●某大学野球部室
薄暗い野球部室の、薄汚れた鏡の前で、チアリーダー姿の女が乱れたポニーテールを直している。
「もう帰るのか?」
女の背後に男が立ち、細いウエストに手を回す。男は、だらしなくはだけているが、野球のユニフォームを着ている。そして頭には、小さいけれど鋭く輝く黒い角。
「もお、今夜は充分楽しんだでしょう?」
女は逞しい腕の中でくるりと向きを変え、男の顔を見上げた。唇を尖らせているが、それでもその表情はたっぷりと媚びを含んでいる。
「それにチームメイトは、もう無理でしょ?」
部室には、3人の野球部員がぐったりと横たわっている。つい先程まで延々と続けていた、女との行為のせいだ。
ふん、だらしない、と男は鼻で笑う。
「仕方ないわよ、この人たちは人間なんだもの。あなたと違って」
「まあいい、今夜は帰してやる。ただし、明日の夜も来るんだぞ」
「それは、あ・な・た・し・だ・い」
女は男の剥き出しの厚い胸板をつうっと指先でなぞる。
「わかっている。お前たちの邪魔をしなければいいのだろう?」
「そうよ、その約束を守ってくれなければ、次は無い……んっ」
男は女の唇をいきなり奪い、ミニスカートから伸びる健康的で美しい脚に掌を這わせた。女は蠱惑的な呻きを漏らし、男の首にしがみつく……。
女はチアリーディング部のトップで、ミス・キャンパス。大学のアイドルだ。男は野球部のエース。一見、よくあるキャンパスのアバンチュールのようだが、この2人に関しては全く違う。
――何故なら、彼らは淫魔と羅刹だから。
●武蔵坂学園
「ここのところ淫魔たちが、他のダークネス種族に対して、妙な行動に出ているのを、皆さんご存じですか?」
春祭・典(中学生エクスブレイン・dn0058)は、でっかい手鏡を懐にしまいながら、集った灼滅者たちに問いかけた。
灼滅者たちは頷く。どうやら淫魔たちが一斉に、他のダークネス集団に接待攻勢をかけているようなのだ。
「僕が予知したのは、とある大学での淫魔と羅刹の逢い引きです。羅刹はこの大学の野球部のエースで」
結構強いんですよ、このチーム、と典は嫌な顔をした。
「淫魔はチアリーディング部員です。彼らは夜中の野球部室で、羅刹の手下3人を含めて逢い引きをします。逢い引きの内容はここではあまり言えないんですが」
複数ナントカというヤツか……と、灼滅者の一部は頬を赤らめ、年少の者はさっぱりワカランという顔で首を傾げる。
「今回のターゲットは、野球羅刹の方です。淫魔は真夜中頃に部室を離れ、羅刹と手下が残りますから、そこを急襲してください」
はい、と灼滅者のひとりが手を上げ、ちょっとためらいながら。
「淫魔は一緒にやっつけなくていいの? あの……その、最中に踏み込むとかして」
うーん、と典は難しい顔で腕を組み、
「そうしたいのは山々ですが、現状ではダークネス2体を一遍に相手にするのは難しいでしょう。それにおそらく、羅刹たちは自分の身を挺してでも淫魔を守るでしょうからね。なにしろ、淫魔のスペシャルなアレコレですっかり骨抜きにされてますんで」
スペシャルなアレコレ……さすが淫魔というところか。
「なので、今回は羅刹に集中した方がいいと思います。野球羅刹本体はともかく、手下たちは淫魔とのアレコレでかなり消耗してますから、チャンスです」
典は大学の見取り図を開く。
「部室は野球グラウンドの隅っこ。夜中ですから、人通りは皆無と言っていいです。サウンドシャッターや殺界形成などをかけておけば、一般人を巻き込む心配はまずないでしょう。部室自体は狭いですから、グラウンドに引きずり出して戦うのがオススメです」
それからこれ、と、典は部室から少し離れた細長い小さな建物を指さして。
「ベンチです。ここに隠れて淫魔が部室から去るのを待つといいでしょう」
灯りは? と灼滅者のひとりが訊く。
「グラウンドの周囲には街灯があり、部室にもベンチにも電灯が点きます。充分とはいかなくとも、戦える程度の明るさは確保できるでしょう。不安だったら光源を持っていってください」
典は見取り図から目を上げて、灼滅者たちを見回した。
「野球淫魔と手下は、バットを得物にして戦います。アレコレでヘタってるとはいえ、攻撃力は侮れません。充分な準備をして臨んでくださいね!」
参加者 | |
---|---|
今井・紅葉(蜜色金糸雀・d01605) |
叢雲・宗嗣(贖罪の殺人鬼・d01779) |
神宮寺・琴音(金の閃姫・d02084) |
一橋・聖(空っぽの仮面・d02156) |
川西・楽多(ダンデレ・d03773) |
秋風・紅葉(恋愛したいお年頃・d03937) |
ファリス・メイティス(ブレイクシューター・d07880) |
阿久沢・木菟(忍者もどき・d12081) |
● 夜更けのグラウンドで
灼滅者たちはベンチに並んで腰掛け、団子を食べていた。川西・楽多(ダンデレ・d03773)が、好物のみたらし団子を人数分持ち込んだのだ。更に秋風・紅葉(恋愛したいお年頃・d03937)が使い捨てカイロを配ったので、ポケットの中もぬくい。
つい和んでしまいそうになるが、それでも彼らは、闇の向こうにあるプレハブ小屋の野球部室から目を離すことはない。ベンチの照明を消し、今井・紅葉(蜜色金糸雀・d01605)が衿につけている、超小型懐中電灯の灯りのみにしているので、薄暗いはずの野球部室の窓が明るく見える。
と。
「ねー、スペシャルなアレコレって、一体どんなことなのかしら?」
紅葉・Iが、首を傾げて無邪気に尋ねた。
年かさの者たち、特に男子は団子に噎せそうになったが、
「だよね、今、部室で何してるんだろーね? アレコレって気になるよね」
紅葉・Aは、邪気の無い様子で同調した。
「なにをしているにしろ、野球羅刹さんたちの不埒で破廉恥な所業、許されるものではありません。成敗させていただきます」
と、息巻いたのは神宮寺・琴音(金の閃姫・d02084)
「そうだね、ダークネス同士の連携を成立させるわけにはいかない。今ここで禍根を断つ!」
ファリス・メイティス(ブレイクシューター・d07880)も、素朴な質問の衝撃から立ち直り力強く頷く。
と。
「……しっ、静かに」
叢雲・宗嗣(贖罪の殺人鬼・d01779)が、唇に人差し指を当て、それから部室の方を指さした。
野球部室のドアが開いた。四角く切り取られた灯りの中に立ったのは、遠目でもそれと分かる人影……小柄だがボンキュッボンの健康的なお色気ではち切れそうな肢体を、ミニスカートのユニフォームに包んだチア淫魔だった。誰かがドア口まで見送りに出ているようで、淫魔はダメ押しのようにその者に背伸びしてチューをすると、手を振りながらドアを閉めた。
灼滅者たちはベンチで気配を殺し、淫魔が去るのを待つ。
淫魔の両手にはいつの間にかポンポンが現れており、ファイト、オー、とかけ声付きで踊りながらベンチとは反対方向の、暗がりに沈む大学の建物の方に走って行った。
淫魔の姿が見えなくなり、更に数十秒ほどたった頃、
「さて……今宵、鬼退治と洒落込むでござる」
阿久沢・木菟(忍者もどき・d12081)がマフラーで口元を覆い隠しながら言った。仲間たちも残りの団子を飲み込むと、気合いの入った表情で立ち上がる。
灼滅者たちは野球部室の前に移動し、スレイヤーカードを解除した。
木菟は両手で素早く印を切る。
「臨兵闘者皆陣列前行ッ!」
「さあ、おいで! 紅葉っ!」
紅葉・Aの手の中に愛刀・紅葉が具現した。
「現在売り出し中アイドル、いざ出陣! 倒せライバル、ラブリンスター!」
一橋・聖(空っぽの仮面・d02156)は、エイティーンも発動し、セクシーアイドルに変身する。
楽多は少し離れた場所にランタンを置くと、サウンドシャッターをかけた。
「さあ、準備はできました」
琴音は頷くと、仲間たちから一歩前に出て殺界形成を発動させてから、おもむろに。
「貴方たちの悪行はここまで、年貢の納め時です!」
時代がかった台詞を高らかに叫んだ。
● 野球羅刹
部室の中で、ガタガタッ、と、慌てて立ち上がり動き回るような音がした。すぐにドアが乱暴に開けられ、
「誰だ!?」
大柄なスポーツマンタイプの、しかしガラの悪い男性3人がバットを手に飛び出してきた。彼らの頭に角が無いことを、灼滅者たちは素早く見て取る。手下だ。
彼らは一応野球の練習着らしき服を身につけてはいるが、だらしなくはだけて半裸同然の者もいる。ほっぺたにチア淫魔のピンクのルージュの跡を残している者も。
そんな3人の背後から、おもむろに。
「――なんだ、お前らは」
ひときわ大きな人影がのっそりと出てきた。分厚い胸板に、丸太のような腕。野球選手にしては長めの頭髪から、灯りに黒光りする小さな角が覗いている。
――野球羅刹。
宗嗣が低く言う。
「……少し、面を貸しては貰えないか……? すぐに終わるさ……その首と引き換えに、な」
「なんだとぅ?」
羅刹の方も、相対している者たちが一般人ではないことを、武器や出で立ちから理解したのだろう、凶悪そうに目を細める。
「このたびの淫魔の多方へ人を配しての動き、その方ら、目的を知っているでござるか?」
木菟が油断なく身構えながら敵に問う。
「どうして淫魔がいたことを……ははあ、そうか、お前ら」
羅刹は何事かに思い至ったのか、ひとつ頷くと。
「――おい、やっちまえ!」
手下たちは、羅刹の命令一下、灼滅者たちに飛びかかる。
「どぉりゃああああ!」
「こっちも行くぞ!」
準備万端の灼滅者たちは正面から迎え撃つ。3体のサーヴァントたちも灼滅者を守るべく、最前衛へと向かう。
木菟は鏖殺領域、紅葉・Aとファリスは斬影刃、楽多は地獄投げで敵をグラウンドに叩きつけ、
「戦う前から随分お疲れみたいですね」
「一凶、披露仕る……穿つ!」
宗嗣は仕込槍・餓烏をねじ込む。
紅葉・Iは武器封じを狙ってセイクリッドクロスを出現させ、聖は、何処からか流れ出す音楽とともにパッショネイトダンスでリズムを刻みだし、自らと仲間の術アップを図る。
「淫魔の快楽は吹き飛ばせ! さぁ、私のライブでお口直しよ!」
効率的な集中攻撃に、それでなくとも淫魔に精気を吸い取られている手下たちは、みるみる痛めつけられていく。
「くっそう、何やってんだ! とっとと片付けろ!!」
ドォン!!
イラついた野球羅刹がバットを振り上げ、地面を思いっきり叩いた。地面と辺りの空気が激しく振動し、灼滅者たちはよろめき倒れる。
が、琴音が素早く立ち上がり、
「神宮寺琴音、推して参る!」
手下たちに向けて刀を振るう。
「峰打ちです」
他の者も体勢を立て直すと、手加減攻撃に切り替える。手下はできるだけ殺したくはない。
「ちぃっ!」
手下たちの体たらくを見かね乱闘に加わろうとした羅刹の前に、シールドを構えて楽多が立ちはだかった。
「あなた方、淫魔さんと随分仲が良さそうですけど、何の悪巧みをしてるんですか?」
「はん、悪巧みしてんのは、もっぱらあちらさんだ。俺らの方は、単なる協力の見返りってヤツさ」
羅刹もバットを振り上げてじりじりと楽多に迫る……と、いきなり後方から聖が口を挟み。
「協力って……ラブリンスターのCD買ってくれとか!?」
「ちげーよ!」
「じゃあ、何を協力しろってのよ?」
「話すほどのことじゃねーよ……ほう、よく見るとあんたもなかなか色っぽいな」
「ダークネスなんかに誉められても嬉しくないわよっ」
「ふん、どうせいかがわしい企みだから話せないのだろう」
宗嗣がわずかに肩をすくめて挑発的に言い放った。倒す前に、少しでも羅刹から情報を引き出したい。
羅刹はちっ、と舌打ちすると面倒くさそうに。
「うるせーな、俺らはマジで直接関わっちゃいねえんだよ。なんだっけ、そのラブリンスターとかいう大淫魔が淫魔達に招集かけてんだけど、なんか邪魔が入って上手くいってないんだとよ。だから、俺らは邪魔するなと、それだけだ」
――ラブリンスターによる淫魔招集を邪魔する者……?
灼滅者たちは思わず考え込む。
羅刹はニヤリと笑うと。
「なあ……テメェら何故か、今夜淫魔が来ることを知ってたよな? ってえことはだ、淫魔たちの言う邪魔者ってのには、テメェらも入ってんじゃねえのかい?」
ここのところ淫魔絡みの依頼が増えているのは確かで……。
灼滅者たちが顔を見合わせている様子に、羅刹は。
「ははーん、やっぱり心当たりがあるようだな。おい、手下共、コイツらを仕留めたら、淫魔とヤリ放題だぜ!!」
バットを振りかぶると楽多のシールドをかわし、宗嗣に殴りかかった……と。
『ナノナノー!』
「シェリル!」
ファリスのナノナノ・シェリルが宗嗣をかばって割り込み、ジャストミートされてふっとばされた。しかし外野に抜けそうになったところを、
「拙者にまかせるでござる!」
木菟が横っ飛びにナイスキャッチした。
「ありがとう!」
ファリスに礼を言われ、
「こんな時の為の忍者でござるよ」
木菟は爽やかに答えながら、目を回しているシェリルをファリスに手渡した。
「回復は私たちに任せて、早く手下を止めて!」
聖がエンゲージ・ソウルを掲げながら叫ぶ。
手下たちはふらふらになりながらも、性欲に釣られてまだ殴りかかってくる。楽多は、それにシールドを押し付けるようにぶつけて押し戻す。
「ぐうっ……」
「大人しくしててください、ね……!」
じきに手下たちはグラウンドに倒れ伏し、立っているのは、灼滅者たちと野球羅刹だけになった。
すると紅葉・Iが人差し指に嵌めた指輪に口付けしつつ、羅刹に向かって、
「ねえねえ、淫魔のスペシャルなアレコレって、どんなだったの?」
首を傾げて、先程と同じく好奇心に目をキラキラさせながら無邪気に訊き、同時に制約の弾丸を発射した。
「わあ、紅葉ちゃん、なんてことを訊くの!」
仲間たちは慌てたが、発してしまった問いは戻らない。
平然と弾丸を受けた羅刹はいやらしく笑い。
「アンタも試してみるかい、お嬢ちゃん?」
「ぎゃー、セクハラ発言っ! スケベ羅刹っ!!」
「しかも小学生相手に! サイテーだなっ!!」
灼滅者たちが一斉に羅刹に飛びかかる。当の紅葉・Iはきょとんとしている。
「不埒で破廉恥な所行、許すまじ! 正義の鉄拳と一太刀、お受け頂く!」
「そっちが振ったんだろ!」
琴音が無式を掲げて斬り込んだのに続き、宗嗣は素早く敵の背後に回り込み、
「遅い、ここは俺の距離だ……」
無銘蒼・禍月を振るいユニフォームを切り裂く。
「威力は弱くても、炎で……っ」
楽多はシールドに炎を纏わせて殴り、紅葉・Aもレーヴァテインで続く。木菟は手裏剣を乱れ撃ち、紅葉・Aの霊犬・マカロと、聖のビハインド・ソウル・ペテルも攻撃に加わる。
「……だあっ!」
羅刹が群がる灼滅者たちをふりはらうように、獣じみた声を上げてバットを振るった。
「きゃあっ」
見事なスイングが腹に決まり、琴音がふっとぶ。
「俺が回復するよ!」
ファリスがすばやくヒーリングライトで倒れた琴音を包み込む。
「よくもやったわね!」
紅葉・Iが再び指輪を掲げ、宗嗣が黒死斬で脚を狙う。
「斬り抉る……」
「げほっ……越後屋さん」
回復を受けた琴音が咳き込みつつもゆらりと立ち上がり、羅刹を睨みつけ。
「金のお菓子はいただけないのですかーっ!?」
と、全力で戦艦斬りを見舞う。羅刹の肩口から血が噴き出す。
謎の台詞に仲間達は「???」となり、斬られた羅刹も血まみれになりつつ、
「わけのわかんねーこと言ってんじゃねーよッ!!」
再びバットを上げて、地面をひっぱたいた。
ズシン!
「わあっ!」
前衛はその振動でよろめき倒れたが、後方のメンバーは仲間を気遣いつつも攻め続け、あるいは回復を施す。
羅刹はまだ立ってはいるものの、ユニフォームはボロボロに裂けて所々くすぶり、体も顔も傷だらけになっており、脚も引きずっている。
「(大分弱ってる。もう少しだ――!)」
灼滅者たちもそれなりのダメージは被っているが、回復を受けている分、敵よりは遙かに動ける。
「もうちょっとだよ、一気に行こう! マカロ、援護を!!」
紅葉・Aが愛刀・紅葉を構えて突っ込んでいき、マカロは六文銭射撃でそれを援護する。六文銭の連射に怯んだ羅刹に、雲耀剣が決まる。
続いて宗嗣も無銘蒼・禍月で斬りつけ、楽多は雷を宿した拳で殴りつける。紅葉・Iはデッドブラスターを撃ち込み、琴音は白炎のオーラを宿した拳で連打を繰り出す。木菟は背後をちらりと振り返ってから――淫魔が舞い戻ってこないか警戒してから――デッドブラスターを撃つ。
メディックのふたりも、ここが攻め時と見て攻撃に参加する。ファリスは自らの周囲に無数の剣が突き刺さった影を展開し、聖は力のこもった美声を響かせる。
「くそっ……」
怒濤の攻撃が途切れた瞬間、羅刹は必死の形相でバットを振り上げたが、よろめいてバットを杖のように突いた。しかしそれでも血まみれの顔に鬼の本性を露わにして、
「うりゃあああああっ!」
最後のあがきとばかりに突っ込んでくる。
「どうやらあなたも、戦う前からお疲れだったみたいですね……これで終わりです!」
楽多が、炎で敵の目をくらませながらバットをかいくぐり、ボロボロのユニフォームを掴むと、
「たあっ!」
渾身の地獄投げをくらわせた。
ドウッ。
羅刹は地を揺るがすような音と共に、グラウンドに横たわり……動かなくなった。
その羅刹だったモノを見下ろしながら、紅葉・Aが。
「これで終わりね……さよなら」
低く呟いた。
● 戦い済んで
戦いを終えた途端、
「うう……眠いの」
紅葉・Iがぺたんと地べたに座り込んで、こっくりと頭を垂れた。
「早く家に帰ってテディと一緒に寝たい……」
「小学生にはつらい時間だね、早く帰ろう」
ファリスが紅葉・Iを背負い、灼滅者たちは帰途につく。
忍び込んだ大学の裏口へと向かいながら、普段のロリっ娘お姉さん風に戻った聖が。
「そういえば、琴音ちゃんの台詞、越後屋とか金のお菓子とかって、アレなんだったのかなあ?」
「あうっ、アレは間違えたのですっ」
琴音は恥ずかしそうに顔を覆い、
「悪を挫くお代官さまのつもりが、テンションが上がりすぎて、悪代官と混じっちゃったのですっ」
灼滅者の間から、久しぶりの笑い声が上がる。
「それにしても、依頼自体は成功したからいいようなものの」
宗嗣が呟くように。
「淫魔たちの企みの、具体的なところまでは聞き出せなかったな……」
木菟が頷いてグラウンドを振り返りつつ。
「状況は動き続けているでござるなぁ。他のチームはどうなったことやら……でござる」
作者:小鳥遊ちどり |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年3月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 8
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