最新の研究により、ブレイズゲートを構成していたサイキックエナジーが尽きた為、遠からずブレイズゲートが消滅する事が判明した。それ自体は、やむを得ない時代の流れと言えよう。
幸い、現在では灼滅者も闇堕ちする危険性が皆無であるため、ブレイズゲートが消滅したとしても、直接的な問題はない。後進のレベル上げが大変になるくらいのもので。
「しかし、ここで多少の問題が発生しましてね」
と、味噌屋の若旦那……春祭・典(醸造家エクスブレイン・dn0058)は、久しぶりに大規模に集まった灼滅者たちに語り始めた。
「ブレイズゲート内部の分割存在は、ゲートの力によって維持されています。つまり、ブレイズゲートが消滅すれば、分割存在は連鎖して消滅します……が、その消滅は全く同時に行われるわけではないらしいのです」
ブレイズゲート本体が消滅しても、分割存在の内部にゲートの力が尽きるまで、分割存在単独で最大で3時間程度は、存在を維持できると試算されたのだ。
つまり、ブレイズゲートが自然消滅に伴い『分割存在をゲートの外に出さない力』も消え去り、最大で3時間の間、ゲートから解き放たれた分割存在が暴れまわるという事態が発生してしまうのだ。
ちなみに、存在可能時間は、撃破されずに存在していた時間が長い程長くなるようである。
「もちろん、ブレイズゲート周辺からの避難勧告などを行なって被害を防ぐようにはします。しかし、動かすことのできない建築物などもあるわけですしね。また分割存在の中に、距離を無視して別の場所に出現して事件を起こす事ができるような者がいた場合、被害はより大きくなるかもしれません」
これを防ぐ為に、ブレイズゲートが消滅するタイミングで、『灼滅者による大規模なブレイズゲート探索』を行なう作戦を行うこととなった。
「ブレイズゲートの消滅は『10月31日~11月1日』に発生するので、そのタイミングで、日本全国のブレイズゲートの大規模探索を行います」
「時間制限付きで暴れる分割存在か……。まるで、ハロウィンの魔物だな」
文月・直哉(着ぐるみ探偵・d06712)が、そういうと、
「つまり、ハロウィンのイベントをするべきだという事か」
神鳳・勇弥(闇夜の熾火・d02311)が同意した。
「そうですね、正にハロウィンに相応しい作戦です」
と典は少しだけ笑ったが、すぐに真顔に戻り、
「このチームに行って頂くブレイズゲートは、温泉ホテルわかうらの最奥『源泉に潜む獣』です」
「源泉を守ってる、頭の硬いイフリートがいるゲートだったかしら?」
黒鳥・湖太郎(黒鳥の魔法使い・dn0097)の問いに典は、そうです、と応じ、
「灼滅者の実力からすると、ゲートの探索に大きな危険はありません。ブレイズゲート消滅時に、分割存在が外で活動できないように『討ち漏らしのないように掃討』するのが、目的となります」
撃破後に敵が復活しても、ゲート消滅とほぼ同時に消滅するので、外で事件を起こす危険性は無いようだ。
「皆さんの実力ならば簡単な仕事ですので、訓練がてらよろしくお願いします。探索期間は長めなので、複数のゲートに参加可能です」
また、ブレイズゲートの消滅のニュースを聞いたのか、各地のゲート前には、世界各地から観光客がやってきて、ハロウィンらしい屋台……例えばラムスール等……が並んでいたりするようだ。
「探索の合間に、久しぶりに会った友達と、そういった出店を覗くのも楽しいかもしれませんね。僕も屋台のあたりまでは出向くつもりでいますので!」
●熱き扉をくぐり
招き入れた人を死者に変える廃墟の旅館が存在する──そんな噂を発端に、和歌山にブレイズゲート『温泉ホテルわかうら』が発見されてから、ずいぶん長い時がたった。
そして世界の大変革から10年、灼滅者たちはその最奥の扉の前に立っている。
『ゲンセンニフミイルモノ、ワレラガキバヲウケン』
何年経っても、扉に記されたこの言葉に緊張を覚えるが、だが、この扉をくぐるのも、これが最後……。
吹き上げてくる熱気をかき分けるようにして、内部へ入ろうとした黒鳥・湖太郎(黒鳥の魔法使い・dn0097)の背に、
「やあ、追いついた。黒鳥くん、久しぶり!」
快活に声をかけたのは、吸血鬼の伯爵の仮装をした神鳳・勇弥(闇夜の熾火・d02311)であった。
貴婦人の乗馬服風の仮装をした……但しハロウィンなのでメイクは悪魔風……湖太郎の姿を見て、勇弥は相変わらず人なつこそうに笑いかけ、
「いい意味で変わんないね」
「あら勇弥先輩こそ、とっても素敵よ。よく似合うわ」
湖太郎も笑顔を返す。
熱く暗く不気味なダンジョンの探索を開始しつつも、久しぶりに顔を会わせた仲間たちとの会話は弾む。
「……ハロウィンの仮装は魔除けの意味もあるけど、帰ってくる死者への想いも示すってね。この建物の分割存在への追悼も籠めて、今回だけはがんばってみた」
と、勇弥は少し照れたように黒いマントを翻した。
「あらぁ、学生時代も毎年運動会で頑張ってくれてたじゃないの」
湖太郎が言い返すと、そうだったけどさ、と勇弥は更に照れて。
「元々、仮装ってあんまり得意じゃなくてさ。自分を偽ったら、自分が自分でなくなっちゃいそうな……果てに、闇に呑まれそうで怖かった」
くす、と笑いを挟み。
「そんな不安とか戸惑いとかを、カフェの皆や、黒鳥くんが手伝ってくれて吹き飛ばしてくれた。運動会で皆と思いっきり笑っていられたから、闇に呑まれずに今、俺はこうしていられるのかもしれない」
「仮装ってそういう面もあるかもしれないわねェ……現実離れして楽しめば楽しむほど、むしろ仮面を取った瞬間、現実に立ち戻れるのかもしれないわ」
感慨深げな湖太郎に、勇弥は頷き、
「……ありがとう」
小さく礼を言う――そこへ。
「出たぞ!」
先行していた仲間の鋭い声が聞こえた。
廊下の奥から飛んでくるのは、翼の生えたトカゲ……ウィングリザードの群だ。
懐かしむような表情だった勇弥は、スッと厳しい目になると愛剣Flammeを抜き。
「今日で最後、お互い頑張ろうか」
「ええ、頑張りましょう」
湖太郎のダイダロスベルトで防御力を高められながら、懐かしい仲間たちと共に戦いへと突入していった。
●鬼火狐
ウィングリザードを首尾よく倒し、ひとつ下層へと探索を進めると、陰陽師に率いられた眷属の集団が通り過ぎていく。
「我らが『白の王』のため、『源泉』を確保すべし……!」
彼らの姿も声も、消滅が近いことを表すかのように不安定に揺らいでおり、『白の王』という名も今となれば懐かしい……と、古き戦いに思いを馳せていると、突如背後から熱気が近づいてくる。
現れたのは、巨大な狐型の眷属……鬼火狐の群だ!
「炎の獣と白炎の気配のするこのゲートからは、絶対に分割存在を外に出してはいけない!」
狐の群を確認するなり、真っ先に飛びかかっていったのは神凪・陽和(天照・d02848)であった。宿敵が多く存在するこのブレイズゲートの掃討に、熱い闘志を燃やしている。次々と放たれる狐火をものともせず、むせかえるような灼熱の中で、銀の爪を光らせる。
その傍らには双子の弟神凪・朔夜(月読・d02935)がよりそっていて、姉に飛びかかろうとした鬼火狐を鬼神の腕で叩き潰した。
「ありがとう、朔夜!」
「支えるから、存分に戦って!」
朔夜には、姉の闘志や責任感が痛いほどに感じられるのだ。
息のあった戦いぶりを見せる双子たちを先頭に、神凪家の兄姉たちも武器を抜いていた。
「6年ものつきあいのあった恩人が発見者ですから、彼への恩返しのつもりでこのゲートにきましたが……」
と、呟いた黎明寺・空凛(此花咲耶・d12208)は、陽和の炎を宿した目と震える手を見て、
「それ以外の理由も出来ましたね。陽和の本懐が遂げられるよう、全力を尽くしましょう」
ええ、と頷いたのは夫の壱越・双調(倭建命・d14063)。今日は癒し手として大切な家族のフォローにあたる。
「あんなに陽和が感情を出すのは珍しい。陽和の胸に滾る闘志の炎が存分に燃え盛るよう、全力でサポートしましょう」
早速義妹の背にダイダロスベルト・黎明の安らぎを伸ばして防御力を高めてやる。
長女の神凪・燐(伊邪那美・d06868)も今日は支援に徹するつもりでケリュケイオンの道標を掲げて前衛へと黄光を浴びせつつ、
「ファイアブラッドと人狼両方の力を持つ陽和にとって、ここから分割存在が外に出るのは絶対見過ごせないでしょうね。存分に力を奮ってもらいましょう」
はい、と答えた空凛は、
「行きますよ、絆」
霊犬を伴って、弟妹を護るべく最前線へと飛びだしていく。
「しっかりお願いしますよ!」
その背へも、夫である双調は癒しの帯を絡みつけた。
こうして一家が揃って戦う機会も少なくなったが、その巧みな連携ぶりは健在のようだ。
●蛍火の巴
狐の群を退け、灼滅者たちはまたひとつ階層を降りた。
下りていくにつれ、ゲートを満たす源泉の熱気が増していく。けれど、その温度も、10年前に比べればしのぎ易いようだ。これもゲートが終焉に向かっている証拠なのだろうか……?
などと、ゲートの様子を観察しながら進んでいると。
「ほう! 灼滅者でござるか。修行でござるか?」
現れたのは、くノ一めいた姿をしたアンブレイカブル。蛍火の巴だ。
くノ一モドキは相変わらず一方的にしゃべりまくると、
「では話はこれまで。いざ、我が修行の糧となるでござる。必殺、分身の術ー!!」
彼女と同じ姿をした者達が……分身の術ではなく、分割存在が物陰や天井裏から次々と現れた。
「いざ、尋常に勝負でござる!」
「オウ、ソノ勝負、受けるでゴザルよ!」
戦意満々のくノ一の群の前に、私の出番よ! とばかりに飛び出したのはエイミー・ガーネット(きゃぷてんエイミー・d31006)。
露出度の高い衣装同士、張り合う気分もあるかもしれない。アラサーになったエイミーではあるが、相変わらず太股まぶしい海賊コスに、ダークネス時代のラブリンスター風の角・翼・尻尾をつけて仮装している。
そのセクシー衣装で金髪をなびかせ、
「大人しく消滅してください……デス!」
勢い良くゲートの壁を駆け上がり、まずは豪快且つ華麗なスターゲイザーをキメた。
●ボルカノタウルス
また階層を降りると、いよいよ熱気は耐え難く、源泉に近づいていることを実感する。
記憶が確かならば、この階層には確か……。
と、思い出している間に、重たい蹄の足音が聞こえてきて。
「……来たな、ボルカノタウルス!」
現れたのは雄牛型イフリートであった。
「どすこーーーい!」
先頭を走ってきた雄牛を、力強いシールドの一撃で押し戻したのは、今や伝説の大横綱となった押出・ハリマ(気は優しくて力持ち・d31336)であった。雷神の仮装そのままの、雷撃のような気合いの入った一撃だ。愛犬の円も、同じターゲットの足を狙って切り込んでいく。
「さすがハリマセンパイ、いい踏み込み!」
すかさず後続の分割存在にダイダロスベルトを放ったのは、相棒の饗庭・樹斉(沈黙の黄雪晃・d28385)。こちらは緑のローブを纏った半獣の狐の魔法使い姿で、相変わらず可愛らしい。
「思い出しちゃうなあ、10年前まではこうやってセンパイと円と戦ってたんだよなあ……」
ついノスタルジックな気分に浸ってしまった樹斉であるが、その間にも敵は押し寄せてくる。
追いついてきた仲間と共に、彼らは雄牛の群を退けるべく奮戦し……。
「オノレ……ダガ、『ゲンセン』ヲマモル『がるむ』ナラ、キサマラモ……」
不吉な台詞を残し、イフリートの群は消滅した。
「やっぱりガルムは残ってるみたいっすね」
熱気が吹き上げてくる下り階段を見下ろし、ハリマが。
「でも、昔よりはしのぎやすくなってる気がしません?」
「そうよね、やっぱりエナジーが枯渇しかけてるってことなのかしら」
湖太郎が仲間たちの軽傷をヒールしながら答えると、
「分割存在とはいえ、イフリートさんたちと戦うのは久しぶりです」
雪女姿の羽柴・陽桜(ねがいうた・d01490)も、熱い階段の縁に立った。足下には愛犬・あまおとが天狗面をつけてお座りしている。
「源泉を守るガルムさん、分割存在になってなかったら、お会いできてなかったかもしれません。ともあれ、今日が最後の日、見送るのは何となく寂しいですけど、最後までしっかりやらなきゃですね……」
炎獣のゲートへと集った灼滅者たちは、いよいよ最後の階段を下りていく……。
●ガルム
熱気渦巻く広い空間。
そこに現れたのは、漆黒の毛皮を持つ巨大な獣。
その身に帯びた炎は、記憶にあるより弱々しいが、しかし今なお源泉の守護者としてのプライドは失っていないようだ。
「貴様ラモ源泉ヲ狙ウモノカ! 『源泉』の力、我ラガ王『がいおうが』ニ捧ゲルタメノモノ! コノ『がるむ』ガイルカギリ、『源泉』ニ近ヅク者ニハ死、アルノミ!」
そして。
「『三竜包囲陣』ヲ仕掛ケル!! コイツラヲ包囲シロ!!」
炎の紋章を燃えあがらせるガルムの呼び声に応えて次々に現れたダークネスは、三方向から灼滅者たちを包囲した……が。
その数は彼らの記憶にあるよりも、圧倒的に少ない。
今の灼滅者たちに、この程度の数のダークネスと、使い古された戦法は通用しない。
「それでも、試作武器の性能試験くらいにはなるよね」
嘯いたのは、ヘソ出しのセクシーな騎士風仮装の空井・玉(デスデスマーチジャンキー・d03686)。
「腹が露出していてこの時期着るには少し寒いかと思ったのだが、この暑苦しいフロアでは丁度良かった」
海外在住で貿易の仕事をしている彼女は、このたびの機会にバイクで全国のブレイズゲートを巡ってデータ収集をしてきたのだが、いよいよラストだ。
「ともあれ仕事だからね、最後まで気を抜かずに掃討しよう」
玉は試作武器を構えると、先陣はいただき、とばかりにガルムに斬りこんでいく。
「十数年の研鑽の集大成、味わって貰うよ『源泉』の守り手!」
その玉に包囲する眷属たちが襲いかかろうとするが、
「させませんよ!」
燐が氷魔法を見舞い、数体まとめて凍り付かせた。
別方向の眷属にはディフェンダーたちが霊犬を引き連れ素早く対応し、ハリマが縛霊手・宿儺で掴みかかってぶん投げ、勇弥が風止のオーラを宿した拳で接近を阻止し、空凛はバイオレンスギター・八重桜で殴り倒す。
眷属の包囲を仲間がくい止める隙に、クラッシャーたちは源泉を守る獣……ガルムへと殺到する。陽桜はさくら・くるすで殴りかかり、樹斉は愛剣・天雲の重たい一撃を振り下ろす。陽和と朔夜は左右から、ガルムにも勝る黄金の炎を宿したエアシューズで滑り込み、エイミーは高い跳躍からの跳び蹴りを見舞った。
メディックの双調と湖太郎は、ぬかりなく仲間たちの防御と能力を高め、傷を癒す。
10年前と何ら変わらぬ灼滅者たちのチームワークと、さらに向上した戦闘能力で『三竜包囲陣』はみるみるうちに崩れていき、そして。
「陣ガ破レルトハ……」
残り少ないエナジーを振り絞るように、大きく開いたガルムの口から、炎獣の吐息が吐き出された……しかし。
「ここで決めてもらいましょう!」
「うっす!」
ディフェンダー陣は灼熱の獣臭い息のただ中に飛び込み、分厚い壁となった。
守られた攻撃陣は、一斉に熱い床を蹴り。
「――これが本当の最期だ!」
渾身の一撃を炎獣へと叩きつけた。
ドゥ……と、重たい地響きを伴ってガルムは倒れ……。
「『くろきば』ヨ、『楔』ガ失ワレル前ニ、白ノ王ヲ『再殺』セシメルノダ……」
今となっては空しくも切ない言葉を残し、一瞬だけ激しく燃えさかった炎と共に、その存在は消えていった――永遠に。
●終焉を祝う祭
「ふぅ……この一杯のために生きている…ってやつデスネ」
仕事上がりにビールをたしなむ渋いおじさんのように、やたら格好つけて味噌汁を味わう金髪美女……エイミーである。ある意味シュールな光景だが、
「お味はいかがです? たっぷり茸入れときました」
平然とカウンター越しに尋ねる、春祭・典(醸造家エクスブレイン・dn0058)は、今夜は和装で蔵の法被を羽織っている。またエスパーたちの屋台に紛れた彼のそれは江戸時代のソバ屋のような造りで、一応仮装しているつもりのようだ。
そこへ。
「典さーん、すっかり若旦那ですね!」
やってきたのは陽桜と湖太郎。
「お疲れ様です、皆さんご無事でなにより」
「あたしもお味噌汁いただきたいです!」
すでに陽桜の片手には、アイルランド伝統のハロウィンドリンク、ラムスールのジョッキがある。シナモンをきかせた温かいアップルサイダーだ。
「おお、いいにおいっすねえ……」
樹斉とハリマも味噌汁の香りにつられたようにやってきたが、
「でも、すごく暑かったから、先に冷たいもの飲みたいかも」
「確か3軒くらいお隣が、地ビールの屋台ですよ」
「わお、見てくるね!」
狐の魔法使いと雷神はうれしそうに駆けていく。もうみんな大人だから、ソレも有りだろう。
「それにしても、夏祭りとかより賑やかですよねえ」
居並ぶ屋台の列と、仮装して集まった大勢の人々に、汁椀を受け取りながら陽桜が目を輝かせる。
「エスパーの皆さんも、ブレイズゲートの最後には興味津々なのねェ……」
湖太郎はしみじみと茸汁を啜った。
その崩壊を迎えるばかりのブレイズゲートには、まだ数人の灼滅者たちが残り、名残を惜しんでいた。
「此処で最後か。ようやく感慨に浸れるな」
玉が腕組みして呟くと、ええ、と燐が頷き。
「彼のダークネスが成した業の跡。終焉をこの目で見届けましょう」
神凪家の兄弟姉妹たちも、力を失っていくゲートにまだ居残っていた。
空凛と双調は、複雑な表情の妹を、そっと見守っている。陽和の視線の先には穏やかに湯を流し出す源泉が見えている。
陽和は思う。我が宿敵も、確かに生きていた……と。
「……さようなら」
別れの言葉を呟く半身に、朔夜はよりそう。
「終わった……ね」
ゲートは冷え、不安定に揺らぎ、霞みはじめたようにも見える。
もうじきエナジーが尽き、この場自体が消滅し、彼らもこの場から排出されてしまうのだろう。
しかし源泉だけは長きにわたり、静かに湯を生み出し続けるのだろう……。
作者:小鳥遊ちどり |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2018年11月8日
難度:普通
参加:11人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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