●
博多の繁華街にて。
バニーガール姿の少女が高校生くらいの少年を追い詰め、甘い声でささやく。
「ファンになってくれたお礼に、特別に、プレゼントしますね」
胸の谷間から引き抜いた指先には、一枚の黒いカード。
「さあ、欲望を解放して。すべてを、血で染めあげて」
ささやく声に、迷わず、少年がカードを手に取ろうとした時だ。
「みーつけた」
逆光を背に声をかけたのは、サングラスをかけたひとりの少女。
60年代風のレトロなミニ丈ワンピースに、ニーハイブーツ。
「あんたが、『HKT六六六』とかってアイドルグループのコムスメね?」
見知らぬ少女の登場に、少年は慌てて走り去っていく。
バニーガールはその背を見送ると、サングラスの少女へ向き直り、にっこりとほほ笑んだ。
「『コムスメ』じゃありません。星倉しおん、です」
「あなたは?」と問われ。
少女はサングラスを外し、大仰にポーズをとった。
「あたしの名前は『パラダイス・ディスコ』。大淫魔ラブリンスター様のもとに名を連ねる、アイドル淫魔よ」
『アイドル』という言葉に、しおんが目を細める。
「……なるほど。御同業、というわけですね」
「そーゆーこと。あんたもアイドルの端くれなら、このあたしと、正々堂々『アイドル対決』なさい!」
●
――HKT六六六から黒いカードを受けとった少年たちが、無差別殺人を起こそうとする。
そんな事件が起こっていたのは、つい最近のこと。
「その黒いカードをばらまいていたのは、フライングバニー服を着用した『HKT六六六』の強化一般人である事が、わかった」
一夜崎・一夜(高校生エクスブレイン・dn0023)は眉根を寄せながら、灼滅者たちに向けて説明を続ける。
「この一件について、相良(土下座王・d01936)がいろいろと調べてくれたのだが……。噂を聞きつけたラブリンスターの配下淫魔が、強化一般人に『アイドル対決』を挑もうとするようだ」
予想外の展開ではあるが、なんにせよHKT六六六の活動を見過ごすことはできない。
「よって対決に介入、もしくは観戦し、最終的に事態を収拾して欲しい」と、一夜はため息交じりに、吐きだした。
アイドル対決や戦闘の舞台となるのは、午後の繁華街。
一般人が大勢行きかう、歩行者天国だ。
予測に現れたのは、『パラダイス・ディスコ』という名の淫魔。
アイドル対決が主目的のため、アイドル対決に勝利すれば、満足して帰っていく。
アイドル対決に敗北すればHKT六六六に戦闘を挑むが、周囲に被害をおよぼすような事は、しない。
「ただし。アイドル対決を邪魔しようとすれば、邪魔するものを敵とみなし、攻撃してくる」
よって、まずはアイドル対決に決着をつけさせるのが、効率的だろう。
「なお、アイドル対決のルールは『その場のノリ』で決定する。つまり、対決への介入を決めた場合、うまく話を運べば、きみたちの指定したルールでアイドル対決を行うことができるかもしれない」
もし介入するのであれば、『どんな勝負を提案する』か、『どちらを勝たせる流れにしたいか』等、その後の戦闘を見据えて検討するのが良いだろう。
対決の結果がどうあれ、敵となるのは『星倉・しおん(ほしくら・―)』という強化一般人の少女。
「星倉しおんは、殺人鬼に似たサイキックとシャウトを使いこなし、武器は日本刀を扱う」
強化一般人とはいえ、HKT六六六の研究生に選ばれた少女だ。
ダークネスである淫魔と、ほぼ互角に戦えるだけの戦闘力を持つという。
「……歩行者天国。なら、一般人が巻きこまれないよう手伝う、ね」
説明を聞いていた七湖都・さかな(終の境界・dn0116)がひょいと手をあげ、協力を申しでる。
「どう転んでも頭の痛い話ではあるが……。これ以上やっかいなことにならないよう、どうかきみたちの手で、決着をつけてきてくれ」
一夜は人数分の博多行きチケットを手渡し、「よろしく頼む」と、深く頭をさげた。
参加者 | |
---|---|
相良・太一(土下座王・d01936) |
フレナディア・ヘブンズハート(煉獄の舞姫・d03883) |
木通・心葉(パープルトリガー・d05961) |
リヒト・シュテルンヒンメル(星空のミンストレル・d07590) |
ヴィントミューレ・シュトウルム(ジーザスシュラウド・d09689) |
村本・寛子(可憐なる桜の舞姫・d12998) |
天瀬・麒麟(中学生サウンドソルジャー・d14035) |
綾町・鈴乃(無垢な純白・d15953) |
●偶像崇拝
事件発生の、すこし前。
現場に到着した灼滅者たちは、歩行者天国にあふれる一般人を見渡し、事件に備える。
「星倉と直接の縁はないが、ウサ耳をつけた屈辱があるからな」
星倉しおんの起こした別の事件に関わった木通・心葉(パープルトリガー・d05961)は、雪辱戦に臨む構えだ。
灼滅者たちの役割を再確認しているのは、ヴィントミューレ・シュトウルム(ジーザスシュラウド・d09689)。
「こんな場所でアイドル対決なんて、程々にしてもらいたいわ」
大人びた口調で、言い放つ。
「ディスコちゃん、元気そうでよかったの~」
「でも、再会を喜ぶ余裕は……、なさそうですね」
村本・寛子(可憐なる桜の舞姫・d12998)とリヒト・シュテルンヒンメル(星空のミンストレル・d07590)は、別の事件で淫魔と共闘したことがある。
今回こそ交流を図りたいところだが、果たしてその余地があるかどうか。
綾町・鈴乃(無垢な純白・d15953)は淫魔のライブに参加していらい、『ラブリンスターは友達だ』と思っている。
「バニーふくのけんぞくが、ラブリンスターさまとかんけいなさそうで、よかったのです」
淫魔と浅からぬ縁のある鈴乃にとって、淫魔は悪い存在ではないのだ。
天瀬・麒麟(中学生サウンドソルジャー・d14035)は仲間たちの会話を聞きながら、胸中でつぶやいた。
(「今回、淫魔を灼滅できないのが、すごく残念。なにをしてても、淫魔は淫魔なのに……」)
それぞれの思惑をよそに、待つこと数分。
「それじゃ、行くわよ。準備はいい?」
持参したマイクを手に、フレナディア・ヘブンズハート(煉獄の舞姫・d03883)が問いかける。
灼滅者たちは顔を見合わせ、力強く、頷きかわした。
●仕組まれた対決
「このあたしと、正々堂々『アイドル対決』なさい!」
「……いいでしょう。『御同業』のよしみです。すこしの間だけ、おつきあいします」
淫魔パラダイス・ディスコの言葉に、HKT研究生の星倉・しおん(ほしくら・しおん)が、目を細める。
そこへ――、
「話は聞かせてもらったわよ!」
フレナディアが、マイク片手に飛びこんだ。
ディスコとしおんの顔を交互に見やり、
「この勝負、公平を期すため、アタシが仕切らせてもらうわ!」
一気に、その場の空気をかっさらう。
騒ぎを聞きつけた周囲の一般人も、なんだなんだと集まり始めた。
とつじょ現れた司会や集う観衆に動じることなく、ディスコとしおんは悠然と周囲に目線を送る。
「それで? どうやって勝負をするつもりですか?」
「『アイドル』なら、観衆を魅了できないとダメですよね」
「アイドルらしくアピールなのですよ?」
一般人にまぎれていたリヒトと鈴乃がすかさず声をあげ、提案。
「つまり、『パフォーマンス対決』というわけね。2人とも、どうかしら?」
フレナディアが問いかければ、
「じゃ、こうしましょ」
ディスコは淫魔の魅力を行使し、歩行者天国のストリートダンサーからミニコンポを接収。
「2人同時に、即興でダンスを披露するの。どう?」
ミニコンポの中にどんな曲が収められているかは、ディスコも、しおんも、灼滅者たちも知らない。
しかし、しおんは即答した。
「異論ありません」
「じゃ、決まりね」
ディスコはしおんを睨みつけ、宣戦布告。
「ラブリンスター様や自分自身をより輝かせるため、あたしは毎日、血のにじむような特訓を積んでるの。負けるつもり、ないから」
対するしおんは、ふっと笑みを浮かべるのみ。
(「……なんだ?」)
心葉はその態度をいぶかりながらも、
「では、ボクが司会補佐を行おう」
ディスコの前に進みでて、ミニコンポを受けとる。
「イベント開催中は、私たちの指示に従ってちょうだい」
「アイドルさんたちの邪魔にならないところまで、下がって」
麒麟、ヴィントミューレ、鈴乃の3人は『プラチナチケット』を使用し、イベント関係者を装う。
何人かの一般人は3人の幼さをいぶかったが、しだいに盛りあがる場の空気にのまれ、言及するには至らない。
ディスコ、しおんを囲むようにできた人垣に混ざり、最前列を陣取るのは相良・太一(土下座王・d01936)。
「アイドル対決といえば、弾ける汗。火照る肌。破れる衣装ッ」
ぐっと拳を握りしめ、
「なんという俺得空間……!」
自前のサイリウムを携え、すでに応援の体勢に入っている。
あるアイドルグループの最年少センターを務める寛子も、『アイドル勝負』と聞いていてもたってもいられない。
しかし、ここで不用意に介入すれば、淫魔の不興を買うおそれがある。
「ディスコちゃんを応援するぐらいは、いいよね?」
と、手助けにかけつけた藍(d02826)とともに声援を送る。
万が一に備えて警戒しながら、七湖都・さかな(終の境界・dn0116)は人垣の後方に立ち、状況を見守っていた。
「ハリー」
呼びかけに応え、ハリー(d18314)が展開したのは『サウンドシャッター』。
これ以上、人が集まらないようにするための対策だ。
かくして場は整えられ。
ここに、淫魔とHKT研究生の対決の火ぶたが、切って落とされた。
●She is "Performer".
ミニコンポのスイッチに手をかけ、心葉がスタンバイ。
「パラダイス・ディスコ 対 星倉しおん! アイドル対決、スタート!!」
フレナディアの声にあわせ、心葉がミニコンポのスイッチを入れる。
流れてきたのは――、
「「「EDMだーーー!!」」」
EDM。エレクトロニック・ダンス・ミュージック。
人々を躍らせることを目的としてつくられた、この場にうってつけの音楽だ。
低く刻むベース音。
そこへ、アッパーなシンセ音が飛びこむ。
ハスキーな女性ヴォーカルにのせ、曲はしだいに派手さを増していく。
――本性にひそむ偶像。
――だれもがもつ過ち Idola Tribus.
ディスコは軽快にステップを踏み、観衆の前に躍りでる。
「「D・I・S・C・O! ディスコちゃーん!!」」
寛子と藍がそろって声援を飛ばし、自分たちもまた、身体を揺らす。
リヒトも手拍子を打ちながら、踊る2人を見守った。
ディスコとはともに踊ることはできそうにないが、心の内で声援を送る。
――God knows.
――God knows.
――カミサマいがい だれもしらない。
太一はサイリウムを手に、全身を駆使した華麗なオタ芸を披露する。
「ひゅー、ディスコちゃんステキー! サイコー!」
『割り込みヴォイス』を使った声援は、観衆全員の耳に届いた。
「さすが『負けるつもりはない』と豪語したディスコ! 対する、しおんも負けてはいないわ!」
フレナディアもリズムをとりながら、両者を引き立てるように実況を挟む。
しおんの扇情的な姿は、一部の観衆を大いに虜にした。
ステップを踏むたびに弾む豊満な胸や、腕を組んで強調するようなしぐさ。
バックシームの網タイツに指先を這わせたかと思えば、観衆をあおるように、ハイヒールで宙を蹴りあげる。
(「揺れる乳、きわどい服……! ひょこひょこ動くウサ耳とか反則だろ!? うおおぉ萌えー! ごめんよ、しおんちゃーん!」)
立場上、大っぴらに声援を送れないものの、太一はサイリウムでオタ芸を打ちながら、心の中で絶叫する。
――God knows.
――God knows.
――踊るわたしたちのイドラ。
繰りかえすフレーズが、周囲に一体感をもたせていく。
指先まで伸びたキレのある振り。
挑戦的な瞳。
ひるがえるスカートの裾。
はつらつとした淫魔のダンスは、集まった者たちを熱狂させる。
周囲の熱気におされ、ミニコンポのそばに立つ心葉のつま先も、小さくリズムを刻む。
「二人を応援するなら、マナーを守ってね」
突出しようとする者を注意しながら、麒麟は揺れる観衆の真中に立ち、淫魔の姿を目に焼きつける。
曲が終わるころには、周囲は異様な連帯感に包まれていた。
「それじゃあ、判定に移るわよ!」
2人の名を呼ぶので、気に入った方で拍手して欲しいと告げると、その差は歴然。
圧倒的な拍手を前に、パラダイス・ディスコは満面の笑顔で観衆に手を振る。
しおんも軽快に踊ってはいたものの、振りの単調さが目についた。それが、一般人にも伝わったのだろう。
「見事なダンスだったわ」
「当然の結果よ!」
ヴィントミューレがディスコに花束を手渡し、観衆の作った花道を凱旋するよう促す。
だれの目から見ても勝者はディスコであると、演出するためだ。
歩くディスコに寄り添い、麒麟は静かに問いかける。
「……これからも、『アイドルごっこ』をしていくの?」
「ごっこ?」
淫魔は笑い、幼い灼滅者を見おろした。
「じゃああんたたちは、いつまで『灼滅者ごっこ』をするの?」
その言葉に、麒麟は思わず足を止める。
花道に混ざりサイリウムを振っていた太一は、慌ててディスコに声をかけた。
「あ、ディスコちゃん! ラブリンの次の営業予定、知らない?」
「うっふふー、どうだと思う? そうね、希望があるなら、伝えてあげてもいいわよ? ただし、叶うかどうかは、運・し・だ・い☆」
「グッバーイ!」と投げキッスを飛ばし、淫魔パラダイス・ディスコは悠然と去っていく。
「ディスコちゃん、今度は一緒に遊ぼうね!」
寛子が手を振り、送りだす。
同じくディスコを見送り、佇んでいたしおんが、ふいに口を開いた。
「淫魔の『欲望』は、ずいぶん手ぬるいんですね」
その手には、日本刀。
観衆の後方で待機していたさかなが、瞬時に『パニックテレパス』を展開。
「太一!」
めったにださない大声で、叫んだ。
●She is "Entertainer".
「みんな、逃げろ!!」
『割り込みヴォイス』を使った太一の声に、一般人たちが蜘蛛の子を散らすように走りだす。
「みなさん、こっちです。慌てずゆっくり避難してね」
「落ち着いて逃げるでござるよ!」
藍とハリーが呼びかけ、さかなが誘導する。
事前に観衆の人数を絞り、距離をとったとて、相手はダークネス並の戦闘力を持つ強化一般人『HKT六六六』。
抜きはなった日本刀を手に、一足飛びで一般人に迫る。
若者の襟首を掴み、引きずり倒すも、
「……淫魔もちょっとアレだったけど。その格好は、はずかしいね?」
麒麟が間に飛びこみ、マテリアルロッドで刃を受けとめる。
「あなたは、そんな感情と『欲望』を、天秤にかけるの?」
しおんは、愚問だといいたげに目を細めた。
優歌(d20897)が若者を連れて退避したのを確かめ、
「勝負で手を抜いたな、星倉しおん!」
麒麟と入れ替わるように、心葉が踏みこむ。
最初に抱いた違和感。
あれは、はなから勝負などどうでも良いという、態度の現れだったのだ。
灼滅者たちが真剣に勝負をするよう仕向けていれば、しおんの態度も違ったかもしれない。
だが、今となっては後の祭りだ。
しおんはハイヒールで地を蹴り、中空を一回転。
心葉のマテリアルロッドを回避するが、
「大人しく、凍りつきなさい!」
ヴィントミューレの死の魔法に捉えられ、地に落ちる。
ポニーテールをひるがえした鈴乃が、すかさず接近。
「おしおきぱんちを、くらうのです!」
超硬度の拳で、その身を穿つ。
殴り飛ばされたしおんは態勢を立て直し、即座に攻勢に転じ、
「はあッ!!」
日本刀を一閃。
「ご褒美です! ありがとうございます!」
仲間たちへ向けられた衝撃の前に、歓声をあげる太一と、麒麟、さかな、そして避難誘導を終えた協力者たちが身を投げる。
太一の声に呆れた視線を向けつつも、
「エア、いくよ!」
敵の攻撃を軽快なステップで回避しながら、リヒトは霊犬『エアレーズング』とともに、攻撃の盾となった仲間たちへ癒しのメロディを奏でた。
「派手に楽しもうじゃない!」
「寛子の高速ダンスに、ついてこれる?」
旋律にあわせ、2人の舞姫は華麗に舞い踊る。
フレナディアは逆手に携えた『イグナ・グルカ』を閃かせ。
寛子はしおんの刃を受け流しながら、拳を繰りだしていく。
素肌が露出し、動きから徐々に機微が失われようと、しおんは攻撃の手を止めない。
己の身が引き裂かれることさえ、『エンターテインメント』の一環だとでもいうように、血を流し、微笑みながら、正確に攻撃を繰りだし続けた。
居合の一閃。
身をよじった際に服の端を引き裂かれ、心葉は口の端をもたげる。
「おもしろい……!」
藍の瞳を輝かせ、妖の槍を振りかぶる。
しおんが槍を受け、反撃しようとしたところへ――、
「ハイ! ハイ! ハイハイハイハイッ!」
太一は拳に雷を宿し、オタ芸の掛け声よろしくしおんの身へアッパーカット!
「くうっ!」
強烈なボディブローを受け、バニースーツが雷によって散り散りに引き裂かれていく。
「YES! ありがとうございます!」
あらわになった胸を隠そうともせず、しおんは日本刀を振りかざす。
ガッツポーズを構える太一の視界を遮るように、女性陣がすばやく展開。
さかなと優歌は光輪を飛ばし、仲間たちの護りを固める。
「そろそろ、倒れた方が良いんじゃない?」
「最後は裸になるけど、我慢してね」
「きがえは、よういしてありますよ?」
フレナディア、麒麟、鈴乃の言葉に聞く耳をもたず、しおんは裸体を血に染め、刃を交えた。
だがその動きは、傷の蓄積と重ねられた枷により、相当に鈍っていた。
ヴィントミューレと寛子は一気にカタをつけるべく、足並みをそろえる。
「洗礼を受けてみなさい。これが、あなたに対する裁きよっ!」
「寛子もアイドルなの! ばっちり決めてみせるの!」
悪しきものを滅ぼす光条に貫かれたしおんを前に、寛子が高くジャンプする。
「札幌、時計台キーック!」
ご当地の力を宿した蹴りを受け、しおんの日本刀がまっぷたつに折れた。
蹴り飛ばされたしおんの手が、空を掴む。
「ぁぁぁあああああミスター……!!」
悲痛な叫びは、そこで途切れ。
しおんはアスファルトに叩きつけられ、意識を失った。
●Little Aster
全裸になったしおんはすぐに人目の付かない場所へ移し、リヒトが太一を遠くへ連れていっている間に、女性陣が着替えさせた。
おそらく、しおんは何も記憶していない。
HKT六六六のことを聞いたところで、掴める情報はほとんどないだろう。
それを踏まえたうえで、灼滅者たちはこの後どう動くかを思い悩みながら、気絶したしおんの目覚めを待った。
眠る少女の瞳から、一筋の涙がこぼれる。
なぜ、しおんがHKT六六六と関わるに至ったのか。
今となっては、
――God knows.
――God knows.
――カミサマいがい だれもしらない。
作者:西東西 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2013年10月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 9
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