
●太くて悪いか!
「ええー、何コレ、本当におそばなの?」
出されたそばを見て、観光客らしい若い女性が黄色い悲鳴を上げる。
「まるでうどんみたいだな……とりあえず食べてみるか」
連れの男性がそばを口に運び、一口飲み込んでから顔をしかめ。
「うわ、あり得ねえ。太いし、堅いし、噛まないと飲み込めないって、そばの食感じゃないだろ」
「だよねえ、もそもそして食べにくーい」
「そばは喉で味わうもんだよなあ、これはもはやそばじゃないよ」
「……そばだ」
言い放題の観光客のテーブルの傍らで、屈強そうな少年が、両手で持ったそば湯を乗せたお盆を怒りにふるふるさせていた。
「……これは、正真正銘のそばだ」
「えー、だって太すぎるって」
「このあたりでは伝統的な太さなんだー!」
「うわあっ!」
少年はいきなり逆上すると、熱いそば湯を客にぶっかけた。
「熱いじゃない、何するのよー!」
肩で息をする少年は、どこからともなくそば打ち用の長い麺棒を取り出し、
「太くて悪いかー!!」
「きゃあああ!」
客に殴りかかった。
――“板そば怪人”の誕生である。
●江戸前のそば屋で
ずずずずずっ。
そばをすする音が響く。
「こういう江戸前の細いおそばはもちろん粋でオツですが、太いのもそれなりの旨さがあると思うんですよね」
春祭・典(高校生エクスブレイン・dn0058)は、器用にそばをすすりながら話を進める。
依頼の話をしているうちに、どうしてもそばが食べたくなってしまい、灼滅者たちと典は学園近くのそば屋にやってきた。
「噛むことによって、そばの味をより深く味わえますからね」
うんうん、と灼滅者たちはそばをすすりながら頷く。うどんだってラーメンだってパスタだって様々な太さがあるが、どれもそれぞれ美味しい。
ずずずずずう。
「ところがそばだけは“喉ごしで味わう”という習慣があるせいか、細めが珍重され、太いのは少数派ですよね。ところが、山形県のそば街道と呼ばれる地域では、伝統的に太目が主流です」
そば街道には十数軒のそば屋が参加しており、太めの田舎そばをお盆のような板に載せて饗する“板そば”が名物である。
「太いそばを客に腐されて“板そば怪人”になりかけているのは、三立・太(みたて・ふとし)くんというそば屋の跡取りの中学生です」
彼は板そばをこよなく愛し、そば職人を真面目に目指して店の手伝いも良くしているが、世間の太目そばへの無理解に常々つらい思いをしてきた。
「お客さんに文句を言われるだけじゃなく、今時はブログとかでも書かれますからね、ストレスが溜まっていたのでしょう」
そのストレスはわかるような気がする。
ずずずずずー。
「皆さんは、太くんがキレる要因になる観光客カップルと同時に店にいるようにして、タイミングを見計らっていてください。カップルが文句を言って、彼がキレたところで介入して、太くんを説得しつつ戦って闇堕ちから救ってください」
あ、一応カップルも守ってくださいね。嫌なヤツらっぽいですけど。と、典はついでのように付け加え。
「挑発しつつ、外に出ろ、とか言って、店の外に出て戦った方がやりやすいかもしれませんね。太くんとしてもお店を壊すことは本望ではないでしょうから、素直に出てくれると思います」
うむ、確かに彼にとって大事な店であろうから。
「任務を終えたら、ゆっくりおそばを味わってくるといいですよ。僕は隣県の出身なので、そば街道の店で食べたことがあるんですけど、板そばはもちろん、セットで出てくる漬け物や煮物がまた美味しくて……」
ずずずずず……。
典はそばをすすりながら、うっとりとした目になった。
| 参加者 | |
|---|---|
![]() イオノ・アナスタシア(七星皇女・d00380) |
![]() 椙森・六夜(靜宵・d00472) |
![]() 御統・玉兎(月を追う者・d00599) |
![]() 掘削・寧美(ネイビーさん・d01525) |
![]() 皇・なのは(へっぽこ・d03947) |
![]() 安土・香艶(メルカバ・d06302) |
![]() リューネ・フェヴリエ(熱血青春ヒーロー修行中・d14097) |
![]() 日紫喜・夏芽(揺らぐ風の音・d14120) |
●蕎麦処三立屋
「ええー、何コレ、本当におそばなの?」
供されたそばを見て、観光客らしい若い女性が黄色い悲鳴を上げる。
その大げさな声を聞き、灼滅者たちはそっと視線を交わし、問題の観光客カップルを改めて確認する。
蕎麦処三立屋の店内。
客を装った灼滅者たちは、件のカップルを挟むように、遠からず近からず、しかし即座に駆け寄れる席に二手に分かれて座っている。
「ふむ、太いそばもそれなりに美味しいものだな(もぐもぐ)」
掘削・寧美(ネイビーさん・d01525)が板そばをもぐもぐしながら呟く。頷いたのは皇・なのは(へっぽこ・d03947)。
「おそばにもこんなに太いのがあるんだね、知らなかったよー(もぐもぐ)」
「……うむ、このそば! 確かな歯ごたえ、そこから香るそばの風味が(もぐもぐ)」
リューネ・フェヴリエ(熱血青春ヒーロー修行中・d14097)も、そばをすする……というより、咀嚼している。なにせうどん並みの太さである。さすがに讃岐うどんよりは細いが、稲庭うどんよりは太い。
同じ前衛組のテーブルに着いているが、日紫喜・夏芽(揺らぐ風の音・d14120)と安土・香艶(メルカバ・d06302)は、まだ注文していない。
「どれにする?」
「そうだな……」
などと、迷うふりをしつつ、そば茶をすするのみ。事が済んでからゆっくり食べるつもりである。
一方中後衛組のテーブルでは、御統・玉兎(月を追う者・d00599)と椙森・六夜(靜宵・d00472)が、早速板そばを味わっていた。
「太い麺もいいと思うんだがなぁ……地域らしさが出てるし(もぐもく)」
「食いでがあるから、育ち盛りには嬉しいよな。山形まで来られて役得だな。弟たちの土産にさくらんぼ買って帰ろう(もぐもぐ)」
イオノ・アナスタシア(七星皇女・d00380)は、メニューを選んでいるふりをしながら与太を飛ばす。
「そういえば、聞いたことがあります。そば街道では蛇口を捻ればおそばが出て、通りにはおそばの木が立ち並び、川には野生のおそばが生息しています。人々はみな外出時に腰にマイおそばを携え、知人と会えばお互いにそのコシを褒めあうのだとか」
さりげなくそばを食し、おしゃべりしつつも、灼滅者たちは目と耳は油断なくそばだてている。
灼滅者たちの席の横を、そば湯の湯筒を乗せたお盆を持った少年が通った。それほど背は高くないが、二の腕や肩にはしっかりと筋肉がついて屈強な体つきである。そば打ちで鍛えたのはもちろんだろうが、他にも何かスポーツをしているのかもしれない。おとなしげな顔立ちだが、表情は険しい。
彼が――太。
灼滅者たちは目だけで彼を追う。
「そばは喉で味わうもんだよなあ、これはもはやそばじゃないよ」
カップルの男の声に、少年の震えた声が被さる。
「……そばだ」
灼滅者たちは箸を、またはお品書きや湯飲みを置いた。
「……これは、正真正銘のそばだ」
「えー、だって太すぎるって」
「このあたりでは伝統的な太さなんだー!」
――今だ!
灼滅者たちは一斉に席を蹴った。
太がカップルに浴びせかけようとしたそば湯は、大部分が割り込んだ夏芽にかかった。
「大好きなそば湯を粗末にするとは、感心しないわね」
夏芽は熱そうなそぶりもせずに、滴を振り払う。
寧美が太をにらみつけ、
「余所者に太いそばの良さをわからせるのに暴力はないだろうこの(自主規制)!」
「まーまー、そんなに熱くならずに」
突然の割り込みと罵倒に唖然としている太に、香艶がぐっと声を低くして耳元で囁く。ジャージにサングラスで馴れ馴れしく太の肩を抱き込むように絡んでいる姿は、どう見ても堅気ではない。
一方六夜は、カップルを太から引き離そうと、
「お姉さん大丈夫ですか? 熱いのかかったんじゃないですか? 痕になったら大変だから、よく冷やした方がいいですよ」
女性の方を化粧室方面に誘導しようとする……が、
「な、なんだお前ら、いきなり入ってきやがって、このっ、離せっ」
男の方が六夜から彼女を取り戻そうとする。
それを見て寧美が王者の風を発動して罵声を浴びせる。
「貴様らもだ、この(自主規制)! 貴様らは郷に入っては郷に従えという格言も知らないのか?! セイウチのケツにド頭つっこんでおっ死ね! この(自主規制)!」
「……コワっ」
寧美の顔に似つかわしくない言動に、リューネは密かにビビる。
「さあ奥へ」
イオノが店の奥へと促すと、カップルは今度こそおとなしく従った。
その間に他の者たちは、太を店の外へと連れだしにかかる。
「そばの良さについて私たちとじっくり語り合おうじゃない。表へいらっしゃいな」
夏芽が余裕の笑みで太を誘い、
「大事な店の中で騒動起こすなんて、お前のソバへの愛情を疑うなー俺。ひとつここは、外でお話しましょうや、ご当地さん?」
香艶が不穏に囁く。言外に、別にココで暴れても俺達は構わないんだけどね、という雰囲気がにじみまくりである。
「お店の中で暴れたら折角のおそばがもったいないよ、此処も壊れちゃうよ?」
なのはが店の出入り口をを指さし、玉兎も促す。
「そば語りが熱くなりすぎて店を壊すのは嫌だしな」
「――わかった」
太は頷いた。
●そバトル
灼滅者たちと太が店から出ると、幸いにも駐車場には車がまばらであった。店内の一般人は、王者の風の効果で奥から出てこようとはしなかったが、念のためイオノが殺界形成を、六夜がサウンドシャッターをかけた。
戦いの準備は整った。
「Allez cuisine!」
リューネが解除コードを叫び、
「本多さん、来い!」
六夜が駐車していたライドキャリバーの本多さんを呼び騎乗する。
灼滅者たちは次々と力を武器を解放し、配置につく。
対峙する太は、先ほど店内でお運びをしている時とは大分変わってしまっている。二回りほど体が大きくなり、おとなしげに見えた顔つきは凶悪にゆがみ、つり上がった目は青く底光りしている。
「なあ、太」
玉兎がロッドを構えながら語りかける。
「お前、ご当地怪人になったら、太いそばを全国に流通させて世界征服とかするつもりなのか?……それはちょっと嫌だな。個性があるから食べて楽しいんだし。阻止させてもらうぜ」
太は歯をむき出してにやりと笑う。
「それはええ考えだ……俺の力で細いそば好きを殲滅して、世界中そばば、太くしてやる!」
太は両手首を揃えて突き出し、掌を大きく開いた。大量のそばが太の掌から噴き出し、広がった。もちろん太目である。そばは前衛にびしりと絡みついた。
「くっ……!」
強化されているとはいえそばであるからダメージは大きくないが、コシのある絡まりっぷりに動きが封じられる。
「こっちも捕縛いきますよ!」
イオノがウロボロスブレイドを敵目がけて伸ばすと、鞭剣は蛇のように太に絡みついた。
「そば打ち道具やそばは、君にとって人を傷つける為のものじゃないだろ!」
すかさず六夜が本多さんに騎乗し、妖の槍を構えて突っ込んでいく。
「そばはオレが切ってやる!」
玉兎が無敵斬艦刀で仲間に絡みついたそばを一気に断ち切る。
「だあっ!」
槍の一撃を受けつつも太は鞭剣を振り払い、至近にいた六夜に、いつの間にか握っていた長い麺棒を向ける。
「おっと、そうはさせねえ!」
しかしそこに、そばの呪縛から逃れた香艶が滑らかに身を入れ、白龍の柄で麺棒を受け止め、
「話そうっつってんのに、いきなり殴り合いはねーだろ」
足払いをかける。
「そうだぜ!」
地面にひっくり帰った太に、リューネもTerre Protectionを突きつけつつ。
「さっき食った、お前んちのそば、すげぇ美味かった。あんな美味いものを偏見で貶されたら、そりゃあ誰でもキレるよな。でも、だからこそ、その腕を客に振っちゃあいけねえ。衝動のままに行動してたら、闇落ちしちまうぜ?」
「な……なんなんだよ、お前ら?」
太は灼滅者たちを睨めつけながら立ち上がる。
「私たちは武蔵坂学園の灼滅者」
夏芽が黒髪を風になびかせながら名乗る。
「あなたの力を正しい方向に向けるために来たの」
「ハァ? 何をわけのわからないことを……」
「お米一粒一粒に神様が宿るのなら、おそばにだって宿ってもおかしくないですよね」
イオノがあたりに飛び散ったそばの残骸を見回して。
「こんなもったいないことして、おそばの神様が悲しみますよ」
「うっ……」
自分がまき散らしたそばを見回した太の瞳に、人間らしい光が戻ったように見えた。やはり人間の部分の彼は、そばやそば打ちの道具を粗末に扱うことを望んではいないのだ。
なのはが地面を見つめる太の顔をのぞき込むようにして。
「板そば美味しかったよ、満足するまで食べてないから、早く正気に戻ってほしいな?」
「う……うるさいっ!」
しかし太は自分の良心を断ち切るかのように、これまたどこからともなく取り出したそば打ち包丁を振り回しながら、灼滅者目がけ切り込んできた。
寧美がその刃を受けつつも、
「料理の味で勝負せず力で解決しようとする貴様は両生動物のクソをかき集めた物の価値より低い! 目玉えぐって頭ガイ骨で(自主規制)してやる!」
サバイバルスポークから毒の竜巻を巻き起こす。
竜巻にまかれよろめいた太の死角に入ったなのはが、槍を見舞う。
「ぐっ……!」
「視覚外からの攻撃って反応し辛いよね」
「俺からも刃のお返しだぜ!」
軽やかにジャンプをして身をかわしたなのはと代わるようにリューネが踏み込み、斧の刃をひらめかす。皮膚を切り裂く刃にたたらを踏んだところに、夏芽がご当地ダイナミックを見舞う。
「――鬼さん、こちらよ」
「くそ……」
太は体のあちこちから血を流しながら、よろよろと立ち上がる。
「あのな、オレらが言いたいのは」
玉兎が用心深くロッドを構え。
「太い麺のそばを愛する気持ちは分かるがな、一般人に迷惑かけたら駄目だろう、ってこと」
「そうだ、貴様の根性の曲がった(自主規制)を矯正する必要がある!」
寧美がナイフを突きつけながら。
「私たちについてこい! 性根を叩き直してやる!!」
「え……偉そうに! 俺の気持ちがわかってたまるか!!」
激高した太は、麺棒と包丁を素早く前掛けに挟むと、再び掌からそばを放出した。
「同じ手をくらうかあ!」
そばは素早く前に出た香艶の槍と、玉兎のビハインド・颯が受け止めた。
「おっ!?」
香艶は槍の柄で器用にそばを巻き取りながら、仲間たちに叫ぶ。
「先刻ほどの威力はないぜ!」
それを聞いて灼滅者たちの意気がさらに上がる。攻撃力が落ちたということは、太の中で葛藤が起こっているということに他ならない。
「俺は、わかるよ」
葛藤の隙を逃すまいと、六夜が語りかける。
「俺も家業を継ぎたいと思ってるから、君の気持ち、少しはわかると思う。家業を腐されたら、そりゃあキレるよな」
血管が浮くほど張り詰めていた太の腕から、力が抜ける。
「今君がするべきことは、怒ったり絶望したりすることじゃない。他人から何を言われようと、板そばの更なるファンを増やしたいなら、偏見を改めさせるくらいの職人になれるよう勉強して、技術を磨くしかない。そうやって地道に目標を目指すしかないんだと、俺は思うよ」
「そうね」
夏芽が頷く。
「おそばは私も好きでよく食べているけれど、あなたが愛しているのはおそばなのか、板そばなのか、はたしてどちら?」
太はハッとしたように目を上げる。
夏芽はにっこりとほほえみかけ。
「その愛の区別ができた時こそ、あなたが一皮むけて、ご当地ヒーローになれる時だと思うの」
「わ……わかってんだ」
太は絞り出すように言う。
「細いそばは食べやすくて旨いって……でも、太いのだって、旨いんだ……」
「うんうん、それはよくわかってるよ」
「実際美味しかったし」
「ぽっちゃりにもスレンダーにも、それぞれの良さがあるよな」
すでに板そばを食した者は口々に褒め、まだの者は早く決着をつけて食べたいものだと思う。
「考えるに」
玉兎が腕組みをして。
「店の前に【太麺が特徴】みたいな旗を立てるとかすれば、今回のような事は回避できるんじゃないか。ネットとかでも、もっと太麺を強調してアピールするとか。偏見を解くだけじゃなく、珍しさにお客さんが増えるかもしれないし」
太は驚いたように瞬きをした。中学生ではPR不足にまでは思い至らなかったのだろう。
「……そうか、俺……」
そして恥ずかしげにうつむいた。
「いろいろ間違ってた……」
「わかってくれりゃいいんだ」
香艶が鷹揚に頷く。
「さあ、ケリをつけちまおうぜ! 俺たちが全部受け止めてやる、お前の想いをぶつけてみやがれ!」
太は決意を固めたかのように麺棒を握りしめた。
「……いくぞ!」
突っ込んできた太に玉兎がロッドを叩きつけ、香艶が槍を刺突し、六夜が拳にオーラを乗せて叩き込む。
イオノが、
「回復しますよっ……」
と、前衛にジャッジメントレイを向けるがそれはフェイクで、発射寸前でくるりと方向を変え太に撃ち込む。
「……と見せかけて、攻撃! 騙し合いは私の勝ちですね!」
夏芽はご当地キックを蹴り込み、リューネはJeunesse Explosionを振り回し、寧美は鋼鉄のような拳で殴りつける。
灼滅者の集中攻撃に傷だらけの太は、すでに防戦一方である。身を守るように振り下ろされた麺棒を、なのははダブルジャンプのフェイクで鮮やかに交わし、渾身のロケットスマッシュをたたき込んだ。
「ぐわああっ!」
「いつだって全力! おそばを作るのだってそうでしょ?」
太は吹き飛び、駐車場にもんどりうって倒れ込んだ。
じり、と手が、取り落とした麺棒を探るように動いたが、起き上がることができない。
慌てて駆け寄る灼滅者たちに、太はうっすらと目を開いて。
「――そば、食べてって」
●再び蕎麦処三立屋
太が目を覚ますと、そこは見慣れた店の座敷席だった。外で倒れたはずだったが、いつの間にか店内に運ばれて寝かされていたらしい。
「む、起きたか」
と、上から覗き込んだのは、寧美。
「おい、自分の至らなさが理解できたか? この(自主規制)? 出来たなら泣いたり笑ったりする余裕が持てなくなるまで、みっちりと教育してやろう」
言葉は相変わらず乱暴だが、表情はどこか優しい。
横を見ると、先ほどまで戦っていた8人が、一心不乱にもぐもぐと板そばを食べていた。
「……やっぱ美味いぜ、このそば!」
「なるほど、確かに太麺。だが、これはこれで美味い」
「お土産にできるなら、そっちももらって帰ろう」
彼らの言葉と食いっぷりに、太の胸は熱くなる。
イオノがにっこりと太に笑いかけ、
「こういう時、日本ではこうするのだと教わりました! うーまーいーぞー!」
| 作者:小鳥遊ちどり |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
![]() 公開:2013年5月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 7
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