……」
足を取られないよう履いてきたブーツが、緊張気味に砂を踏みしめる。
目の前には、海将フォルネウスの配下、オーミクが海を越えてやって来ていた。
「灼滅者か……待っていたぞ、この時を」
抑えられぬ怒気の込められた声音に、ミルフィが口を開く。
「わたくしもフォルネウスと一戦交えました身ですが……彼は、大悪魔の名に恥じぬ強敵でしたわ……彼の仇を討とうというなら、受けて立ちますわよ……こちらも、彼の行方は知りとうございますからね」
「大きく出たものだな……我が主を卑劣な不意打ちで襲撃した分際で……」
ふん、とヘイズが鼻を鳴らし、妖刀「赤雷」の切っ先を向け、口の端を歪める。
「お前のご主人様の触手を叩ききったのは、俺だ……」
「ならばその二の腕を切り落とし、足をねじ切り、海中へばらまいてくれるわ!」
オーミクが槍を振りかぶり、突進して来たのが戦いの合図だった。
●海魔オーミク
「ソノ死ノ為ニ……対象ノ殺戮ヲ是トスル」
まず動いたのは零桜奈だ。
スレイヤーカードを解除しつつ走り込み、鬼へと変じさせた巨腕を真っ向から打ち付けた。
「ぬう!?」
掲げた槍で防ぐオーミクだが、勢いは殺しきれずささやかに後退。
「報復に燃えているところ悪いが、出鼻をくじかせてもらうぞ」
禍々しい怨念を纏った鎧武者へと姿を変えた百々が、敵が体勢を立て直す前にドーピングニトロをその身へ注ぎ込む。
「そして、大人しくしていただきます」
セラフィーナから放たれた糸状の霊力が飛びかかり、鎧の隙間の関節部へ絡みつくようにして機動力を奪い、側面へ回り込んだ聖堂騎士が大盾を押し込んで敵をはじき飛ばす。
「深淵の先を逝く者達を祓う聖光の加護を!」
スレイヤーカードを解放した玲那は果敢に攻め込み、刀を振り下ろす。
「温いぞ……!」
オーミクも熟練の槍技でもって斬撃をいなし、凄まじい打ち合いが始まる。
「あの硬い守りを突破しないと……!」
アルルーナは敵の動きを注視しながら、薬剤を自身へ投与し次手へ備えた。
「フォルネウスは取り逃がしましたが……貴方はここで、討ち取らせていただきますわ」
ミルフィが砂地へ深々と十字架を突き立て、その砲門から無数の光線を放って敵を穿つ。
「敵は……叩き斬る、それだけだっ!」
ヘイズもまた疾駆し、玲那と入れ替わるようにしてオーミクと併走。
「復讐させてやるよ、できればなぁ!」
捨て身にも近い体裁きで連撃を浴びせ、次々と悪魔の鎧に傷をつけていく。
「七星、出番だよ」
後衛では浮遊型補助演算デバイスを周囲に展開した結乃が、かき鳴らしたギターから音波を飛ばし、敵が動きを止める瞬間を狙って命中させていった。
と、オーミクが糸を手繰るセラフィーナへ急接近し、鋭利な刺突を見舞う。
「させません!」
常にオーミクと間合いを詰めていた玲那が即座に反応し、刀を構えて割り込んでいく。
「うぐっ……重い!」
受け流しきれずしたたかに肩口をえぐられ、軽々と投げ飛ばされてしまった。
序盤から互いにエンチャントを付与し、均衡しながらもじりじりと体力を削り合う。
攻撃は力強く、何より強固な装甲を持つオーミクに対し、その防備を打ち砕こうと灼滅者達は奮戦した。
「ならば我の槍術も味わってもらおうか!」
突っ込んだ百々が体重を乗せて螺穿槍を突き入れる。オーミクは避けられず、鎧にヒビを入れながら後ずさった。
追撃しようとする前衛の灼滅者へ、オーミクは槍をぶん回し四方へ乱撃を食らわせる。
「みんな、大丈夫!?」
「ええ、私は……ですが……」
すぐさま結乃が帯を射出し、負傷したセラフィーナを覆って防護するものの、その側で聖堂騎士が馬上槍を取り落とし消えていく。
「この水撃を受けよ!」
その上今度は後衛めがけて毒入りの水弾を放出。直撃したアルルーナはごほごほと咳き込みながらも立ち上がる。
「毒、辛いですけど……お返しです!」
オーミクが使った軌道をそのまま利用し、氷の弾丸を思うさまぶち込んでいく。
「斬っても叩いても砕けないのなら、焼いて差し上げますわ」
凍り付き動けないオーミクへ、ミルフィが至近距離から炎で包み込む。
「ぬうう、小癪な!」
「そんな鎧姿で追いつけると思うなよ、魚ヅラ!」
炎を振り払い距離を狭めようとするオーミクを、ヘイズがその周囲を駆け回って翻弄しながら赤雷を振るい、刀身をより紅に染め上げながら自らの体力も回復させる。
かと思えばオーミクの腕に影の糸が巻き付き、セラフィーナが手元で操ると見る間に影が増幅し縛り上げていく。
その隙を突いた零桜奈がダイダロスベルトを砂地に潜り込ませ、地中から飛び出した帯が鎧に入った亀裂を貫いた。
「そんなもので、我が守りは破壊できぬ!」
オーミクが高らかに歌声を張り上げると、みるみる傷が――。
「厄介だな……だが有効打は用意してある」
癒えようとする直前、百々が全身をバネにしながら飛び上がり、死の鎌を大上段から振り下ろす。
「回復力が低下していますね……今のうちに!」
敵の弱体化を見て取った玲那が、自らの怪我に耐えながら懸命に味方へ治癒の光を放つ。
一つ一つの攻撃に的確に対処し、またそれぞれ能力向上とブレイク、敵の弱点狙いを怠らない事で、いよいよオーミクを追い詰めつつあった。
●烈火
「あの鎧、もう少しで壊れそうだよ……みんな踏ん張って!」
動きの鈍っている敵の様子を仲間に伝え、結乃はギターを鳴らし続けて回復に徹する。ビハインドを除きまだ誰も倒れてはいないものの戦況は予断を許さない。
「後の戦いも控えています、ここで消耗しきるわけにはいきませんね」
セラフィーナは一旦糸を行使する手を止め、祭霊光を前衛に与え、奮起させる。
「これ以上敵の勢力が増えるのは放って置けませんしね。……いきましょう、御伽さん!」
「うむ」
百々とアルルーナは呼吸を合わせ、手にした得物で交互に素早く斬りつけ、返す刀で逆袈裟に引き裂く。
「その鎧、引きはがさせていただきますわ」
手のひらを前方にかざし、集中したミルフィが猛烈な炎の嵐を着弾させると、敵の鎧が大きく溶け落ち、無防備になる。
そこへ肉薄したヘイズが縦横に斬り裂き、血しぶきを上げさせた。
「ぬうう!」
するとオーミクは身を低め、猛スピードで魚雷のように突き進み、回避行動の遅れたミルフィを思い切り突き刺す。
「さすが……お強うございますね……ですが!」
ミルフィは槍を逆に掴み、血だまりを広げながらも自らに刺さったまま抜けないよう相手を押しとどめる。
その背後へ零桜奈が近づいて、魔力を込めた渾身の突きを深々とぶち込んだ。
「終わり……だ……」
「ぐぁ……!」
がくりと膝を突くオーミク。ミルフィも倒れ込み、動かなくなる。
「そんな……ラヴィットさん!」
玲那が呼びかけるも、ミルフィは完全に意識を失っていた。
「フォルネウスは何処にいる!? 答えろっ!」
ヘイズがオーミクへ刃先を突きつける。
「……答える……と、思うか……? 貴様らなどに……」
「……だろうな」
ヘイズは背を向けた。とどめはすでに刺されていた。零桜奈が撃ち込んでいた魔力が膨れ上がったかと思うと、破砕された鎧ごと全身を炎で焼き尽くしたのだから。
「他のみんなはどう?」
気絶したミルフィを介抱していた結乃が、別の戦場と連絡を取るアルルーナへ振り返る。
「あっちも大体済んだみたいです」
「それならば、次の戦いに備えて心霊手術を行っておきましょうか……」
セラフィーナが提案すると、ヘイズも頷く。
「それが終わったら、このまま追撃するぞ……ん?」
そこで、異変に気づく。海の向こう。それは次第にこちらへ近づいて来ていた。
「なるほど、そう来たか……」
百々が眉根を厳しく寄せる。
正体は敵影だった。海岸を埋め尽くさんばかりのダークネスの軍勢が、総攻撃を仕掛けて来たのである。
アフリカンパンサーやザ・グレート定礎はもちろん、うずめ様や大悪魔フォルネウスまでもが、それぞれの手勢を率いなだれを打って殺到してくるのだ。
サイキックエナジーを使い切った軍艦島が沈み行く様が、敵の全戦力である事を物語っていた。
そして一人たりとも逃がすつもりはないのか、スイミングコンドル号から配下を連れたアメリカンコンドルまでもが、撤退路を潰すため回り込んで来ている。
あまりにも歴然とした戦力差。正面からぶつかれば壊滅は必至の局面に、上陸阻止は不可能と判断せざるを得ない。
「た、大変な状況ですけど、別働の四チームがうずめ様を狙いに特攻するみたいです! それと二チームが後方から奇襲をかけてくるアメリカンコンドルの撃退に回って……」
忙しく他部隊と連絡を取っていたアルルーナが、立ち尽くす仲間達へ現状を伝えてくる。
「私達……残りの五チーム……は?」
零桜奈の問いに、玲那が強い意志の籠もった眼差しで後を引き取る。
「ここで迎え撃って、みなさんの退路を維持する……そうですよね?」
「わんさとお出まし……か。上等だ、邪魔する奴は残らず叩き斬ってやる」
ヘイズが赤雷の柄を握り直す。絶望的なのは分かっている。それでもやらなければいけない。
「……うん。力を合わせれば、きっとなんとかなる」
結乃も頷くとミルフィをそっと安全な場所へ横たえ、残る七人で圧倒的大軍団を迎撃に向かった。
●血風渦巻く海岸線
津波の如く押し寄せたのはアフリカンご当地怪人達。
「始めましょうか。私達だけでなく、仲間のみなさん全員を守るための戦いを」
静かに告げたセラフィーナが、新たに作り出した霊力の結界を張り巡らし、襲い来る怪人達をまとめて拘束にかかる。
ヘイズと零桜奈を火力の軸に、玲那とセラフィーナが守備を務め、後衛の三人が回復と支援をバランス良く行う。
敵の攻勢は激しいが、一戦目の被害を比較的軽微に収めたため十分に対応できる範囲で、むしろ余裕すら持って善戦していた、まさにその時。
「大丈夫、みんなっ? 応援に来たよー!」
とうっ、と接岸した船から身軽に飛び降りて来たのは、なんとアフリカンパンサーである。その瞬間、怪人達から歓声が上がった。
「あかん! アフリカンパンサーやん!」
アルルーナが焦る。今の所戦闘に参加する気はないようだが、どういうわけか配下の怪人達が突然強くなっていた。
「流石に連戦はきついか!?」
オーミクレベルとはいかずとも数段強化された敵勢に、一転して苦戦を強いられる。
「まだだ……司令塔さえ叩ければ……!」
包囲されながらも機敏に立ち回る百々がアフリカンパンサーを見据えた。
起死回生にはそれしかないと、玲那も怪人と斬り結びながら零桜奈へ視線を送る。
「皇樹先輩、私達で道を開きます……!」
「わかった……」
「そこをどいて下さい!」
零桜奈を援護するため、アルルーナが敵陣へ氷弾を発射した。
「……え」
攻撃後の硬直を狙われたのか、閃光のようなビームがアルルーナの腹部を貫通し、ばったりと倒れ伏す。
同時に別の怪人が零桜奈を叩きのめそうと疾駆。
「ここは私が!」
糸を鱗のように纏め上げ、盾としたセラフィーナが立ちふさがる。
しかしその盾ごと破られ、こめかみに鋭い蹴りを受けて昏倒させられてしまう。
「でも、道は開けたよ……!」
結乃のラビリンスアーマーによる補助を受けた零桜奈が一直線に駆け抜け、残る力を振り絞った一撃を叩き込む。
が、刹那、眼前に怪人が飛び出し、攻撃を阻み蒸発していった。
直後、全方位から放たれたビームが零桜奈の全身をぶち抜く。
「……一歩……届かない……」
「んー、惜しかったね! 惜しかったね!」
傷口を抑える手からも力が抜け、零桜奈は崩れ落ちた。
「先輩!」
叫ぶ玲那がしゃにむに前進。百々も防戦で手一杯。戦線は瞬く間に崩壊していた。
「……」
ヘイズは怪人を一刀の下に斬り伏せると無言で注射器を取り出し、首筋に突き立てようとする。
けれど、後ろから結乃の声がかかった。
「本当に、それでいいのね」
ぴた、と腕が止まる。空を仰いだ。澄み渡って、青い。
「アタシ、まだ後ろを任されてるんだけど?」
「……だな」
今はまだ、その時ではない。仲間を、信じよう。
「撤退だ! 倒れた者を担いで走れ!」
アルルーナを背負った百々の指示が飛ぶ。玲那が敵をちぎっては投げながら零桜奈を救出し、二人もセラフィーナとミルフィを救助する。
「帰るんだ? 帰るんだ? 今回は楽しかったよ、また戦おうね!」
死に物狂いで時間は稼いだ。アフリカンパンサー達も深追いして来ない。
四人は振り返らずただひたすら駆けて、田子の浦を離脱したのだった。
作者:霧柄頼道 |
重傷:ミルフィ・ラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・d03802) 皇樹・零桜奈(漆黒の天使・d08424) 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年2月16日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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