南アルプス壬生狼行~相克する刺青達

    作者:霧柄頼道

     なだらかな山稜が広がり、長く尾根が伸びるここは、南アルプスの麓である。
     雄大な風景が眺望できる山岳地帯ではあるが、この場所はほどなくして、戦場となるであろう事が訪れた灼滅者達には確信としてあった。
     彼らが探索の足を伸ばす理由は一つ。先だっての戦いにより敗走し、南アルプスへ撤退したうずめ様の予知能力、そして刺青を手に入れるため、様々なダークネス勢力が接触する事が予想されているからである。
     たとえば朱雀門高校。その勢力下にある刺青羅刹の鞍馬天狗やHKT666のゴッドセブン、本織識音達がうずめ様を勧誘し、仲間へ引き入れようとするはずだ。
     そして刺青羅刹が集うような状況を、同じ刺青羅刹の依は黙って見てはいないだろう。
     それぞれの戦力は強大だが、複数の思惑が錯綜するならばこちらにも付け入る隙は存在する。
     だからこそ灼滅者達もまた、この動きに対応するべく南アルプスへ向かったのである。
     捜索を行っているのは自分達だけではなく、仲間のチームも別地点で探索している。その事に心強さを感じつつ目前に生い茂る草木を分け入っていくと、不意に連絡用に用意しておいた携帯電話が鳴った。
     それは別行動をしていた他チームからの連絡。受け取った伊勢・雪緒(待雪想・d06823)が仲間達へ内容を伝えた。
    「どうやら山中の洞窟付近で、スサノオ壬生狼組の精鋭を連れた依さんを見つけたらしいです!」
     依か、とその名に灼滅者達が反応する。
    「連中の目的は多分、うずめ様の刺青だろうな」
    「でも、うずめ様は予知能力を持っているのよ。そう簡単にどこにいるのか露見するとは思えないけれど……」
    「あるいは朱雀門高校の鞍馬天狗などが、うずめ様に接触しようとしたのを依に察知された――という可能性が高いかもしれない」
     いずれにせよこうなった以上はこちらも動かねばならないだろう。
    「とにかく、依さんが向かっている場所に行きましょう。依さんの狙いは、うずめ様や鞍馬天狗を襲撃し刺青を奪う事……その戦いに乗じる事ができれば、私達だけでもきっとなんとかなるです!」
     雪緒の言葉に頷き合い、灼滅者達はさらに奥へと踏み込んでいく。
     かなりのところ進んだあたりで、木々に覆われた進行方向の先から突然大きな咆哮が響いてきた。
     続けて意味の読み取れないわめき声、それに混じる剣戟の音、銃声。多数聞こえてくる戦闘のものらしき音に灼滅者達は警戒し、足を止める。
     それが契機となったかのように再び携帯が音を発し、先行していたチームから現在の状況が伝えられてくる。
     彼らによれば、依とスサノオ壬生狼組100体の軍勢が、旧日本軍風の羅刹30体と、交渉にやってきていたらしい鞍馬天狗と本織識音、護衛のクロムナイト20体に襲い掛かったのだという。
     戦況はスサノオ壬生狼組が優勢で、このままいけば依はうずめ様と鞍馬天狗の刺青を手に入れる事となる。
     戦闘中に乱入した場合依の勝利は防げるかもしれないが、ダークネス達が灼滅者を脅威と考えれば一時的に同盟を結び、灼滅者を先に攻撃してくるという可能性もあった。
     事態は混迷としつつある。どのタイミングでどのような行動をするべきか、良く考える必要があるだろう。


    参加者
    神夜・明日等(火撃のアスラ・d01914)
    橘・清十郎(不鳴蛍・d04169)
    伊勢・雪緒(待雪想・d06823)
    東雲・悠(龍魂天志・d10024)
    ワルゼー・マシュヴァンテ(松芝悪子は夢を見ている・d11167)
    居木・久良(ロケットハート・d18214)
    船勝宮・亜綾(天然おとぼけミサイル娘・d19718)
    シエナ・デヴィアトレ(ディアブルローズルメドゥサン・d33905)

    ■リプレイ

    ●戦場はすでに死地まっしぐら
     南アルプス山中。木々に覆われた道なき道を、灼滅者達は洞窟目指して急行していた。
    「ああ、こっちももう少しでたどり着けそうだ。かなりの強行軍だけどな」
     と、東雲・悠(龍魂天志・d10024)が足を急がせながら、携帯電話で付近まで近づいている班へ現在地を伝える。
    『あたし達もあと少しです。どうぞ、ご武運を』
     電話越しでおどけたみたいに答える陽桜の言葉に苦笑し、洞窟手前の位置でもう一度連絡を取り合うという約束を取り付け、通話を切った。
     地図とスーパーGPSを頼りに最短ルートを構築し、隠された森の小路で道を開拓。
    「みなさん、こっちですよぉ」
    「飛ばしていきますわ!」
     船勝宮・亜綾(天然おとぼけミサイル娘・d19718)が空飛ぶ箒により一行を先導し、ライドキャリバー、ヴァグノジャルムを巧みに駆るシエナ・デヴィアトレ(ディアブルローズルメドゥサン・d33905)。
     ヴァグノには他に、猫変身した神夜・明日等(火撃のアスラ・d01914)がしがみつき、可能な限り荷物も積載されている。
    「ぬおおおお、なんという衝撃ッ!」
    「灼滅者のみに許された移動手段ですー!」
     さらにはくくりつけられたロープに掴まり、エアシューズを装着する事でワルゼー・マシュヴァンテ(松芝悪子は夢を見ている・d11167)と伊勢・雪緒(待雪想・d06823)が悪路を牽引されている状態だった。
     邪魔な障害物は怪力無双で排除し、ダブルジャンプで忍者の如く先行し、かつ目立たないよう迷彩服や深緑のマントを羽織り進むなど、急ぐためにあらゆる手段を講じているのである。
    「傍から見たらものすごく珍妙な集団だよね、俺達」
     居木・久良(ロケットハート・d18214)がこらえきれず吹き出すのも無理からぬ事で、緊張に表情をこわばらせていたメンバーの幾人かも思わず笑いをこぼしてしまう。
     特にもっとも頑張っているのは計四人もの灼滅者を運搬するヴァグノだが、徒歩の橘・清十郎(不鳴蛍・d04169)は息を切らして追いかけるのが精一杯。
    「頑張って下さいです!」
    「うおおおおおお!」
     けれども雪緒の声援を受け、面子にかけて遅れは取るまいとひた走る。
     そんな灼滅者達の元にはすでに戦闘音が鳴り響いてきており、木々を抜けた先に現れたのは戦場と化した洞窟前の広場だった。
     それも今まさに、依率いるスサノオ壬生狼組に仲間の灼滅者達が敗走しようとしている瞬間である。
     容赦なく追撃するスサノオ壬生狼を傷だらけの灼滅者達が殿として立ちふさがり、全身を燃え上がらせ赤い角を生やした半獣人と、異様な気配を放つ黒ずくめの少年が倒れた仲間を抱えて退いていく。
    「俺達の班は全員到着した。あっちじゃ二人も闇堕ちしてる、間違いない」
     双眼鏡で現場を覗きながら、悠が固い声で陽桜と状況の確認をする。
    『――いきましょう。このままでは、誰かを喪う事になります』
     陽桜の言う通り、事は一刻を争う。
     取り返しのつかない事態となる前に救援へ向かおう、と頷き合い、灼滅者達は時を同じくして合流したもう一つの班と合わせ、死線の渦中へ飛び込んでいくのだった。

    ●依は遠く
     十六名の灼滅者に対し、迎え撃つのは三十ものスサノオ壬生狼組。そしてその背後からはまだまだ多くの敵が迫ってきている。
    「予想はしていたけど……すごい数ね」
     明日等が戦闘態勢を取る。何が起きても不思議ではなく、用心もしていたがやはり驚きは隠せない。だが撤退する仲間達を救うためにも、ここで怯むわけにはいかないのだ。
    「戦うときは命懸け……『みんな』で帰るために、覚悟は全部してあるよ!」
     ロケットハンマーと靴から蒸気を上げつつ構えを取り、呼気を整えた久良が、仲間達を鼓舞するように雄叫びを上げて飛び出す。
     スピードと勢いを存分に乗せ、弾丸の如く振り抜かれたハンマーがスサノオ壬生狼を出会い頭にぶっ飛ばしてのけた。
    「なかなか壮観な眺めですねぇ……でも、私達も粘りますよぉ」
     霊犬の烈光さんもその後に続かせ、亜綾は予言者の瞳を発動。敵味方入り乱れる戦場の隙を探る。
    「依は後ろか……たどり着くには敵が多すぎるな!」
     目前には無数のスサノオ壬生狼。依と相対するには、この厚き壁を突破しなくてはならない。ワルゼーは槍を縦横に振り回し、押し寄せる狼をさばいていく。
     バスターライフルを構えた明日等が光条を浴びせかけ、その光線の間を縫うようにして飛び上がった悠が地上の壬生狼隊を炎の奔流で薙ぎ払う。
    「さぁ、次の敵はどいつだ!」
     着地際を壬生狼の鋭い剣撃が狙うも、即座に割り込んだ清十郎がかばい、白刃取りの要領で刀身を押しとどめる。
    「雪緒、後ろは任せた!」
     振り返りもせず叫び、そのままご当地ビームをぶちこみ敵陣を怯ませる。
    「清十郎、援護しますなのです!」
     すでに清十郎と背中合わせになっていた雪緒が鞭剣を螺旋状に振るい、二人へ群れ寄る壬生狼隊をはじき飛ばす。
    「確かに今は絶体絶命……ですがそれは依を倒すチャンスでもありますの!」
     後衛を襲うスサノオ壬生狼へはシエナがソニックビートを食らわせ、続けざまにヴァグノが機銃を浴びせかける。
    「依、絶対に逃がさないですの!」
     シエナは人との共存の意思を示してくれた天海へ敬意を払っていた。だが依はそんな天海を抹殺せしめたのだ。許せるはずもない。
    「四季彩の、いろんな人が待っています。加賀さん、あなたが欠けて哀しむ人が居るんです!」
    「依さん、あたしは依さんとお別れしたくないです。灼滅、したくないです……!」
     けれど、依の――『琴』の帰りを一心に願う声もまた、すぐ側で共に戦う結衣菜や陽桜からも聞こえていて。
     敵意と説得。相反する思いなれど、どちらも力強く。
    「もう後回しにするつもりはないわ! 加賀さん、戻って来なさい――!」
     指揮を執る依へ、強引にでも連れ戻そうという気概の籠もった明日等の訴えが向けられる。
     果たしてその声は届いたのか分からぬまま、壬生狼組の攻撃は激しくなる一方だった。
    「やはりダメか……! ならば、やるしか……ない!」
     ワルゼーが苦く、痛恨の表情で武器を構え直す。これでも駄目なら、かくなるは命を賭して闘争を繰り広げる他はない。

    ●刃の嵐
     剣戟と怒号が飛び交う中、身を挺して仲間を守っていたウイングキャットのリンフォースが猛攻に耐えきれず倒れる。回復をする間もなく立て続けの連続攻撃を受けたのだ。
     時同じくして、戦場を駆け回っていたヴァグノも捉えられ、四方八方からの斬撃に身体を傾かせながら消滅。
    「く……重い!」
     久良はロケットハンマーを掲げ、スサノオ壬生狼達の太刀を数本まとめて受け止めるが、死角を突いた無情な一撃が炸裂し、ぐらりとよろめく。
    「塩鯖、援護を!」
     回復が必要と見て取った清十郎がサーヴァントに呼びかけ、ウイングキャットの塩鯖が懸命にリングを光らせるが、直後に飛来する斬撃に叩き落とされ、起き上がる事はなかった。
    「敵の撃破が追いつかないぞ!」
     身軽に跳躍を繰り返し急降下攻撃を放つ悠だが、次々と倒される味方を目にして焦りを募らせる。
    「大丈夫です、私が守るです!」
     雪緒が津波を思わせる攻勢を寸時で見切り、いなす。隙を突いてスターゲイザーで蹴り上げ、少しでも敵の勢いを削いでいく。
     霊犬の八風も隣で防御を固めてくれているが、多勢に無勢。ガードが破られるのもまた早かった。
    「うぐっ……」
     わずかな間隙。正面から振り下ろされる刀を防ぎきれず、気がつくと地面が視界いっぱいに迫っていて。
    「雪緒!」
    「……依さんに……これ以上刺青を、奪わせる訳には……」
     清十郎の声もむなしく倒れ込む雪緒。壬生狼達が殺到するが、すぐさまワルゼーが躍り出た。
    「ええい、させるものか!」
    「援護しますねぇ」
     亜綾のバスタービームによる援護射撃を受け、拳を閃光のように放ちこれでもかと迫り来る刃を跳ね返す。
     だが数の猛威に次第に押され、かばいに来てくれた烈光さんが直撃を受け、地へ伏す。
    「いけませんわ、回復を……」
     シエナが癒しの音色を響かせ、久良がハンマーを支えになんとか立ち上がる。
     久良は依へ語りかける言葉を持たない。答えの出ない問いに、ただこの戦いを、思いを、心と背中で示すのみ。
    「だからこそここで……倒れるわけにはいかないよ!」
     裂帛の気合いを上げ、目前に現れた壬生狼隊へ全身をバネにした強烈な一撃を見舞い、ようやく一体を倒した。
    「必ず……みんなで……帰……」
     けれど同時に久良も力尽き、その場にぐったりと昏倒。
     ヒットアンドアウェイにより追撃を逃れていた悠だが、味方が倒れ敵の包囲が狭まる事で、その射程に捕捉されてしまう。
     息つく間もない連携攻撃にあわや戦闘不能、と思いきや、すんでのところで割って入った清十郎が幾重もの刺突を受け止める。
    「ま、間に合ったか……」
     仁王立ちの清十郎は血にまみれ、息も絶え絶えだった。
    「お前らの思い通りには、させないぜ……」
     スサノオ壬生狼組――そしてその後ろにいるだろう依へ睨みを利かせ、ふっと笑って倒れ伏す。
     もうこの場に残るディフェンダーは八風しかいない。瀕死ではあるものの、雪緒や清十郎の分も頑張るとぎりぎり踏ん張ってくれていた。

    ●闇に堕ちた者達の乱舞
     わずか数分の間に多くの被害が出て、しかも敵の勢いは増す一方。洞窟前の灼滅者達は撤退する事すらかなわず絶望的な防戦を強いられていた。
     明日等がレイザースラストを射出し、猛攻を耐えしのいでいると、にわかに戦場が騒がしくなっているのに気づいて呟く。
    「救援!? 来てくれたの……っ?」
    「今行くね! だからもう少しだけ頑張って!」
     カーリー達援軍を目にし、悠が小さく笑みを見せる。
    「うずめ様も気にはなるけど、まずはこっちを何とかしなきゃな」
    「鬱陶しいタイミングで邪魔しに来る。いつもの事ッスよ」
    「ここから先は行かせませんよ。うずめ様を助けるつもりはありませんが、貴方がたはそれ以上に危険な存在です。覚悟してください」
     麻耶のけだるげな声と、庵の自信に満ちた宣告が続き、一気に持ち直した灼滅者達は協力して戦線を押し返していく。
     ところがその様子を確認していた依が、おもむろに腕を上げた。
    「まずは、倒れている敵を狙って止めを刺しなさい。仲間を殺されれば灼滅者は動揺する。そこを狙って全滅させます」
     スサノオ壬生狼組の数に任せ、確実に追い込もうというのだ。敵は無防備な戦闘不能者達へ攻撃目標を変え、返り血に濡れた刃を向ける――。
    「悪いが指一本触れさせんぞ!」
     そこへワルゼーが槍を握り、果敢にも挑みかかった。
     数体の壬生狼へ渾身の突きを叩き込み、しなやかな体裁きで反撃をかわしつつ至近距離から炎撃を着弾させるも、嵐の如く繰り出される剣技に押し切られていく。
    「ぐはっ……」
     ついには右に左にぶった斬られてがくりとくずおれてしまう。
     被害は甚大。そして動けない仲間の命が狙われている。これ以上ない危機に、亜綾が一歩進み出た。
    「ふに……できればやりたくなかったんですけどぉ、仕方ないですねぇ」
     ざわり、とその身から黒々としたオーラが噴出される。内なる圧倒的パワーと引き替えに孤独を選ぶ、闇へ堕ちる行為だった。
    「亜綾殿……それは……!」
     止めようというのか、あるいはこの切り札を切るしかないのか。かろうじて意識をとどめていたワルゼーが上げた声は、複雑な色を帯びていた。
    「後は私に任せて下さいですぅ」
     気を失うワルゼーへ、あくまでのんびりと肩越しに語りかけ、亜綾はそれまでとは一線を画した威力の冷気を放つ。
     いまだ意気軒昂たるスサノオ壬生狼組の足下を凍てつかせ、自らもバベルブレイカーを抱え決死の突貫を敢行したのだ。
    「全力で支援を! ここが正念場ですわ……!」
     闇堕ちした仲間も、そうでない仲間も死にもの狂いで戦っている。これ以上は誰も倒れさせるわけにはいかないと、間髪入れずシエナが治癒の音色をかき鳴らす。
    「まだまだ戦いはこれからよ!」
     明日等も気合いを入れ直すべく高速演算モードを発動。振り向く事は今はしない。後はただ攻めるのみ。
    「そうだぜ、依――ここが年貢の納め時、ってな!」
     悠の体力も残り少ない。しかし引導を渡せるのはこの瞬間だけだ。気力を振り絞り、依への道を切り開くべくスサノオ壬生狼と斬り結ぶ。
     他のチームも闇堕ち者をそれぞれ出し、飛躍的な戦力の増加を見せてはいるが、倒しても倒しても死を恐れぬ敵の猛進は止まらず、壊滅という結末を先延ばしにしただけのようにも思えた。
    「もう駄目なの……?」
     明日等をダウンさせまいとダメージを肩代わりしてくれた八風が消えていくのを目にし、知らず弱音が吐き出された刹那、戦局が変わった。
     他班からさらに闇堕ちした瑠威、筆一、百々達が仕掛け、班の垣根を越えた壮絶なコンビネーションをもって依を打ち抜いたのである。
    「よもや、ここまで……天海さま、どうやらあなたの方が正しかったようで……」
     天を仰ぎ、力ない呟きを漏らして崩れ落ちる依。その姿は灼滅者達の前で、ゆっくりと形を失っていくのだった。

     それまでの熱が嘘のように引き、その場には沈黙と静寂が降りる。
    「加賀さん……」
     消えていった依を前に、明日等は黙祷するように静かにうつむいた。
    「で、あんたらはどうする? まだやるのか」
     悠の問いにスサノオ壬生狼組はかぶりを振り、多くを語らずに立ち去って行く。彼らの思惑は知れないが、刃を収めたのならばこれ以上戦う理由はないだろう。
    「依……これで、終わったんですのね」
     熾烈極まる激戦の末依は討たれ、目的は果たされた。シエナは尊敬する天海、そしてここまでに関わった羅刹達を思い起こすように、まぶたを閉じる。
     仲間に迷惑はかけられないというのか、すでに亜綾達の姿はない。激しい戦闘の跡のみを残し、灼滅者達は去っていった者達の背を追うかのように、立ち尽くしていた。

    作者:霧柄頼道 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:船勝宮・亜綾(天然おとぼけミサイル娘・d19718) 
    種類:
    公開:2016年6月1日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
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