●
「先のタタリガミとの戦いは完全勝利で幕を閉じた。この勝利で、タタリガミ勢力は壊滅状態となったようだ」
教室に集まった灼滅者たちを前に、白衣姿の一夜崎・一夜(エクスブレイン・dn0023)が説明を続ける。
「このタタリガミの壊滅が原因かはわらないが、ソウルボードの動きを注視していた白石(d31470)や、槌屋(d02877)から、重要な情報がもたらされた」
ソウルボードに異変の兆候が発生。
呼応するように、民間活動によって武蔵坂学園を支持するようになった一般人たちが、次々と意識不明で倒れ、病院に搬送されているというのだ。
彼らは、病院で検査をしても原因不明。
今も、意識が戻らない状態が続いている。
「集団意識不明事件ともなれば、大ニュースになってもおかしくない。……だが、情報操作をするまでもなく、この事件は一般に広まってはいない」
となれば、この事件の裏には、ダークネスが関わっている可能性が高い。
おそらく原因は、彼らのソウルボード内部にあるとみて間違いないだろう。
「現時点では、これ以上の情報はない。だが皆には病院に向かい、意識不明となった者にソウルアクセスを行うことで、原因の究明を願いたい」
ソウルアクセスを行った先には、今回の異変の原因が待ち構えていることだろう。
その敵を撃破することができれば、彼らはきっと、目を覚ますことができるはずだ――。
●
急ぎ病院へ向かった8人は、その足で意識不明の一般人の病室へと向かった。
眠っているのは、『香坂・樹理(こうさか・じゅり)』という名の女子大学生であるという。
仲間たちが樹理の手腕に触れたのを確認し、学園から同行したシャドウハンターがソウルアクセスを開始して。
ゆらり、身体と意識が傾いだ次の瞬間、一同の姿が精神世界(ソウルボード)に顕現する。
「前に探索に来た時と、変わりはなさそうね」
エリノア(d26318)が周囲を見渡し、ふんと鼻を鳴らした。
その時だった。
——ぞ。
背筋を走った異様な怖気に、了(d37421)が警告を発しようと口を開く。
しかし、どす黒い殺気が周囲を覆い尽くす方が早い。
「ッ!!」
「させません!」
奇襲を警戒していた壱(d00909)、みをき(d00125)の2人が即座に反応し、柚羽(d13017)とキィン(d04461)を狙った刃を、それぞれ武器で振り払う。
眼前には、特徴的なおだんごツインテールの少女。
手には、血まみれの洋剣をたずさえている。
「八波木々様……!」
襲撃者の正体に気づき、声をあげたのは征士郎(d00458)だった。
2013年の、1月。
廃ビルで刃を交えて以降、灼滅者たちの前に幾度も現れながら生き延びていたダークネスが、あの頃と寸分たがわぬ姿で現れたのだ。
「あー。どっかで見た顔!」
呼ばれた少女が顔をあげ、他にも数名、見知った灼滅者がいることに気づく。
「キミが、あの女子大学生のソウルボードに悪さをしているんだね!」
るりか(d02990)の攻撃を一足飛びに回避。
「あんたたち、だいぶ強くなったみたいだし? できることなら、あんたたちがどこまで世界をひっかき回すのか傍観してたかったんだけどね〜。さすがのあたしも、お貴族さまに逆らって首ちょんぱーはイヤだからさー」
「お貴族さま?」
聞き咎めるキィンに続いて、
「宍戸亡き後、新しい『お祭り』のあてができた、というわけですか」
柚羽の言葉に、「そんなとこー」と、間延びした声で答える。
少女はにんまり口をもたげて。
「この首に替えてでもオモテナシしろってのが、お貴族さまのオーダーなんだよねー。だから、灼滅者」
怨念にまみれた処刑剣『ムッシュ・ド・パリ』を掲げ。
「どっちかに神判がくだるまで。——いっしょに、あそぼう?」
あどけない表情で、嗤った。
参加者 | |
---|---|
勿忘・みをき(誓言の杭・d00125) |
伊舟城・征士郎(弓月鬼・d00458) |
風宮・壱(ブザービーター・d00909) |
桜川・るりか(虹追い・d02990) |
木嶋・キィン(あざみと砂獣・d04461) |
神乃夜・柚羽(睡氷煉・d13017) |
エリノア・テルメッツ(串刺し嬢・d26318) |
十全・了(赤と黒の夢・d37421) |
●oracle
ギン!と甲高い音。
そして、火花。
「お久しぶりです、ギヨたんさん」
繰りだされた処刑剣『ムッシュ・ド・パリ』を受け止めたのは、漆黒の長剣『Memento mori -vanitas-』を手にした神乃夜・柚羽(睡氷煉・d13017)。
剣がかたどるのは、時計の針。
――時は全てに平等で、残酷。
しかし、間近で睨みあうダークネスは、五年前にまみえた時と同じ姿のまま。
「貴女は変わらないのですね」
槍に持ち替え空を薙ぐも、ダークネスは高く跳ねあがり、撃ちはなった冷気のつららを回避する。
「本当に!」
着地する六六六人衆めがけ、日本刀を手にした風宮・壱(ブザービーター・d00909)が一閃。
木波子は瞬時に身をよじり、地に突き立てた処刑剣で一撃を受け止める。
「どっちも! 大きくなってる!」
成長を喜ぶかのような、明るい声。
同時に、繰りだされる鋭い蹴り。
壱が、すかさず橙のシールドで受け止めて。
「変わらないな、八波木々さん。今見るとこんなに小さい女の子だったんだね」
四年前の少女――八波木々・木波子(ははきぎ・きばこ)も、そうだった。
小柄な体躯に、おだんごツインテールをなびかせて。
ただただ愉し気に、悪夢に囚われた一般人のソウルボード――朱塗りの廊下を跳ねまわっていた。
「『だってあたし、永遠の十三歳だもーん』って、前に言ったよね?」
「お前が八波木々ね」
青の瞳を向け、サファイアブルーの水晶槍でダークネスを貫こうとしたのは、エリノア・テルメッツ(串刺し嬢・d26318)。
刃先は、ダークネスの上着を裂くに留まった。
だが、『今の灼滅者たち』になら。
捉えきれない動きではない、と感じる。
「残念だけど、報告書を読んでないから知らないわ。危険な六六六人衆だとわかれば十分。えぇ、このソウルボードから退場してもらう理由は、それで十分なのよ」
「『退場』してほしいのは、こっちの――」
響いた聖歌と銃口に気づき、セリフの途中でダークネスが地を蹴る。
入れ替わるように、着弾した砲弾が閃光をはなって。
「ボクはたぶん、どこかで読んだと思うんだけど。舌かみそうな名前だから忘れてた」
「さすがに当たらないか」と、桜川・るりか(虹追い・d02990)が巨大十字架型モノリスを構え直す。
それを聞いて、剣を携えた少女は笑った。
「面白いよね~! 『ゲンジモノガタリ』の、二帖だったかなあ」
そこから音を借りて、左右対称に見えるよう漢字をあてたらしい。
話す合間にも、灼滅者たちから繰りだされる攻撃を処刑剣で弾き返し、お返しとばかりに振りかぶる。
「『モトノヒト』が好きだったんだよね~!」
戦闘をしながらも、相手の動きを観察していたのは灼滅者たちだけではない。
剣風は呪いをはらみ、毒となって後方に立つ者たちを襲った。
回復役である十全・了(赤と黒の夢・d37421)への攻撃をかばい受けたのは、ビハインドの『黒鷹』。
主である伊舟城・征士郎(弓月鬼・d00458)が、間をおかず破邪の聖剣を繰りだす。
「罪人殺しの六六六人衆。まさか、またお目見えする栄に浴するとは思いませんでした」
呼びかけ、対峙する間に、壱のウイングキャット『きなこ』が回復。
同じく、木嶋・キィン(あざみと砂獣・d04461)への攻撃をかばい受けた勿忘・みをき(誓言の杭・d00125)の回復は、了が受けもった。
「この殺気……。早目に決着付けないとだね?」
舞うように前衛陣と切り結ぶダークネスを見やり、意志持つ帯で護りを強化。
「お邪魔しています、香坂さん。悪夢を視てしまっていたらすいません」
呼びかけるみをきに続き、DCPキャノンの死の光線が少女に降りそそぐ。
「聞こえているなら応えてくれ。少しの間ここを借りている。先に教えておくと、ギヨティーヌをここから追い出す。意識不明の人を救うのに必要だからだ」
キィンがソウルボードの主に呼びかけてみるも、辺りには何の変化もなく。
「本人を前に、言うよね~!」
毒を浴び、アッハッハと笑う少女の剣は、再び、壱が盾で受け止めて。
「その武器カッコいいね、イメチェンした?」
「獲物は、以前の大鎌から変えたのですか?」
柚羽が死角からの斬撃を繰りだし、同じく問いかけながら、相手の技を観察する。
「ボクも気になるんだよねー、その剣」
もしも奪って現実に戻ることができたら入手できやしないか、なんて。
ダークネスへ向けモノリスを振りかぶりながら、るりかは期待していたのだが。
「これ、あたしの力をカタチにしたものだからねえ。あんたたちが持って帰るのは、無理だとおもうよー」
足止めを喰らいながらも、ほらねと一瞬で処刑剣を大鎌に変え、また元に戻して見せる。
「ジョンおじさんじゃないけど。武器なんてホント、何でもいいんだよね」
実際、木波子はこれまでありとあらゆる武器を使ってきた。
どの武器が自分の手にあうか、探っていたのだ。
大鎌にこだわっていたのは『断罪』のイメージに合うから、という、それだけの理由だったらしい。
「その禍々しい剣を使う君……を使っているのが、お貴族様とやらなのかな?」
前衛へ向け、癒しの矢をはなつ了に続き、
「爵位級の配下なのかしらね。なぜ吸血鬼がソウルボードに――と聞きたいところだけど」
杭の形をした影を放ちながら、エリノアが確かめるように言葉を重ねる。
「どうせ、教えてはくれないわよね」
攻撃のいくつかを回避し、いくつかをその身に受けながらも。
ダークネスの少女はケタケタと嗤った。
直後に、剣を一閃。
切り裂かれたビハインド『黒鷹』の姿が、追撃を受け霧散する。
「『サイキックハーツ』に至ったからだよ。真のサイキックハーツは、『最後の勝者』に訪れる。だから、みんな必死なんだ」
目を細め、無邪気に笑む少女。
――嘘か、真実か。
真偽をはかる前に動いたのは、キィンだった。
「お貴族様に、よぉく面倒みてもらえてるようで何よりだ……!」
光輪をはなち、征士郎の強化に時間を充てる。
敵は、判断が速い。
迷いがないのは、それだけで強みとなる。
キィンに続き動いた灼滅者たちの攻撃を受け、いなし、その身に受けながら、木波子は彼らの顔色を窺うように跳ねまわった。
「サイキックハーツには、あたしも興味あったけど。ま~、高みの見物も潮時だしね? 罪狩りよりおもしろいことが起こるなら、なんでもいいかなって!」
了に狙いさだめた剣が、炎に燃えて。
横薙ぎに叩きこんだ一撃は、しかしターゲットには、届かなかった。
「『罪人』というならば、私もそうでしょう」
身を盾に飛びこんだ征士郎の腕が、じわじわと血に染まっていく。
夢の中の痛み。
けれど、現実と同じく感じる、痛み。
間合いをとろうとしたダークネスを、しかし征士郎は剣を握り締めることで、繋ぎとめた。
血濡れの手が、ジリジリと焼けていく。
「貴女と戦ったあの日から、救えなかった命があります。奪ってきた命もあります」
きなこのリングが光り、延焼する怨嗟の炎を消していく。
傷みも現実と同じなら。
降りそそぐ癒しもまた、あたたかくて。
だからこそ。
あの日喪った命を、このまま『ナカッタコト』になど、できない。
「この手から零れ落ちたモノがあるからこそ。まだ救える彼女の世界で、貴女の、貴女たちの好きにさせる訳には参りません」
身を焼きながら。
なおも剣を手放さず、己を見つめる灼滅者を見返して。
「あたしは『ギヨティーヌ』。機械的に殺す、『Bois de Justice』、だから」
少女は、眼をらんらんと輝かせ。
「ね」と唇をもたげ、嗤った。
●revelation
五年前と今との違いは、ダークネスと灼滅者たちの力量の差だった。
六六六人衆も、もちろん力をあげてはいたのだが。
あらゆる種族を凌駕してきた灼滅者たちに束になってかかられては、もはや木波子も勝ち目は薄い。
そのうえ今回は、ディフェンダー多め、回復手多めの構成。
同じく壁役として立っていたダークネスも、これではひとたまりもなかった。
「あのときの返事はノーだよ! 俺も仲間も香坂さんも、誰もシンでやらないよ!」
「貴女と多くの人が明日を迎えるためにも、俺たちは此処で挫ける訳にはいかないのです」
壱、みをき、そしてビハインドの連携攻撃を受け、木波子が踏みとどまったところへ、
「生きることはたたかうこと。たたかわなければ何も変わらない、変えられない」
蓮の花をかたどった柚羽の影が、容赦なく喰らいつく。
「こっちも、満腹で喰いつきが悪くてな」
命中率を確実に積み重ねたキィンのモノリスが確実にダークネスを撃ち貫き、さらにダメージを与えていく。
血濡れの剣をかかげ、毒をまき散らしても。
弱った者を狙おうとしても。
厚い壁役に阻まれ、効果は一向にあがらない。
「キミは強いんだろうけど、ボク達はさーらーに強いっ!」
七不思議の言霊を唱えたるりかの周囲に、ふわり、梅の香が漂う。
――心の中に静かに幸せに暮らしてる。そう信じているから。
力を貸してくれた椿姫に心の中で感謝しながら、仲間たちへの支援を重ねる。
「君は何故、彼女のソウルボードを選んだのかな?」
仲間たちへ回復を施す了の言葉に、
「彼女?」
「香坂さんのソウルボードに来たのは偶然? それとも選んだ? 八波木々さん、君は彼女をどうしたいのかな」
壱が盾を構え、問い直す。
「コーサカ?」
口に出して、想い出したらしい。
「――ジュリ! ああ~。ここ、ジュリのソウルボードだったんだ?」
「選んで来たんじゃなかったの!?」
チェーンソーで斬り結ぶるりかの問いに、
「選んでないよ~。でも、もし本当にここがジュリのソウルボードなら」
と、木波子は笑って。
「選んだのは、ジュリかもね!」
ダークネスが次の一手を仕掛けようとした瞬間、征士郎が重力を宿した飛び蹴りを炸裂させ、攻撃を相殺。
いかに優勢とはいえ、戦闘を長引かせるのは得策ではない。
「悪いけど。これ以上、戯れ言にはつきあってられないの」
さらにエリノアが影の刃をはなち、敵の護りを打ち砕いていく。
みをきはクロスグレイブで少女に殴り掛かりながら、問うた。
「誰ひとり犠牲は出しません。カミの意思にすら逆らって見せます。教えてください。八波木々さんにとっての『トクベツ』とは、何ですか」
ズタズタに引き裂かれた身を抱えるようにして、少女は立っていた。
敗北は、もはやだれの眼にも明らかで。
それでも少女は、みをきに「あっかんべー」と笑い、その問いを突っぱねた。
「あー、これで……。役目は果たせた、かなあ」
ぜえぜえと息を吐き、血を滴らせながら。
それでも以前のように撤退しようとしないのは、『お貴族様』とやらの命令があるからだろう。
顕現させていた剣を維持するのも辛いらしい。
降参、とばかりに両手を広げた少女へ向け、
「君が誰かの命や人生を弄ぼうとするなら、俺はいつだって止めに来るよ。他の誰も傷つけさせない為に」
「今回はソウルボードなので、身と魂取り合いが本気でできないけれど。現実世界でまた会えるのを待っていますので。決着は、その時つけましょう」
壱、柚羽に続いて、征士郎は己の名を名乗り、言った。
「所詮は精神世界。実際の首が落ぬとあれば、貴女様も興ざめでしょう。次こそは現実世界でお会いしたいですね」
「セーシローだね。おぼえとくー」
血濡れの手をひらひらとさせ、少女が応えて。
「その時は首といわず、この血一滴残らず賭して、貴女様に挑ませていただきます」
はあと、少女が息を吐いた瞬間。
ダークネスの殺気が、一気にふくれあがった。
だが。
「慄け咎人、今宵はお前が串刺しよ!」
すかさず、エリノアが漆黒のバベルブレイカーを構え、死の中心点を貫いて。
「アーッハッハッハッ!」
胸に大穴を開け、血反吐を吐きながら、六六六人衆は嗤っていた。
心底、おかしいとでも言うように。
「また会おう」
了が言い終わると同時に。
ダークネスの姿は、一瞬にしてソウルボードから消滅した。
●新世界より From the New World
ダークネスの姿が確かに消えたことを確かめ、灼滅者たちはすぐに現実世界に戻った。
眠り続けていた香坂・樹理(こうさか・じゅり)が目を覚ましたのは、それからすぐのことで。
覗きこむ顔ぶれに、状況を察したらしい。
「……ああ、また、あんたらか」
横になったまま、そんな気がしてた、と呟く。
「悪夢から目覚めた気分は、どうかしら」
「今回のことで、彼女に対する心境の変化はあった? 僕達が次に彼女に会ったら、見逃すことはできないよ。僕たちは世界の皆を、皆の世界を守りたいんだ」
エリノアと了の言葉に、
「貴女がなにを望み、なにに失望するのか、俺には分かりません。しかし、特別な日でも普通の日であろうとも、日は昇ります」
「オレにできることは少ない。だから香坂はどうなのか、今知っておきたい」
「俺はトクベツになることをやめて、辛くても踏み出す決意をした子を知っている。香坂さんもきっと、いつでも世界を変えれたはずだ。足りないのは決意と覚悟だけだと俺は思うよ」
みをき、キィン、壱が、たて続けに言葉を重ねる。
一気に言われてもわかんないよと、眉根をひそめて。
「……でも、それ。今度は、『ギヨちゃん』に言ってあげてよ」
あたしはもう、大丈夫だと思う。
と、続けて。
それから、「あの子。ずっと、あの姿のままなんだね」と、零した。
「今なら、わかる気がする」
――かわいそうなジュリ。あんたのセカイは、永遠に変わらないよ。
「あれって。『ギヨちゃん』もそうだったのかな、って――」
年月を経て、灼滅者たちと出会って。
世界の真実を知った樹理は、きっともう大丈夫だと言った。
病室の端で様子を見ていたるりかと征士郎も、ほっと息を吐く。
「一般人にほいほいこんな事されたら、皆安心して生活できないよね」
「ともあれ、今回の事件はこれで阻止することができました」
「うん。分かった事は学園に報告、だね」
帰途へ着く途中。
柚羽は仲間たちの背を見ながら、樹理の告げた言葉を振り返っていた。
彼女は、過去形で告げたけれど。
(「本当に小さな幸せを得るためでも、戦うことが避けられない時がある。戦いあってここまで来て、これからもきっとそう」)
それはおそらく、あのダークネスも例外ではなくて。
「生きることって、大変ですからね」
――カミサマなんていない。
――トクベツにならなきゃ、なにも変えられない。
唱える声は、今もずっとずっと。
闇の虚ろに響いている。
作者:西東西 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2018年5月28日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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