これは、予兆!?
まさか、私の中にまだ、灼滅者の熾火が残っているとでもいうのか?
……だがこれで、私が尾行したあの軍勢の正体が判明した。
あれは、軍艦島の大勢力。そして軍勢の向かった先は、白の王セイメイの迷宮!
予兆を見たのも何かの縁だ、武蔵坂学園には連絡を入れておこう。
その連絡で、灼滅者としての私は本当に最後。
これより私は、混じり無きひとつの『黒牙』となる……!
「天海大僧正軍との共同作戦、琵琶湖大橋での戦いは俺達の大勝利で終わった。さすがだな」
神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)が、激戦を繰り広げて戻って来た灼滅者達にねぎらいの言葉をかける。
「安土城怪人勢力の残党達は、本拠地としている琵琶湖北側の竹生島に立てこもっているが、求心力のあった安土城怪人を失った事でほとんど離散し、今や見る影もねぇ」
それに、安土城怪人に次ぐ実力者だった『グレイズモンキー』が彼らの元へ戻って来なかった事と、中立的な立場ながらその献身的な活動で支持されていた『もっともいけないナース』が灼滅された事もあり、組織としてはもはや成り立たず、瓦解するのは時間の問題だろう。
「だが上陸作戦を阻止できず、軍艦島勢力の合流を許してしまった白の王勢力は恐るべき強化を遂げちまった。エクスブレインとは全く違う予知能力を持つ『うずめ様』、現世に磐石の拠点を生み出す事ができる『ザ・グレート定礎』、ソロモンの大悪魔の一柱『海将フォルネウス』、そしてセイメイと同じ『王』の格を持つ『緑の王アフリカンパンサー』。こいつらはセイメイのこれまでのミスを帳消しにして余りある力を持ってやがる」
その一方、これら強大なダークネスを一度に富士の迷宮へと招き入れた事は、白の王に致命的な隙を与えているのだ。
すなわち、富士の樹海で探索を続けていたクロキバに、その迷宮の入り口を発見されてしまったのである。
「闇堕ちしてクロキバとなった、白鐘・睡蓮(荒炎炎狼・d01628)……あいつは先代達の意志を継ぐべく、白の王の迷宮に一人挑もうとしている。しかし同時に、武蔵坂学園に対して突入口の情報をリークしてくれた。セイメイの尻尾を掴んだだけでなく、田子の浦で苦汁を飲まされた軍艦島のダークネスどもをぶちのめす絶好の反撃チャンスってやつだぜ」
残念ながら白の王の迷宮の入り口を通過できる人数には限りがあり、全軍で攻め入るのは無理だ。
そして敵も黙って見ているわけではない。この機を逃せば、再び侵入する事はできなくなるだろう。
「有力なダークネスが雁首そろえている上にセイメイの本陣だ、突破して全ての敵を倒す事は難しいだろうが、何を為すべきか作戦をしっかり練って、奴らに一泡吹かせてやろうぜ!」
白の王の迷宮は、内部から迷宮を破壊しようとすると外にはじき出されるという防衛機構がある。
そのためどうにもならない危地に陥った場合は、迷宮自体を攻撃する事で速やかな緊急脱出が可能となっているのだ。
ただこの防衛機構により、迷宮への破壊工作もほぼ不可能となっているので、その点は注意が必要、とヤマトは補足する。
「迷宮からの脱出はたやすいが侵攻は困難。成果を上げるにはある程度目的を絞る事も必要だろうな。特に田子の浦で戦った面子はぜひともリベンジしたいはずだし、セイメイを灼滅できれば白鐘・睡蓮(荒炎炎狼・d01628)を闇堕ちから救出する機会も訪れるだろう」
防衛線をかいくぐり、セイメイの野郎を追い詰めてくれ!
そうヤマトは灼滅者達を激励するのだった。
参加者 | |
---|---|
由井・京夜(道化の笑顔・d01650) |
八重葎・あき(とちぎのぎょうざヒーロー・d01863) |
秋良・文歌(死中の徒花・d03873) |
香坂・颯(優しき焔・d10661) |
水無月・詩乃(砕蹴兵器彼女・d25132) |
可罰・恣欠(リシャッフル・d25421) |
大夏・彩(皆の笑顔を護れるならば・d25988) |
只乃・葉子(ダンボール系アイドル・d29402) |
●樹海の氷穴
富士の迷宮。クロキバの情報がもたらされたその入り口は、富士裾野の樹海の中に存在していた。
普段は立ち入る者を例外なく拒む鉄壁の要害と化した迷宮ではあるが、セイメイによって招き入れられた軍艦島勢力と先んじて侵入したクロキバにより、灼滅者達を潜入可能な状態にさせている。
「僕らは下層へ行くわけだけど……何か凄い事になっちゃってるよね」
樹海を約一時間弱ほど進み、やっとたどり着いた風穴の内部を覗き込んで、由井・京夜(道化の笑顔・d01650)が苦笑した。
セイメイと決着をつけるための迷宮への突入もそうだが、振り向けば自分達だけでなく、学園の灼滅者達が大勢洞穴を取り囲んでいるのである。ちょっとした討ち入り気分だ。
「あのセイメイが長年行ってきた研究か……。どう考えても碌なものじゃ無いとは思うし、出来るならここで破壊したいものだね」
京夜と並んで風穴から漏れてくる冷気に緊張を高めつつ、ビハインドの香坂綾を伴った香坂・颯(優しき焔・d10661)が呟く。
「セイメイ倒せれば御の字。出来ずとも、他の大物にダメージ与えて研究をおじゃんにしちゃえば、こっちに有利に働いてくれるだろうし……頑張ろうか」
「ああ。成すべきは多いけど、一つでも何か分かると良いんだけどな。……この先に優位に立てるようにさ」
「案外、闇堕ちされた方々もセイメイの計画とやらに一枚噛まされているやも……」
可罰・恣欠(リシャッフル・d25421)が仲間達が心の底で思っていながらも、口にしなかった危惧をあえて言葉にする。
それなら、と逆に気合いを入れるのは大夏・彩(皆の笑顔を護れるならば・d25988)だ。
「もし闇堕ちしちゃったみんながいたなら、一緒に助け出しちゃおうよ! ね、シロ?」
傍らに佇む霊犬へ尋ねると、こちらも戦意の籠もった吠え声を返して来た。
「この日のために準備は万全にしました。探索や警戒はお任せ下さい」
水無月・詩乃(砕蹴兵器彼女・d25132)が用意した暗視ゴーグルの調子を確かめる。
何が起こるか分からない。各々ロープやライトを所持し、無線機や携帯電話、調査隠密用のESPなど、事前の備えは入念に行い、他の班と連携するメンバーも可能な限り分担したつもりだ。
「ノーライフキング、セイメイ……その邪悪な企みを阻止し、さんざん命を弄んだつけを払ってもらいましょう」
秋良・文歌(死中の徒花・d03873)の口調は落ち着いているものの、緑の双眸は力強く輝き、意気込みは十分。
「静かに、でも大胆にダンジョンアタックしていきたいね」
八重葎・あき(とちぎのぎょうざヒーロー・d01863)もまた、田子の浦で以前怪人と共に戦った先輩の餃子ヒーローが闇堕ちしたと聞いている。
先輩の覚悟を無駄にしない為にも、これ以上セイメイにはでしゃばらせるわけにはいかない。
「ハコも今回は超過密スケジュールを頑張ってこなしちゃいますよ!」
元気よく叫ぶ只乃・葉子(ダンボール系アイドル・d29402)ら仲間達は、他の班に続いて風穴へ踏み込んでいった。
●いざ、突入
内部は自然が作り上げた氷穴の様相を呈している。冷風吹き抜ける肌寒さと、美しさすら感じるつららや氷柱がそこかしこに点在し、起伏のある足場を渡りながら迷宮への入り口を目指す。
十分は進んだだろうか。灼滅者達はひときわ目立つ氷柱と、その奥の壁が不自然な二重写しになっているのを発見する。恐らくここがセイメイの迷宮へつながる入り口なのだろう。
「探索のポイントは保護色と申します。体細胞に気合を入れグラデーションする事が大切でしょう」
「いや、たしかにすごい見つけにくいところだけど意味が分からないよ!」
恣欠へツッコむ彩が、その風景の歪んだ壁へ思い切って体当たりする。
「おおっ、中へ吸い込まれるように……! それならハコも、いっきまーす!」
「抜けたすぐ先に敵がいないとも限りませんので、気をつけて参りましょう」
壁の先へ消えた彩に続き、葉子や詩乃達も次々と飛び込んでいく。
意を決して突っ込んだ内部は暗く、禍々しい空気の漂うセイメイの迷宮にして居城。灼滅者達はついに、白の王まで後一歩のところへやって来たのである。
「暗い……と、思ったけど、目が慣れてくれば意外と見えるもんだね」
周囲を見回して颯が漏らす。特に照明などは見当たらないが迷宮自体が淡く発光しているらしく、ライトが必要ないほどには明かりに困らない。
「……あ、駄目みたい。無線も電話も通じない」
あきが所持品を確認すると、連絡するための機器がこの迷宮ではどうやら使えなくなっているようだ。
「ハンドフォンも無理ね。同じ携帯を介するESPだから仕方ないのでしょうけど……」
文歌も頷く。他の班も似たようなもので、困惑の声や予想通りという声があちこちから聞こえてくる。
「文明の利器が使用不能な以上、頼れるのは自分の目と耳と直感と、マッピングだけってわけだね」
自らの足で迷宮を踏破する必要があるのだと、さっそく出発地点周辺を地図に書き込みながら京夜が言う。
現在地は中層。二班に別れて上層と下層を攻略する作戦で、自分達の班は下層を担当である。
困難を予想し色々と準備をしてきたのだが、よくよく見ると下層へ向かう戦力が自分達を含めて圧倒的に多い。
なので無線で連絡したり敵に見つからないよう隠れて行動する必要もなく、細かいマッピングや隠し部屋、通路を探しながらもある程度団体行動を取って深部を目指す事に。
そんな状況なため散発的にゾンビやスケルトンといったアンデッドが襲って来ようが、セイメイもびっくりな恐るべき数の火力で薙ぎ倒し、焼き払い、粉みじんに粉砕しながら一直線に作戦目的へ進んでいったのである。
「うう、なんだか匂って来ませんか~?」
どれだけ降りて来ただろうか、また一つ下の層へ到達した葉子がダンボール越しに鼻の辺りを抑える仕草をする。
「たしかに、なんだろうこの匂い……生臭いというか」
颯も顔をしかめる。そこら中ゾンビだらけなのだから仕方ないのだが、普通の腐食しきったゾンビと違い、なんというかまだ鮮度を残した異臭というべきか。
「何かの罠かもしれないわね……」
文歌が警戒心を強めて周囲を見回す。恣欠もアウルスコープを手に先の通路を確認して、一言。
「見える位置に敵の気配はありませんが……もしや天井や地中を這ってきているのでは?」
「そ、そんな、エイリアンじゃあるまいし……」
言いながらも彩はぶるっと震えながら進む。不快な悪臭は強まるばかりだが、逆に敵の襲撃はぴたっと止んでいるのが不気味だった。
「何が出て来ても、これだけ仲間がいれば返り討ちにできると思う」
方眼紙やスーパーGPSを併用しながらマッピングするあきの分析に、詩乃も冷静に頷く。
「そうですね。私達ならきっと勝てます」
油断せず下層部を突っ切っていくと、いよいよ他の匂いが感じ取れないくらい強烈な臭気が立ちこめた。シロも嫌そうな顔で進みたがらない。
そんな中現れたのは最下層と思われる大広間への扉。どうやら臭いの元はこの先からしてきているようだ。
「この先にあるのかな……?」
彩がおそるおそる扉の前へ行く。セイメイが隠しているであろう企ての正体が恐らくこの向こうに存在している。どうにも嫌な感じだ。
「扉を開けるしか、ないみたいだね」
「だな……」
ここまで来れば地図を書く意味もないだろうと懐へ納めた京夜は颯と頷き合い、他の班から名乗りを上げた先鋒の面々と一緒に扉を一気に押し開ける。
そんな灼滅者達の目の前には、思いがけない光景が広がっていたのだった。
●深部に待つ恐怖
「う……っ」
「こ、これは……」
動揺の声が灼滅者達の間から上がる。
そこはいわゆる東京ドーム何個分とかで表せそうなとてつもなく広大な大広間。こんな空間があった事にも驚かされるが、問題はその部分ではない。
一見、何もない部屋。しかし中央部分には適当に数えても一万はある、大量の死体が寝かされていたのである。
致命傷を受けて息絶え、恐怖や苦痛の表情を浮かべたままの死体が見渡す限り転がり、やって来た灼滅者達を恨みがましく睨み付けているかのようだ。
ここは多分、セイメイによって命を奪われた死体が集められた保管庫。こんなものが待ち受けていた事実に、愕然とした声や、悲しみ憤る声が他の班からも続く。
「こんなのあんまりです……っ」
「本当ね……セイメイ、許せないわ」
ダンボールを泣き顔に変える葉子に、文歌も怒りをたたえた眼差しで同意する。
しかし、灼滅者達にとっての試練はここからであった。
どうしたものかと立ちすくむ仲間達の前で、不意に死体の山がうごめいたように見えた。
「おや、今のは……」
恣欠が慎重を期してアウルスコープを覗き込む。錯覚ではない。横たわっていた死体達の四肢、それから頭がもたげられ、痙攣するように動き始めているではないか。
気をつけろ、と他の班からも警告が飛ぶ。驚きが収まらぬ間にも死体達はゆらゆらとうろんげな素振りで活動を始め、大広間の約半数と思われる死体が、生ける屍となって立ち上がって来たのである。
「こいつら……ゾンビか!?」
「一斉に襲って来るよ……!」
颯や京夜達も身構えた。敵はまさに無数。身を隠せる場所も小細工もできないこの大部屋で、五千体はいるゾンビ達と対峙する。
「ど、どうしよう……すごい数だけど、本当に戦うの……?」
彩の言葉に、和傘を構えながら詩乃が応じる。
「これがセイメイの計画であるならば、これ以上の被害を防ぐためにも倒さなければいけません。犠牲者の方達も、このような姿で暴れる事を望んではいないはず……!」
この大広間から出て行く者は一人もいない。ならば話は決まった。
一つの班でおよそ三百体。結構な負担だが、やるしかない。
「……セイメイの野望阻止のために、宇都宮の誇りと共に、全身全霊をもってこの任務を達成してみせるからっ!」
栃木の素敵な魔法ヒーローとして、皆を奮い立たせるように叫ぶあき。地下奥深くで、ここにゾンビ達との総力戦が始まった。
●5000対144
焦点の合わない目。時折発されるうめき声やうなり声。死した肉体が放つ特有の腐臭。雨あられと襲いかかるゾンビ達へ、詩乃が鏖殺領域を浴びせかける。
「他の皆さんも戦いを始めているようです。互いに連携している余裕はなさそうですね」
他チームの姿もそれぞれゾンビの群れの中に見えなくなっていた。詩乃は傘を振り回し、殺到する死者の輪を貫いていく。
「この人達、ほんのさっきまで、生きていたのよね……」
サイキックの帯で守りを固めていた文歌が、敵勢を観察してその事実に気づいた。
襲い来る中には通勤途中と思われる鞄を持ったサラリーマンのゾンビや、お盆を力なく手にしたウェイトレスのゾンビと、つい最近まで息があった痕跡がいくつも伺えるのだ。
「っ……、こんなひどい事を、セイメイっ……!」
これだけの虐殺を行っておきながら悠々と笑っているだろうセイメイを思い、文歌は口を厳しく引き結ぶ。
それでも怒りに囚われる事なく律し、今は仲間と共に生き延びるため、支援に徹するのだった。
「皆さん、ハコの歌を聞いて下さーい!」
葉子もせめて死んでしまった人達の元に届けと、大広間を軽やかに舞いながら歌を響かせ、雷を落とし、鋭く魔力を込めた刺突を見舞っていく。
「でも、何か妙だね」
ゾンビ達を迎撃しながら違和感を覚える京夜。
それが何なのか死闘が続く中、おぼろげながらはっきりしてくる。
「このゾンビ達……死因と思われる傷が、みんな一緒なんだ」
そう。最初は余り気にならなかったのだが、動く屍達は皆、ゾンビに噛まれて絶命したようなのだ。
「京夜、危ない!」
背後に迫るゾンビを駆けつけた颯が抑え込む。直後、綾も追いついて迫り来るゾンビを一気に吹き飛ばした。
「大丈夫か?」
「うん、助かった……」
京夜と背中合わせになる颯もまた、不可解な現象を目の当りにする。
攻撃してくるゾンビをつい蹴り飛ばしてしまったが、そのゾンビは地面に倒れたまま中々起き上がってこないのだ。
サイキックじゃないのに明らかにダメージが入っている。なぜだろう。今までのゾンビとは何かが違う。
「もはやサイキックなどは不要という事でございましょうか。一つの時代の終わりですね」
ひょっこり現れた恣欠がわざとらしく感慨深そうにのたまいつつ、男三人で固まりながら群れ寄るゾンビを撃破していく。
「……うん、やっぱりサイキックじゃなくてもちょっとは効くみたい!」
シロの斬撃の後、縛霊手でただぶん殴って比較し、ぐったりと倒れたゾンビを見つめて彩が言う。
「サイキック以外の攻撃が効かないのって、バベルの鎖があるからだよね? でも攻撃が普通に通じるって事はバベルの鎖が機能してないってわけで……」
口に出しながら思考を纏めていた彩は、恐ろしい仮説に思い至り戦慄する。
「バベルの鎖を持たないって事は、エクスブレインの予知にも悪影響があるかも!? 嫌な予感しかしないんだけど!」
「これがセイメイの研究成果なの!? それなら、ますます放置してはおけないよ!」
あきが地面に打ち立てた十字架からこれでもかと光条をぶっ放し、すでにかなり数を減らしたゾンビ達を打ち払う。
戦いが始まってから数十分が経過した頃、突然迷宮に激震が走った。
なんだなんだと驚きの声が他の班からもする。ほどなくして別の班に、セイメイを討伐しに行った班から無線による連絡が入った。
――すなわち、セイメイを灼滅した、と。
「無線が通じるのも、そのおかげかも」
無線機は開通したが携帯電話などは届かない事を確認するあき。
ゾンビの大半は片付けた。迷宮が崩れるなら長居は無用だ。自分達の班も集まり、遠慮なく迷宮を攻撃して脱出にかかる。
転移した場所はどこか地方の高校のようだった。時刻は七時を回り、朝日がまぶしい。
「ってゾンビの皆さんまで一緒に来てますー!?」
生臭くなったダンボールをこっそり変えようとしていた葉子が仰天した。どうしてかその場には八人の他に、数体のゾンビの姿があったのだ。
「目と目が合いましたね。倒してしまいましょう」
恣欠の理屈はよく分からないが言う通り、野放しにはしておけない。
「これでおしまいです」
「ヒーローは最後まで気を抜かないっ!」
躍り込む詩乃の突きとあきの射出した帯が敵を打ち砕き、続く仲間達の一斉攻撃で残るゾンビも掃討する。
「セイメイ……ようやく、倒されたのね」
長く続いた一つの因縁が終わった。一息つき、複雑な表情を浮かべる文歌。
その計画までも含めて打破という大成果にまだ実感は湧かないが、武蔵坂に戻れば詳しい状況も分かるだろう。
灼滅者達は頷き合い、帰途へついたのだった。
作者:霧柄頼道 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年3月2日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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