野良バニー服を追え!!

    作者:西東西


     西の空に太陽が沈み、東の空から月が昇りはじめたころ。
    「きょうは、へいわないちにちだったのです。まいにちこうなら、きっとすてきなのです」
     漆黒のポニーテールを揺らしながら、綾町・鈴乃(無垢な純白・d15953)がにこにこと家路についていた。
    「こんなひは、おつきさまも、とってもきれいなのです♪」
     微笑んで、夜空をあおぎ見た時だ。

     月をバックに、『バニー服』が空を飛んでいた。
     しかも、8体も!!

     『フライングバニー』は8体とも服のみで、着用者がいないようだ。
     つまりこのまま見過ごせば、バニー服による新たな被害者が8人も出てしまう。
     だが、そうなる前に!
    「ここはあえて、きるしかないのですっ!!」
     拳を固めた鈴乃が叫び、周囲に向かって呼びかける。
    「ゆうきのあるひとは、すずののあとにつづくのです……!」
     生真面目で純真で素直な幼女は、空飛ぶバニー服を追い、颯爽と駆けていった。
     

    「――ということがあった。いそぎ、綾町を追いかけてくれ!」
     現場に居合わせた一夜崎・一夜(高校生エクスブレイン・dn0023)から連絡を受けたらしい。
     神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)が、かっこよく見える(と思われる)ポーズで道の先を示しながら、校門前で灼滅者たちに声をかけている。
    「綾町が見つけたのは『フライングバニー』という淫魔の眷属。8体とも、着用者のいない『野良バニー』状態だ」
     そのため、一般人に新たな被害がでる前に灼滅者たちに対応して欲しいという。
     
    「対応方法はいろいろ考えられると思うが、俺は綾町が言っていた『あえて着る』という作戦に、無限の可能性(インフィニティー・ポテンシャル)を感じるぜ……!」
     着用することで新たな事件の発生を防ぐことができ、敵に逃げられたり、見失ったりする恐れもなくなる。
     確かに、ひとつの作戦として使えそうだ。
    「ただし! 灼滅者が『フライングバニー』を身にまとったという前例は、いまだかつてひとつも無い」
     バニー服を着用したとして、どのような戦闘になるのか。
     なにが起こるのか。
     一切予想がつかないので、どんな事態となっても臨機応変に対応できるよう、あらゆる状況を想定し、対応を練っておいてほしいとヤマトは念を押した。
     
    「サイキックアブソーバーを介した依頼ではないので、伝えられる情報はこれだけだ。だが、俺は信じている」
     道を示していた指を天に向け、
    「灼滅者(スレイヤー)たちの勇気があらゆる困難を退け、『不可能』をも『可能』に変えるのだと!!」
     ヤマトの激励を受けた灼滅者たちが出発するのと入れ違うように、現場から戻った一夜がその背中を見送る。
    「……なんとも、長い夜になりそうだな」
     月を見あげ、深くため息をついた。


    参加者
    真白・優樹(あんだんて・d03880)
    エウロペア・プロシヨン(舞踏天球儀・d04163)
    村本・寛子(可憐なる桜の舞姫・d12998)
    夢野・ゆみか(サッポロリータ・d13385)
    綾町・鈴乃(無垢な純白・d15953)
    小早川・里桜(黄昏を背に昼を抱く・d17247)
    焔宮寺・花梨(ボンクラーズ珈琲・d17752)
    竹間・伽久夜(高校生エクソシスト・d20005)

    ■リプレイ

    ●うさぎ追いし
     フライングバニー服の飛んでいった方角をエクスブレインに確認すると、追跡を請け負った灼滅者たちは一斉に行動を開始する。
     出発までの時間はごくわずかだった。
     それでも一同は考えうる必要最低限の準備を整え、お互いの連絡先を交換。
     二手に別れ、先行する綾町・鈴乃(無垢な純白・d15953)を追い、走りはじめる。
    「里桜お姉ちゃんも、早く乗るのですぅ!」
     ライドキャリバーにまたがった夢野・ゆみか(サッポロリータ・d13385)が、小早川・里桜(黄昏を背に昼を抱く・d17247)をうながす。
    「すまない。頼らせてもらうよ……!」
     里桜が乗りこんだのを確認し、ゆみかは一気にエンジンをふかす。
     ライドキャリバーは主に応えて瞬時に速度をあげると、バニー服を先回りすべく、夜の街を駆けぬけていった。

     ESP『ハイパーライダー』を駆使し、ゆみかは華麗なドライビングテクニックで走る灼滅者たちを追い越した。
    「さすがに、キャリバーは速いね」
     遠ざかるテールランプを見送り、つぶやいたのは真白・優樹(あんだんて・d03880)。
     自身もESP『ダブルジャンプ』を駆使し、ショートカットを繰りかえしていたものの、灼滅者とはいえバイクに追いつくのは難しい。
    「『鋼糸組』の2人も、順調に進行しているようです」
     同じく『ダブルジャンプ』で夜闇を駆ける竹間・伽久夜(高校生エクソシスト・d20005)が、別の経路を行く仲間たちの移動状況を確認し、告げる。
     携帯電話はハンズフリー状態で使えるようにしてあるので、追跡しながらの情報のやり取りにも支障はない。
    「それにしても、フライングバニー服って『説得』できるのかなー?」
     さらに同じく『ダブルジャンプ』で夜の街を駆けるのは、村本・寛子(可憐なる桜の舞姫・d12998)。
     もしバニー服が『説得』――人間の言葉を理解するのであれば、闇堕ちした灼滅者のように、弱体化させることができないものかと考えていたのだ。
     しかし、相手は眷属とはいえ、ただの服。
    「今回はエクスブレインの予測を通した事件じゃないし……」
    「効果があるかどうかは、やってみないとわかりませんね」
    「そうなったら、いいんだけどなー」
     寛子はぼやきながら、優樹と伽久夜の背を追い、民家の屋根を蹴った。

     一方、『鋼糸組』の片割れである焔宮寺・花梨(ボンクラーズ珈琲・d17752)はESP『壁歩き』を使い、民家の壁面を駆けながら最短距離での追跡を行っていた。
     すぐそばの道には、インラインスケートで滑走する『鋼糸組』の相方、エウロペア・プロシヨン(舞踏天球儀・d04163)と、花梨の霊犬『コナ』の姿もある。
     エウロペアは人の通れなさそうな道や上り坂などを『犬変身』で凌いでいたものの、障害物を避けながらの追跡はどうにも効率が悪い。
    「花梨! 鋼糸を掛けられそうな道を探すのじゃ!」
     花梨は瞬時にその意図を察し、
    「エウロペアさん、こっちです……!」
     民家の壁を蹴って跳躍。
     街路樹や電柱めがけ、次々に鋼糸をはなった。
     遠心力を利用して身体を飛ばし、障害物を大きく飛び越えていく。
     支点とする対象を切断しないよう、力加減を行うのも鋼糸使いの腕の見せどころだ。
     エウロペアと花梨はそろって鋼糸をはなち、加速。
     夜の住宅街に身を躍らせた。

    ●なにみて跳ねる
     そのころ。
     7人の灼滅者とは別に最初から追跡を続けていた鈴乃は、ひとりバニー服の群れに迫りつつあった。
     高所に登り、8体のバニー服めがけて『ダブルジャンプ』で飛び降りる。
     しかし、バニー服側も追いかけてくる鈴乃の姿は捕捉済みだ。
     バニー服たちは飛びこんでくる鈴乃を軽々と避け、翻弄するように中空で踊った。
    「なかなか、うまくいかないのです!」
     捕まえるまでは何度でも挑戦するつもりだが、バニー服はしだいに、鈴乃の足場になりそうな場所を避けて飛ぶようになっていた。
    「こ、このままでは、みすみす、にがしてしまいます……!」
     そう、唇を噛みしめた時だ。
    「野兎猟である! 網を紡ぐぞ、花梨っ!」
    「はい! 私たちで、捕まえてみせましょう!」
     声がするなり、飛翔するバニー服の進路に広大な蜘蛛の巣状の結界糸が出現。
     4体のバニー服が糸にかかり、絡めとられた。
     残る4体のバニー服が別方向へ逃走を図るも、
    「ロリータもいいけど、バニー服もいいものですぅ。おとなしく、ゆみかたちに捕まるのですぅ!」
     エンジン音とともに、ゆみかのライドキャリバーが逃げたバニー服の進行方向から走りこんできた。
     騎乗したままWOKシールドを掲げ、鈴乃をふくむ仲間たちの守りを固める。
    「――『努々、忘るることなかれ』!」
     相乗りしていた里桜はスレイヤーカードを手に解除コードを叫び、キャリバー上から跳躍。
     地面に着地するなり、周囲の一般人を遠ざけるべく殺気をはなつ。
    「や、やっと追いついた……!」
    「4体がこちらへ向かってきます。追いこみましょう」
     さらに後方から駆けつけた寛子、伽久夜が、ダブルジャンプを駆使しながら攻撃のフリをする。
     花梨の霊犬『コナ』も仲間たちの周囲を駆けまわり、斬魔刀をくわえてバニー服たちを追いたてた。
     最後に駆けつけた優樹は縛霊手を掲げ、霊的因子を強制停止させる結界を構築。
    「だれがなんの意図で生みだしたのか。真相解明のためにも、ここで捕まえるよ……!」
     灼滅者たちに囲まれ行き場をなくしたバニー服4体は結界に捕えられ、ふわりふわりと地面に落ちた。

    ●うさぎたちのダンス
     鈴乃は駆けつけた7人を歓迎しつつも、この隙を見逃しはしない。
    「みなさまのゆうきに、かんしゃなのです! さぁいっしょに、バニーふくをきるのです……!」
     ぽいぽーいと普段着の巫女装束を脱ぎすて、バニー服の1体を手にとる。
    「ゆみかも着るのですぅ!」
     ライドキャリバーから降りたゆみかが別のバニー服を手にとり、鈴乃に続いた。
     服は脱ぎやすいようあらかじめ仕掛けを施していたし、下には水着を着用していたので、露出対策も万全だ!
     2人は逃げようと暴れるバニー服を抑えこみ、なんとか着用。
     作戦相談中、着用することで闇堕ちの危険性があるのでは――という話もあがっていたが、それらしい気配はなく、ひと安心。
     しかし、バニー服といえば、忘れてはいけない。
    「はうううっ!」
    「い、痛いのですぅ!」
     うさ耳とカフス&チョーカーが2人を攻撃しはじめたのだ。
     うさ耳による容赦のない目つぶし攻撃や、カフス&チョーカーによる窒息を狙った顔への張りつき攻撃は、はたから見ている分には滑稽に映った。
     だが、着用したバニースーツもスーツで、灼滅者たちから逃げようと大暴れ!
     攻撃されている当人たちは脱げそうになるバニースーツを押さえながら、必死に耳やカフスの攻撃をふりはらう。
     闇堕ちの危険がないとわかれば、その他の灼滅者たちも続く手はずだ。
    「……ああ、似合わないのは百も承知だ。大丈夫、私は腹を括った!」
     里桜は己に言い聞かせるように叫ぶと、灼滅者たちから逃げようとしていた1体へ豹型の影業を走らせ、飲みこませる。
     ひるんだ隙に服を脱ぎ、さらしの上から身にまとった。
     サイズの心配はまったくなく、驚くほど身体にフィットしている。
     しかし改めて見るにつけ、鋭角に切れあがったハイレグや、いつも以上に露出している胸元が気になって仕方がない。
    「どうも落ち着かない――うわッ!」
     とつぜん鈴乃が超硬度の拳を振りかざし、殴りかかってきた。
    「す、すずのじゃないのです! バニースーツなのです!」
     【催眠】攻撃を受けてしまったらしい。
     さらにセットになっていたうさ耳たちが猛攻を加え、里桜は恥ずかしがる間もなく、応戦するしかない。
     仲間たちの異変に気付いた寛子が、
    「うさぎさんはかわいいんだから、かわいく在ろうよ!」
     すかさずバイオレンスギターを構え、リバイブメロディを奏でる。
    「助かった……!」
     催眠効果の解かれた鈴乃とともに、里桜は暴れるバニースーツとの戦いに戻った。
     一方、エウロペアは罠にかかったバニー服の1体に鋼糸を巻きつけ、その動きを完全に封じこめていた。
    「兎よ! わらわとそなた、生まれたままの姿の如く一体化してこそ真の美よ! 観念して、わらわの物となれぃ!」
     早着替えでバニー服を着こむも、他の灼滅者と同じく、バニー服やうさ耳が攻撃をしかけてくる。
    「おお……やはり暴れるのう。胸が豊かなら、こぼれ落ちているところであった!」
     年頃で、豊満な体系の女性が身に着けたならいろんな意味で危険だったかもしれない。
     だが今回追跡を行っていた灼滅者たちは、幸いにもほぼ全員(なんと幼女をのぞいて全員!)、細身や繊細といった体系の女子生徒ばかりだった。
     エウロペアは顔に張りつこうとするチョーカーやカフスを鋼糸で牽制しながら、
    「わらわは小さくてよかった! よかっ、た……」
     自ら口にした言葉に、撃沈。
     項を垂れたところでオプション三連星(カフス2つとチョーカー)の連撃を受けてしまう。
    「エウロペアさん、しっかりしてください!」
     霊犬『コナ』からの回復を受けた鋼糸組の相方を見やり、
    「わたしも、続きます!」
     エウロペアを見習いバニー服を縛りあげると、隙をついて着用。
     仲間たちに続き、制圧にかかる。
    「一緒に来てよ。あなたたちを求めてる人がいっぱいいる所に、連れて行ってあげるから! 服は着られてこそでしょ!」
     残る3体のバニー服へ優樹が呼びかけるも、バニー服は態度を変えることはなく、また、ひとの言葉を理解しているようにも見えない。
    「……なら、力づくで連れていくまで!」
     優樹はふたたび除霊結界を仕掛け、結界にかかったバニー服2体のうち1体を捕まえ、着用。
    「こ、こら暴れるな! 見えちゃうから!」
     全体のサイズはほど良いとはいえ、胸元ばかりはそうもいかない。
     優樹はバニースーツを抱きこむように押さえ、恥ずかしがりながらも応戦。
     残る伽久夜が、もう1体のバニー服を素早く着こんだ。
    「このままあてもなく彷徨うより、灼滅者を取りこんだ方が、あなたたちにもお得だと思いますが?」
     伽久夜は激しく暴れるバニースーツを、己の身体ごと鋼糸で縛り、固定。
     赤きオーラの逆十字を出現させ、オプション三連星を迎撃する。
     仲間たちになにかがあった時のため、最後までバニー服を着用せずに立ち回っていた寛子だったが、闇堕ちも、仲間たちの致命傷の心配も特になさそうだと判断し、最後の1体に躍りかかった。
    「バニー服にはバニー服にふさわしい生き方があるの! それは黒いカードを配ることじゃないの!」
     できれば着用前に網タイツを愛でたいと思っていた寛子だが、もたもたしていては、バニー服に逃げられてしまう。
     得意の高速ダンスで華麗に攻撃を見舞うと、ひるんだバニー服を急いで身につけた。

     一番最初にバニー服を制圧しきったのは、鋼糸で身体ごとバニースーツを縛りつけた伽久夜だった。
     暴れる服を気に掛ける必要がなくなるため、効率的にバニー服を沈めることに成功。
     エウロペアと花梨の『鋼糸組』もすぐに見習い、バニースーツとオプション三連星を沈黙させる。
     3人はすぐに仲間たちの加勢にまわり、自分たち同様、鋼糸でバニースーツを縛りあげた。
    「ゆみかちゃんとは同じ北海道のご当地ヒーローで、義姉妹なの!」
    「義姉妹のコンビネーションと絆、見せちゃいますぅ!」
     寛子とゆみかはお互いのオプション三連星を見定めると、足並みをそろえ高く跳びあがる。
    「「札幌、時計台キーーーーーック!!」」
     必殺技を叫ぶ声が重なり。
     ご当地の力を宿した蹴りが中空でクロスしたかと思うと、互いの敵を打ち砕く!
     見れば、仲間たちの着るバニー服は大きな破けこそないものの、攻撃を受けて、多少なりとも痛んでしまっている。
    「できれば、いちまいくらいは、むきずでもちかえりたいのですけれど」
     鈴乃はそう考えるも、このままバニー服に翻弄され続けるわけにもいかない。
    「しかたありません……!」
     仲間にバニースーツを縛りあげてもらうと、雷を宿した拳で己の身に一撃を見舞う。
     手荒な方法ではあったが、さいわい鈴乃のバニースーツはその攻撃で沈黙し、全損を免れた。
     残るは里桜と優樹の2人のみ。
    「た、頼むから見るな……ッ!」
    「これから成長期なんだよ!」
     先にバニー服を制圧した仲間たちに囲まれ、2人は暴れるバニー服を押さえたり胸元を押さえたりしながら顔を真っ赤にして叫ぶ。
    「恥ずかしがっていては、制圧が遅れます」
    「大丈夫です。鋼糸の扱いには慣れていますから」
     伽久夜と花梨が容赦なく2人を拘束し、
    「……うーむ。作戦のためとはいえ嫌がる少女を縛りあげるとは、新たなステージじゃなあ」
     感慨深げにつぶやいたエウロペアのとどめの一撃をもって、野兎猟は無事に終了したのだった。

    ●おや? 灼滅者のようすが
    「まさか、フライングバニー服を着る時が来るなんてね……」
     制圧してしまえば、ただの服。
     優樹はようやく気を取り直し、
    「バニーガール姿、お披露目したら喜んでもらえるかな」
     仲間たちを見渡し、冗談めかして笑う。
    「それにしてもこのバニーふく。ラブリンスターさまとは、べつのいんまのけんぞくなのですよね?」
     着ているバニー服を見やり、鈴乃が首をかしげた。
     花梨は、ここ最近の事件を思いかえす。
     灼滅者たちの間で名の知れた淫魔といえばラブリンスターだが、その配下淫魔たちはHKT研究生と対立しているはずだ。
    「フライングバニー服が関係している事件と言えば、『HKT六六六』の事件ですね。となれば、HKTに協力している淫魔が有力でしょうか」
    「そういえば先日、HKT側の情報を引き出すことに成功した報告書がありました」
     HKTに与しているというダークネス三体。
     そのなかに、『イケメンの淫魔』がいるという。
    「しかし、『イケメンの淫魔』というのは、一体なに者だ……?」
     伽久夜の言葉に、里桜が改めて首をかしげる。
     謎は深まるばかりだが、ひとまず、学園に戻るのが先決だろう。
     すると、
    「なんじゃと! バニー服を着て帰れというのか!」
     エクスブレインに連絡を入れていたエウロペアが、携帯電話を前に声を張りあげている。
     脱げば逃走する恐れがあるので、着用したまま戻ってくるように言われたのだ。
    「情報のためなのですぅ」
    「ESPを使いながら帰れば、人目にはつかないんじゃないかなー?」
     もともとあまり抵抗のない寛子とゆみかは、気楽なものだ。

     喧騒をよそに、鈴乃は自身の身に違和感を覚えていた。
    「すずの、なんだか。ほんとうに、ウサギさんになれるきがするぴょん」
    「…………『ぴょん』!?」
     驚いた少女7人が振りかえると、そこに幼女の姿はなく。

     1羽のうさぎが、ちょこんと、鎮座していた。
     
     

    作者:西東西 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2013年11月11日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 11/素敵だった 10/キャラが大事にされていた 32
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